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輸液流量(mL/h ⇔ mL/min) 計算ツール|mL/h・mL/min・μg/kg/min相互換算、輸液ポンプ設定・カテコラミン投与量算出とICU実務・医療安全まで

輸液流量をmL/h・mL/min・μg/kg/minで相互換算し、輸液ポンプ設定・カテコラミン投与量を即算出。ドーパミン・ドブタミン・ノルアドレナリン・アドレナリンの用量目安、体重換算(μg/kg/min→mL/h)、シリンジポンプと輸液ポンプの使い分け、20滴/mL・60滴/mL計算セットの滴数変換、ICU・手術室・救急・化学療法・在宅医療での使い分け、6R確認・KYT・ダブルチェックの医療安全プロトコルまで、日本集中治療医学会・日本救急医学会・厚生労働省の指針に基づき完全解説します。看護師・薬剤師・臨床工学技士・研修医の実務教育に。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

輸液流量(mL/h ⇔ mL/min)ツール

計算式(mL/h・mL/min・μg/kg/min)

基本換算

mL/h = mL/min × 60

mL/min = mL/h ÷ 60

60 mL/hはちょうど1 mL/min。汎用輸液はmL/h設定が標準で、輸液ポンプの表示単位もmL/hです。

体重換算(μg/kg/min → mL/h)

mL/h = 用量(μg/kg/min) × 体重(kg) × 60 ÷ 濃度(μg/mL)

= 用量(μg/kg/min) × 体重(kg) × 60 ÷ (濃度(mg/mL) × 1000)

例: ドーパミン5μg/kg/min・体重60kg・濃度1mg/mL(1000μg/mL)の場合、5×60×60÷1000=18 mL/h。カテコラミン等の循環作動薬は必ずこの体重換算が必要です。

滴数換算

滴/分 = mL/h × (滴数/mL) ÷ 60

成人用20滴/mLのセットで60 mL/h→20滴/分、小児用60滴/mLの微量セットで60 mL/h→60滴/分。輸液ポンプ非使用時に自然滴下で管理する場合の目安になります。

カテコラミン別の用量・濃度目安

ドーパミン(イノバン等)

用量2〜20μg/kg/min。低用量(1〜3)で腎血流改善、中用量(3〜10)でβ1心収縮増強、高用量(10〜)でα昇圧。汎用濃度は原液(1mg/mL)または倍希釈。

ドブタミン(ドブトレックス等)

用量2〜20μg/kg/min。β1選択性で心収縮力増強・後負荷軽減。心不全・心原性ショックで使用。原液(1mg/mL)濃度が標準。

ノルアドレナリン(ノルアド)

用量0.02〜0.5μg/kg/min。強力なα昇圧で敗血症性ショック第一選択。5A(5mg)を50mL(0.1mg/mL=100μg/mL)希釈が定番。

アドレナリン(ボスミン等)

用量0.01〜0.5μg/kg/min。α・β双方に作用、心停止後・アナフィラキシーで使用。0.1mg/mL希釈が標準。

ニコランジル・ミルリノン等

血管拡張薬・PDE III阻害薬。冠拡張・心筋保護目的。用量・濃度は薬剤により異なり、添付文書と施設プロトコルの確認が必須。

プロポフォール・デクスメデトミジン

鎮静薬。プロポフォールはmg/kg/h、デクスメデトミジンはμg/kg/hで管理。用量単位が異なるため、換算式を混同しないよう注意。

主要カテコラミン・体重別mL/h早見表

ドーパミン・ドブタミン濃度1mg/mL(1A=100mg/5mL原液)の場合の設定mL/h(体重×用量×0.06で暗算)。

体重3μg/kg/min5μg/kg/min10μg/kg/min20μg/kg/min
40 kg7.2122448
50 kg9153060
60 kg10.8183672
70 kg12.6214284
80 kg14.4244896

ノルアドレナリン濃度0.1mg/mL(100μg/mL)の場合、mL/h=体重×用量×0.6で計算(60kg・0.1μg/kg/minなら3.6 mL/h)。

滴数換算(20滴/mL・60滴/mL)

設定mL/h20滴/mL(成人用)60滴/mL(小児用)
20約7滴/分20滴/分
6020滴/分60滴/分
100約33滴/分100滴/分
500(急速)約167滴/分

輸液セットは成人用=20滴/mL、小児用=60滴/mLが国内標準。急速輸液・維持輸液で使い分け、自然滴下管理では滴数調整で流量制御します。

輸液ポンプとシリンジポンプの使い分け

輸液ポンプ

大容量(500 mL・1L)ボトルからの輸液管理。設定範囲は1〜999 mL/h程度で、維持輸液・抗菌薬・化学療法で使用。閉塞・空気混入・電池切れのアラームが標準装備。

シリンジポンプ

50 mL・20 mL・10 mLシリンジで微量精密投与。カテコラミン・鎮静薬・鎮痛薬(フェンタニル等)・インスリン持続投与で必須。設定範囲は0.1〜100 mL/h程度、0.1 mL/h単位の精密制御が可能。

選定の原則

循環作動薬・鎮静薬・麻薬性鎮痛薬はシリンジポンプ必須。維持輸液・電解質補正・抗菌薬点滴は輸液ポンプ。長時間持続投与+精密制御が必要な場合は原則シリンジポンプを選択します。

医療安全・ダブルチェックの実務

6R確認(Right×6)

薬剤投与の基本原則: Right Patient(正しい患者)・Right Drug(正しい薬)・Right Dose(正しい用量)・Right Route(正しい経路)・Right Time(正しい時間)・Right Purpose(正しい目的)。各投与前に必ず声出し確認+リストバンド照合。

ダブルチェック

ハイリスク薬(カテコラミン・インスリン・カリウム・麻薬)は原則2名の看護師で独立チェック。用量計算・希釈調整・ポンプ設定の各段階でクロスチェックし、単純ミスによる致死的事故を防ぎます。

KYT(危険予知トレーニング)

「三方活栓の閉鎖忘れ」「ライン交換時の急速投与」「薬剤取り違え」等の危険パターンを日常的にシミュレーション。日本医療機能評価機構の事例集を教材に施設内で継続訓練します。

ライン管理の実務

カテコラミン・鎮静薬は単独ラインが原則。他薬剤との混注でpH変化・沈殿・活性低下のリスクあり。CV(中心静脈カテーテル)の複数ルーメンで分岐管理が推奨されます。

診療科・現場での使い方

ICU・救命救急

カテコラミン精密投与・敗血症性ショック管理・重症呼吸不全のプロポフォール鎮静。1本のCVから4〜6ルーメン分岐で複数持続投与+輸液管理。5〜15分ごとのバイタル観察が原則。

手術室・麻酔管理

麻酔導入・維持・循環管理。フェンタニル・レミフェンタニル・プロポフォール・ノルアドレナリンをシリンジポンプで複数同時使用。麻酔科医が数分単位で用量調整。

化学療法・がん治療

抗がん剤の一定速度投与。血管外漏出防止のためのCVポート活用、5-FUの持続注入(24時間ポンプ)、パクリタキセルの3時間投与等の薬剤特性に応じた管理。

循環器内科・CCU

心不全のドブタミン・PDE III阻害薬持続投与、STEMI後のIABP・PCPS管理。BNP・血行動態指標を見ながらの微調整。

NICU・小児科

新生児・低出生体重児(1〜3kg)の微量投与。0.1 mL/h以下の超微量シリンジポンプ、60滴/mLの精密輸液セットが必須。用量計算ミスが致死的なため三重チェックが実務標準。

在宅医療・緩和ケア

フェンタニル持続皮下注射・ミダゾラム鎮静・末期心不全のドブタミン。ポータブルポンプ(CADD等)で自宅療養を支援。訪問看護師の設定確認が核心。

よくある間違い・注意点

  • mLとmgの単位取り違え — カテコラミン希釈で「1A=100mg」と「1A=5mL」を混同すると100倍投与ミス。医薬品副作用報告でも致死的事例あり。用量計算は必ず筆算+ダブルチェック。
  • μgとmgの単位ミス — 1mg=1000μg。ノルアドレナリン「1mg/mL」表示を「1μg/mL」と誤読すると1000倍希釈ミス。添付文書の単位表記を必ず確認。
  • 体重の反映忘れ — 救急搬送時・小児で体重変更、術後の体液変動で実質体重変化。定期的な体重再測定と用量再計算が必要。
  • 急激な流量変更 — カテコラミン増量は5〜10%ずつ・数分間隔が原則。急激なUP/DOWNは血圧急変・不整脈誘発リスク。
  • ライン閉塞の見落とし — シリンジ内の空気混入・三方活栓の閉鎖忘れで薬剤が届かず、用量ゼロ状態が続く。急に開通すると蓄積分が一気に投与される二次事故もあり。
  • 複数薬剤の同一ライン混注 — pH違い(酸性のカテコラミン+アルカリ性の重炭酸等)で沈殿・失活。単独ラインが原則、混注可否は薬剤師・添付文書確認。
  • 電源・電池切れ — 移送時にAC電源から外れ電池切れで投与停止。特にPCPS・IABP・カテコラミン投与患者では致命的。移送前の電池確認+予備電池携行が必須。
  • アラーム無視・OFF — 頻繁なアラームで「オオカミ少年」化しOFFにする慣習は事故の温床。アラーム原因の根本対策(ライン改善・設定見直し)が本筋。

関連する規格・指針

  • 医薬品医療機器法(薬機法) ― 医薬品・医療機器の安全使用の法的根拠。添付文書の記載内容の法定基準。
  • 日本集中治療医学会 集中治療診療指針 ― カテコラミン投与・敗血症性ショック管理・鎮静鎮痛の学術基準。
  • 日本救急医学会 救急診療指針 ― 心肺蘇生・アドレナリン投与・急性期輸液管理の実務標準。
  • PMDA 医薬品副作用報告 ― 投与ミス・過量投与の実例と再発防止策の公的データベース。
  • 日本医療機能評価機構 医療事故情報収集事業 ― 医療現場でのヒヤリハット・事故の実例と分析の公的資料。
  • 各薬剤の添付文書 ― 用量・希釈・配合変化・禁忌の一次情報源。PMDA医療用医薬品情報検索で最新版確認。
  • ISO 7886(注射器の規格)・JIS T 3211(輸液セット) ― 輸液セット・注射器の国際・国内規格。
  • 院内医療安全マニュアル ― 各施設独自のカテコラミン希釈プロトコル・ダブルチェック手順。

参考文献・公的資料

輸液流量計算・カテコラミン投与・医療安全は下記の学会・公的機関の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は概算・目安値です。実際の輸液投与・カテコラミン設定・薬剤希釈にあたっては、必ず医師の指示・薬剤師の監査・医薬品添付文書・施設プロトコルに従い、複数職種でのダブルチェックを実施してください。単位取り違え・体重換算ミス・希釈計算誤りは致死的事故につながります。特にカテコラミン・インスリン・カリウム・麻薬性鎮痛薬等のハイリスク薬では、日本医療機能評価機構の事故事例を教材とした継続的な安全教育が必須です。当社は本ページの情報に基づく診療・投与結果について責任を負いません。急変時は直ちに主治医・医療安全管理者に相談してください。

よくある質問(FAQ)

60 mL/hはmL/minで?

1 mL/min。mL/h ÷ 60 = mL/minの単純換算。輸液ポンプ表示はmL/hが標準ですが、記録・オーダー確認時にmL/min換算が必要な場面もあります。

ドーパミン5μg/kg/min・60kgの設定は?

濃度1mg/mLなら約18 mL/h。計算式: 5 × 60 × 60 ÷ 1000 = 18。中用量域でβ1心収縮増強が期待できるレンジです。実際の希釈条件は施設プロトコルを確認してください。

ノルアドレナリンの標準希釈は?

5A(5mg)を生食50mLに希釈し0.1 mg/mL(100μg/mL)とするのが定番。0.1μg/kg/min・60kgなら3.6 mL/hの設定になります。敗血症性ショックの第一選択薬。

輸液ポンプとシリンジポンプの違いは?

輸液ポンプは500mL・1Lバッグから大容量投与(維持輸液・抗菌薬)、シリンジポンプは50mL以下シリンジから微量精密投与(カテコラミン・鎮静薬)。循環作動薬・鎮静薬・麻薬はシリンジポンプ必須です。

輸液ポンプアラームの意味は?

「閉塞」「空気混入」「電池残量」「投与終了」等。閉塞は三方活栓・輸液ライン折れ曲がりが多く、空気混入は再開通で急速投与のリスク。アラーム原因は必ず除去してから再開が原則。

小児での特殊性は?

体重3〜30kgの微量投与のため60滴/mL精密セット+シリンジポンプが主流。0.1 mL/h単位の精密設定、単位取り違えが致命的なため三重チェック体制が実務標準。用量計算は薬剤師併走が推奨されます。

カテコラミン増量の適切ペースは?

5〜10%ずつ・数分間隔が原則。急激な増減は血圧急変・不整脈誘発のリスク。血圧トレンドを見ながら小刻みに調整、目標MAP(平均血圧)到達で維持量にロックします。

ライン交換時の注意点は?

カテコラミン投与中のラインが一時停止すると急激な血圧低下、再開後の急速投与で急激な血圧上昇の二次事故リスク。予備ラインで並行投与→切替が実務セオリー。切替タイミングでバイタル密観察。

配合変化(混注)の判断は?

pH・浸透圧・電解質組成の違いで沈殿・失活・気泡発生。カテコラミンは単独ラインが原則、他薬剤との併用は薬剤師・PMDA配合変化情報・添付文書で確認。CV複数ルーメン分岐が安全策。

敗血症性ショックのファースト輸液は?

晶質液(乳酸リンゲル・生食)を30 mL/kg(60kg患者で1800 mL)を最初の3時間で急速投与、その後もCVP・エコー所見・尿量で追加。SSCG(Surviving Sepsis Campaign)ガイドライン準拠が国際標準。

抗がん剤の投与速度管理は?

薬剤別に厳密な投与時間指定あり(パクリタキセル3時間・カルボプラチン1時間等)。血管外漏出時の対応マニュアル+CVポートによる中枢投与、5-FUの24時間持続注入は在宅ポンプ対応も。

自然滴下管理の限界は?

患者体位・輸液バッグ高さ・気温・粘度で滴数変動、10〜20%誤差は日常的。ハイリスク薬・カテコラミンは輸液ポンプ必須、維持輸液でも精密管理が必要な場合はポンプ推奨。滴下管理は日常維持輸液に限定が安全。

研修医・新人看護師の教育ポイントは?

用量計算の筆算習慣・単位確認・6R確認・ダブルチェック・アラーム対応の実技訓練が核心。ヒヤリハット事例の共有と実地シミュレーションが最大の学習効果。日本医療機能評価機構の事例集が教材として有用。