ニットゲージ 計算ツール|編機ゲージと糸番手の相性・編地密度・想定製品重量
ニット編機のゲージ(1インチ内針数)と糸番手(Nm/Nec)から、編地密度(コース×ウェール)、必要糸量、想定製品重量まで即算出。3G-28Gのローゲージ〜ハイゲージ別の用途、糸太さとの相性判定、島精機(SHIMA SEIKI)・STOLL などの編機仕様、日本ニット工業組合連合会・JIS L 1018 の試験基準に基づき解説します。ニット企画・工場稼働管理・原価計算・アパレルOEMの現場で活用してください。
ニットゲージ 計算機
ゲージの定義と計算
ゲージ(G, GG)とは
ゲージ = 編機の1インチ(25.4mm)当りの針本数
ニット編機の「ゲージ(gauge, GG)」は、編機の1インチ幅にある編み針の本数を指します。ゲージが高いほど針が細かく、細い糸で緻密な編地が編めます。3G(針間8.5mm)は超極太糸のローゲージ、28G(針間0.9mm)は極細糸のハイゲージです。日本国内では「G」「ゲージ」、欧州では「GG(gauge)」表記が主流。
編地密度(コース×ウェール)
編地密度 = コース(縦方向のループ数/inch) × ウェール(横方向のループ数/inch)
編地の緻密さは「コース(縦方向のループ数)×ウェール(横方向のループ数)」で表現します。ゲージ数≒ウェール数の目安で、コースはゲージの60-100%程度(組織・糸太さ・度目調整で変化)。密度が高いほど型崩れしにくく耐久性が高まりますが、風合いは硬くなります。
組織別の目安
天竺(平編)は最もオーソドックスで基本の組織。ゴム編み(1×1リブ)は伸縮性が高く襟・袖口に。パール編みは前後で表情違い。ジャカードは柄物、ケーブル編みは立体感重視。組織ごとに編地密度・目付・生地感が大きく変化します。
糸番手の種類と換算
糸番手には複数の表記があり、素材・国により使い分けが必要です。
| 単位 | 定義 | 用途 |
|---|---|---|
| Nm(メートル番手) | 1g当りの長さ(m) | 羊毛・綿混・化繊 汎用 |
| Nec(綿番手) | 840yd/1lbを1番手 | 綿糸・国際綿業 |
| Nel(麻番手) | 300yd/1lbを1番手 | 麻(リネン)糸 |
| Nw(毛番手) | 560yd/1lbを1番手 | 羊毛(英国式) |
| tex(テックス) | 1000m当りのg | SI単位・国際規格 |
| D(デニール) | 9000m当りのg | フィラメント糸(化繊) |
換算式
Nm ≒ Nec × 1.693 / Nm × tex = 1,000 / D = 9,000 ÷ Nm
Nm 30番の羊毛糸は tex=33、Nec換算で17.7番手相当。デニール(化繊)は逆比例で、150デニールは Nm 60相当。撚り本数(合糸)によっても実効太さが変わり、Nm40の2本撚りは Nm20相当の合成番手になります。
ゲージ別の用途
| ゲージ | 針間(mm) | 主な用途 | 想定糸太さ |
|---|---|---|---|
| 3G | 8.5 | 超極太セーター、ホームスパン | Nm 1.5-2.5 |
| 5G | 5.1 | 厚手セーター、ハンドクラフト風 | Nm 2.5-4 |
| 7G | 3.6 | ミッド〜ヘビーセーター(冬定番) | Nm 4-8 |
| 10G | 2.5 | スタンダードセーター・カーディガン | Nm 8-14 |
| 12G | 2.1 | スプリングニット・ライトセーター | Nm 12-20 |
| 14G | 1.8 | ハイゲージセーター・薄手カーデ | Nm 16-26 |
| 16G | 1.6 | Tシャツ・カットソー・薄手 | Nm 20-32 |
| 18G | 1.4 | ドレスシャツ風・繊細な表情 | Nm 26-40 |
| 21G | 1.2 | 肌着・靴下・カット・アンド・ソーン | Nm 40-60 |
| 28G | 0.9 | ストッキング・超極細ニット | Nm 60-100 |
ゲージ=1インチ内針本数のため、10G以下がローゲージ、12-16Gがミドルゲージ、18G以上がハイゲージという分類が一般的です。同じ製品でもゲージ違いで風合い・重量・単価が大きく変わります。
ゲージと糸番手の相性表
ゲージと糸太さのバランスが崩れると、詰まって編み立て不能、または隙間が空き商品にならないことがあります。目安表を掲載します。
| ゲージ | 推奨 Nm 単糸 | 推奨 Nm×撚り | 備考 |
|---|---|---|---|
| 3G | Nm 1.5-3 | Nm 6×2, Nm 8×3 | ホームスパン風 |
| 5G | Nm 3-5 | Nm 10×2, Nm 12×3 | 厚手セーター |
| 7G | Nm 5-8 | Nm 14×2, Nm 20×3 | 冬定番セーター |
| 10G | Nm 8-14 | Nm 24×2, Nm 30×3 | 三季ニット |
| 12G | Nm 12-20 | Nm 30×2, Nm 40×3 | 春秋薄手 |
| 14G | Nm 16-26 | Nm 40×2, Nm 52×3 | ハイゲージ |
| 16G | Nm 20-32 | Nm 48×2, Nm 60×3 | Tシャツ生地 |
| 18G | Nm 26-40 | Nm 60×2, Nm 80×3 | ドレスシャツ |
合糸番手 = 単糸番手 ÷ 撚り本数 の関係で、たとえば Nm 60 の2本撚り = Nm 30相当。編機ゲージに対して合糸番手が±20%以内が「相性良好」の目安です。
編地密度と目付(GSM)
GSM(g/㎡)の算出
GSM(g/㎡) ≒ ゲージ² × 1.2 ÷ 合糸番手Nm × 100(概算)
GSM(grams per square meter, g/㎡)は生地の1㎡当り重量を表す指標。ゲージ数の二乗と反比例の合糸番手で概算できます。7G・Nm 8×2(合成4)なら GSM = 49×1.2÷4×100 ≒ 1,470? となり過大ですが、天竺編みで実勢GSM 400-600g/㎡ が典型的。組織・度目調整で変動するため、あくまで参考値です。
GSM別の風合い・用途
| GSM (g/㎡) | 風合い | 用途例 |
|---|---|---|
| 100-150 | 極薄・シアー | ストッキング・下着 |
| 150-200 | 薄手Tシャツ | 夏カットソー |
| 200-300 | スタンダードT・スウェット薄 | 通年Tシャツ |
| 300-450 | スウェット・ライトセーター | 三季カジュアル |
| 450-600 | ミドルセーター | 冬定番 |
| 600-900 | ヘビーセーター・ケーブル | 厳冬・アウター代替 |
| 900-1,200 | 超厚手・アウター | ローゲージセーター |
主要編機とゲージ範囲
島精機製作所(SHIMA SEIKI)
和歌山発の世界シェアNo.1ホールガーメント編機メーカー。WholeGarment®は無縫製で立体的に編み上げる革新技術。7G-18G が主力、上位機種は21G対応。SDS-ONEデザインシステムで企画→生産一貫。
STOLL(ストール)
ドイツ・シュツットガルト発。工業横編機の老舗。CMS(コンピュータ横編機)シリーズが主力で、3G-18Gの幅広いゲージ対応。柄組みの柔軟性で欧州ブランドに強い。KARL MAYERグループ。
丸編機(Circular Knitting)
Tシャツ・カットソー生地専用の丸筒編機。14G-32G のハイゲージ大量生産向き。Mayer & Cie(独)、福原精機(日)、Terrot(独)等が主要メーカー。1台で1日500-1000kg生産可能。
横編機と丸編機の違い
横編機は成形編みで型紙不要、ロス少・多品種少量向き。丸編機は生地(反物)を大量生産、Tシャツ・スウェット等のカットソー向き。用途・生産数量で使い分け。
業界・現場での使い方
ニット企画・デザイナー
製品コンセプトのゲージ・糸選定。5G厚手セーターか12Gハイゲージかで、風合い・価格帯・季節が大きく変わる。原価試算にも直結する重要判断。
ニット工場・生産管理
編機選定・生産計画・稼働率管理に使用。同一編機でゲージ交換は困難のため、企画段階でゲージが決まらないと工場割振りができない。
糸商社・糸メーカー
顧客の編機ゲージに対応した推奨糸を提案。羊毛・カシミヤ・綿・アクリル等の素材別に番手ラインナップを整備。
アパレルOEM・ODM
受注ロット・単価試算で必要糸量・工場稼働時間を算出。中国・ベトナム・バングラデシュ等の海外工場との仕様書作成でゲージ・番手・組織を明確化する必要あり。
手編み・ハンドメイド作家
手編み針の号数選定(棒針: 号数〜13号、かぎ針: 0号〜10号)と糸太さの相性判断に応用可能。作品の完成重量・使用糸量の予測にも。
品質管理・検査部門
JIS L 1018に基づく編地試験(コース・ウェール密度・伸縮率・重量)の目安値算出。目付・度目のバラつきを検証するベースラインに。
よくある間違い・注意点
- 糸太さとゲージの相性を無視 — 太糸をハイゲージ機で編むと針が詰まり編み立て不能、細糸をローゲージで編むとスカスカで商品にならない。目安として合糸番手が編機ゲージの±20%以内が推奨。
- 編機ゲージと編地ゲージを混同 — 「編機ゲージ」は針間、「編地ゲージ(コース×ウェール)」は完成品密度。度目調整で編地ゲージは同じ編機でも±20%変動します。
- 糸番手の単位混同(Nm/Nec/tex/デニール) — 綿糸はNec、羊毛はNm、化繊はデニール、SIはtexが標準。単位換算漏れで太さを間違えると量産で致命傷。
- 合糸番手の計算ミス — Nm40の2本撚り=Nm20相当。3本撚りならNm13.3相当。合糸で編機ゲージに合わせるのが一般的手法。
- 組織による密度差の無視 — 天竺、ゴム編み、パール、ジャカード等で編地密度・GSM が大きく変化。同じゲージ・番手でもリブは天竺より30-50%重くなる場合あり。
- 収縮率を織り込まない — ニット製品は水洗・仕上げで縦横5-15%収縮。企画段階で仕上がりサイズを織り込んだ設計が必要。JIS L 1096 の試験法参照。
- 編機の同時使用可能糸本数を超える — 島精機・STOLL の主流機種は2-8本の同時給糸可能。企画で8本以上の合糸を指定すると生産不能なケースあり。工場との事前確認が必須。
関連する規格・法令
- JIS L 1018 ― ニット試験方法。編地の密度・重量・伸縮率・寸法変化・引張強さ等の測定手順。ニット品質管理の基本規格。
- JIS L 1096 ― 織物・編物の寸法変化(収縮率)試験。洗濯・乾燥後の寸法変化を評価。
- JIS L 0217 ― 繊維製品の取扱い表示記号。洗濯・アイロン・乾燥・漂白等の取扱い表示。
- JIS L 0208 ― 繊維用語(糸)。糸番手・撚り・種類の用語定義。
- ISO 2076 ― 化学繊維(一般名称)。ポリエステル・ナイロン等の国際名称。
- 家庭用品品質表示法 ― 繊維製品の混用率表示・取扱い表示の義務規定。消費者庁所管。
- OEKO-TEX Standard 100 ― 繊維製品の有害物質規制(国際認証)。輸出時の必須基準。
- GOTS(Global Organic Textile Standard) ― オーガニック繊維の国際認証。羊毛・綿の環境認証で活用。
参考文献・公的資料
ニット業界の技術・統計・規格情報のため、以下の公的機関・団体資料を参照してください。
- 日本ニット工業組合連合会 ― ニット業界団体。統計・技術情報・業界動向。
- 経済産業省 繊維産業 ― 繊維産業政策・統計・貿易情報。
- 日本産業標準調査会(JISC) ― JIS L 1018・L 1096等の公式索引と閲覧。
- 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC) ― アパレル業界の技術・貿易情報。
- 島精機製作所(SHIMA SEIKI) ― ホールガーメント編機メーカー。技術情報・機種仕様。
- STOLL(KARL MAYER Group) ― 独工業横編機メーカー。CMSシリーズ。
- 中小企業庁 サポインポータル ― 繊維中小企業向け技術開発支援情報。
- 日本紡績協会 ― 紡績業界。糸番手・素材別の統計情報。
- OEKO-TEX 国際認証 ― Standard 100 有害物質規制の公式情報。
- GOTS(Global Organic Textile Standard) ― オーガニック繊維国際認証。
よくある質問(FAQ)
12ゲージのニットはどんな用途?
12Gはミドルゲージと呼ばれ、春秋のスタンダードセーター・カーディガンに広く使われます。針間2.1mmで Nm 12-20の糸を1本または合糸で編む標準的な設定。ハイゲージ(14G以上)ほど繊細ではなく、ローゲージ(7G以下)ほど厚手ではない、汎用性の高いゲージです。
ローゲージとハイゲージ、どっちが高級?
用途・素材次第で一概には言えません。ローゲージ(3-7G)は手編み感・立体感・素材感を強調するデザイナーズ・クラフト志向、ハイゲージ(14-18G)は繊細さ・上品さ・ドレスライクを狙う都会志向。カシミヤ・シルクは細番手・ハイゲージ、ウール・アルパカ・モヘアは中太・ミドル/ローゲージが定番です。
糸番手のNmとNecの違いは?
Nm(メートル番手)は1g当りの長さ(m)、Nec(綿番手)は840yd/1lbを1番手とした綿糸専用の単位。Nm ≒ Nec × 1.693で換算可能。日本は羊毛・混紡でNm、綿製品でNecが慣習。海外仕様書はNec・texが多く、単位換算は必須です。
合糸番手とは?
複数本の糸を合わせた実効的な太さ。例えば Nm 40の2本撚り = 合糸番手 Nm 20 相当。3本撚りなら Nm 13.3相当。編機ゲージに単糸で合わせられない場合、細糸を合糸して太さを調整するのがニット業界の常套手段です。
編機ゲージと編地ゲージは同じ?
異なる概念です。編機ゲージは編機の1インチ内針本数(ハード仕様)、編地ゲージは完成品編地のコース×ウェール密度(ソフト仕様)。同じ編機でも度目調整・組織で編地ゲージは±20%変動。企画書には両方明記が必要です。
GSM(目付)はどう計算する?
GSM(g/㎡)は生地1㎡の重量。編地では概算式「ゲージ²×係数÷合糸番手」で目安算出可能ですが、組織・度目で大きく変動するためサンプル実測が必須。天竺編みで7G・Nm10×2ならGSM 500-600g/㎡が典型的な範囲です。
島精機のホールガーメントとは?
島精機製作所が開発した「無縫製」で立体成形するニット編機技術。前身頃・後身頃・袖を一体で編み上げるため、縫合部分がなくシームレス、着心地と生産効率が向上。7G-18G が主力。世界的ラグジュアリーブランドも採用。
Tシャツと丸編機の関係は?
Tシャツ・スウェット・カットソー生地は丸編機(Circular Knitting)で大量生産。14G-32G のハイゲージが主流で、1台で1日500-1kg生産可能。反物として編み上げた後、裁断・縫製する「カットソー」方式。横編機のセーターとは製造方法が根本的に異なります。
ニット製品の重量はどう予測する?
GSM(g/㎡)×製品面積(㎡)+副資材(ボタン・裏地・タグ等)で概算。男性Mサイズセーター(面積0.6㎡)がGSM 500g/㎡なら本体重量約300g。原価計算・国際輸送コスト算出に必須の指標です。
ニットの収縮率はどれくらい?
素材と組織により縦横5-15%程度収縮するのが一般的。羊毛は10-15%と大きく、綿は3-8%程度。JIS L 1096の試験法で洗濯・乾燥後の寸法変化を測定。企画段階で仕上がりサイズを織り込んだ設計が必要です。
手編みでもゲージ計算は使える?
使えます。手編み棒針(号数〜13号)・かぎ針(0号〜10号)の号数と糸太さの相性は工業ゲージと同じ考え方。棒針8-10号は工業7-10G相当のイメージ。作品の使用糸量予測・完成重量算出にも応用可能です。
ゲージ違いを混在させたニットは可能?
技術的には可能ですが、編機の同時使用は不可(1台1ゲージ)。異ゲージ部位を別途編んで縫合するか、島精機WholeGarment等の高度な技術でグラデーション表現。一般的にはコスト・生産効率の観点から避けられ、ゲージ切替による表情変化は組織(リブ・パール・ジャカード)で対応するのが実務的です。