ダイオード順電圧
電源電圧とダイオードの特性から、必要な抵抗値と消費電力を計算します。
ダイオード順電圧ツール
計算式と考え方
直列抵抗の値は「(電源電圧 − 順電圧降下の合計)÷ 電流」で求めます。5V電源で赤色LED(Vf 2.0V)1個に20mA流すなら、(5 − 2.0) ÷ 0.02 = 150Ωです。抵抗で消費される電力は「電圧降下 × 電流」で3V×0.02A=60mWとなり、定格1/8W(125mW)の抵抗で足ります。順電圧は温度によって変化し、一般に温度が上がると低下します。この計算では1℃あたり約2mVの低下を織り込んでいます。実際の設計では、素子ごとの個体差と温度変化を考慮した余裕が必要です。
素子ごとの順電圧の目安
| シリコンダイオード | 0.6〜0.7V。整流回路の標準的な素子 |
|---|---|
| ショットキーバリア | 0.2〜0.4V。損失が小さく高速。逆方向漏れ電流は大きい |
| LED 赤 | 1.8〜2.2V。色により大きく異なる |
| LED 青・白 | 3.0〜3.4V。5V電源でも直列2個は動作しない |
ダイオード順電圧の詳しい解説
ダイオードの順電圧降下は、素子の材料とバンドギャップによって決まる特性です。シリコンでは0.7V前後、ショットキーバリアダイオードでは金属と半導体の接合を用いるため0.3V程度と低くなります。LEDでは発光波長と対応しており、波長の短い青や白ほど順電圧が高くなります。この性質から、5V電源では青色LEDを2個直列にすると6.4Vが必要となり点灯しません。回路設計で重要なのが、順電圧が固定値ではないという点です。データシートに記載される値は特定の電流と温度における代表値であり、電流が増えれば順電圧も上がり、温度が上がれば下がります。温度係数は一般に負で、シリコンダイオードで1℃あたり約2mVの低下とされます。この特性は温度センサーとして利用されることもある一方、LEDの駆動回路では温度上昇に伴い電流が増える方向に働くため、熱暴走に注意が必要です。定電流駆動の必要性もここに由来します。抵抗による電流制限は簡易で安価ですが、電源電圧の変動や順電圧のばらつきがそのまま電流の変動になります。複数のLEDを並列に接続すると、順電圧の個体差により電流が偏り、一部の素子だけに電流が集中します。明るさを揃えたい用途や、電流を正確に制御したい場合は、定電流回路や専用のドライバICを使うのが確実です。効率という観点では、電源電圧と直列数の組み合わせが損失を左右します。抵抗で消費される電力はそのまま熱として失われるため、電源電圧に対して順電圧の合計が小さいほど、抵抗が負担する割合が増えて効率が下がります。直列数を増やして順電圧の合計を電源電圧に近づけるか、昇圧型の定電流ドライバを使うことで、この損失を減らせます。抵抗値はE系列の中から選ぶことになるため、計算値に最も近い値ではなく、電流が定格を超えない側の値を選ぶのが安全側の設計です。ショットキーバリアダイオードは順電圧が低く損失が小さいため、電源回路の整流や逆接続保護に広く使われます。回復時間も短くスイッチング用途に適しています。一方で逆方向の漏れ電流が大きく、逆耐圧も低い傾向があるため、高電圧の回路には適しません。用途に応じて素子の特性を選び分けることが、効率と信頼性の両立につながります。データシートの値が代表値か最大値かの確認も、設計上の余裕を決める要素になります。
業界・現場での使い方
回路設計
LEDの電流制限抵抗を計算し、部品を選定します。
部品選定
抵抗の定格電力を確認し、適切な部品を選びます。
電源設計
直列数と電源電圧の組み合わせが成立するかを確認します。
よくある間違い・注意点
- 順電圧を固定値として扱う — 電流と温度で変化します。個体差もあるため設計には余裕が必要です。
- LEDを並列に接続する — 順電圧の個体差で電流が偏ります。個別に抵抗を入れるか定電流駆動にしてください。
- 抵抗の定格電力を確認しない — 消費電力を計算し、定格の半分以下で使うのが安全です。
関連する規格・法規
- 電気設備技術基準
- JIS電気規格
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
なぜLEDの色で電圧が違うのですか?
発光波長がバンドギャップに対応するためです。波長の短い青や白ほど順電圧が高くなります。
抵抗の定格はどう選びますか?
計算した消費電力の2倍以上の定格を選ぶのが一般的です。余裕が発熱と寿命に効きます。
ショットキーはどんな場合に使いますか?
順電圧が低く損失が小さいため電源の整流や逆接続保護に適します。高電圧回路には向きません。