コンテナレジストリ料金 計算ツール|料金タイプ別の総コスト比較・データ転送/脆弱性スキャン含む
コンテナレジストリの月額料金を料金タイプ別に無料比較。従量課金型(大手クラウドA系)・日額固定+容量込み型(同B系のBasic/Standard/Premium)・従量課金型(同C系)・公開レジストリの有料プラン・独立系SaaS・OSSセルフホストの9タイプについて、ストレージ、Egress(データ転送)、Pull回数、脆弱性スキャン、マルチリージョンレプリケーションを統合試算。CI/CD運用における月額コスト最適化に必要な項目を、各社の公表料金と公開ドキュメントに基づき網羅します。
コンテナレジストリ料金 計算ツール
計算式と料金構成
4大要素
月額 = ストレージ料 + データ転送(Egress) + スキャン費 + レプリケーション費
コンテナレジストリの料金は、単なるストレージ量だけでなく、データ転送(Pull時のEgress)が最も金額を左右します。100GBイメージのストレージ料は月$2〜10ですが、K8sクラスタが毎日100Podをスケールアウトすると月Egressは数TBに達し、$100〜300のコストが発生します。
従量課金型(大手クラウドA系)の料金構成(例)
ストレージ = $0.10/GB/月
Egress (同一リージョンの内部ネットワーク→コンピュート) = 無料
Egress (インターネット向け) = $0.09/GB (最初の10TB)
拡張スキャン = $0.09/イメージ1回 (脆弱性検知サービス統合)
公開レジストリ(有料プラン)の料金構成
個人向け上位プラン = $9/ユーザー/月、Pull制限 5,000/日
チーム向けプラン = $15/ユーザー/月、無制限Pull、シングルサインオン対応
公開レジストリの有料プランはストレージ無制限だがPull回数に制限があります。無料プランは200Pull/6時間、有料プランで解除。CI/CDから頻繁にPullする組織は、クラウド事業者のマネージドレジストリにミラーする運用が定石です。
プロバイダ別料金早見表
2025-11時点の各社公表料金(米国東部の標準リージョン相当)。実際の料金は変動するため、導入前は必ず利用予定サービスの公式料金ページで確認してください。
| プロバイダ | ストレージ | Egress(1TB相当) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 従量課金型(大手クラウドA系) | $0.10/GB/月 | $0.09/GB(外部) | マネージドKubernetes・コンテナ実行基盤と統合、脆弱性検知サービス連携 |
| 日額固定型 Basic(大手クラウドB系) | $0.167/日固定(10GB込) | $0.087/GB | 小規模スターター |
| 日額固定型 Standard(大手クラウドB系) | $0.667/日固定(100GB込) | $0.087/GB | 中規模、Webhook対応 |
| 日額固定型 Premium(大手クラウドB系) | $1.667/日固定(500GB込) | $0.087/GB | 地理レプリケーション・コンテンツ署名 |
| 従量課金型(大手クラウドC系) | $0.10/GB/月 | $0.12/GB(外部) | マネージドKubernetes・ビルドサービスと統合 |
| 公開レジストリ(個人向け有料) | 無制限 | Egress無料(制限内) | $9/ユーザー、Pull 5,000/日制限 |
| 公開レジストリ(チーム向け有料) | 無制限 | Egress無料 | $15/ユーザー、シングルサインオン、Pull無制限 |
| 独立系SaaSレジストリ | $98/月から | 1TB含む | 脆弱性DB・高速配信を含む統合製品 |
| OSSレジストリのセルフホスト | 仮想マシン料金のみ | クラウドのEgress料金 | OSS、自社での構築・運用が必要 |
用途別の選び方
個人開発・スタートアップ MVP
公開レジストリの個人向け有料プラン $9/月が最安です。10GB以下・Pull数千/日の規模なら、他のどのタイプより安く収まります。ただしCI/CDからのPullが増えてきたら、早めにクラウド事業者のマネージドレジストリへ移行してください。
マネージドKubernetesと同じ事業者で揃える
コンテナ実行基盤と同じクラウドのマネージドレジストリを選ぶのが定石です。プライベート接続経由でEgressが無料になり、権限管理・サーバーレスコンテナ・脆弱性検知までワンストップで揃います。マルチリージョン運用ではクロスリージョンのレプリケーションを有効化します。
費用を読み切りたい中小規模
日額固定型(大手クラウドB系)は容量込みの定額なので、月額が読みやすいのが利点。10GB込みの下位プランは月$5相当、100GB込みの中位プランは月$20相当で、Webhookや地理レプリケーション・コンテンツ署名は上位プランの機能です。
マルチクラウド・オンプレ併用
独立系SaaSレジストリ($98/月〜)かOSSレジストリのセルフホスト。前者は脆弱性DBと高速配信を含む統合製品で運用を任せられます。後者はOCI準拠のOSSを小型の仮想マシン月$50〜200で運用でき、事業者に依存しない構成を作れます。
Pull量が多くコストが膨らむ
共有イメージを社内ミラーに集約し、プライベート接続経由でPullする構成に寄せます。転送単価は事業者により$0.087〜0.12/GBと4割近い差があるため、月間Egressが数TB規模なら単価の安い事業者を選ぶだけで月$100単位の差が出ます。
金融・医療・防衛など監査対応
クラウド事業者の専用線サービス経由の閉域運用が前提になります。SOC 2・ISO/IEC 27001・政府調達向け認証を取得しているプロバイダを選び、実行環境の分離オプションや、独立系SaaSの上位エディションによる監査ログ保全と組み合わせます。
脆弱性スキャンと署名(コンテナサプライチェーン)
2021年以降、大規模なサプライチェーン攻撃事件やLog4Shellをきっかけに、コンテナのサプライチェーンセキュリティが世界的に厳格化しました。米国大統領令14028、EU CRA、日本の経済産業省ガイドラインでも要求されています。
スキャンの選択肢
- OSSのイメージスキャナ - 無料で導入でき、CI/CDに組み込みやすい。脆弱性DBの更新頻度と誤検知の少なさで選びます。
- SBOM生成ツールと連携するOSSスキャナ - SPDX/CycloneDX形式のSBOMを出力し、成果物の構成管理まで一気通貫にできます。
- 大手クラウドA系の統合スキャン - レジストリ統合、CVE/OSレベル検知。$0.09/イメージ1回。
- 大手クラウドB系の保護サービス - レジストリ統合に加えて実行時保護まで含む。$7/vCPU/月。
- 大手クラウドC系の解析サービス - レジストリ統合、デプロイ前の署名検証と連携。$0.10/イメージ1回。
- 独立系SaaSレジストリの付属スキャン - 独自の脆弱性DBとコンプライアンス管理を統合提供。
署名(Signing)
イメージ署名は、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)の卒業プロジェクトによるキーレス署名がデファクト標準です。無料で公開鍵基盤が提供され、大手クラウドA/B/C系のマネージドレジストリはいずれも対応済みです。
コスト最適化テクニック
1. マルチステージビルドで最終イメージ最小化
ビルド用イメージ(700MB)と実行用イメージ(50MB)を分離します。軽量ベースイメージやランタイム最小構成のイメージを使えば50〜100MBまで削減可能。ストレージ・転送・スキャンのコストが全て連動して下がります。
2. プライベート接続経由のPull
クラウド内の閉じたネットワークでPullを完結させるとEgressが無料になり、月$100〜1,000の削減効果があります。大手クラウドA/B/C系のいずれもプライベート接続の仕組みを備えています。
3. ライフサイクルポリシーで古いタグ削除
「直近10イメージだけ残す」「30日以上Pullされていないタグを削除する」といった保持ポリシーは、どの事業者のレジストリにも用意されています。累積ストレージを1/3〜1/5に削減可能です。
4. 公開レジストリのミラー活用
頻繁にPullする共有イメージ(Webサーバ・KVS・言語ランタイム等)は自社レジストリにミラーします。Pull制限の回避・高速化・コスト削減の一石三鳥です。
5. 年間コミット割引
大手クラウドB系の上位プランは1年コミットで20%引、C系は継続利用割引で30%引が目安。年間$5,000以上使う組織は要検討です。
6. OSSレジストリのセルフホスト
年間$3万以上のレジストリ費が発生する場合、小型の仮想マシン$30/月+ブロックストレージ200GB $20/月の計$50/月前後でセルフホストすると圧倒的に安価です。運用工数は要考慮。
よくある間違い・注意点
- ストレージ料金だけで比較する — 実際の月額はEgress(データ転送)が半分以上占めるケースが多いです。転送量も込みで比較しないと本当の月額はわかりません。
- 公開レジストリの無料プランをCI/CDから使う — 200Pull/6時間の制限で必ずビルドが失敗します。CI/CDから使うなら有料プランか、内部ミラーへの移行が必須です。
- ライフサイクルポリシー未設定 — 数ヶ月で古いタグが累積し、ストレージ料金が3〜5倍に膨張します。CI/CD開始時に必ずポリシー設定を。
- プライベート接続を使わない — 社内ネットワークからマネージドレジストリを使うのに、NAT経由でPullすると外向き転送$0.045/GB+レジストリのEgress $0.09/GBのダブル課金になります。プライベート接続の設定でどちらも回避できます。
- 脆弱性スキャンをCI/CD全回で実行 — 全ビルドで拡張スキャンをかけると月$500超も普通です。差分レイヤーのみスキャン、または週次スキャンで大幅に削減できます。
- 旧世代のレジストリサービスを使い続ける — 大手クラウドの初期世代のレジストリは順次提供終了しており、後継のアーティファクト管理サービスへの移行が必要です。移行ツールが用意されているうちに切り替えます。
- マルチアカウント/複数リージョンでの重複 — 開発/検証/本番でそれぞれレジストリを持つと3倍のストレージ料。共有レジストリ+タグ管理で統一するのが定石です。
関連する規格・仕様
- OCI (Open Container Initiative) Image Spec / Distribution Spec — 公開レジストリを含む全レジストリが準拠する国際仕様。マニフェスト・レイヤ形式・API設計の基準。
- CNCF卒業プロジェクトのOSSレジストリ — 金融/防衛のオンプレ運用でデファクトとなっているセルフホスト型レジストリ。
- CNCF卒業プロジェクトのイメージ署名基盤 — コンテナイメージ署名のオープン標準。キーレス署名に対応。
- SLSA (Supply-chain Levels for Software Artifacts) — OpenSSF(Linux Foundation傘下)が主導するサプライチェーン成熟度モデル。レベル1〜4。
- SBOM (Software Bill of Materials) — SPDX/CycloneDX標準。米国大統領令14028で義務化。
- 米国NIST SP 800-190 — Container Security Guide。企業のコンテナ運用のガイドライン。
- 個人情報保護法・GDPR・HIPAA — イメージ内に個人データが含まれる場合の管轄地域・保存要件を規定。
- ISO/IEC 27001 / SOC 2 — レジストリプロバイダの情報セキュリティ認証。監査対応で必須。
参考文献・公式資料
料金と仕様は改定されるため、導入前に利用予定サービスの公式料金ページで最新版を確認してください。
- NIST SP 800-190 Application Container Security Guide ― コンテナセキュリティのガバナンス基準。
- Open Container Initiative(OCI) ― コンテナイメージ・配布のオープン仕様。レジストリ移行時の互換性判断の基礎。
- Cloud Native Computing Foundation(CNCF) ― OSSレジストリ・署名基盤の開発元財団。プロジェクトの成熟度区分を公開。
- SLSA (Supply-chain Levels for Software Artifacts) ― サプライチェーン成熟度モデルの公式サイト。
- 情報処理推進機構(IPA) セキュリティ ― 脆弱性情報とセキュア開発の国内一次情報。
- 経済産業省 サイバーセキュリティ政策 ― コンテナサプライチェーン規制の国内動向。
- 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC) ― 政府機関の情報セキュリティ対策統一基準。
よくある質問(FAQ)
結局どのレジストリが一番安い?
用途とスケールで最適解が変わります。個人・スタートアップは公開レジストリの個人向け有料プラン $9/月、コンテナ実行基盤を持つクラウドで運用するなら同じ事業者のマネージドレジストリ($0.10/GB+プライベート接続)、大規模マルチクラウドはOSSレジストリのセルフホストが最安です。ストレージだけでなくEgress・スキャンを含めた月額で比較しましょう。
公開レジストリの無料プランは使える?
個人検証のみOK、CI/CDから使うのはNG。無料プランは200Pull/6時間・IP単位の制限があり、CI/CDから頻繁にPullするとレート制限で必ずビルドが失敗します。組織で使うなら個人向け有料プラン($9)以上か、内部ミラーレジストリを構築してください。
プライベート/パブリックリポジトリの違いは?
プライベートは認証必須で社内限定、パブリックは公開Pull可能。企業利用は基本プライベートです。大手クラウドA/B/C系も公開レジストリも両方に対応しています。パブリックPull数の多いイメージは、公開配布に特化した無料レジストリを使うと転送費を抑えられます。
Pull回数は課金される?
クラウド事業者のマネージドレジストリはPull自体は無料、データ転送(Egress)が課金対象です。一方で公開レジストリは無料プランにPull回数制限があり、有料プランでも上限が設けられる場合があります。同一リージョン内のPullはEgress無料になる事業者が多いので、社内運用ではプライベート接続の設定を強く推奨します。
脆弱性スキャンは必須?
本番運用では実質必須です。米国大統領令14028、EU CRA、日本の経済産業省ガイドラインで要求されており、監査対応でも必要になります。マネージドレジストリの拡張スキャン($0.09〜0.10/イメージ1回)で実装できるほか、無料ならOSSのイメージスキャナをCI/CDに組み込む方法もあります。
旧世代のレジストリサービスからの移行は必要?
必要です。大手クラウドの初期世代のコンテナレジストリは順次提供終了となっており、後継のアーティファクト管理サービスへの移行が求められます。移行ツールが提供されているうちに切り替えるのが安全で、後継サービスは上位互換かつ料金体系もほぼ同等です。
マルチリージョンレプリケーションは必要?
DR/BCP要件がある場合は必須です。ただしコストは1.5〜3倍に膨らみます。金融/医療/公共など可用性要件が厳しい業界以外では、単一リージョン運用にとどめ、IaC/GitOpsでの再構築性を確保する運用も一般的です。
イメージサイズを小さくする方法は?
マルチステージビルド+軽量ベースイメージ/ランタイム最小構成のイメージで700MB→50MBまで削減可能です。ストレージ・転送・スキャン全てのコストに連動する重要施策。イメージ縮小に特化したビルドツールも活用してください。
OSSレジストリのセルフホストは本当に安い?
年間$3万以上のレジストリ費が発生する組織なら圧倒的に安価です。小型の仮想マシン$30/月+ブロックストレージ200GB $20/月で構築できます。ただし運用工数(バックアップ、証明書更新、アップグレード、監視)が発生するため、SREリソースに余裕がある組織向けです。
公開レジストリ以外の無料/格安レジストリは?
OSS公開用途ならディストリビューション事業者が運営する公開レジストリや、ソースコード管理サービスに内蔵されたレジストリが代替候補です。ソースコード管理サービス内蔵型は公開リポジトリなら無料・非公開でも数百MBの無料枠があり、リポジトリと同じ権限設定をそのまま使えるため追加コストがかかりません。
コンテナイメージ署名は本番でも使える?
使えます。CNCF卒業プロジェクトのキーレス署名基盤が事実上の標準で、Kubernetes(admission controller)と大手クラウドA/B/C系のマネージドレジストリが全て対応済みです。CI/CDのOIDC IDから自動署名でき、SLSA Level 3以上を目指す組織は導入必須です。
コンテナレジストリの脆弱性対策は?
①認証必須プライベート化、②プライベート接続経由のアクセス限定、③IAM/RBACで細粒度権限管理、④脆弱性スキャン継続実施、⑤イメージ署名検証、⑥不要タグ自動削除、⑦監査ログ収集の7点セットが基本です。