陶磁器焼成収縮 計算ツール|土器・せっき器・磁器・ボーンチャイナ対応、金型加算・乾燥収縮を含む寸法管理
原料(土器・せっき器・磁器)・焼成温度から焼成収縮率と金型加算を即座に算出。土器800-1000℃で約8%、せっき器1200-1300℃で約12%、磁器1300-1400℃で約14%が業界標準。焼成前の乾燥収縮4-6%と合算すると全体で12〜20%の寸法縮小になるため、金型・型・素地の設計では収縮率+0.5%の余裕を持たせるのが実務の定石です。本ツールは陶磁器メーカー(有田焼・美濃焼・信楽焼・瀬戸焼)・産業用セラミック工場・作陶家・セラミック製造技術者向けに、JIS R 2205「陶磁器質衛生陶器の物理的試験方法」・日本セラミックス協会規格を踏まえて、原料と温度による収縮率変動を数値化する無料計算ツールです。
陶磁器焼成収縮ツール
焼成収縮の計算式
焼成収縮率(%) = (成形寸法 − 焼成後寸法) ÷ 成形寸法 × 100
全体収縮率(%) = 乾燥収縮率 + 焼成収縮率 (通常12〜20%)
陶磁器の焼成収縮率は、原料の粒子構成・粘土鉱物・焼成温度・保持時間・雰囲気(酸化/還元)によって決まります。土器(粗陶器)は7〜9%、せっき器は10〜14%、磁器は13〜16%、ボーンチャイナは14〜17%が業界標準の目安です。焼成温度が上昇するほど収縮も増加し、目標より50℃高い焼成では約1〜2%収縮が増える傾向があります。
実務での金型・型設計では「収縮率 + 0.5%」の余裕を持たせて設計するのが定石です。例えばせっき器で12%収縮を想定するなら、金型は12.5%大きく作ります。理由は原料ロット差・粘土産地違い・焼成炉内温度分布による0.3〜1.0%程度の変動を許容するためで、複数点のテストピース(試焼き)で実測してから量産設計に落とし込みます。
陶磁器と収縮管理の歴史
陶磁器の焼成収縮は紀元前1万年前の縄文土器時代から人類が経験的に理解してきた現象です。日本では縄文土器→弥生土器→須恵器(せっき器の一種)→中世の陶器・磁器と発展し、6世紀の朝鮮半島経由での須恵器技術伝来、17世紀初頭の有田焼(伊万里焼)による日本最初の磁器焼成成功が、陶磁器技術史の大転換点です。
近代科学的な収縮率管理は19世紀後半のドイツ・イギリスの窯業近代化とともに確立しました。ゼーゲル(Hermann Seger、1839-1893)が制定した「ゼーゲル錘(Seger cone、焼成温度指示器)」により、経験と勘に頼っていた焼成温度が数値化され、収縮率の系統的管理が始まりました。日本では明治期に佐賀・愛知・岐阜等の窯業産地に西洋科学が導入され、大正・昭和期の京都陶磁器試験場・国立窯業試験所(現・産業技術総合研究所中部センター)により産地粘土の科学的分析と収縮率標準化が進みました。
戦後は電気窯・ガス窯の普及で焼成温度制御が飛躍的に向上し、収縮率のばらつきが従来の±2%から±0.5%以下に改善。1980年代からのCAD/CAMによる金型設計、2000年代の3Dプリンター試作型導入により、量産型陶磁器の寸法精度は工業製品レベルに到達しました。作陶の伝統技術と工業製造の両面で、焼成収縮の理解は今も陶磁器づくりの基礎の基礎です。
原料別 収縮率早見表
| 原料 | 焼成温度 | 焼成収縮 | 乾燥収縮 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 土器(素焼) | 800-900℃ | 7-9% | 4-5% | 11-14% |
| 陶器 | 1100-1250℃ | 10-12% | 5-6% | 15-18% |
| せっき器 | 1200-1300℃ | 10-14% | 5-6% | 15-20% |
| 磁器(和磁器) | 1300-1400℃ | 13-16% | 5-7% | 18-23% |
| ボーンチャイナ | 1200-1300℃ | 14-17% | 6-7% | 20-24% |
| 産業陶器(碍子) | 1300-1400℃ | 14-16% | 5-6% | 19-22% |
| アルミナセラミック | 1500-1700℃ | 15-20% | 2-4% | 17-24% |
| 耐火煉瓦 | 1300-1500℃ | 1-3% | 3-5% | 4-8% |
産地別 粘土特性
日本の主要な陶磁器産地では、地域固有の粘土鉱物により焼成収縮率が異なります。
有田焼・伊万里焼(佐賀)
泉山陶石を原料とする磁器の代表産地。焼成収縮率14-15%、酸化炎1300℃焼成。国内最初(1616年)の磁器発祥地、高い白色度と透光性が特徴。
美濃焼(岐阜)
桃山時代の志野・織部が有名。粗製粘土の伝統に加え、近代量産磁器でも国内No.1シェア。せっき器〜磁器で収縮率12-15%、還元炎多用。
信楽焼(滋賀)
信楽粘土は鉄分・長石を多く含む荒物質。焼成収縮率8-12%と幅広く、焼締め・自然釉が特徴。狸像で有名な民芸系陶器の産地。
備前焼(岡山)
田土(ひよせ)使用の無釉焼締め陶。焼成収縮率10-14%、酸化炎1250℃長時間焼成。桃山時代からの伝統技法で1000年以上の歴史。
瀬戸焼(愛知)
瀬戸粘土は白土・木節粘土・蛙目粘土を配合。せっき器〜磁器の産地、焼成収縮率12-15%。日本の陶器の代名詞「せともの」の語源。
九谷焼(石川)
花坂陶石を原料とする磁器。上絵付が特徴的な色絵磁器の産地。焼成収縮率13-15%、素地焼成後の上絵付で二次焼成(800℃)を実施。
陶磁器焼成収縮の詳しい解説
焼成収縮は「陶磁器製造の最も基本的な物性管理項目」です。粘土は成形時に約20-30%の水分を含み、乾燥工程で水分蒸発により4-6%の乾燥収縮、続く焼成工程で粘土鉱物の結晶構造変化・粒子焼結・ガラス相形成により8-16%の焼成収縮が発生し、両者を合算して全体収縮率が決まります。
成形時100mmの製品は、乾燥後95mm、焼成後83mm(全体17%収縮)といったサイズ変化を経て完成します。金型・型は「完成品寸法÷(1−全体収縮率)」で逆算して大きく設計する必要があり、収縮率の予測精度が量産歩留まりを大きく左右します。特に食器・タイル・碍子等の精密寸法製品では、収縮率±0.3%以内の管理が求められる高難度分野です。
焼成収縮は粘土鉱物の種類・粒度・焼成温度・雰囲気(酸化/還元)・保持時間の5要素で決まります。カオリン系粘土は収縮率大、モンモリロナイト系は極大収縮、木節粘土は中程度、蛙目粘土は小、といった鉱物特性があり、実際の陶土は複数鉱物の配合で調整されます。同じ原料でも焼成温度が50℃上下すれば収縮率が1-2%変動するため、電気炉の温度制御精度と炉内温度分布の均一性が製品品質を決定的に左右します。
作陶家の世界では「粘土との対話」「焼き加減の見極め」という表現で経験的に管理される収縮率も、産業製造の世界では「熱重量分析(TGA)」「示差走査熱量測定(DSC)」「膨張計(ディラトメーター)」による科学的計測で数値管理されます。ボーンチャイナ・アルミナセラミック等の高性能陶磁器では、微細粒子・添加物・雰囲気制御による収縮率のナノメートル制御まで進化しています。
焼成収縮のメカニズム
焼成収縮は温度領域ごとに異なる物理化学変化により発生します。それぞれの温度帯での主要反応を理解することで、焼成カーブ設計・雰囲気制御の実務判断が可能になります。
100-200℃:物理吸着水の蒸発
粘土粒子表面に物理吸着している水分が蒸発。この段階での収縮は約1-2%。急激な昇温は水蒸気による割れの原因になるため、100℃付近では毎時50-100℃の緩やかな昇温が定石です。
400-600℃:結晶水の脱離
カオリナイト・モンモリロナイト等の粘土鉱物から結晶水(OH基)が脱離。メタカオリンへの相変化が起こり、密度上昇に伴う収縮が2-3%発生します。
573℃:α→β石英転移
石英粒子のα→β転移で急激な膨張(0.5%)が発生。この温度帯の急昇温・急冷却は「石英割れ」と呼ばれる縦割れの原因となるため、573℃前後は緩やかな温度変化が必須です。
800-1000℃:ムライト結晶化
メタカオリンからムライト(3Al₂O₃·2SiO₂)結晶が生成。陶器の骨格を形成する主要反応で、この段階で強度が急上昇します。収縮率は3-5%が加算されます。
1200-1400℃:ガラス相形成と粒子焼結
長石・フラックス成分がガラス化して粒子間空隙を埋め、粒子融着(焼結)により最終的な密度・強度が確定。この温度帯で全体収縮の約半分(5-8%)が発生し、磁器の透光性が獲得されます。
金型設計の実務
陶磁器の量産では石膏型・樹脂型・金属型に泥漿(スリップ)を流し込む鋳込成形、または粉体を圧縮成形するプレス成形が主流です。いずれも金型・型の寸法設計には全体収縮率を織り込む必要があります。
石膏型の設計
スリップキャスト(泥漿鋳込)で使う石膏型は、完成品寸法÷(1−全体収縮率−0.5%余裕)で計算。100mmの完成品でせっき器17%収縮なら、型寸法は100÷0.815=約122.7mm。石膏型は50-100回の繰り返し使用で摩耗するため、初期寸法+1mm程度大きめに作るのが実務標準。
金属プレス型の設計
タイル・碍子等のドライプレス成形では、プレス圧により素地密度が高まるため乾燥収縮が小さくなり、全体収縮率10-15%程度。金型は焼成後寸法÷0.88(88%残存)=約113.6%サイズで設計。ステンレス製で数万〜数十万回の使用が可能。
樹脂試作型と3Dプリンター
近年は多品種少量生産向けにABS・PLA樹脂の3Dプリンター試作型が普及。石膏型と同等の寸法精度が得られ、CADデータからそのまま型出力できるためリードタイム短縮に寄与。試作段階での収縮率テストピース作成にも活用されています。
業界・現場での使い方
陶磁器メーカー
有田・美濃・瀬戸等の量産磁器メーカーで金型・型設計、新製品開発時の収縮率シミュレーション。原料配合変更時のロット差確認、輸出向け食器のグローバル規格対応。
産業セラミック工場
碍子(電力用)・アルミナ基板・触媒担体等の工業用陶器製造。寸法精度±0.3%以内が要求されるため、原料ロット試焼→収縮率実測→補正の管理サイクルが日常業務。
作陶家・陶芸家
個人窯での作品計画、器の寸法設計、地元粘土の特性把握。作陶教室での学生指導、伝統工芸の後継者育成でも「粘土種別ごとの収縮率」は必修知識。
タイルメーカー
建築用タイルの寸法精度管理(300mm角±1mm等)、床タイル・壁タイル・外装タイルの規格対応。輸出向けEU/CE規格・北米ANSI規格への適合確認。
衛生陶器メーカー
便器・洗面器・浴槽等の大型衛生陶器製造。JIS A 5207・JIS R 2205の物理試験対応、大型製品の乾燥収縮ムラ管理、釉薬との熱膨張率マッチング。
耐火材料メーカー
高炉・電気炉用耐火煉瓦、るつぼ、キャスタブル製造。使用温度範囲での寸法変化率が製品寿命に直結するため、収縮率+熱膨張率の複合管理が必須。
ファインセラミックスメーカー
電子部品用アルミナ基板、圧電セラミック、高強度セラミック、ジルコニア人工歯冠等。ミクロン単位の寸法精度が要求され、収縮率の予測・補正精度が製品競争力を決定。
陶磁器教育機関
京都市立芸術大学・多治見市陶磁器意匠研究所等の陶磁器専門教育機関。学生への実技教育、卒業制作の技術指導、産地への技術移転で使用。
実務ケーススタディ
ケースA:有田焼の輸出向け食器の寸法設計
直径250mm・皿の輸出向けEU規格対応。磁器焼成収縮15%を想定し、石膏型は250÷0.85=約294mm設計。5枚のテストピースを試焼したところ実測収縮14.8-15.3%だったため、量産では型を+0.5%増補正し、EU規格±2mm以内の寸法公差を確保。歩留まり97%を達成。
ケースB:碍子(電力用)の寸法精度管理
66kV送電線用碍子(高さ180mm・直径210mm)の量産。産業陶器で焼成収縮15%、乾燥収縮6%、全体21%を織り込み、金型を焼成後寸法÷0.79で設計。焼成炉温度分布±10℃管理、雰囲気ゼロ酸化制御で寸法精度±0.5%以内、JIS C 3801「がいし試験方法」規格の全項目クリアを達成。
ケースC:作陶家の茶碗製作(信楽粘土)
個人陶芸家が信楽粘土で茶碗(口径120mm)を製作。信楽土の焼成収縮10%、乾燥収縮5%、全体15%を経験値として管理。ロクロ成形で口径142mm(120÷0.85)に成形し、素焼き800℃→本焼き1250℃還元炎で目標寸法達成。作陶家の経験的な「土との対話」が科学的な収縮率理解で裏打ちされる好例。
釉薬・上絵付との関係
陶磁器の完成品品質は素地(粘土)だけでなく、釉薬(うわぐすり)・上絵付との相互作用で決まります。焼成収縮と密接に関わる要素を整理します。
釉薬の熱膨張率マッチング
素地と釉薬の熱膨張率が一致しないと、冷却時の応力差で問題が発生。素地>釉薬なら「貫入(かんにゅう、釉薬のヒビ)」、素地<釉薬なら「釉飛び(釉薬の剥離)」に。素地熱膨張率5-8×10⁻⁶/℃、釉薬6-8×10⁻⁶/℃と近似的にマッチさせるのが職人技。
釉薬の熔融温度と素地焼成温度
釉薬は素地より50-100℃低い温度で溶融するのが理想。磁器素地1300℃焼成なら釉薬は1250℃前後で溶融、SK9(1280℃)前後のフラックス(灰・長石)配合が定石。素地焼成温度と釉薬熔融温度のずれが大きいと「釉ちぢみ」「釉ムラ」の欠陥に。
上絵付(色絵)の二次焼成
九谷焼・伊万里焼・京焼等の色絵磁器は、本焼成後の素地に上絵具を描いて800℃で二次焼成。この温度では素地の追加収縮はほぼ無視できますが、絵具の熱膨張率と釉薬の適合性がキメ細かい発色のカギ。
本焼成と素焼成の使い分け
作陶の伝統技法では素焼き(800℃)→施釉→本焼き(1250℃前後)の2回焼成が主流。素焼き段階で1回目の焼成収縮5-8%、本焼き段階で追加5-8%が発生し、全体収縮率10-16%となります。
よくある間違い・注意点
- 乾燥収縮の省略 — 焼成収縮のみ考慮して金型設計すると、乾燥後4-6%の追加収縮で寸法不足に。金型は「乾燥収縮+焼成収縮」の合計で設計するのが基本。
- 原料ロット差の軽視 — 同じ粘土でも産地・採掘時期・精製ロットで収縮率が±1%変動。ロット切替時は必ずテストピース試焼で実測確認する。
- 焼成温度分布のムラ — 大型炉では上下温度差が20-50℃発生。棚位置による収縮率差、寸法バラツキ、部分的な釉むらの原因に。試焼で炉内位置別の温度検証が必須。
- 還元炎と酸化炎の混同 — 磁器の還元焼成では鉄分の還元反応で微妙に収縮率が変わる。酸化・還元の切替タイミングも収縮率に影響。焼成カーブと雰囲気制御を厳密に管理する。
- ゼーゲル錘の読み方誤解 — SK9(1280℃)等のゼーゲル錘は「焼成温度指標」ではなく「熱量指標」。同じSK9でも昇温速度で完全溶融時刻が変わるため、実温度計測と併用する。
- 石英転移点(573℃)の急冷 — この温度帯を急冷すると内部応力による縦割れ「石英割れ」が発生。冷却カーブは特に注意深く設計する。
- 釉薬との熱膨張率不整合 — 素地と釉薬の熱膨張率が異なると、冷却時の応力差で「貫入(釉薬のヒビ)」や「釉飛び」が発生。素地と釉の熱膨張率マッチングも合わせて管理する。
- 試焼き省略の危険 — 「経験があるから大丈夫」と試焼きを省略すると、原料ロット変更・炉修理後・季節変化(湿度)で予測外の収縮率変動に遭遇する。量産開始前・原料切替時の試焼きは絶対に省略しない。
- 大型製品の乾燥ムラ — 300mm以上の大型品では、中心部と表面での乾燥速度差により部分収縮差が発生し、変形・割れの原因に。ゆっくりとした強制乾燥(温湿度管理下)が必要。
先端セラミック分野の焼成収縮
陶磁器は伝統工芸品だけでなく、産業用高性能セラミックスとしても重要素材です。ファインセラミックス分野の焼成収縮を整理します。
アルミナ(Al₂O₃)基板・碍子
電子部品用アルミナ基板は焼成収縮15-20%と大きい。1500-1700℃焼成、粒子焼結による高密度化で機械強度・電気絶縁性を確保。半導体パッケージのセラミック基板、電力機器の碍子で不可欠。
ジルコニア(ZrO₂)人工歯冠
歯科用ジルコニアは焼成収縮20-25%と最大クラス。CAD/CAMで削り出したブロックを1400-1500℃で焼結、収縮を計算に入れた過大寸法設計が必須。天然歯類似の白色透光性が特長。
圧電セラミック(PZT)
超音波トランスデューサー、アクチュエータ等の圧電素子。焼成収縮15-18%、キュリー点以上の温度で分極処理して圧電性を発現。ソナー・センサー・インクジェットヘッドで使用。
コージェライトハニカム(自動車触媒担体)
自動車排ガス浄化触媒の担体として使用。低熱膨張率(1×10⁻⁶/℃)が特徴で、焼成収縮10-14%、1400℃前後焼成。エンジン排ガスの熱衝撃に耐える耐熱材料。
窒化ケイ素(Si₃N₄)ベアリング
高性能ベアリング用窒化ケイ素は焼成収縮15-20%、1700-1800℃の高温焼成。金属ベアリングの3-5倍の寿命を実現、EV/HV駆動系や工作機械主軸で採用。
SOFC(固体酸化物燃料電池)電解質
次世代発電技術の中核材料。イットリア安定化ジルコニア(YSZ)電解質シートは焼成収縮15-20%、1400-1500℃焼結。1000℃高温動作で発電効率60%以上の可能性を持つ。
関連する規格・法規
- JIS R 2205「陶磁器質衛生陶器の物理的試験方法」 — 陶磁器の吸水率・強度・寸法精度等の標準試験方法。
- JIS R 2202「陶磁器質原料の化学分析方法」 — 陶磁器原料の化学組成分析基準。
- JIS A 5207「衛生陶器」 — 便器・洗面器・浴槽等の衛生陶器製品規格。
- JIS A 5208「衛生陶器付属品」 — 衛生陶器の付属部品規格。
- JIS A 5209「陶磁器質タイル」 — 建築用タイルの寸法・強度・吸水率規格。
- JIS C 3801「がいし試験方法」 — 送配電用碍子の電気的・機械的試験方法。
- JIS R 1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」 — 産業用高性能セラミックスの機械強度試験。
- JIS R 1604「ファインセラミックスの高温曲げ強さ試験方法」 — 高温用セラミックスの機械強度試験。
- ISO 6486「Ceramic ware in contact with food」 — 食器用陶磁器の鉛・カドミウム溶出試験の国際規格。
- 食品衛生法(有害物質溶出試験) — 食器・食品用陶磁器の重金属溶出基準。
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
参考文献・公的資料
陶磁器焼成収縮の詳細な技術基準・材料試験については、以下の公的機関・業界団体の一次資料を参照してください。
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS規格の公式索引。JIS R 2205・JIS A 5207・JIS A 5209等の陶磁器規格。
- 日本セラミックス協会 — 陶磁器・ファインセラミックスの学会・業界団体。技術文献・年会論文集の公開。
- 産業技術総合研究所 中部センター — 旧・国立窯業試験所。日本の窯業科学研究拠点、粘土鉱物・焼成技術の研究論文公開。
- 全国陶磁器工業組合連合会 — 陶磁器業界の全国団体。業界統計・産地情報・技術ガイドライン。
- 日本陶芸家協会 — 作陶家の全国組織。作陶技術・公募展・伝統技法の情報。
- 佐賀県有田町 有田焼 — 有田焼の産地情報・磁器発祥地の歴史。
- 美濃焼伝統産業会館 — 美濃焼の産地情報・歴史文化資料。
- 岐阜県セラミックス研究所 — 陶磁器の原料試験・製品試験・技術開発の公設研究機関。
- 佐賀県窯業技術センター — 有田焼・唐津焼の技術指導・研究機関。
- 瀬戸市新世紀工芸館 — 瀬戸焼の技術資料・作陶体験施設。
- 多治見市美濃焼ミュージアム — 美濃焼技術と地域粘土の資料。
- 京都府陶磁器工業協同組合 — 京都陶磁器(清水焼)産業の情報。
よくある質問(FAQ)
磁器1300℃の収縮率は?
約14%。ただし乾燥収縮6%と合算した全体収縮は約20%になります。金型・型は約20.5%大きく設計する必要があります。
収縮率が原料ロット差でどれくらい変動する?
同じ粘土でも産地・採掘時期・精製工程で±1%程度変動します。ロット切替時は必ずテストピース(50〜100mm角)を試焼して実測確認するのが実務標準です。
金型の余裕はどれくらい持たせる?
収縮率の実測値に+0.5%程度の余裕を上乗せするのが定石。原料ロット差・炉内温度分布・焼成雰囲気の変動を吸収する保険的な余裕です。
還元焼成と酸化焼成で収縮率は変わる?
変わります。還元焼成では鉄分の還元反応(Fe₂O₃→FeO)で密度がやや上昇し、酸化焼成より0.3〜0.5%収縮率が大きくなる傾向。磁器の白色度向上のため還元炎多用の産地が多い。
ボーンチャイナが収縮大きいのはなぜ?
骨灰(牛骨リン酸カルシウム)を30-50%配合するため、焼結時のガラス相形成が活発で密度上昇が大きいのが理由。収縮率14-17%と磁器より大きめですが、透光性・純白度で優れた磁器タイプ。
焼成カーブはどう設計する?
①室温〜200℃:毎時50-100℃(水分蒸発)、②〜600℃:毎時100-150℃(結晶水脱離)、③〜1000℃:毎時150-200℃(ムライト生成)、④〜最高温度:毎時100-150℃(焼結)、⑤最高温度保持30-60分、⑥冷却:毎時150℃以下(573℃前後は特にゆっくり)というカーブが標準。
石英割れとは?
573℃のα→β石英転移で0.5%の急激な膨張・収縮が起こり、内部応力による縦割れが発生する現象。この温度帯を急昇温・急冷却しないよう焼成カーブを設計します。
ゼーゲル錘とは?
19世紀ドイツで開発された焼成温度指示器。SK番号(SK6=1200℃、SK9=1280℃等)の錘が炉内で倒れる時点を焼成完了目安に使用。厳密には温度ではなく熱量指標のため、実温度計との併用が必須。
電気窯とガス窯で収縮率は違う?
基本的に同じ温度・雰囲気なら収縮率も同じですが、電気窯は雰囲気制御が電気加熱のみで還元しにくく、ガス窯は炎で自然に還元雰囲気が作れる違いがあります。産業用は電気窯+ガス添加が主流。
信楽土と有田磁土の違いは?
信楽土は鉄分・長石を多く含む粗い粘土で焼成収縮8-12%、焼締めや自然釉に向く。有田磁土(泉山陶石)は高純度カオリン+石英+長石で焼成収縮14-15%、白色透光性の磁器に向く。用途で使い分ける。
3Dプリンター型の精度はどう?
ABS・PLA樹脂の3Dプリンター型は寸法精度±0.2mm程度で、石膏型と同等の精度を達成可能。試作段階では非常に有効で、CADデータからの直接出力によりリードタイム大幅短縮。ただし量産用の耐久性は石膏型に及ばず。
電気炉の温度分布は?
一般的な陶芸用電気炉(500L級)で炉内温度差は±20-50℃。棚位置によって焼成収縮に0.5-1%の差が発生。試焼で炉内位置ごとの温度検証、量産では温度分布の均一化が課題。
低火度陶器(楽焼)の収縮率は?
楽焼は800℃前後の低火度焼成で、焼成収縮5-8%と小さめ。多孔質で吸水性ありの素地となり、茶道具の楽茶碗として珍重される。乾燥収縮とほぼ同等の低収縮域。