計算ツール
クラウドKubernetesEKSAKSGKESRE

Kubernetes(EKS/AKS/GKE)月額計算機|クラスタコストと節約テクニック

Kubernetes月額を計算する無料電卓。AWS EKS・Azure AKS・GCP GKEのクラスタ管理費、ノード費、ロードバランサ・ストレージ・データ転送・監視ツールの実運用コストを算出。Spot/Preemptible節約、Autopilot・Fargate、リザーブドインスタンス、右サイジングまで、SRE・インフラエンジニア向けに徹底解説します。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

Kubernetes月額ツール

Kubernetesコストの構造

基本式

Kubernetes月額 = クラスタ管理費 + (ノード数 × ノード単価) + LB/Storage/転送/監視費

Kubernetesクラスタの月額は「クラスタ管理費」+「ワーカーノード費」+「附帯サービス費」で構成されます。多くの初心者は「ノード×N台の料金」だけを計算しがちですが、実運用ではロードバランサ・永続ボリューム・データ転送・監視ツールが合計コストの30-50%を占めるケースが一般的です。

クラスタ管理費(コントロールプレーン)

  • AWS EKS:$73/月($0.10/hour × 24 × 30日)
  • Azure AKS:$0(管理費無料。ノード料金で回収)
  • GCP GKE Standard:$73/月($0.10/hour)
  • GCP GKE Autopilot:$73/月+Pod単位課金

ワーカーノード費

EC2(AWS)、Virtual Machine(Azure)、Compute Engine(GCP)のインスタンス料金がそのまま乗ります。2vCPU/4GB(t3.medium相当)で月$30程度、4vCPU/16GB(t3.xlarge相当)で月$120、8vCPU/32GB(m5.2xlarge相当)で月$240が目安です。

実運用の総コスト構成

  • ワーカーノード:50-60%
  • ロードバランサ(ALB/NLB×複数):10-20%
  • 永続ボリューム(EBS/AzureDisk/PD):5-10%
  • データ転送費(外向き):5-15%
  • 監視・ログ(CloudWatch/Datadog等):5-10%
  • クラスタ管理費:5%

EKS/AKS/GKEの料金比較

項目AWS EKSAzure AKSGCP GKE StandardGCP GKE Autopilot
クラスタ管理費$73/月$0$73/月(1個目無料)$73/月
ノード管理ユーザーユーザーユーザー自動
Spot対応ありありPreemptible/SpotSpot Pod
Fargate対応ありACI連携Autopilot=Fargate相当
3ノード中規模の合計約$433/月約$360/月約$433/月Pod数次第($400-600)

選び方の目安

  • AWS EKS:既存EC2・IAM連携、Fargate併用可、日本語ドキュメント豊富
  • Azure AKS:管理費無料、Active Directory連携、Windowsコンテナ強い
  • GCP GKE:Autopilotの自動化が最先端、GKE Autopilotはノード管理不要

プライベートクラウド・オンプレの選択肢

  • OpenShift(Red Hat):エンタープライズK8s、ライセンス費が高い
  • Rancher:マルチクラウドK8s管理
  • K3s/K0s:軽量K8s、エッジ・IoT向け
  • 自前構築(kubeadm):初期コストは安いが運用コスト高い

実運用の隠れコスト(LB・PV・転送)

1. ロードバランサ(LB)

  • AWS ALB:$0.0225/hour + LCU課金 = 月約$25-50/1本
  • AWS NLB:$0.0225/hour + NLCU課金 = 月約$25-50/1本
  • Azure Load Balancer:Basic無料、Standard $18-25/月
  • GCP Cloud Load Balancing:$18-25/月+転送量課金
  • Ingress複数本立てると月$100-200のLBコスト

2. 永続ボリューム(PV)

  • AWS EBS gp3:$0.08/GB・月 = 100GBで$8/月
  • Azure Managed Disk:$0.088/GB・月
  • GCP Persistent Disk SSD:$0.17/GB・月
  • データベース用の大容量PV(500GB-1TB)が主コスト

3. データ転送(Egress)

  • AWS:東京→インターネット $0.114/GB(月100GB無料)
  • Azure:$0.087-0.15/GB
  • GCP:$0.11-0.12/GB
  • 1TB/月のEgressで$100-150。動画配信・API集約点で急増

4. 監視・ログ

  • CloudWatch Logs:$0.50/GB取り込み+$0.03/GB保存
  • Datadog:$18-31/host・月 + カスタムメトリクス
  • New Relic:$99+/user・月
  • Prometheus+Grafana:無料(自前運用)だが人件費

Spot・Autopilot等の節約テクニック

1. Spot/Preemptibleインスタンス(60-90%割引)

  • AWS Spot:オンデマンドの70-90%割引。中断可能なワークロード向け
  • Azure Spot VM:60-80%割引
  • GCP Preemptible/Spot:60-80%割引、最大24時間で中断
  • バッチ処理・CI/CD・ステートレスワーカーで積極活用

2. リザーブドインスタンス/Savings Plans(30-60%割引)

  • AWS Savings Plans(Compute):1年契約30%、3年契約50-70%割引
  • Azure Reserved Instance:1年30-40%、3年60%割引
  • GCP Committed Use Discount:1年37%、3年57%割引
  • ベースワークロード(常時稼働のノード)に適用

3. Autopilot/Fargate(管理コスト削減)

  • GKE Autopilot:Pod単位課金、ノード管理不要でSRE工数半減
  • AWS Fargate for EKS:Pod単位課金、コールドスタート課題
  • 単価は10-20%高いが、SRE工数コスト(人件費)で回収

4. Cluster Autoscaler / Karpenter

  • 負荷に応じてノード数を自動増減。夜間・週末の縮小で30-50%削減
  • Karpenter(AWS)はKubernetes-nativeなAutoScaler、より効率的なビンパック

5. Vertical Pod Autoscaler(VPA)

  • Podのリソース要求(CPU/Memory)を実際の使用量に合わせて調整
  • 過剰なリソース割当を防ぎ、密度を上げてノード削減

右サイジングとリソース制御

Pod単位のリソース設定

requests:スケジューリング時の予約リソース
limits:Podが使用できる上限リソース

  • requestsは実際の使用量+30%が目安(余裕を持たせる)
  • limitsは実際の使用量+100%が目安(スパイク許容)
  • 過大なrequestsはノード数の増加要因=コスト増
  • 過小なrequestsはOOMKilledやスロットリング要因

ノードサイズ選定

  • 大きなノード(8vCPU/32GB以上):ビンパック効率よい、大規模Pod向け、障害時の影響大
  • 小さなノード(2vCPU/4GB):分散リスク低、細かなスケーリング可能、システムPod比率高で非効率
  • 実務では4-8vCPUクラスが多い

Namespace ResourceQuota

チーム・サービス別のリソース使用量を制限。1チームの暴走で全体コストが跳ね上がるのを防ぐ。本番運用の必須設定です。

コスト管理ツール(Kubecost等)

  • Kubecost:K8sコストのNamespace/Deployment別可視化。オープンソース版無料、Enterprise版$1,000-5,000/月
  • OpenCost:Kubecostのオープンソースコア。CNCFプロジェクト
  • AWS Cost Explorer:EKSのタグ別コスト分析
  • Azure Cost Management:AKSリソースグループ別コスト
  • GCP Cost Management:GKEプロジェクト別・ラベル別コスト

Kubecostを導入すると、「どのチーム/サービスが月いくら使っているか」が可視化され、無駄なリソースの発見・チーム別課金・SLO見直しに活用できます。

SRE・DevOpsでの使い方

🏗️ 初期構築時のコスト試算

PoC・新規プロジェクトのK8s導入前に、月額$500-2,000級のコスト試算。3ノード中規模でスタートし、ユーザー増加に応じてスケール。初期3ヶ月はSpot 70%+オンデマンド30%の混合構成で節約。

💰 既存クラスタの右サイジング

Kubecost・VPA・PromQL分析で、Pod requestsとactual usageのギャップを可視化。過大リクエストを削減してノード数を30-50%削減できるケース多数。

📊 マルチテナントのチャージバック

共有クラスタで複数チーム・サービスが動く場合、Namespace別のリソース使用量からコスト按分。KubecostのReport機能でチーム別月次請求。

🔄 Autoscalerの効果測定

Cluster Autoscaler/Karpenter導入前後のノード時間コスト比較。夜間・週末のスケールインで月20-40%節約が典型例。

☁️ マルチクラウド比較

EKS/AKS/GKE同等スペックの月額比較。管理費、Spot割引、Egress料金、リザーブド割引を総合比較して最適プロバイダを選定。

📈 スケーリング計画

DAU増加に応じたクラスタコストの予測。1万DAU→10万DAUで、ノード数・LB数・Egressがどう変化するかを試算し、収益性と合わせて事業判断。

よくある間違い・注意点

  • ノード費だけで総額を計算 — 実運用ではLB・PV・転送・監視が総額の30-50%を占める。3ノード×$120=$360だと思っていたら、実際は$800-1,000/月のコストになる。
  • Egress料金を軽視 — インターネット転送は$0.087-0.114/GBで、月1TBで$100-150。動画・API・S3アクセス集約点で急増。同一AZ内の通信は無料だが、AZ跨ぎは有料の場合あり。
  • 過大なrequests設定 — 「安全のため」とrequestsを実際の3-5倍に設定すると、ノード数が3-5倍必要になりコスト激増。VPAで実測ベースに調整する。
  • Spotインスタンスの中断リスク軽視 — Spotは2分前通知で強制終了される。ステートフルサービス・重要APIには不向き。中断可能なワークロードに限定して使う。
  • PVをオンデマンドのSSDにする — DBの一次データ以外はgp3(AWS)・Standard SSD(Azure)で十分。Provisioned IOPSは高価。使用パターンでStorage Class選定を。
  • Datadog等のSaaS監視費を過小評価 — Datadogは$18-31/host・月で、20ノードだと月$360-620。カスタムメトリクス・APM・ログを含めると月$1,000-3,000級。予算計画に必ず入れる。
  • マルチクラスタで管理費が積み上がる — Dev/Staging/Prodで3クラスタあると、管理費だけで月$219(EKS)。1クラスタ+Namespace分離で管理費を1/3にできる場合が多い。

関連する技術標準

  • Kubernetes(CNCF) ― コンテナオーケストレーションのデファクトスタンダード。Cloud Native Computing Foundation管理。
  • CNI(Container Network Interface) ― コンテナネットワーキングの標準。Calico、Cilium、AWS VPC CNI等の実装。
  • CSI(Container Storage Interface) ― コンテナストレージの標準。EBS CSI、Azure Disk CSI等。
  • OCI(Open Container Initiative) ― コンテナランタイムの標準。Docker、containerd、CRI-O等の実装。
  • Prometheus / OpenMetrics ― Kubernetes監視のデファクトスタンダード。時系列メトリクスの標準。
  • OpenTelemetry ― 分散トレース・メトリクス・ログの統合標準。CNCFプロジェクト。
  • Kubernetes Cost Management Best Practices ― CNCF FinOps Foundationのコスト管理ベストプラクティス。

参考文献・公的資料

Kubernetesの料金・実運用コスト管理に関する正確な情報は、以下の公式ドキュメント・技術団体の資料が一次情報源です。

※本ページの料金試算は2026年時点のAWS/Azure/GCPの公表料金に基づく参考値です。実際の料金は為替レート、リージョン、ボリューム割引、Enterprise Agreementによる特別料金で変動します。契約前に必ず各クラウドプロバイダの公式料金ページ、および担当営業・パートナーによる見積もりを取得してください。ミッションクリティカルなシステムの設計・移行はSRE専門家、クラウドアーキテクトの判断を仰いでください。

よくある質問(FAQ)

AKSの管理費無料の理由は?

差別化戦略。ただし基本ノード料金でカバーされる設計で、大規模クラスタでは他とほぼ同水準の総額になる。AKS移行で「管理費無料」だけを見て判断すると、Egress料金・PV料金・Windowsライセンス等で総額が変わる可能性。

GKE Autopilotは?

ノード管理不要でGCPが自動的にPodに最適なリソースをプロビジョニング。SRE工数が半減する利点。ただしノード直接操作不可、Pod単価は約10-20%高い。スタートアップ・小規模チームに最適。

3ノード中規模の実運用コストは?

ノード費$360+クラスタ管理費$73=$433/月が基本。実運用ではLB($50-100)・PV($20-50)・Egress($30-100)・監視($100-500)で総額$650-1,200/月になるのが典型例。

Spot/Preemptibleはどれくらい節約できる?

オンデマンド比60-90%割引。3ノード中規模で月$360→$70-140に激減。中断可能なバッチ処理・CI/CD・ステートレスワーカーに最適。中断リスクがあるため本番APIには慎重に。

Reserved InstanceとSpotどちらが得?

ベースワークロード:Reserved(3年契約で50-60%割引、安定)。変動ワークロード:Spot(60-90%割引、中断あり)。実務では「Reserved 30% + Spot 70%」のハイブリッドが多い。

Kubecostの導入は必要?

月$5,000以上のK8sコストがあるなら導入必須。無料のOpenCost/Kubecost Communityでも十分な可視化が可能。Namespace/Deployment単位のコストが見えると、無駄なリソースが自然に特定される。

Datadogの代替は?

Prometheus + Grafana + Lokiのセルフホスト。ライセンス費ゼロだが構築・運用に人件費がかかる。小規模チームならDatadog($18-31/host)の方がTCO低い、大規模組織ならセルフホストが有利。

Egress料金を減らす方法は?

CloudFront/CDN活用($0.085/GB+Origin保護)、同一AZ内通信で無料、PrivateLink/VPC PeeringでクロスAZ・クロスリージョン最適化。動画配信はCDN経由が必須。

マルチクラスタ vs. Namespace分離どっち?

強い分離が必要(本番/開発、顧客別):マルチクラスタ。コスト重視・チーム分離のみ:Namespace + ResourceQuota。マルチクラスタは管理費・SRE工数が3倍以上になるため、必要性を慎重に判断。

ノードサイズはどう選ぶ?

実務では4-8vCPU/16-32GBクラスが最適解。大きすぎるとビンパック効率よいが障害影響大、小さすぎるとシステムPod比率が高くなり非効率。ワークロードの最大Podサイズ×1.5倍が目安。

OpenShiftはK8sより高い?

Red Hat OpenShiftはライセンス費でK8sの2-3倍のTCO。ただしエンタープライズ機能(CI/CD統合、開発者向けUI、セキュリティ機能)が充実し、大企業では総合的に安くなるケースあり。中小規模はEKS/AKS/GKEが基本。

K3sは本番運用に使える?

単一バイナリの軽量K8sで、エッジ・IoT・小規模本番に十分。ただしマネージドサービスの恩恵(自動アップグレード、SLA)はないため、SRE体制がある中規模以上ではEKS/AKS/GKEが安全。