生涯収入総額
現在の年収と昇給率、退職金から、働き続けた場合の生涯収入の総額を試算します。
生涯収入総額ツール
計算式と考え方
各年の年収を「現在の年収 ×(1+昇給率)の経過年数乗」で伸ばし、昇給が止まる年齢以降は据え置いて合計します。既定値では25歳・年収400万円・昇給率2.0%で55歳の約725万円までは伸び、59歳までその水準が続くため、定年までの35年で約1億9,850万円になります。60歳から64歳の再雇用はピーク比55%の約399万円で5年分、約1,992万円です。これに退職金2,000万円を加えて生涯収入は約2億3,842万円、平均年収は約546万円となります。
属性別の生涯収入の目安(退職金を含む)
| 大卒男性・大企業 | 2億8,000万円〜3億円台。定年まで同一企業で勤め、管理職に昇進した場合の水準です。 |
|---|---|
| 大卒男性・中小企業 | 2億〜2億4,000万円台。昇給カーブが緩く、退職金水準も大企業の6〜7割にとどまります。 |
| 大卒女性 | 2億2,000万円前後。出産・育児期の就業中断や短時間勤務の期間があると、さらに下がります。 |
| 高卒 | 2億円前後。就労開始が4年早い一方で、昇給の上限が低く設定される傾向があります。 |
生涯収入総額の詳しい解説
生涯収入の差は、初任給の差ではなく昇給カーブの傾きと就労年数で決まります。初任給が月2万円違っても40年で約960万円ですが、昇給率が年1%違えば同じ40年で3,000万円以上の差になります。大企業と中小企業の生涯収入差が1億円近くになるのは、賃金カーブの立ち上がりが違うためで、30代後半以降の伸びが分岐点です。実務で判断が分かれるのは、転職を昇給の手段と見るかどうかです。転職により年収が1割上がれば残り30年でその1割が累積し、退職金の勤続年数要件を失うマイナスを上回ることが多くあります。一方で退職金は勤続20年を超えると控除額が年70万円に増える設計になっており、勤続年数が長いほど税制上も有利です。同一企業で勤め上げた場合の退職金2,000万円は、退職所得控除1,500万円と2分の1課税により実質的な税負担が小さく、同額を給与で受け取る場合と比べて手取りで数百万円の差が出ます。見落とされやすいのは、就労年数そのものの影響です。65歳から70歳まで年収400万円で5年働けば2,000万円の追加収入となり、退職金の増額分を上回ります。厚生年金の加入期間が延びることで将来の年金額も増えるため、実質的な効果はさらに大きくなります。逆に、育児や介護による離職は失った年収だけでなく、復職後の賃金水準の低下と年金額の減少という三重の影響が出ます。業種による違いも大きく、金融・商社・情報通信では30代で年収が急速に伸びる一方、医療・福祉や小売・飲食では40代以降の伸びが緩やかです。同じ業種でも、職種が営業か技術か管理部門かで昇給の上限が変わります。生涯収入を最大化するという発想だけでなく、可処分所得と時間のバランス、副業や資産形成による収入源の分散まで含めて考えると、選択肢の評価は変わってきます。税や社会保険料の実際の負担率は家族構成や控除の適用状況で変わるため、手取りの試算は目安として扱ってください。
業界・現場での使い方
転職の損得判断
転職後の年収と昇給率を入れ替えて、残りの就労期間での累積差額を確認します。
就労延長の効果測定
再雇用の終了年齢を変えて、5年働き続けた場合の追加収入を金額で把握します。
住宅ローンの返済計画
生涯の手取り総額に対する返済総額の割合を見て、借入額の妥当性を判断します。
よくある間違い・注意点
- 額面の生涯収入をそのまま使える金額と考える — 税と社会保険料でおおむね2〜3割が引かれます。額面2億4,000万円でも手取りは1億8,000万円程度です。
- 昇給が定年まで続く前提で計算する — 多くの企業では役職定年や賃金カーブの頭打ちが50代半ばにあり、その後は横ばいか減額になります。
- 退職金を一律の金額で見込む — 自己都合退職では会社都合の6〜8割に減額される規程が一般的です。勤続年数の要件も含めて規程を確認してください。
関連する規格・法規
- 業界標準
- 公的統計
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
生涯収入は退職金を含めるのが一般的ですか。
公的統計では退職金を含む場合と含まない場合の両方が示されます。比較する際はどちらの定義かを確認してください。
昇給率は何%で置くのが妥当ですか。
定期昇給とベースアップを合わせて年2%前後が一つの目安です。近年の賃上げ局面ではこれを上回る年もありますが、長期平均では控えめに置くほうが安全です。
副業の収入はどう扱えばよいですか。
本業の年収に上乗せするのではなく、別枠で年間の見込み額を積み上げて合計するほうが実態に近くなります。社会保険料の扱いも本業と異なります。