キルヒホフ電流則
並列回路の各枝に流れる電流と合計電流を求め、電流則が成り立つかを確認します。
キルヒホフ電流則ツール
計算式と考え方
節点に流れ込む電流の合計と、流れ出る電流の合計は等しくなります。並列回路では各枝の電流を「電圧 ÷ 抵抗」で求め、それらを合計したものが幹線を流れる電流になります。12Vで100Ω・220Ω・470Ωを並列にすると、各枝は0.120A・0.055A・0.026Aとなり、合計は約0.200Aです。この合計から逆算した合成抵抗は約59.98Ωで、抵抗値の逆数の和から求めた値と一致します。測定した合計電流0.198Aは計算値より約1.04%低く、許容誤差3%の範囲内であるため、電流則が成り立っていると判断できます。
電流則を使う場面
| 並列回路の枝分かれ | 幹線の電流が各枝にどう配分されるかを求めます |
|---|---|
| 分岐ブレーカーの容量確認 | 各回路の電流を合計して主幹の容量と比べます |
| 回路解析の連立方程式 | 未知の電流を節点ごとの式で表し、まとめて解きます |
| 測定値の検算 | 実測した電流の合計が計算値と合うかで配線の誤りを見つけます |
キルヒホフ電流則の詳しい解説
電流則は、電気回路のどの接続点をとっても、そこに流れ込む電流の合計と流れ出る電流の合計が等しくなるという法則です。背景にあるのは電荷が保存されるという性質で、接続点には電荷が溜まらないため、入った分だけ必ず出ていきます。この単純な事実が、複雑な回路を解くための出発点になります。並列回路で各枝の電流が抵抗に反比例するのは、枝ごとに加わる電圧が同じだからです。100Ωの枝には220Ωの枝の2.2倍の電流が流れます。合成抵抗が最も小さい抵抗値よりさらに小さくなるのも同じ理由で、経路が増えるほど電流の通り道が広がるためです。実務で判断が分かれるのは、どこを一つの接続点と見なすかです。理論上は導線に抵抗がないものとして、つながっている範囲をまとめて一つの点として扱います。しかし実際の配線には導体抵抗があり、端子の締め付けが緩ければ接触抵抗も加わります。長い配線や細い電線を使う回路では、この抵抗が枝の抵抗と直列に入るため、計算値どおりの電流にならないことがあります。測定値が数%ずれた場合、まず配線抵抗と接触抵抗を疑うのが現実的な手順です。測定器の側にも注意すべき点があります。電流計は回路に直列に入れるため、電流計自身の内部抵抗が回路に加わり、測定した電流は本来の値よりわずかに小さく出ます。低い電圧で高い抵抗を扱う回路では影響は小さいものの、抵抗値が小さい回路では無視できません。クランプ式の電流計は回路を切らずに測れる代わりに、小さい電流での精度が落ちる傾向があります。電源側の条件も見落とされがちです。電池や小型の電源には内部抵抗があり、電流が増えると端子電圧が下がります。無負荷で12Vだった電源が、負荷をつなぐと11.8Vになるといったことが起きます。計算では電源電圧を固定値として扱うため、実測とのずれの原因になります。分野による違いもあります。電気工事では分岐回路の電流を合計して主幹の遮断器容量と比べる用途が中心で、余裕をみた設計が求められます。電子回路の設計では、回路解析ソフトが節点ごとに電流則の式を立てて連立方程式を解いており、この法則がそのまま計算の骨格になっています。実際の判定や施工の可否は、設備の条件に応じて有資格者の確認が必要です。
業界・現場での使い方
回路の検算
各枝の電流を合計し、実測した幹線の電流と照合します。
容量の確認
分岐回路の電流を合計して主幹の容量に収まるか確かめます。
学習・演習
並列回路の電流配分と合成抵抗の関係を数値で確認します。
よくある間違い・注意点
- 配線抵抗と接触抵抗を無視する — 長い配線や緩んだ端子では実測が計算値を下回ります。数%のずれはまずここを疑ってください。
- 電源電圧を固定と考える — 内部抵抗があるため負荷が増えると端子電圧は下がります。実測は負荷をつないだ状態で行ってください。
- 電流計の内部抵抗を考えない — 直列に挿入する分だけ回路の抵抗が増えます。低抵抗の回路では測定値が小さめに出ます。
関連する規格・法規
- 電気設備技術基準
- JIS電気規格
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
電流則はどんな回路でも成り立ちますか?
接続点に電荷が溜まらない限り成り立ちます。高周波で浮遊容量が効く場合は補正が必要になります。
合成抵抗はなぜ最小の抵抗より小さくなりますか?
経路が増えるほど電流の通り道が広がるためです。抵抗値の逆数の和の逆数として求められます。
測定値がずれる主な原因は何ですか?
配線抵抗、端子の接触抵抗、電源の内部抵抗、測定器の精度と内部抵抗が主な要因です。