72の法則
72の法則による資産の倍増年数と、積立を含めた将来の資産額を試算します。
72の法則ツール
計算式と考え方
72の法則は「72 ÷ 年利回り」で元本が倍になる年数を概算します。年6%なら72÷6で12年です。対数を使った正確な計算では約11.9年となり、差は0.1年に収まります。資産額は元本と積立を分けて複利で伸ばします。元本300万円は20年で約962万円、毎月3万円の積立36万円は年金終価の考え方で約1,324万円になり、合計は約2,286万円です。元本と積立の合計1,020万円を差し引いた運用益は約1,266万円で、課税口座なら20.315%の約257万円が引かれ、税引後は約2,029万円になります。
利回りごとの倍増年数
| 年利回り2% | 72の法則では36年。正確な計算では約35.0年。預金や個人向け国債に近い領域 |
|---|---|
| 年利回り4% | 72の法則では18年。正確な計算では約17.7年。債券を含めた分散運用の想定に近い |
| 年利回り6% | 72の法則では12年。正確な計算では約11.9年。世界株式の長期平均として語られる水準 |
| 年利回り10% | 72の法則では7.2年。正確な計算では約7.3年。単年では起きるが長期の前提には強気 |
72の法則の詳しい解説
七十二という数字が使われるのは、対数を使った正確な倍増年数の式が、利回り数パーセントの範囲で七十二を利回りで割った値に近づくためです。厳密には自然対数の二の値である〇・六九三を、一に利回りを足した値の対数で割ります。利回りが小さいときは分母が利回りそのものに近づくので、答えはおおむね六十九・三を利回りで割った値になります。それでも七十二が選ばれているのは、二、三、四、六、八、九、十二で割り切れて暗算しやすいことと、利回りが六から十パーセントの範囲で誤差が最も小さくなることの二つの理由によります。年利二パーセントでは七十二の法則が三十六年、正確な計算が三十五・〇年で一年ほど過大に、年利十二パーセントでは六・〇年と六・一年でほぼ一致します。日常の判断で使う分には十分な精度ですが、金融商品の比較や返済計画のように金額が確定する場面では正確な式を使うべきです。この法則が実務で誤用されやすいのは、利回りを毎年一定と置いている点にあります。実際の投資では年ごとの変動があり、平均が同じでも変動が大きいほど最終的な資産額は下がります。算術平均が六パーセントでも、上下に大きく振れる資産では実際に得られる幾何平均はそれより低くなるためです。したがって、七十二の法則で出した年数は、変動のない世界での最短の目安と考えるのが実態に近くなります。もう一つの見落としが、税と手数料です。課税口座では運用益に約二割の税がかかるため、税引後で倍になる年数はさらに延びます。信託報酬が年一パーセントかかる商品では、実質の利回りが一パーセント下がるので、六パーセントの前提が五パーセントになり、倍増年数は十二年から十四・四年に延びます。コストの差が年数に効く度合いは、この法則を使うと直感的に確認できます。インフレの扱いも重要です。名目の利回りで資産が倍になっても、その間に物価が上がっていれば買えるものの量は倍にはなりません。実質の増加を見たいときは、利回りからインフレ率を引いた値を七十二に当てはめます。年六パーセントで運用しインフレが二パーセントなら、実質は四パーセントなので実質的な倍増には十八年かかる計算です。この法則は逆向きにも使えます。インフレ率を当てはめれば、お金の価値が半分になるまでの年数が出ます。年二パーセントのインフレなら三十六年で購買力は半減します。手数料や借入金利に当てはめれば、負担が倍になる速さも見えます。目標設定の道具としては有用ですが、これだけで商品を選ぶ根拠にはならず、変動の幅と自分が耐えられる下落の大きさを併せて考える必要があります。
業界・現場での使い方
目標設定
資産を倍にするのに何年かかるかを利回りごとに把握します。
商品比較
手数料の差が倍増年数にどう効くかを確かめます。
インフレの確認
物価上昇率を当てはめて、購買力が半分になる年数を見ます。
よくある間違い・注意点
- 平均利回りが同じなら結果も同じと考える — 変動が大きいほど実際の増え方は平均より小さくなります。振れ幅も併せて確認してください。
- 税と手数料を引かずに倍増年数を計算する — 課税口座では運用益に約2割、信託報酬でさらに年1%前後が差し引かれます。実質の利回りで当てはめてください。
- 名目の利回りだけで購買力を判断する — インフレ率を引いた実質の利回りで見ないと、増えた金額で買えるものの量は判断できません。
関連する規格・法規
- 金融庁
- 日本FP協会
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
なぜ69ではなく72を使うのですか?
割り切れる数が多く暗算しやすいことと、年6%から10%の範囲で誤差が小さいことが理由とされています。
積立にも72の法則は使えますか?
倍増年数の考え方は一括投資が前提です。積立の場合は年金終価の式で計算する必要があります。
借入にも使えますか?
使えます。年利回りの部分に借入金利を当てはめると、複利で膨らむ場合に負債が倍になる年数の目安が出ます。