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光ファイバ損失通信SMFMMFOTDR光バジェット

光ファイバ伝送損失 計算ツール|距離・接続数・波長からSMF/MMFの全損失と光バジェットを即算出

距離・融着接続数・コネクタ数・波長から光ファイバの総損失(dB)と光バジェット余裕を即算出。SMF/MMFの波長別減衰係数、GbE/10GbE/40GbEの伝送距離、OTDR測定による障害箇所推定、PONアクセス網の分岐損、EDFA光増幅による長距離化、DWDMの波長多重、海底ケーブルの中継設計まで、通信網設計・保守・現場実務を1画面で完結します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

光ファイバ伝送損失ツール

入力例と結果の読み方

光ファイバ工事の実務では、「10km区間・融着4箇所・コネクタ4箇所・1550nm」といった典型パターンで先に総損失を見積もり、光バジェットに収まるかを確認するのが基本フローです。

上のツールで各値を入力すると、総損失(dB)と光バジェット余裕(dB)が即座に算出されます。

余裕が3dB未満なら経路短縮・接続点削減の再検討、5dB以上なら十分な余裕確保という判断が実務上の目安。

EDFA挿入・波長変更を検討する場合も、まずはこのツールで基準値を掴んでから詳細設計に進むと効率的です。

計算式と単位系

総損失(dB) = 距離(km) × 減衰係数(dB/km) + 融着数 × 融着損(dB) + コネクタ数 × コネクタ損(dB)

光バジェット余裕(dB) = 送受信機バジェット(dB) − 総損失(dB)

光ファイバの伝送損失は、①ファイバ本体の減衰(km当たりの減衰係数×距離)、②融着接続点での接続損、③コネクタ差込部での挿入損、の合算で見積もります。1550nm帯のSMF(シングルモードファイバ)は約0.20dB/km、1310nm帯は約0.35dB/km、850nm帯のMMF(マルチモード)は約2.5dB/kmが標準値。融着接続は0.05dB前後、コネクタは0.3dB前後が実用目安です。10km・融着2箇所・コネクタ2箇所・1550nmなら合計約2.7dBとなり、標準的な光送受信機バジェット28dBに対して余裕25.3dBが確保できます。

光バジェットとは、送信器の出力パワーと受信器の最小感度の差を示す許容減衰量。GbE-LX(1310nm/長距離用)なら8〜11dB、10GBASE-LR(1310nm)なら6〜9dB、10GBASE-ER(1550nm/超長距離)なら15〜20dBが典型値です。光バジェット余裕が0dB以下になるとリンクエラーが多発するため、設計時は3〜5dBのマージン確保が実務ルールです。

損失要素と減衰係数早見表

要素損失/係数備考
SMF 1310nm(O-band)0.32〜0.40 dB/km短中距離Ethernet標準
SMF 1550nm(C-band)0.18〜0.22 dB/km長距離幹線・DWDM標準
SMF 1625nm(L-band)0.22〜0.28 dB/kmDWDM拡張・監視波長
MMF 850nm(OM3/OM4)2.3〜3.0 dB/kmデータセンター短距離
MMF 1300nm0.5〜1.0 dB/kmMMFの長波長帯
融着接続0.03〜0.10 dBアーク放電による溶融接続
メカニカルスプライス0.2〜0.5 dB簡易接続・仮復旧用
SCコネクタ(PC研磨)0.2〜0.5 dB戻り光反射-40dB以上
LCコネクタ(UPC研磨)0.2〜0.4 dBデータセンター標準
APCコネクタ(斜め研磨)0.3〜0.5 dB戻り光反射-60dB以上
光カプラ(2分岐)3.4〜3.6 dB50:50分岐
光カプラ(1×8分岐PON)10.5〜11.0 dB加入者網の分岐損

光ファイバ伝送損失の詳しい解説

光ファイバ伝送損失は「通信距離・信号品質・網トポロジー設計の決定要素」です。信号の減衰要因はレイリー散乱・吸収・曲げ損・接続損の4種類。石英ガラスファイバでは1550nm帯が理論限界に近い0.15dB/km(先端品)まで低損失化されており、これが長距離幹線・海底ケーブルの主要波長になっている理由です。1550nm帯のGbEなら再生中継なしで70km、10GBASE-ERなら40kmが伝送可能。中継器・EDFA光増幅器を挿入すれば数百km〜数千kmの長距離化が可能で、日米間・欧米間の海底ケーブルは1万km級の光伝送を実現しています。

実務では「光バジェット設計+3〜5dBマージン」が鉄則です。設計時に総損失を精密に見積もっても、経年劣化・接続部の汚損・環境温度変化・微小曲げ損の蓄積で0.5〜2dB程度の余裕消費が発生します。特に外線工事後は接続部の完了検査(OTDR測定・パワーメータ測定)で総損失を実測し、設計値との差異を評価するのが標準手順。差異が1dB以上ある箇所は再融着・清掃・コネクタ交換で改善します。

都市部の地中ケーブル・電柱共架ケーブルでは、埋設・引き込み・立ち上げ・端子箱までに10〜20箇所の融着とコネクタが介在します。1箇所0.1dB前後の損失でも累積で2〜3dBに達するため、幹線設計時から接続点数を最小化する経路取りが重要です。データセンター内の短距離配線では、コネクタ挿入損の累積(0.3dB×パッチ4段=1.2dB)がボトルネックになりやすく、MPO-12/24等の多芯コネクタで接続点数を削減する設計が定石です。

光ファイバは電気ケーブルと違い電磁誘導・雷サージの影響を受けないのが最大の特徴。工場の高電圧環境・落雷多発地域・データセンターの絶縁分離では、光ファイバがメタルケーブルより信頼性が高くなります。ただしファイバ自体は絶縁でも、金属被覆(SUS/アルミ)や外部の吊り線からアース経路が形成される場合があり、雷対策では光/電気の境界(メディアコンバータ)でのSPD設置が必要です。

SMFとMMFの選び分け

光ファイバはSMF(シングルモード)とMMF(マルチモード)の2種類に大別されます。SMFはコア径9μm・波長1310/1550nmを主流とする長距離・高速用、MMFはコア径50/62.5μm・波長850/1300nmで短距離・低コスト用。データセンター内の300m以下ならOM3/OM4のMMF、建物間・キャンパス間の1km〜はSMFという設計が標準です。

SMF(OS2 ITU-T G.652.D)

コア径9μm、1310nm(O-band)・1550nm(C-band)使用。長距離・高速通信の標準。ゼロ分散1310nm/最低損失1550nm。データセンター間・幹線・海底ケーブル。

MMF OM3(50μm)

10GBASE-SR対応で300m、40GBASE-SR4/100GBASE-SR4で100m。青系アクア色のケーブル被覆。データセンター内の10G/40Gリンクの標準。

MMF OM4(50μm/低減衰)

OM3の伝送距離を約1.4倍に延伸(10GBASE-SR 400m/40GBASE-SR4 150m)。データセンター拡張やハイパースケール用途。ライラック色被覆。

MMF OM5(WBMMF)

Wideband MMF。SWDM(短波長WDM)により1本で40G/100G/400G伝送。既設OM3/OM4置換の高集約化用途。ライム色被覆で識別。

選定の実務ポイントは「距離+速度+コスト」の3軸バランス。300m以下ならMMFが電気機器(光トランシーバ)込みで低コスト、300m〜10kmはSMFの1310nm(GbE-LX/10GBASE-LR)、10km〜40kmはSMFの1310nm延伸/1550nm、40km超は1550nmのDWDM+EDFAが定石です。長距離になるほど電気機器(SFP+/QSFP)の単価が上がるため、伝送距離短縮の経路設計とのトレードオフを検討します。

Ethernet規格別の伝送距離

光ファイバEthernetは規格ごとに使用波長・ファイバ種別・伝送距離が定義されています。光バジェット設計はまず「規格の目安距離」で判断し、その上で実測損失・マージンを検証するのが標準手順です。

規格波長ファイバ伝送距離
1000BASE-SX850nmMMF OM3550m
1000BASE-LX1310nmSMF10km
10GBASE-SR850nmMMF OM4400m
10GBASE-LR1310nmSMF10km
10GBASE-ER1550nmSMF40km
10GBASE-ZR1550nmSMF80km
40GBASE-SR4850nm×4MMF OM4150m
40GBASE-LR4WDM 1300nm帯SMF10km
100GBASE-SR4850nm×4MMF OM4100m
100GBASE-LR4WDM 1300nm帯SMF10km
100GBASE-ER4WDM 1300nm帯SMF40km
400GBASE-DR41310nm×4(パラレル)SMF500m
400GBASE-LR8WDM 1300nm帯SMF10km

規格名の末尾記号は「S=Short(数百m)・L=Long(10km)・E=Extended(40km)・Z=超長距離(80km)」の距離クラスを示します。IEEE 802.3の各章で定義される光バジェットは、最悪ケース(ファイバ最大損失+コネクタ規定数)を想定した値。実務では「規格の距離目安」でおおよそ判断し、実測損失で余裕を確認するのが二段階チェックです。

OTDR測定と障害箇所推定

OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)は光ファイバの片端からパルス光を送出し、後方散乱光の時間変化を測定してファイバ長・接続点・断線箇所を可視化する保守用の必須機器。パルス光が反射・散乱して戻ってくる時間と強度から、①ファイバ全長、②接続点(融着/コネクタ)の位置と損失、③断線箇所、④曲げ損の異常、を推定できます。1550nm帯なら1回の測定で40〜60km、専用の長距離モードなら200km以上まで測定可能です。

ファイバ全長測定

パルス光の往復時間×光速÷屈折率(約1.468)÷2で距離換算。500m〜200kmの範囲を10m単位で測定。開通試験・完了検査で全長確認。

接続点損失の測定

各接続点で数値化。0.05dB以下=良好、0.1dB=許容、0.3dB以上=要再融着。合格判定で工事完了。

断線箇所の推定

大型反射ピーク+以降の後方散乱消失で断線位置を10m以下の精度で特定。復旧作業の掘削位置決めに使用。

曲げ損・接続不良の検出

点損失0.5dB以上の突発ロスは曲げ半径不足・接続部汚損・端面破損を示唆。清掃・再融着で改善するかを段階的に検証。

OTDR測定の実務ではデッドゾーン(近端の測定不能領域)に注意が必要です。パルス光の直後は反射波が受光素子を飽和させるため、近端5〜100m(パルス幅による)は解析不能。近端測定にはダミーファイバ(ローンチファイバ)500m〜1kmを介挿することで測定範囲を確保します。データセンター内の短距離配線ではローンチファイバなしでは測定できない領域が発生するため、ハンドヘルド型のパワーメータ+光源セットによる損失測定が並行手段です。

PONアクセス網の分岐損設計

PON(Passive Optical Network)は、局舎から加入者宅までを光カプラの分岐で1本のファイバを共有する光アクセス方式。日本のFTTH(GE-PON/10G-EPON)・海外のGPON/XG-PONの主流方式で、1本のSMFを1:32〜1:64に分岐して各家庭に配信します。分岐数が多いほど分岐損が大きくなり、光バジェットの制約が厳しくなるのがPON設計の核心課題です。

分岐比理論分岐損実挿入損典型用途
1×23.0 dB3.4〜3.7 dB幹線分岐
1×46.0 dB6.5〜7.0 dB集合住宅分岐
1×89.0 dB10.5〜11.0 dB戸建て集約
1×1612.0 dB13.5〜14.5 dBマンション幹線
1×3215.0 dB17.0〜18.5 dBGE-PON標準
1×6418.0 dB20.5〜22.0 dBXG-PON/10G-EPON

GE-PONの光バジェットはClass B+(28dB)/C+(32dB)で規定されており、1×32分岐で18dBの分岐損、そこにファイバ損失(20km×0.35=7dB)+接続損(0.5〜1dB)を加えて合計25.5〜26.5dBの総損失。Class B+では2.5〜3dBの余裕、C+では6dB余裕という設計になります。10G-EPONではさらに厳しいバジェット制約から、1×32を上限とする運用が一般的です。

PONの光カプラは受動素子(電源不要)なので、局舎側OLTから多数のONU(加入者側終端装置)を無電源の分岐で束ねられるのが最大のメリット。1台のOLTで最大64加入者を収容できることで、都市部のFTTHが低コストで実現しています。カプラは屋外電柱・共架設備・地下MHの端子箱に設置され、屋内・屋外の温度サイクル(-20〜+70℃)に耐える防水・防塵性能が要求されます。

EDFA光増幅による長距離化

EDFA(Erbium-Doped Fiber Amplifier)は、エルビウムイオン(Er3+)を添加した特殊光ファイバに励起光(980nm/1480nm)を注入し、通過する信号光(1550nm帯)を光のまま増幅する装置。1台で15〜30dBの利得が得られ、電気変換を挟まずに光信号を再増幅できるため、長距離幹線・海底ケーブルの主力デバイスとなっています。

典型的な長距離幹線の設計では、80〜100km毎にEDFAを挿入し、最大数千kmを再生中継なしで伝送します。太平洋横断の海底ケーブルは約60〜80km毎にEDFAを海底設置(電源は海底ケーブル内の給電線から供給)、日米間8,000〜10,000kmを100〜130段のEDFAで中継します。EDFAの性能限界はASE雑音(自然放出雑音)の累積で、段数×3〜5dBの雑音指数悪化が信号品質(BER)の律速条件になります。

ブースタEDFA(送信側)

送信器の出力を+10〜+15dBmに増幅し、長距離伝送の初段で使用。飽和動作で出力パワー確保。

インライン EDFA(中継)

60〜100km毎の中継点に配置。20〜25dBの利得で減衰した信号を再度パワーアップ。海底ケーブルの主力。

プリアンプEDFA(受信側)

受信器直前で低雑音増幅。雑音指数4〜5dBの高性能素子で受信感度を改善。ラマン増幅と併用も一般的。

ラマン増幅器

ファイバ自体を利得媒体とする分布増幅方式。EDFAより雑音特性が良く、ウルトラロングホール伝送で採用。

WDM/DWDMの波長多重

WDM(Wavelength Division Multiplexing)は、1本の光ファイバに複数の波長を多重して伝送容量を拡大する技術。粗多重のCWDM(1270〜1610nmを20nm間隔で8〜18波)と密多重のDWDM(1530〜1565nmを0.4〜0.8nm間隔で40〜160波)があります。長距離幹線・データセンター間接続の高帯域化は基本的にDWDM+EDFAの組み合わせです。

DWDMシステムの設計では、①光バジェット(EDFA含めた全体パワーバランス)、②波長ごとのSNR(信号対雑音比)、③非線形効果(自己位相変調・相互位相変調・四光波混合)、④色分散・偏波モード分散、を総合的に見積もる必要があります。特に非線形効果は入力パワーを上げるほど顕著になるため、単純に「EDFAで増幅→伝送距離延伸」とはならないのがDWDM設計の難所です。

2024年時点のDWDM先端システムは、1波長あたり400Gbps(コヒーレント伝送)、160波多重で1ファイバ64Tbpsの伝送容量を実現。日本国内のバックボーン網や太平洋横断ケーブルはこの世代の技術で構築されており、AI/クラウド需要による通信量爆発に対応しています。ファイバ1本の物理的限界(シャノン容量)は約100Tbps程度とされ、これを超える需要には空間多重(SDM)技術やマルチコアファイバの実用化が進められています。

コヒーレント伝送(Coherent Detection)は、送信側でレーザ光の位相・振幅・偏波を精密制御し、受信側でデジタル信号処理(DSP)により復調する方式。従来の強度変調(オンオフキーイング)から、QPSK・16QAM・64QAMの多値位相変調へと進化することで、シンボル当たりの情報量を2〜6倍に高密度化。さらにDSPによる色分散・偏波モード分散の電子補償が可能になり、物理的な分散補償ファイバ(DCF)を廃止できる利点もあります。100G/200G/400G/800Gの高速コヒーレント光トランシーバ(CFP2/QSFP-DD/OSFP形状)が2020年代以降のデータセンター相互接続の主軸です。

業界・現場での使い方

光ファイバ伝送損失計算は、通信キャリア・データセンター事業者・製造業のFA/OT・ケーブルテレビ・研究機関まで幅広い現場で日常的に使われる基礎技術です。

通信キャリア(NTT/KDDI/SB等)

幹線・アクセス網の設計・保守。FTTH加入者接続の光バジェット計算、局舎間伝送路のEDFA配置、故障時のOTDR切り分け。

データセンター事業者

ラック間・DC間の光配線設計。10G/40G/100G/400G規格の距離・波長選定。MPOカセット・パッチパネルの損失管理。

製造業のFA/工場ネットワーク

PLC・制御機器の光接続。電磁環境の悪い工場でメタルEthernetをMedia Converterで光化、絶縁とノイズ耐性を確保。

ケーブルテレビ(CATV)事業者

HFC(Hybrid Fiber-Coax)ネットワークの光部分。光ノードから加入者宅までの分岐損計算、映像品質担保。

海底ケーブル・国際通信事業者

太平洋横断・大西洋横断ケーブルの設計。EDFA中継段数・ASE雑音累積・非線形効果の総合設計。

研究機関・学術ネットワーク

SINET・国際研究網の高速接続。実験用途の長距離コヒーレント伝送、量子鍵配送(QKD)、光時計配信網。

よくある間違い・注意点

光ファイバ伝送損失の計算・設計は、規格・実測・保守で扱う数値が微妙に異なり、実務では前提の取り違えで判断を誤りやすいポイントがあります。

  • 波長の混同 — 1310nmと1550nmで減衰係数が約1.7倍違う。1550nm前提の設計値を1310nmで運用すると余裕不足に。
  • SMFとMMFの混用 — コア径が異なるため接続すると10dB以上の巨大損失が発生。パッチコード・カセットの色分け(黄=SMF、水色/紫/緑=MMF各種)で識別。
  • メカニカルスプライスの過信 — 応急復旧用の簡易接続で、経年劣化で損失増加。原則は融着接続で本復旧。
  • コネクタ端面の清掃不足 — 端面の油脂・微小粉塵で0.5〜数dBの損失増加+反射光増加。専用クリーナで清掃、顕微鏡で確認。
  • 曲げ半径の不足 — 最小曲げ半径(SMF:30mm/MMF:20mm)を割ると急激に損失増加。パッチパネル配線・端子箱内の折り返しで頻発。
  • 光バジェットの誤解 — 光バジェットは「余裕」ではなく「許容減衰量」。総損失≦光バジェットが動作条件、余裕はさらに3〜5dB確保。
  • OTDRの近端デッドゾーン無視 — 近端5〜100mは測定不能。データセンター内の短距離配線はダミーファイバ介挿かパワーメータ実測を併用。
  • DWDMの非線形効果無視 — EDFAで増幅すればいくらでも伸ばせるわけではなく、四光波混合・自己位相変調で信号品質が悪化。ファイバ入力パワー上限(0dBm/ch程度)を守る。
  • 波長分散の見落とし — 高速伝送(10G以上)ではSMFの色分散(17ps/nm/km@1550nm)がパルス広がりを引き起こす。長距離・高速では分散補償が必須。
  • 光反射の見落とし(戻り光) — APCコネクタ(斜め研磨)を使わないと反射光がレーザに戻り、レーザ発振不安定化・BER悪化。長距離・DWDM系ではAPC必須。
  • OTDR単独での合否判定 — OTDRは片方向測定で、双方向測定(両端から測定して平均)しないと接続損の正負(みかけ上の利得)が発生。長距離幹線は双方向必須。
  • 設計値と実測値の乖離 — 実際の敷設ケーブルは製造ロット・環境で±10%の減衰係数変動。完了検査での実測値ベースで再評価するのが標準手順。

関連する規格・法規

光ファイバ伝送に関わる主要な国内外の規格を整理します。設計・製造・保守の実務で参照される標準です。

  • ITU-T G.652 ― 汎用シングルモード光ファイバ(通称SMF/OS2)の国際規格。1310nm/1550nm帯の特性、モードフィールド径、色分散を規定。
  • ITU-T G.653/G.655/G.657 ― 分散シフトファイバ(DSF)、非零分散シフトファイバ(NZ-DSF)、曲げ耐性ファイバの規格。用途別の光ファイバ選定基準。
  • ITU-T G.694.1/G.694.2 ― DWDM/CWDMの波長グリッド規格。DWDMは1530〜1565nmの周波数グリッド、CWDMは1270〜1610nmの20nm間隔グリッド。
  • JIS C 6820/C 6823 ― 光ファイバ通則および試験方法。国内の光ファイバ製造・試験の基準規格。
  • IEEE 802.3 ― Ethernet規格。1000BASE-SX/LX、10GBASE-SR/LR/ER、40G/100G/400Gの物理層仕様と光バジェット規定。
  • IEC 61300シリーズ ― 光ファイバ相互接続デバイス及び受動部品の試験・測定手順。挿入損・反射減衰量の測定法。
  • 電気通信事業法 ― 電気通信設備の技術基準。通信キャリアの光ネットワークが遵守すべき基準法。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・保守は、最新のITU-T/JIS/IEEE規格および所轄官庁・通信事業者の判断に従ってください。

参考文献・公的資料

光ファイバ・光通信の一次情報は、以下の国際機関・国内標準化団体・公的機関を参照してください。

※本ページの計算結果は概算です。実際の光ファイバ設計・施工では、①ファイバの実測値(製造ロットで±10%程度の変動)、②接続点の実測損失、③環境温度・湿度による損失変動、④経年劣化(20年で0.5〜1dB程度)、を考慮した3〜5dBのマージン設計が実務標準です。長距離・高速・DWDMシステムでは専門技術者による設計・検証を強くお勧めします。当ページは投資勧誘・特定商品の推奨を目的とするものではありません。

よくある質問(FAQ)

10km・融着2・コネクタ2の1550nm損失は?

10km × 0.20dB/km + 2 × 0.05dB + 2 × 0.3dB = 2.0 + 0.1 + 0.6 = 約2.7dB。10GBASE-LR(光バジェット6〜9dB)なら余裕3〜6dBで動作可能。

SMFとMMFはどう選ぶ?

300m以下・データセンター内=MMF(OM3/OM4)、1km〜10km・建物間=SMFの1310nm(GbE-LX/10GBASE-LR)、40km超=SMFの1550nm(10GBASE-ER)が定石。距離・速度・電気機器コストの3軸で判定します。

光バジェット余裕はどれくらい必要?

設計時は3〜5dBのマージンを確保。経年劣化(20年で0.5〜1dB)・接続部の汚損(0.5〜2dB)・温度変化(±0.5dB)の余裕消費を見込みます。

OTDRとパワーメータの使い分けは?

OTDRは接続点の位置と損失を可視化(工事完了検査・障害切り分け)、パワーメータ+光源は全長総損失の実測(合否判定)。用途で使い分けます。長距離幹線はOTDR中心、DC内短距離はパワーメータ中心。

光バジェット不足時の対処は?

①経路短縮、②接続点数の削減、③高性能SFP(受信感度の高い品)への交換、④EDFA挿入(長距離)、⑤DWDM化(帯域確保)、⑥波長変更(1310→1550の低損失波長へ)。順に検討します。

PONの1×32分岐は何dBの損失?

理論分岐損15dB+実装損2〜3dBで17〜18dB。GE-PON Class B+(28dBバジェット)なら幹線20km(7dB)を加えても25dBで2〜3dB余裕。C+(32dB)ならさらに余裕。

APCとUPCコネクタの違いは?

UPC=垂直研磨、反射-40〜-50dB。APC=8度斜め研磨、反射-60dB以上。長距離・DWDM・PON・アナログ映像系はAPC必須(戻り光でレーザ不安定化を防ぐ)、短距離データ通信はUPCで可。混在接続不可(接続すると大損失)。

海底ケーブルの中継設計は?

60〜100km毎にEDFAを海底設置、太平洋横断1万kmを100〜130段で中継。海底ケーブル内の給電線でEDFAに電源供給。DWDMで数十波多重し、1ファイバあたり10〜30Tbpsの帯域を確保。

光ファイバ通信のメリットは?

低損失(1550nmで0.2dB/km、メタルの1/100以下)、②高速(1本で数十Tbps)、③電磁誘導耐性(工場・雷対策)、④絶縁性、⑤細径軽量(メタルの1/10の重量)、⑥盗聴困難(電磁波が漏れない)。長距離・高速・耐環境用途で圧倒的優位。

MMFの伝送距離がSMFに比べて短い理由は?

MMFは複数の光路(モード)を伝搬させるため、モード間の到達時間差(モード分散)がパルス広がりを引き起こし、高速通信の距離を制限。10Gbpsで数百m、100Gbpsでは100m前後が限界。SMFはシングルモードのためモード分散がなく、10km以上の長距離高速通信が可能です。

光ファイバの寿命は?

石英ガラス自体は理論上100年以上劣化しませんが、実運用ではコーティング(UV硬化樹脂)の経年劣化・水分侵入によるOH基増加・微小曲げの累積で20〜30年の設計寿命が一般的。海底ケーブルは25年設計、地上幹線は20〜30年で更新計画されるのが実務標準です。

1本のファイバでどれくらいの帯域が使える?

SMFのシャノン容量限界は理論的に約100Tbps。2024年の商用DWDMは1ファイバ64Tbps(400G×160波)まで実現。研究段階では単一コアで200Tbps、マルチコアファイバ(4〜19コア)や少数モードファイバでは1〜10Pbpsのデモも成功しています。