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ロール曲げ円筒板金最小RスプリングバックJIS

ロール曲げ最小径 計算ツール|3本ロール加工の最小R、材質別係数とスプリングバック補正

板厚・材質から3本ロール曲げの最小曲げ内径R・最小外径・スプリングバック量を即算出。SS400・SUS304・SUS316L・A5052・A7075・S45C・SPHC等の主要材料に対応。冷間ロール曲げの実用限界を、JIS B 6407「板巻ロール」・JIS Z 2248/2247(曲げ試験)・JIS G 3131(SPHC/SPHC-P)等の公的規格に沿って算出。タンク・配管・化粧金物・建築部材の円筒加工設計、加工発注仕様書作成、原価見積りに使える板金業向け無料ツール。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

ロール曲げ最小径ツール

ロール曲げ最小Rの計算式

最小曲げ内径R(mm) = 板厚t × 材質係数k

最小外径D = 2R + 2t(片側肉厚)

スプリングバック補正R' = R × (1 − s%)

ロール曲げの最小曲げ内径は、材料の延性・降伏応力・加工硬化率で決まる限界値です。板厚を1とすると、SS400は5倍、SUS304は6倍、A5052は2.5倍、A7075は8倍が冷間ロール曲げの実用最小R係数とされます。厚板ほど、また高強度材ほど大きなRが必要になり、それ以下では割れ・スプリングバック過大・断面変形が発生します。

例:3mm板SS400の最小内径R=3×5=15mm(内径Φ30mm相当)、6mm板SUS304の最小内径R=6×6=36mm(内径Φ72mm相当)。実用設計では最小Rから20〜30%の安全率を見込むのが標準で、板厚3mmのSS400なら実用最小R=18〜20mm(Φ36〜Φ40)を推奨します。

スプリングバックは「曲げ加工後に材料が弾性回復して形状が戻る現象」で、材質・板厚・曲げRで2〜15%程度変化します。目標R=100mmを得るには、材質SS400・板厚3mmでスプリングバック5%なら、加工時にR=95mmで曲げてスプリングバック後にR=100mmとなる補正が必要です。本ツールでは材質・板厚・加工方式から最小R・補正R・加工可否を一括算出します。

材質別 最小R早見表(3mm板・冷間加工)

材質係数k最小R最小外径延性用途
A50522.57.5mm21mm一般アルミ加工
SPCC(冷延軟鋼)39mm24mm薄板深絞り
SPHC(熱延軟鋼)412mm30mm板金・鋼構造
SS400515mm36mm一般構造・タンク
SUS304618mm42mm耐食用・化学プラント
SUS316L721mm48mm高耐食・医療
A7075824mm54mm航空機・高強度
S45C1030mm66mm機械部品(要焼準)

ロール曲げ最小径の詳しい解説

ロール曲げは「タンク・配管・化粧金物・建築ドームの円筒加工」で、3本ロール曲げ機に板を通し、上下ロールで押しつけて円弧状に成形する冷間加工技術です。板厚1〜50mm・幅300〜3000mmの範囲で製作でき、大型タンク・圧力容器・煙突・柱・煙管の胴部が代表的な製品です。

材質の延性で最小Rが決まり、SUS・高強度アルミは割れやすく大Rが必要です。設計時にこの制約を反映しないと製造不可となり、設計変更→原価増→納期遅延の連鎖が発生します。板厚が厚くなるほど曲げ抵抗が指数関数的に増大し、板厚10mm超では大型3本ロール機(500t級)、板厚30mm超では熱間加工(600℃以上)への移行が実務標準です。

ロール曲げの成形メカニズムは「材料の弾塑性変形+加工硬化」で、上下ロールの押し込み量と送り速度で曲げRを制御します。冷間加工では材料温度が変わらない代わりに加工硬化(降伏強度が上昇)が発生し、スプリングバック(弾性回復)量も大きくなります。熱間加工(オーステナイト系鋼で900℃以上)では加工硬化が消え、スプリングバックがほぼゼロになるため、精密円筒加工では熱間+焼準の組合せが理想的です。

近年はCNC制御の3本ロール機・4本ロール機が普及し、板を1回通しでプリベンド(端部曲げ)から本曲げまで自動化。従来の熟練工の勘に頼っていた工程が数値制御で再現性向上し、生産効率+品質安定に貢献しています。半自動機で1シフト20〜30缶(タンク胴)、完全自動機で50缶以上が量産標準です。

スプリングバック補正

スプリングバック(Springback)は「曲げ後の弾性回復による形状変化」で、材質・板厚・曲げRで2〜15%変動します。実用設計では補正後Rで加工する必要があります。

材質別スプリングバック率

SS400・SPHC=3〜5%、SUS304=5〜10%、SUS316L=7〜12%、A5052=2〜4%、A7075=8〜15%、S45C(焼準)=5〜8%。高強度材ほど大きく、軟質材ほど小さい。

板厚とRの影響

薄板+大Rでスプリングバックが最大化(t=1mm・R=200mmで10〜15%)、厚板+小Rで最小化(t=10mm・R=50mmで2〜3%)。曲げ弾塑性理論のK'=1-(3σy R)/(Et)で予測可能。

実務での補正手順

①目標R=100mmを設定、②材質から予想スプリングバック5%を求める、③補正曲げR=100/(1-0.05)=105.3mmで加工、④スプリングバック後にR=100mmを取得。試し曲げで実測→補正値微調整が最終ステップ。

過補正のリスク

スプリングバック補正しすぎると小Rで割れ発生・材料損失。特にSUS高強度・アルミ7075では慎重な補正が必要。試作片(200×板厚)で事前検証が業界標準。

ロール曲げ機の種類

3本ロール曲げ機

上1本+下2本の伝統構成。板厚1〜30mm対応。端部プリベンドが不十分になりやすい欠点あり。中小規模工場で主力。

4本ロール曲げ機

上1本+下1本+サイド2本の4ロール構成。端部プリベンド完備、1回通しでフル円筒完成。大型プラント・造船・タンク製作で主流。

ピラミッド式(3本)

上1本を上下移動、下2本固定。単純機構で低コスト、10mm以下の薄板向け。

ダブルピンチ式(3本)

両側下ロール可動、材料保持力強化。中厚板5〜25mmに最適。

コーン曲げ機

ロール軸を傾斜させ、円錐台の胴を成形。煙突・貯槽の傾斜胴に使用。

CNC制御機

プログラム制御でR値自動、スプリングバック自動補正。再現性が高く量産に向く。500t級で厚板50mmまで対応。

冷間と熱間の使い分け

冷間ロール曲げ(常温)

薄板〜中板(1〜25mm)の一般加工。加工硬化・スプリングバックあり、寸法精度は±1〜3mm。工程が単純でコスト最小。SS400・SUS304・A5052で標準採用。

温間加工(200〜400℃)

マルテンサイト系ステン・高炭素鋼向け。ヒータ加熱で加工硬化緩和、スプリングバック半減。SUS410・S45C・S55Cで採用。

熱間ロール曲げ(600〜1200℃)

厚板30mm超・高強度材・小Rが必要な場合。加熱炉+搬送設備が必要で工程複雑化。SUS316L・SS400厚板・S45Cの精密円筒加工で採用。加工後の焼準・焼入で最終硬度調整。

加工方式選定基準

①板厚<10mm→冷間で標準、②板厚10-30mm→設計R>板厚×係数なら冷間、以下なら温間、③板厚30mm超or高強度材→熱間必須、④精密円筒(寸法精度±0.5mm以下)→熱間+焼準。

業界・現場での使い方

タンク製作

円筒胴の曲げ加工。石油貯蔵・水処理・化学プラント用のタンク胴板の成形。大型は複数缶を溶接組立、板厚6〜25mm・φ2〜10mが標準レンジ。

配管製作

大口径管の製作。JIS配管では鋼管φ500mm以上は板巻+溶接で製作。石油・ガス・水道管の実需が中心。

装飾金物・建築

建築用曲げ材、アーチ屋根の鋼板、ホテル・商業施設のインテリア円柱化粧板。SUS304ミラー仕上げが多用される。

圧力容器・ボイラー

圧力容器構造規格(電子告示ボイラー・第一種圧力容器)で規定された寸法精度の胴板成形。板厚20〜80mmの中厚〜厚板加工。

造船・海洋構造物

船体構造の曲げ材、洋上風力・洋上プラットフォームの円筒柱。板厚20〜60mm・大サイズ加工が特徴。

プラント配管

化学プラント・製鉄所の大口径配管、煙突、ダクト。SUS316L・二相ステンなどの耐食耐熱材加工。

橋梁・鋼構造

橋梁の円形柱・アーチリブ、大型建物のスチール柱。SS490・SM490・SN490など高強度鋼の厚板加工。

装飾金物・家具

SUS家具の曲面部品、店舗什器の曲げ加工。薄板1〜3mm+デザイン重視で美観要求高い。

実務ケーススタディ

ケースA:タンク胴(SS400・板厚6mm・φ2000mm)

最小R係数5×板厚6mm=30mm(内径Φ60mm相当)。実際の設計R=1000mm(φ2000mm)は最小Rの33倍で余裕。3本ロール500t級で冷間加工、スプリングバック3%を見込んで補正R=970mmで加工→φ2000mm精度±3mm達成。

ケースB:化粧金物(SUS304・板厚1.5mm・φ200mm)

最小R係数6×板厚1.5mm=9mm。設計R=100mmは十分。冷間加工でスプリングバック7%を考慮し補正R=93mmで加工。SUSミラー仕上げのため加工前に表面保護テープ貼付、加工後にバフ研磨仕上げ。

ケースC:航空機部品(A7075・板厚2mm・φ80mm)

最小R係数8×板厚2mm=16mm。設計R=40mmはギリギリ最小Rの2.5倍で加工可能。冷間だとスプリングバック10%以上のため温間200℃で加工、補正R=36mmで曲げ→スプリングバック後R=40mm達成。加工後T6処理で最終強度発現。

よくある間違い・注意点

  • 小R無理曲げ — 最小R以下で加工すると割れ・断面変形・寸法不良。設計段階で材質・板厚別の最小Rを反映するのが原則。
  • 材質延性の無視 — SUS・高強度アルミは大R必要。SS400と同感覚で設計すると製造不可に。材質係数表の参照必須。
  • スプリングバック無補正 — 補正なしで曲げると目標R+5〜10%大きい結果に。仕上げ寸法不良で手直しが必要。
  • プリベンド不良 — 3本ロールでは板端の未曲げ部分(50〜100mm)が発生。溶接前に別途プレスで端曲げ、または4本ロールで一体加工を選択。
  • 面荒れ・キズ — 硬いロール表面でSUSミラー材に傷。保護テープ貼付、ゴムライナ付ロール、加工後研磨で対応。
  • 圧延方向の考慮不足 — 圧延平行方向は延性小、直角方向は延性大。同じ材料でも方向で最小Rが変わる。設計時に指示。
  • 大板の割れ — 幅3m超の広幅材はロール中央部で曲げが集中し割れ発生。多段プレス曲げ・順次ロールで分散加工が必要。
  • 加工履歴の伝達不足 — 曲げ後に溶接・熱処理・機械加工が続く場合、加工履歴(スプリングバック補正・熱ひずみ)を後工程に伝えないと最終寸法不良に。

関連する規格・法規

  • JIS B 6407 板巻ロール — 3本ロール曲げ機の寸法・精度・安全基準。
  • JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法 — 曲げ試験の標準手順、最小R決定の基礎。
  • JIS Z 2247 深絞り試験方法 — 板材の成形限界試験。
  • JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材(SS400) — 材質規格。
  • JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板(SPHC) — 熱延軟鋼板の材質・寸法。
  • JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板(SUS304) — ステンレス鋼板規格。
  • JIS H 4000 アルミニウム板(A5052/A7075) — アルミ材質規格。
  • 労働安全衛生規則 第174条 — プレス機械・ロール機の安全対策(手挟み防止・ガード設置)。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の加工設計・仕様書作成は最新の規格および有資格の板金技能士・機械設計技術者の判断に従ってください。

参考文献・公的資料

ロール曲げ加工・板金設計の詳細は以下の公的機関・業界団体の一次資料を参照してください。

※本ページの最小R係数は一般的な冷間加工の目安であり、実際の加工可否は材質ロット・熱処理履歴・ロール機性能・オペレータ熟練度で変動します。特に圧力容器・航空機部品・建築構造材など安全性が重要な用途では、必ず有資格の板金技能士・機械設計技術者による事前試作および強度計算を実施してください。また労働安全衛生規則に基づくロール機の安全カバー・非常停止装置の整備、作業者の教育を徹底してください。

よくある質問(FAQ)

3mm SS400の最小Rは?

15mm(内径Φ30mm)。板厚3mm×係数5=15mm。それ以下は割れ・スプリングバック過大リスク。実用設計では20%余裕見て18〜20mm推奨。

SUS304がSS400より大Rなのはなぜ?

SUS304は加工硬化率が高く、曲げ抵抗が上昇するため。SS400の6倍(板厚×6)の最小Rが必要。SUS316L・二相ステンはさらに大R必要。

スプリングバックの補正方法は?

目標Rに(1-スプリングバック率)を割った値で加工。例:目標R=100mm、スプリングバック5%なら加工R=95mmで曲げる。事前試作+実測補正が確実。

アルミ7075の最小Rが大きいのはなぜ?

A7075は高強度アルミで延性が小さいため。SS400の1.6倍の最小Rが必要。航空機部品では温間200℃加工+T6処理で強度発現が標準。

3本ロールと4本ロールどちらが良い?

4本ロールが端部プリベンド完備で1回通し完成、大型プラント向け。3本ロールは低コストで薄板・中小工場向け。用途と予算で選定。

熱間加工の温度は?

SUS304は900〜1100℃、SS400は800〜1000℃、S45Cは750〜950℃が標準。オーステナイト域で加工することでスプリングバックがほぼゼロに。

板厚10mm以上の加工は?

500t級以上の大型3本ロール機が必要。それ以上は熱間加工+焼準の組合せ。厚板加工は特殊技能で、対応可能な工場は限定的です。

圧延方向は関係する?

あります。圧延方向と平行の曲げは延性小(割れやすい)、直角は延性大(曲げやすい)。同じ材料でも方向で20%程度最小Rが変わる。設計時に指示する。

SUSミラー材の傷防止は?

①保護テープ貼付、②ゴムライナ付ロール使用、③加工後バフ研磨で対応。ミラー材は加工賃が2〜3倍高くなるのが実務相場。

大R曲げの精度確保は?

1回通しではなく、多段送りで少しずつ曲げRを付けていく。CNC制御機ならR値プログラムで自動、旧式機は熟練工の勘に依存。

加工費の目安は?

SS400・3mm・φ1000mmで1缶(胴)3000〜8000円、SUS304・6mm・φ2000mmで15000〜30000円が実務相場。板厚+材質+加工難易度+ロット数で変動。

労働安全の注意点は?

労働安全衛生規則第174条に基づきロール間への手挟み防止柵・非常停止装置・安全教育が必須。CE準拠機はライトカーテン・両手操作装置が標準。