計算ツール
クラウドネットワーク専用線ハイブリッド

VPN/専用線料金 計算ツール|AWS Direct Connect・Azure ExpressRoute・Cloud Interconnectの月額を帯域別に概算

オンプレとクラウド間、複数拠点間のSite-to-Site VPN(IPsec)・専用線接続(AWS Direct Connect・Azure ExpressRoute・GCP Cloud Interconnect)の月額を、帯域(100Mbps/1Gbps/10Gbps)・データ転送量から概算。ハイブリッドクラウド設計、DR/BCP、SD-WAN選定、Zero Trust Network、金融庁FISC/ISMAP要件のセキュア接続など、企業の重要接続の予算試算に対応。VPNの手軽さ・低コスト、専用線の安定性・低遅延・SLA保証といったトレードオフを踏まえ、稟議書・提案書向けの明確な数字を短時間で用意できます。

最終更新:2026-07-26/監修:計算ツールズ編集部

VPN/専用線料金 計算機

計算式とクラウド接続の基礎

クラウド接続には大きく分けてSite-to-Site VPN(IPsec/インターネット経由)専用線(AWS Direct Connect/Azure ExpressRoute/GCP Cloud Interconnect)の2択があります。VPNはインターネットを利用するため安価・即時構築可能ですが、帯域・遅延・可用性に制約あり。専用線は物理的な閉域網で安定・低遅延・SLA保証だが、キャリア工事・DC接続料などで高額。

基本料金体系

AWS Site-to-Site VPN:$36/月/接続 + $0.05/GB(データ処理)
AWS Direct Connect 1Gbps:$220/月(ポート費) + $0.02/GB(データ転送out)
AWS Direct Connect 10Gbps:$1,620/月(ポート費) + $0.02/GB
Azure VPN Gateway VpnGw1:$0.19/h(約$139/月) + データ転送
Azure ExpressRoute 1Gbps:$300〜/月(Standard) + データ転送
GCP HA VPN:$0.05/h/トンネル(約$36/月/トンネル) + データ転送
GCP Dedicated Interconnect 10G:$1,700/月/接続

計算例

  1. AWS S2S VPN 1TB/月 → $36 + $50(1000GB×$0.05) = 約$86/月
  2. AWS Direct Connect 1Gbps 1TB/月 → $220 + $20(1000GB×$0.02) = 約$240/月
  3. AWS Direct Connect 10Gbps 10TB/月 → $1,620 + $200 = 約$1,820/月
  4. キャリア回線費(NTT/KDDI)別途:DC接続込みで100Mbps 10万円/月〜、1Gbps 30-50万円/月〜、10Gbps 100万円/月〜

VPN vs 専用線 徹底比較

比較項目Site-to-Site VPN専用線(Direct Connect等)
初期費用ほぼゼロキャリア工事50-200万円
月額(1Gbps相当)$36〜(クラウド側)$220〜(ポート費)+ 回線費
構築期間数分〜数時間2-8週間(物理工事)
帯域1.25Gbps上限(AWS)1G/10G/100G選択可
遅延10-50ms(不安定)2-10ms(安定)
可用性SLA99.95%(Gateway)99.9-99.99%
暗号化IPsec(標準)MACsec/IPsec(オプション)
ジッタあり(音声・映像に不向き)低ジッタ(VoIP OK)
コスト予測性データ量で変動ほぼ固定
推奨用途DR、開発、小規模本番、金融、大規模

AWS/Azure/GCP 専用線料金比較

項目AWS Direct ConnectAzure ExpressRouteGCP Cloud Interconnect
1Gbpsポート費$220/月Standard $300/月〜Partner Interconnect $50/月〜
10Gbpsポート費$1,620/月Standard $1,650/月〜Dedicated $1,700/月
データ転送out$0.02/GB従量($30/50GB〜)or無制限プラン$0.02/GB(同一大陸)
データ転送in無料プランに含む無料
MACsec暗号化◯(10G以上)◯(Dedicated)
ホスト型サービスDirect Connect GatewayExpressRoute Global ReachCross-Cloud Interconnect
マルチクラウド対応◯(Megaport等経由)◯(2023〜)
SLA99.9%(単一)/99.99%(冗長)99.95%99.9%(単一)/99.99%(冗長)

キャリア/データセンター側料金(参考)

クラウド側のポート費のほかに、キャリア回線費・DC接続料が別途必要。日本では主要事業者(NTT/KDDI/ソフトバンク/コロケーション事業者)がAWS/Azure/GCPのPoP接続をパッケージ化。

回線メニュー帯域月額目安(円)備考
AWS Direct Connect提携メニュー(小口)100Mbps10-15万円ホスト接続、共有ポート
NTT AWS接続1Gbps30-50万円閉域L3接続
KDDI/SB Azure接続1Gbps30-60万円ExpressRoute対応
Equinix Cloud Exchange1Gbps25-40万円マルチクラウド対応
大手キャリア専用線10Gbps100-200万円冗長構成、SLA付

冗長構成・SLA・可用性

本番運用ではSLA達成のため冗長構成が必須。AWSは単一Direct Connectで99.9%、冗長構成(異なる場所+異なるPoP)で99.99%のSLA。Azure ExpressRouteは単一で99.95%、Global Reach併用で複数リージョン間の閉域接続が可能。GCPも同様にDedicated Interconnectの冗長ペア(異なるZone・異なる物理経路)で99.99%達成。

コスト影響:ポート費が2倍、キャリア回線費も2重取り、L3ルータ・ゲートウェイ料金も倍。冗長化で月額が1.8-2.2倍になるのが典型で、稟議段階からセットで計上する必要あり。

SD-WAN・Zero Trust Network

SD-WAN(Cisco Viptela、VMware VeloCloud、Fortinet Secure SD-WAN、Palo Alto Prisma等)は複数拠点+クラウドをインテリジェント制御するオーバーレイ。従来型MPLS+VPN構成より柔軟性が高くコスト最適化可能。Zero Trust Network Access(ZTNA)は「境界防御」から「都度検証」への転換で、Zscaler ZPA・Cloudflare Access・NetSkopeなどのSASEプロダクトが主流。VPN廃止のシナリオも視野に入れた設計コスト試算を。

現場での活用シーン

ハイブリッドクラウド接続

オンプレDCとクラウドを閉域網で接続。ERPやレガシー基幹系はオンプレ、Web/AIはクラウドといった役割分担で、専用線が生命線に。10Gbps級で本番運用が定番。

DR(災害復旧)・BCP設計

オンプレPrimary+クラウドDR、またはリージョン間DR。RPO/RTO要件から帯域を逆算し、DRサイト間のReplication量から専用線サイズを決定。

マルチクラウド運用

AWS+Azure+GCP間の連携接続。Cross-Cloud Interconnect(GCP)、Megaport等の相互接続プラットフォームを介したマルチクラウドネットワーク設計。

金融機関(FISC対応)

閉域網要件+SLA要件+暗号化要件でDirect Connect+MACsec+冗長化が事実上必須。ISMAP登録クラウドへの専用線接続で監査対応。

官公庁・自治体

LGWAN・政府共通PF・ISMAPクラウド間の閉域接続。専用線での構築・運用で数千万円/年の予算計上。

SaaS/PaaS事業者のバックエンド

マルチテナントSaaSのDB層・分析層への高スループット接続。Direct Connect 10G-100Gでコスト最適化。

よくある間違い・注意点

  • クラウド側ポート費のみで見積り — 実際にはキャリア回線費(月10-100万円)、DC接続料、機器保守費(社内ルータ)等が別。「$220/月」だけで見積ると10倍以上乖離するケースが頻発。
  • 冗長構成コストの計上漏れ — SLA 99.99%を目指すなら冗長は必須。ポート費・回線費・ゲートウェイの2重計上が抜けると本番運用開始後に予算オーバー。
  • データ転送料の想定不足 — Direct Connectでも$0.02/GBのアウトバウンド料金。10TB/月なら$200、100TB/月なら$2,000。動画/バックアップ大量転送では通信料が本体を超えることも。
  • VPN帯域の実効値誤解 — AWS S2S VPNは仕様上1.25Gbpsだが、Encryption+インターネット揺らぎで実効500-800Mbpsが多い。動画配信・大量DBレプリケーションでは専用線推奨。
  • MTU/MSS未調整でスループット低下 — IPsec VPNはヘッダオーバーヘッドでMTU 1500→1400程度に。MSS Clampingを忘れるとフラグメント多発で実効帯域が半分以下に。
  • 専用線工事期間の見積り不足 — キャリア工事+DC設定+疎通試験で最短2週間、通常4-8週間。DC間ラック配線、光ファイバ引込み、ルータ設定変更が発生する場合は3ヶ月コースも。
  • マルチクラウド接続設計の複雑性 — AWS-Azure-GCP間直接接続は各社ネイティブ機能に加えMegaport等のトランジット事業者経由が現実的。ネットワーク設計スキルが要る。

セキュリティ・規制対応

専用線接続は金融庁FISC安全対策基準、ISMAP、個人情報保護法第24条(外国第三者提供制限)、GDPR、PCI DSS等の規制対応で必須または強く推奨されます。閉域網で暗号化(MACsec/IPsec)を組み合わせることで、通信区間の機密性・完全性を担保。証跡としてNetFlow/CloudTrail/VPC Flow Logsによるトラフィックログ保管、変更管理(SOx/J-SOX対応)、暗号鍵管理(HSM)の実装コストも予算計上が必要。金融/医療/官公庁でのハイブリッドクラウド設計時は、必ず情報セキュリティ担当・監査法人と早期合意形成を。

参考文献・公的資料

※本ページの計算結果は概算値です。実勢価格・為替・キャリア回線費・DC接続料・ルータ機器費・SLA別プラン(Standard/Premium)・冗長構成有無・エンタープライズ契約割引・キャンペーンにより実際の見積額とは異なります。契約・稟議・監査対応の正式資料は、必ず各クラウドの公式Pricing Calculatorおよびキャリア(NTT/KDDI/SB等)・データセンター事業者・SIerの正式見積りをご確認ください。金融機関・官公庁など規制業種の設計は、専門知識を持つネットワークアーキテクト・セキュリティコンサルタントへの相談を推奨します。

よくある質問(FAQ)

VPNの帯域制限は?

AWS Site-to-Site VPNは1接続あたり1.25Gbpsが仕様上の上限(実効は500-800Mbps程度が多い)。Azure VPN Gateway VpnGw1=650Mbps、VpnGw5=10Gbpsまで対応。GCP HA VPNは1トンネルあたり3Gbps。大量転送・低遅延要件があるならDirect Connect等の専用線に切替検討を。

Direct Connect設置期間は?

クラウド側ポート発注から疎通まで2-8週間。物理工事(キャリア回線引込み・DC内配線・ルータ設定・BGPピアリング)を含む。DC内既存ラックがあれば早く、新規ラック契約から始まる場合は3ヶ月コース。パートナー経由の共用ポート(Hosted Connection)なら数日で可能。

VPNと専用線のどちらを選ぶ?

(1)月データ量が数百GB以下+コスト重視ならVPN、(2)本番・金融/官公庁・大量転送・低遅延要求なら専用線、(3)DR/バックアップ用途にVPN+本番用に専用線という併用も定番。VPNは即時構築可能なので、専用線工事期間中のつなぎ用途にも。

専用線の冗長構成はどう組む?

異なるPoP(Point of Presence)+異なるキャリア+異なる物理経路で2本引く。AWS Direct Connectは同一リージョン内の2つの物理DCに接続することでSLA 99.99%達成。BGPで両経路を制御し、Active-Active or Active-Standby運用。

マルチクラウド接続はどう設計する?

AWS-Azure-GCP間は(1)各社直接ネイティブ接続(GCP Cross-Cloud Interconnect、Azure ExpressRoute Global Reach等)、(2)Megaport/Equinix Cloud Exchangeなどの中立トランジット事業者経由、(3)Palo Alto Prisma AccessなどSASEプロダクト経由、が選択肢。設計と運用工数のバランスで選定。

データ転送料はどれくらいかかる?

Direct Connect経由:$0.02/GB(アウトバウンド)。1TB/月なら$20、10TB/月なら$200、100TB/月なら$2,000。インターネット経由($0.114/GB)より83%安く、大量転送では専用線の方が実質お得。

SD-WANとの違いは?

SD-WANはインターネット/MPLS/専用線を統合制御するオーバーレイ技術。複数拠点+クラウドをアプリケーション別最適経路で制御。VPN代替+動的最適化+管理容易化がメリット。Cisco Viptela、Fortinet Secure SD-WAN、VMware VeloCloud等の製品が主流。

金融庁FISC対応での注意点は?

FISC安全対策基準ではクラウド利用時の閉域接続、暗号化、SLA、ログ保管、監査可能性が問われます。Direct Connect+MACsec暗号化+冗長構成+CloudTrail/VPC Flow Logsによる証跡保管+ISMAP登録クラウド選定が事実上のスタンダード。

ExpressRouteのプラン選定は?

Standardは同一大陸内のリージョン間で有効。Premiumは大陸間・グローバル接続、Microsoft 365/Dynamics 365への接続、ルーティング上限拡張。年間$3,000〜のPremium追加費用が発生。多国籍企業・O365大量利用時に検討。

MACsec暗号化は必要?

専用線は物理的な閉域網なので暗号化なしでも「隣接キャリアからの盗聴」のみが理論リスク。ただし金融・機密情報・PCI DSSなど規制対応、または経路上の物理タップ攻撃対策として、MACsec(L2暗号化)や上位のIPsec(L3)を追加する構成が推奨されます。

キャリア別・料金差はある?

NTT、KDDI、ソフトバンク、Colt、Equinix等でクラウド接続メニュー・料金・SLAが異なる。同じ1Gbpsでも月30万〜60万円まで幅あり。地域・DC位置・既存回線契約との統合割引で最適化可能。相見積りは必須。

クラウド初心者はどこから始める?

まずはSite-to-Site VPNで検証環境を接続(月$100前後、即時構築)。本番移行時に帯域・遅延・SLA要件を再評価し、必要ならDirect Connect等の専用線へ移行。この段階的アプローチが最もリスク低。