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EV vs ガソリン車 CO2排出量 計算ツール|走行・製造・電力ミックス込みで比較

電気自動車(EV)とガソリン車のCO2排出量を、走行段階(Tank-to-Wheel)と製造段階(Well-to-Wheel/LCA)の両視点で比較。年間走行距離・電費(km/kWh)・燃費(km/L)・電源ミックスから、年間CO2差・杉の木本数換算・製造時のCO2負債回収年を試算します。IEA・環境省温対法・経産省電力調査統計に準拠した係数を採用。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

EV vs ガソリン車 CO2 計算機

計算式と係数

基本式

EV年CO2 = 年走行距離 ÷ 電費 × 電源のCO2係数

ガソリン車年CO2 = 年走行距離 ÷ 燃費 × 燃料のCO2係数

CO2回収年 = (EV製造CO2 − ICE製造CO2) ÷ 年間差CO2

主要係数(日本の公式値)

係数出典
ガソリン(揮発油)2.29 kg-CO2/L算定省令 別表第一(33.4 GJ/kL × 0.0187 t-C/GJ × 44/12)
軽油2.62 kg-CO2/L算定省令 別表第一(38.0 GJ/kL × 0.0188 t-C/GJ × 44/12)
LPG2.99 kg-CO2/kg算定省令 別表第一(50.1 GJ/t × 0.0163 t-C/GJ × 44/12)
電力(全国平均)0.423 kg-CO2/kWh環境省・経済産業省 電気事業者別排出係数(令和6年度実績)
電力(代替値)0.416 kg-CO2/kWh供給元の係数が分からない場合に使う値(同上)
電力(2013年度)0.567 kg-CO2/kWh電気事業低炭素社会協議会 2013年度実績(調整後)
電力(2030年目標)0.25 kg-CO2/kWh第6次エネルギー基本計画
杉の木1本の年吸収量約14 kg-CO2/年林野庁 森林吸収源

電源のCO2排出係数(電力ミックス)

日本の全国平均は0.423 kg-CO2/kWh(令和6年度実績・環境省と経済産業省が公表)。地域や電力小売メニューによって大きく変動します。再エネ100%プランを選択すれば実質0.02程度、原発比率の高い地域(関西電力等)は0.35前後になります。

電源のCO2排出係数(地域・電力メニュー別)

電力小売各社が公表する調整後排出係数を反映するのが実務。同じEVでも「どこで充電するか」で年CO2排出量は倍近く変わります。

電力会社・メニュー調整後排出係数 kg-CO2/kWh備考
北海道電力(事業者全体)0.518石炭火力比率高い
東北電力(事業者全体)0.400火力・原子力混在
東京電力EP(事業者全体)0.421関東・首都圏
中部電力ミライズ(事業者全体)0.376火力主体
北陸電力(事業者全体)0.431石炭比率高い
関西電力(事業者全体)0.396原子力再稼働の恩恵
中国電力(事業者全体)0.472石炭火力主体
四国電力(事業者全体)0.448火力+原子力再稼働
九州電力(事業者全体)0.449原子力・太陽光豊富
沖縄電力(事業者全体)0.677火力ほぼ100%
実質再エネプラン(各社)0.02-0.10非化石証書付き
2030年目標(電力事業)0.25第6次エネルギー基本計画

数値は環境省・経済産業省が公表する電気事業者別排出係数のうち、令和6年度実績の「事業者全体」の調整後排出係数です。同じ会社でも料金メニューごとに別の係数が公表されており、非化石証書付きのメニューは0になります。毎年更新されるため、正式には公表資料を確認してください。

車種別 電費・燃費・年間CO2 早見表

年間1万km走行を前提とした、代表車種の年間CO2排出量(走行段階)です。

車種電費/燃費年kWh/L年CO2(kg)
日産リーフ(EV)6.5 km/kWh1,538 kWh651(全国平均0.423)
テスラ Model 3(EV)7.0 km/kWh1,429 kWh604
日産サクラ(軽EV)8.0 km/kWh1,250 kWh529
トヨタbZ4X(EV SUV)5.5 km/kWh1,818 kWh769
トヨタ プリウス(HV)28 km/L357 L818
トヨタ アクア(HV)34 km/L294 L673
ホンダ フィット(ガソリン)18 km/L556 L1,273
トヨタ カローラ(ガソリン)15 km/L667 L1,527
スズキ アルト(軽ガソリン)27 km/L370 L847
ハイエース(ガソリン)10 km/L1,000 L2,290
ハイエース(ディーゼル)12 km/L833 L2,183

EVは電源のCO2排出係数で数値が大きく変動します。再エネ電力プラン利用時は上表の1/20程度まで下がります。

LCAの観点(製造・電池・廃棄)

単に走行段階だけでなくライフサイクルアセスメント(LCA)視点で比較するとEV優位性の見方が変わります。

製造時CO2負債

EVは電池製造のCO2負債が大きく、コンパクトEVで8-12 t-CO2、大型SUV EVで15-20 t-CO2。一方ガソリン車は5-7 t-CO2程度。EVはこの差を走行で回収する必要があります。

回収期間の目安

年間1万km走行・日本の電源ミックスなら、コンパクトEVで約3-5年、大型EVで5-8年で製造CO2差を回収可能。10年保有すればLCA全体でもEV優位。

電池リユース・リサイクル

使用済み車載電池は家庭用蓄電池・産業用蓄電システムに転用可能で、追加10-15年利用可。日産・トヨタ・BYDが独自のリユースネットワークを構築。廃棄時の再資源化率は現状50-60%(欧州目標65%以上)。

電源クリーン化の恩恵

ガソリン車は購入時のCO2排出係数から改善しないが、EVは電源が再エネ化するほど自動的にクリーン化します。IEAシナリオでは2035年時点で日本のEV年CO2はガソリン車比60-70%削減見込み。

気候変動対策との関係

日本の温対法目標(2030年△46%、2050年カーボンニュートラル)達成には運輸部門のEV化が必須。特に乗用車新車販売の電動車比率(EV+PHEV+HV+FCV)は2035年100%目標。

Well-to-Wheel視点

ガソリンは原油採掘・輸送・精製で約20%の追加CO2が発生(Well-to-Tank)。これを含めるとガソリン車のCO2係数は実質+15-20%となり、EV優位性はさらに拡大します。

地域別比較(日本・欧州・米国・中国)

地域電源CO2係数 kg-CO2/kWhEV優位性
ノルウェー約0.02水力99%で圧倒的にEV優位
フランス約0.06原子力70%でEV優位
スウェーデン約0.03水力+原子力+再エネ
EU平均約0.23再エネ拡大でEV優位
英国約0.19石炭離脱でクリーン化
米国 平均約0.37州によって差大(CAはEV優位、WVは接近)
日本約0.423EV優位だが差は小
中国約0.55石炭火力70%でEV優位性小
インド約0.7石炭主体でEVメリット限定
豪州約0.68石炭主体だが再エネ導入急拡大

試算シナリオ(実例)

ケース1: 都内・年1万km・全国平均電源

日産リーフ(6.5km/kWh):年1,538kWh×0.423=651kg。カローラ(15km/L):667L×2.29=1,527kg。年間差876kg、杉63本相当。10年で8.8トン削減。

ケース2: 沖縄・年8千km・石炭火力主体

リーフ:1,231kWh×0.677=833kg。カローラ:533L×2.29=1,221kg。年間差388kgのみ。電源改善が急務

ケース3: 九州・年1.2万km・再エネ100%プラン

リーフ:1,846kWh×0.02=37kg。カローラ:800L×2.29=1,832kg。年間差1,795kg、杉128本相当。EVの環境価値最大化。

ケース4: 寒冷地・年1.5万km・北海道

冬季電費悪化(0.7倍)考慮。リーフ実効:3,297kWh×0.518=1,708kg。ディーゼルSUV(12km/L):1,250L×2.62=3,275kg。差1,567kg。

ケース5: 営業車フリート(100台・年3万km/台)

全EV化(6km/kWh):50万kWh×0.423=212t。ガソリンHV(25km/L):12万L×2.29=275t。年63t-CO2削減で杉4,500本相当。企業のScope1削減効果大。

ケース6: 2035年 電源目標達成後

電源係数0.25適用。リーフ年1万km:385kg。ガソリン車1,527kg。差1,142kgで更に拡大。EV優位性は電源クリーン化と連動。

よくある間違い・議論の落とし穴

  • 「走行段階だけで比較」 — EVは製造時に大きなCO2負債を持つため、Tank-to-Wheelだけの比較はEV過大評価になります。3-5年で回収する前提でLCA視点も併記しましょう。
  • 「電源係数を無視」 — 石炭火力比率の高い地域(北海道・中国電力エリア・沖縄)では、EVのCO2排出量がガソリン車HVを超えるケースもあります。地域別の調整後排出係数で計算するのが正確です。
  • 「電池は10年で寿命」と誤解 — 実際は15-20年、走行20万kmまで容量70%以上を維持する例が多数。日産リーフの2010年モデルは10年経過後も容量80%が一般的。廃棄前提のLCAは過小評価。
  • 「Well-to-Tankを無視」 — ガソリンは採掘・輸送・精製で約20%追加CO2が発生。この上流分を含めるとガソリン車のCO2は約+15-20%増加します。
  • 「杉の木換算を過大評価」 — 杉の木1本の年吸収量は約14 kg。年1トンのCO2削減でも杉70本相当。「森林で相殺」は短期的には非現実的です。
  • 「PHEV/HVを比較対象から除外」 — 現実の日本市場では、EVの直接的な競合はHV(ハイブリッド)。プリウス級HVは年CO2 600-800kgで、コンパクトEVと僅差の場合が多い。
  • 「政府補助金でCO2削減効果を過大に見る」 — CEV補助金は購入補助であり、CO2削減効果とは別軸。国民負担の総額と削減量から算出する「CO2削減単価」で公平比較すべき。

関連する制度・目標

  • 温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律) ― CO2排出係数の算定・報告制度。事業者は電力・燃料の使用に係るCO2を算定・報告する義務。
  • 第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定) ― 2030年の電源構成目標。再エネ36-38%、原子力20-22%等。電源のCO2係数を0.25 kg-CO2/kWhへ削減。
  • 2035年 乗用車新車販売 電動車100%目標 ― 2020年12月グリーン成長戦略で決定。EV+PHEV+HV+FCVの合計比率。
  • CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入補助) ― EV最大85万円、PHEV最大55万円、FCV最大255万円(2026年度予算・年度で変動)。
  • EU CO2排出規制(Fit for 55) ― 2035年からEUで新車ガソリン・ディーゼル車販売禁止。
  • 米CAFE規制(燃費規制) ― 米国連邦の企業別平均燃費規制。2032年モデル年で平均50 mpg目標。
  • ZEV規制(カリフォルニア州等) ― 米加州で2035年からゼロエミッション車のみ販売可。
  • ISO 14040/14044 ― LCA(ライフサイクルアセスメント)の国際標準規格。EV LCA分析の方法論。

参考文献・公的資料

CO2排出係数・LCA・EV政策の詳細は、以下の公的機関・国際機関の資料を参照してください。

※本ツールの試算結果は、環境省温対法算定係数、IEA・NEDO報告書等の公表数値を用いた概算です。実際のCO2排出量は、電力小売メニュー・充電時間帯・走行スタイル・気温による電費低下・車両個体差で変動します。企業のカーボンフットプリント算定・排出権取引・投資家開示(TCFD等)には、必ず公的機関・監査法人・専門コンサルタントによる正式な算定を用いてください。

よくある質問(FAQ)

EVはガソリン車より本当にCO2排出が少ない?

日本の電源ミックス(令和6年度実績 0.423 kg-CO2/kWh)なら、走行段階でEVはガソリン車の約40-60%のCO2排出。再エネプラン利用なら90%以上削減も可能。ただし製造時の電池CO2負債があるため、走行3-5年で製造分を回収してから明確にEV優位となります。

電源によって差はどのくらい違う?

石炭火力主体地域(沖縄0.677・北海道0.518)と再エネプラン(0.02)では約34倍の差。EVの環境価値は「どこで充電するか」で大きく変わります。再エネ電力プランを選択するのがEV導入効果を最大化する近道です。

製造時のCO2はどれくらい?

コンパクトEVで約8-12 t-CO2、大型SUV EVで15-20 t-CO2。特に電池製造が全体の40-50%を占めます。一方ガソリン車は5-7 t-CO2程度。EVはこの差(3-13トン)を走行段階で回収する必要があります。

EVとHV(プリウス級)はどちらがCO2低い?

年1万km・日本平均電源なら、EVは651kg、プリウス級HVは818kg。EVがやや優位ですが、電源が石炭主体の地域では逆転もあり得ます。10万km走行のLCAではEVがほぼ確実に優位。

CO2回収期間は?

コンパクトEV vs コンパクトガソリン車、年1万km・全国平均電源なら約3-5年で製造時CO2負債を回収し、EV優位に転じます。大型SUV EVでは5-8年。再エネ電力なら回収期間は1-2年に短縮。

杉の木何本分の吸収量に相当する?

杉の木1本の年間CO2吸収量は約14kg(林野庁)。EVで年1トン(1000kg)のCO2を削減すれば、杉の木約70本相当の吸収と等価。ただし森林は成長段階での吸収であり、成木以降は吸収量が減ります。

EV電池は何年もつ?

現行モデルの車載電池は15-20年、走行20万kmまで容量70%以上維持する例が多数。日産リーフ2010年モデルも10年経過で容量80%程度が一般的。使用後は家庭用・産業用蓄電池にリユース可能で、廃棄段階のCO2負担も軽減できます。

PHEVはEV・ガソリン車どちらに近い?

走行スタイルに強く依存。市街地短距離主体(90%電気走行)ならほぼEV相当、長距離主体(90%エンジン走行)ならHVに近い。実測平均では走行段階CO2はEVの1.3-1.8倍程度。

本ツールの計算式は?

EV年CO2 = 年走行距離÷電費(km/kWh)×電源のCO2係数。ガソリン車年CO2 = 年走行距離÷燃費(km/L)×燃料のCO2係数(ガソリン2.29/軽油2.62)。CO2回収年 = (EV製造CO2−ICE製造CO2)÷年間差CO2。杉の木換算 = 削減CO2÷14kg。

Well-to-Wheel視点だと結果は変わる?

ガソリンは採掘・輸送・精製で約20%の追加CO2(Well-to-Tank)が発生。これを含めるとガソリン車のCO2係数は約2.75 kg-CO2/L(実質+20%)となり、EV優位性は拡大します。IEA・環境省LCAガイドラインではWTW視点が推奨。

寒冷地では電費が悪化する?

気温低下で電池性能・暖房電力消費により、冬季の電費は夏比で20-40%悪化する場合があります。北海道等の寒冷地では実電費が公称値より低くなる点を考慮し、CO2試算では0.7-0.8倍で見積もるのが安全です。

2035年の状況はどう変わる?

第6次エネルギー基本計画の電源構成目標が達成されれば、電源のCO2係数は0.25 kg-CO2/kWh(現行の約58%)まで低下。EVの年CO2排出量は自動的に42%減少します。ガソリン車は改善余地が限られ、EV優位性がさらに拡大します。