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ドープ 半導体 抵抗率 シリコン イオン注入 SEMI

ドープ濃度・抵抗率

ドープ濃度・型(n/p)からシリコン抵抗率を即算出。移動度の濃度依存を織り込んだIrvin曲線相当の近似式で、基板・ウェル・S/D拡散・電極接続の設計判断を1画面で支援します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部(半導体プロセス・デバイス物理)

ドープ濃度・抵抗率ツール

抵抗率の基本式と移動度の濃度依存

ρ = 1 / (n × μ × q)

ここでρは抵抗率(Ω·cm)、nはキャリア濃度(cm⁻³)、μはキャリア移動度(cm²/V·s)、qは素電荷1.6×10⁻¹⁹Cです。室温300Kでは、真性シリコンの電子移動度が約1350、正孔移動度が約480 cm²/V·s ですが、ドープ濃度が10¹⁷cm⁻³を超えるとイオン化不純物散乱が支配的になり移動度は急激に低下します。Irvin曲線として知られる実測値では、n型リンドープで1×10¹⁸cm⁻³のとき移動度は約100、抵抗率は約0.05Ω·cm。基板グレード(1×10¹⁵)で15Ω·cm、電極接続グレード(1×10²⁰)では0.0008Ω·cmとなります。トランジスタ設計ではしきい値電圧・接合容量・寄生抵抗のすべてがドープ濃度に依存するため、本ツールで即時プロファイリングが可能です。

用途別 ドープ濃度目安と抵抗率

用途濃度(cm⁻³)抵抗率(n型)プロセス
高抵抗基板10¹⁴-10¹⁵10-150CZ/FZウェハ
標準基板10¹⁵-10¹⁶0.5-15CZウェハ
ウェル10¹⁶-10¹⁷0.05-0.5イオン注入+拡散
チャネル10¹⁷-10¹⁸0.02-0.05Vt調整注入
S/D拡散10¹⁸-10¹⁹0.005-0.02高ドーズ注入+RTA
電極接続10²⁰-10²¹0.0004-0.005ポリシリコン/コンタクト

ドープ濃度・抵抗率の詳しい解説

ドーピングは「半導体機能を作り出す基本工程」であり、絶縁体(真性Si)を精密制御された導電体へ変換します。現代のCMOSプロセスでは、300mmウェハ1枚に対して数千段のリソグラフィ・エッチング・イオン注入・熱処理を経て、素子ごとにチャネル・ソース/ドレイン・LDD・ハロー・ウェル・電極接続と6種以上の異なる濃度領域を作り分けます。イオン注入はドーズ量(cm⁻²)と加速エネルギー(keV)で濃度プロファイルを制御し、その後の高速熱処理(RTA)で電気活性化とダメージ回復を行います。抵抗率測定は4端子法(Van der Pauw法)が標準で、SEMI規格M1・ASTM F84に定められた手順で±1%精度の測定が可能です。近年のFinFET・GAA-FET世代では3次元構造による寄生抵抗低減が重要課題となり、S/D領域のインシチュドープエピ成長で10²¹cm⁻³超の活性キャリア濃度を実現する技術が実用化されています。

業界・現場での使い方

半導体プロセスエンジニア

イオン注入条件(ドーズ・エネルギー)の設計、拡散/RTA条件の最適化、SIMS/SRPプロファイル測定結果との突合。歩留まり劣化時の原因切り分け。

デバイス設計者

Vt・ドレイン電流・接合容量・BV(ブレークダウン電圧)のトレードオフ設計。TCADシミュレーション入力パラメータの妥当性チェック。

材料開発・ウェハメーカー

Si・SiC・GaN基板のドープ濃度仕様策定、高抵抗ウェハ(IGBT・パワーデバイス用)、SOIウェハの設計。

品質保証・IQC

入荷ウェハの抵抗率検査、ロット間ばらつき管理、SEMI規格準拠の測定条件確認。

よくある間違い・注意点

  • 移動度を定数扱いする — 移動度は濃度で数倍〜10倍以上変動。10¹⁶と10¹⁹では移動度が10倍違い、単純計算では抵抗率評価が完全に狂う。
  • 低温補正なし — 77K以下では不純物の凍結(フリーズアウト)でキャリアが激減。極低温動作デバイスでは補正必須。
  • n型/p型で同じ式使用 — 電子と正孔で移動度が約3倍違うため、同濃度でもp型の抵抗率はn型の約3倍。
  • 活性化率100%と仮定 — イオン注入直後は非活性、RTAでも活性化率85-99%。ドーズ量と実効濃度は別物。
  • シート抵抗と体積抵抗率の混同 — 拡散層評価にはシート抵抗Rs(Ω/□)を用い、体積抵抗率ρ(Ω·cm)とは Rs=ρ/t(tは深さ)の関係。

関連する規格・法規

  • SEMI M1 — 磨きシリコンウェハ仕様
  • SEMI MF84 — 4端子プローブによる抵抗率測定標準法
  • ASTM F84 — シリコンの抵抗率測定
  • ASTM F723 — n型シリコンの抵抗率とドナー濃度の変換
  • ASTM F1392 — Van der Pauw法による抵抗率測定
  • JEITA EDR-4703 — 半導体ウェハ規格

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際のプロセス設計・仕様策定は装置ごとのプロファイル実測(SIMS/SRP)、SEMI/ASTM最新規格、供給者仕様書に従ってください。

よくある質問(FAQ)

n型1E18cm⁻³の抵抗率はいくつ?

約0.05Ω·cmです。この濃度では移動度がイオン化不純物散乱により約100cm²/V·sまで低下しており、真性移動度1350の約1/13となっています。S/D拡散層の目安濃度で、シート抵抗にすると深さ0.1μmで約5Ω/□です。

なぜp型はn型より抵抗率が高い?

電子(n型キャリア)の移動度が正孔(p型キャリア)の約3倍だからです。室温Siで電子1350、正孔480cm²/V·s。同じ濃度でも移動度差により抵抗率は約3倍差になります。パワーデバイスでnチャネルが好まれる理由の一つです。

イオン注入ドーズと最終ドープ濃度の関係は?

ドーズ量Q(cm⁻²)と深さ範囲Δx(cm)から平均濃度N=Q/Δx。ただし実際は投影飛程Rp周辺のガウス分布となり、活性化率(85-99%)を掛けた電気活性キャリア濃度が抵抗率を決めます。

4端子法とVan der Pauw法の違いは?

4端子法は直線配列プローブで薄膜シート抵抗を測る手法、Van der Pauw法は任意形状の試料で電気抵抗率を測る手法です。ウェハ品質検査には主にSEMI MF84の4プローブ法が用いられます。

SiやSiC、GaN基板でも同じ計算式?

基本式ρ=1/(nμq)は同じですが、移動度と真性キャリア濃度が材料により全く異なります。SiC(4H)の電子移動度は約900、GaNは約1200、SiGeは約1500cm²/V·s(低ドープ時)。材料別のパラメータが必要です。

抵抗率とシート抵抗の変換式は?

シート抵抗Rs(Ω/□) = ρ(Ω·cm) / 厚さt(cm) の関係です。例えば抵抗率0.05Ω·cmの拡散層で厚さ0.1μm(=1×10⁻⁵cm)なら、Rs=0.05/1×10⁻⁵=5000Ω/□。ただし実際の拡散層は濃度プロファイルがあるため積分計算が必要です。

SIMSとSRPの違いは?

SIMS(二次イオン質量分析)は全ドープ原子濃度を、SRP(拡散抵抗プロファイル)は電気活性キャリア濃度を測定します。両者の差から活性化率が求まり、RTA条件の最適化に用いられます。

本ページのまとめ

  • 抵抗率式 ρ = 1/(n × μ × q)。移動度μは濃度で数倍〜10倍変動、Irvin曲線を近似。
  • 基板10¹⁵-10¹⁶、ウェル10¹⁶-10¹⁷、チャネル10¹⁷-10¹⁸、S/D10¹⁸-10¹⁹、電極接続10²⁰-10²¹が用途別目安。
  • p型の抵抗率は同濃度でn型の約3倍。電子と正孔の移動度差(1350 vs 480)による。
  • 低温77K以下ではフリーズアウトでキャリア激減、極低温補正が必須。
  • SEMI MF84・ASTM F84準拠の4端子測定が業界標準、±1%精度が実現可能。
  • FinFET/GAA世代ではインシチュドープエピで10²¹cm⁻³超の活性濃度を達成。