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Wi-Fi電波IoTネットワークIEEE 802.11

Wi-Fi電波到達距離 計算ツール|規格別カバー範囲・障害物減衰・メッシュ配置

Wi-Fi電波の到達距離とスループットを、Wi-Fi規格(2.4/5/6GHz、Wi-Fi 4/5/6/6E/7)と障害物(壁・家具・冷蔵庫・水槽)から瞬時に判定。自由空間損失モデル、障害物減衰量、メッシュWi-Fi配置、電波法・IEEE 802.11規格までを網羅。ホーム・オフィス・店舗・工場・倉庫のネットワーク設計に、中継器要否や増設アクセスポイント配置の目安として活用できます。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

Wi-Fi電波到達距離 計算機

計算式(自由空間損失モデル)

基本式:自由空間経路損失(FSPL)

FSPL(dB) = 20 × log10(d[m]) + 20 × log10(f[MHz]) + 32.44

電波の自由空間損失(Free Space Path Loss)は、送信アンテナと受信アンテナ間の距離dと周波数fの関数として表されます。この式はITU-R P.525(電波伝搬の基本式)に基づく国際標準式で、屋外見通し内・障害物なしの理想条件での減衰量を示します。実際の屋内環境では、これに壁・家具・水・金属等の減衰量を加算して計算します。

受信電力の計算

受信電力(dBm) = 送信出力(dBm) + 送信アンテナ利得(dBi) − FSPL(dB) − 障害物減衰(dB) + 受信アンテナ利得(dBi)

Wi-FiルータのEIRP(等価等方輻射電力)は、日本国内では電波法および技術基準適合証明に基づき、2.4GHz帯で最大20dBm(100mW)、5GHz帯屋内で23dBm(200mW)、5GHz帯屋外(W56)で30dBm(1W)まで許容されます。実測ではWi-Fiルータの送信出力は15〜20dBmが一般的です。

実用的な到達距離目安

実務では以下の簡易式でおよその到達距離を推定します(壁1枚あたり40%減衰、5GHzは2.4GHzの70%目安)。

到達距離 ≒ 基本到達距離 × 0.6^(壁数)

基本到達距離は、Wi-Fi 4(2.4GHz)で約35m、Wi-Fi 5(5GHz)で約25m、Wi-Fi 6(5GHz)で約30m、Wi-Fi 6E(6GHz)で約20m、Wi-Fi 7(6GHz)で約22mが実測目安です。これはあくまで概算で、実際の到達距離は建物構造・電子レンジ等の干渉源・ルータ性能により変動します。

Wi-Fi規格の比較

規格名(通称)IEEE規格周波数帯最大速度屋内到達目安特徴
Wi-Fi 4802.11n2.4/5GHz600Mbps25-40mMIMO対応、レガシー機器互換
Wi-Fi 5802.11ac5GHz6.9Gbps20-30mMU-MIMO、80/160MHz帯域
Wi-Fi 6802.11ax2.4/5GHz9.6Gbps25-35mOFDMA、同時多接続、TWT省電力
Wi-Fi 6E802.11ax6GHz追加9.6Gbps15-25m6GHz帯開放、干渉少、日本2022年9月開放
Wi-Fi 7802.11be2.4/5/6GHz46Gbps15-25m320MHz帯域、MLO、4K-QAM

Wi-Fi 6以降はOFDMA(直交周波数分割多元接続)により多数のIoT機器を効率的に接続でき、スループット総量ではなく「同時接続時の実効速度」が大幅に向上しています。単純な最大速度比較より、住宅・オフィスでの体感速度改善が実利用の焦点となります。

周波数帯別の特性

周波数帯波長回り込み干渉源実用場面
2.4GHz約12.5cm◎(遠くまで到達)電子レンジ、Bluetooth、コードレス電話ラスト到達確保、IoT機器
5GHz約6cm○(中距離)気象レーダー(W53/W56)屋内高速通信の主流
6GHz約5cm△(近距離高速)ほぼなし(新規開放)次世代主流、干渉少

2.4GHzはチャンネル数が少なく(1/6/11の3チャンネル実用)、集合住宅では他世帯との干渉が深刻です。一方、電子レンジ稼働中は同帯域で強烈な妨害電波を発生させ、Wi-Fi通信が数秒間断絶する現象がよく報告されます。

5GHzのW53(5.25-5.35GHz)・W56(5.47-5.725GHz)チャンネルは気象レーダーと共用のため、レーダー検知時にはDFS機能により自動的にチャンネル変更が発生し、瞬断が起こります。空港・気象台近くではW52(5.15-5.25GHz、屋内のみ)を固定推奨。

6GHzは日本で2022年9月から開放された新帯域で、Wi-Fi 6E/7の専用領域。他規格との干渉がなく、160/320MHz帯域を安定確保できるため、複数端末の同時高速通信に最適です。

障害物別の減衰量

屋内Wi-Fi設計では、送信〜受信間の障害物ごとの減衰量を積算します。以下は5GHz帯の典型的な減衰量です(2.4GHzは概ね70%、6GHzは110〜130%)。

障害物減衰量(dB)備考
木造間仕切り(石膏ボード両面)3-6一般住宅内壁
木製ドア(閉状態)3-4ドアの開閉で減衰量変動
ガラス窓(通常)2-3金属コート断熱ガラスは10-20dB
Low-Eガラス(遮熱)10-20金属酸化物コーティング
コンクリート壁(RC)10-15厚さ150-200mm標準
厚コンクリート・耐震壁15-25厚さ300mm以上
LGS(軽鉄下地)+石膏ボード6-10オフィス間仕切り、金属下地の影響大
鉄骨・鉄板15-25ほぼ電波遮断
ALCパネル5-8マンション外壁
タイル張り浴室壁8-12湿気の影響あり
大型冷蔵庫15-20金属筐体+水分
水槽(60cm)20-30水分子による強い吸収
人体1名3-5混雑オフィスは合計で相当な減衰
金属棚・キャビネット10-15倉庫・工場で頻出

受信レベル(RSSI)の目安は、-40〜-60dBmが良好、-60〜-70dBmが実用可、-70〜-80dBmが最低限、-80dBm以下は接続不安定です。Wi-Fi 6/6Eで動画配信を安定させるには-65dBm以上の確保を目標とします。

メッシュWi-Fi設計

メッシュとエクステンダーの違い

メッシュWi-Fiは複数のノード(サテライト)が相互に通信し、端末の位置・電波状態に応じて最適ノードに自動接続する方式。同一SSID・同一パスワードで運用され、ローミング(端末の再接続)がシームレスです。エクステンダー(中継器)は親機の電波を単純に増幅・再送信する方式で、SSIDが分かれ、実効速度は半減します。現代の住宅・オフィスではメッシュWi-Fiが標準です。

メッシュノードの配置目安

環境ノード数配置目安
1LDK〜2LDK(50-70m²)1台(ルータのみ)リビング中央付近
3LDK〜4LDK(70-100m²)2台(ルータ+ノード1)玄関・寝室境界に追加
戸建2階建て(100-150m²)2-3台1階リビング+2階廊下
戸建3階建て(150-200m²)3台各階1台配置
大型戸建(200m²超)3-4台各階+庭・ガレージ用
小規模オフィス(50-100m²)2-3台Ethernetバックホール推奨
大規模オフィス(500m²以上)業務用APを設計Ekahau等でヒートマップ設計

有線バックホールの活用

メッシュノード間の通信を無線ではなく有線Ethernet(Cat5e/6/6A)で接続すると、無線帯域の消費なし・遅延最小・スループット倍増が実現できます。新築・大規模リフォーム時にはLAN配管(CD管Φ22以上)を各部屋に敷設し、将来の10GbE化にも対応できるCat6A(10GBASE-T対応)を推奨します。

業界での応用

ホーム・住宅ネットワーク

戸建・マンションでのWi-Fi設計。メッシュWi-Fi(TP-Link Deco、ASUS ZenWiFi、eero、Nest Wifi等)によるカバー最適化。テレワーク・4K配信・オンラインゲーム・スマートホーム(照明・エアコン・カメラ・音声アシスタント)の同時利用に対応。IPv6 IPoE契約の推進で1Gbps以上の実効速度確保。

オフィス・SOHOネットワーク

会議室・執務エリアの安定Wi-Fi確保。業務用AP(Aruba Instant On、UniFi、Meraki Go等)による集中管理、SSIDの業務用/ゲスト用分離、VLAN構成。Ekahau等のサイトサーベイツールでヒートマップ設計。BYOD(個人端末業務利用)ポリシー整備。

店舗・カフェ・宿泊業

顧客Wi-Fi提供。認証ページ(スプラッシュ画面)経由でメールアドレス取得、マーケティング活用。総務省「free Wi-Fi ガイドライン」に基づく安全な運用。多言語対応(訪日外国人)。飲食店では席数×同時接続数(1席あたり2〜3台前提)の帯域設計が必要。

工場・倉庫・物流センター

ハンディターミナル・フォークリフト搭載端末・IoTセンサーの一斉通信。金属棚・機械類が多い環境では減衰が大きく、高密度AP配置が必要。5GHzメインで屋外部分のみ2.4GHz補完。IEEE 802.11n倍速通信のプライベートLTE移行も検討事案。

ホテル・宿泊施設

客室ごとの高速インターネット提供。廊下天井へのAP埋込設置、客室間干渉の最小化、宿泊者数×2台前提の同時接続設計。Wi-Fi 6以降の同時多接続機能で、繁忙期のロビー・宴会場も安定運用可能。

教育機関・学校

GIGAスクール構想対応。1人1台タブレット環境でのクラス全員同時アクセス(40台/教室)、業務用AP・OFDMA機能フル活用。学内バックボーンのGbE化、フィルタリング・アクセス制御(RADIUS認証)、教員・生徒・ゲストSSID分離。

よくある間違い・注意点

  • 高性能ルータ1台で全カバーできると誤解 — 電波は物理法則で減衰します。100m²超の住宅・鉄筋コンクリート壁の多い建物では、たとえ最新Wi-Fi 7ルータでも1台での全室カバーは困難。メッシュWi-Fi(2〜3ノード)への切替が現実的な解決策です。
  • 2.4GHz帯を常用 — 集合住宅では他世帯との干渉が深刻で、実効速度が10Mbps未満に落ちるケースも。可能な限り5GHz/6GHz帯に切替、2.4GHzはIoT機器(スマート照明・センサー)専用SSIDに分離します。
  • ルータの設置場所が床置き・角部屋 — 電波は下方向・後方向にも放射されるため、床置きだと下階への漏れが増え上階への到達が減少。家全体の中央・高い位置(棚上・壁付け)への設置で到達距離が20〜30%改善します。
  • チャンネル自動設定を信頼しすぎ — 集合住宅では周辺Wi-Fiとの重複を避けるため、Wi-Fi Analyzer(スマホアプリ)で実測し、空きチャンネル(2.4GHzは1/6/11、5GHzはW52/W53/W56の低使用チャンネル)を手動固定すると安定します。
  • Ethernetバックホールなしでメッシュ運用 — メッシュノード間を無線でつなぐと、その帯域が使われるため実効速度が半減以下に。可能な限り有線LAN(Cat5e/6/6A)でノード間を接続する「有線バックホール」を採用します。
  • 電子レンジ横にルータ設置 — 電子レンジは2.45GHz帯で高出力の妨害電波を発します。2.4GHz Wi-Fiを使用中は、電子レンジ使用時に数秒間の通信断が発生することが多く、ルータは電子レンジから2m以上離すのが理想です。
  • 金属ラック・冷蔵庫の裏にAP設置 — 金属は電波をほぼ完全に反射・吸収します。ラック裏・冷蔵庫裏・耐震壁裏への設置は避け、開放スペースに設置してください。

関連する規格・法令

  • IEEE 802.11(a/b/g/n/ac/ax/be) ― Wi-Fiの国際物理層・MAC層規格。IEEE(米国電気電子学会)が策定。
  • Wi-Fi Alliance認証 ― Wi-Fi 4/5/6/6E/7のブランド呼称と相互接続性認証。ロゴ表示・機能表示の統一基準。
  • 電波法 ― 総務省所管。無線LANの周波数帯・空中線電力・技術基準を規定。
  • 電波法施行規則・無線設備規則 ― 2.4GHz(2400-2483.5MHz)・5GHz(W52/W53/W56)・6GHz(5925-6425MHz)の使用条件。
  • 技術基準適合証明(技適) ― 日本国内で使用するWi-Fi機器の必須認証。海外製品も日本市場向けには技適マーク取得が必要。
  • ITU-R P.525 ― 電波伝搬の自由空間損失計算式(国際電気通信連合)。
  • ITU-R P.1238 ― 屋内無線通信の伝搬モデル。障害物減衰量の推定式。
  • 総務省 6GHz帯無線LAN制度 ― 2022年9月開放。Wi-Fi 6E/7で利用可能。
  • 総務省 free Wi-Fi 整備・利用促進 ― 公衆Wi-Fi設置のガイドライン。認証・セキュリティ要件。
  • WPA3セキュリティ規格 ― Wi-Fi Alliance策定。SAE認証・192bit暗号化。

参考文献・公的資料

Wi-Fi機器の選定、設計、法令適合の確認には、以下の公的機関・業界団体の一次資料を参照してください。

※本ページの到達距離推定は、自由空間損失モデルおよび壁・障害物の代表的な減衰量に基づく参考値です。実際の到達距離は建物構造・干渉源・ルータ性能・端末アンテナ性能により大きく変動します。業務用・大規模施設のネットワーク設計では、Ekahau等のサイトサーベイツールによる実測と、電気通信主任技術者・無線技士の判断を優先してください。日本国内で使用する無線機器は必ず技適マーク付きのものを選定してください。

よくある質問(FAQ)

壁2枚のWi-Fi 6到達距離は?

木造・石膏ボード壁2枚の場合、Wi-Fi 6(5GHz)の基本到達距離30m × 0.6² = 約11mが目安。RC造壁2枚では減衰がさらに大きく約6-8mまで低下します。RSSI(受信レベル)で-70dBm以下となる位置には、メッシュノード追加または中継器設置を検討してください。

2.4GHzと5GHz、どちらを使うべき?

近距離・高速通信(動画配信・オンラインゲーム・大容量ファイル転送)は5GHz、遠距離・障害物越しの通信(離れた寝室・IoT機器・スマートホーム)は2.4GHzが原則。デュアルバンド対応ルータでは両方のSSIDを提供し、端末が状況に応じて自動選択できるようにします。

Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いは?

Wi-Fi 6Eは6GHz帯を追加(160MHz帯域、最大9.6Gbps)、Wi-Fi 7は320MHz帯域・4K-QAM変調・MLO(マルチリンクオペレーション、複数帯域同時利用)により最大46Gbpsを実現。実環境ではWi-Fi 7でも実効2〜3Gbps程度ですが、多数の高精細動画・VR/AR・8K配信でメリットが顕在化します。

メッシュWi-Fiと中継器はどう違う?

メッシュWi-Fiは同一SSIDで複数ノードがシームレス連携、ローミングがスムーズで実効速度低下も少ない。中継器(エクステンダー)は親機の電波を単純に再送信するため、SSIDが分かれ、実効速度は半減。現代の住宅・オフィスではメッシュWi-Fi(TP-Link Deco、ASUS ZenWiFi等)が主流です。

ルータの最適な設置場所は?

家全体の中央・高い位置(棚の上、壁付け)が理想。床置き、隅、金属棚裏、水槽・冷蔵庫近くは避けます。電子レンジからは2m以上離すこと。2階建て住宅なら1階と2階の中間床上、または階段吹き抜けが好位置です。

Wi-Fiの実効速度が遅い原因は?

主な原因は①周辺Wi-Fiとの電波干渉(集合住宅)、②電子レンジ・Bluetoothの干渉、③接続端末数の過多、④インターネット回線側のボトルネック、⑤ルータの旧規格(Wi-Fi 4以前)。まずスマホのWi-Fi Analyzerで受信レベルとチャンネル使用状況を確認し、次に回線速度をSpeedtest等で測定。

集合住宅で電波干渉を減らすには?

5GHz/6GHz帯を優先使用(2.4GHzは干渉多)、②Wi-Fi Analyzerで空きチャンネル確認しルータで手動固定、③送信出力を必要最小限に絞る、④WPA3セキュリティで隣家からの接続試行を防止、⑤ルータを外壁から離して設置し漏電波を減らす、が有効です。

W52・W53・W56とは?

5GHz帯Wi-Fiのチャンネルグループ名。W52(5.15-5.25GHz)は屋内専用、W53(5.25-5.35GHz)とW56(5.47-5.725GHz)は屋外可(気象レーダーとの共用でDFS必須)。空港・気象台近くではレーダー検知による瞬断を避けるためW52を固定推奨します。

技適マークとは?

電波法で定める技術基準適合証明マーク。日本国内で無線機器を使用する際に必須で、技適マークがない海外製Wi-Fi機器を国内で使用すると電波法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。輸入時・購入時に必ず表示を確認してください。

IoT機器が多いとWi-Fiが遅くなる?

Wi-Fi 5以前は同時接続数の増加でスループット劣化が顕著でしたが、Wi-Fi 6以降のOFDMA機能により多数機器の同時通信が効率化され、実効速度低下が大幅に緩和されました。IoT機器多数(30台以上)の家庭ではWi-Fi 6以降のルータへの更新を推奨します。

屋外Wi-Fi設置は電波法上OK?

2.4GHz帯・5GHz帯W56(5.47-5.725GHz)・6GHz帯の一部は屋外利用可能。5GHz帯W52・W53は屋内専用で屋外利用は電波法違反。屋外設置には防水AP(IP66以上)と適合チャンネル固定が必要です。

Wi-Fi 6は既存のスマホでも使える?

スマホ側もWi-Fi 6対応(iPhone 11以降、Galaxy S10以降、Pixel 6以降等)であれば新規格の恩恵を受けられます。Wi-Fi 5以前の端末をWi-Fi 6ルータに接続する場合は、Wi-Fi 5モードで通信するため速度改善は限定的。ただし他機器の効率化により回線全体は改善します。