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外注 vs 内製コスト 計算ツール|外注費と内製実コスト(福利厚生込)を比較して最適判定

外注費(月額)と内製月給・福利厚生倍率から「外注」と「内製」どちらが経済合理性が高いかを即判定。業務委託・SES・派遣の契約形態別コスト、正社員雇用の総人件費(退職金・企業年金・採用コスト含む)、下請法・偽装請負・インボイス制度・改正フリーランス法の実務まで、公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁の公的資料ベースで解説します。

最終更新:2026-08-02/監修:計算ツールズ編集部

外注 vs 内製コスト 計算機

計算式と福利厚生倍率

基本式

内製実コスト = 内製月給 × 福利厚生倍率

最適 = 外注費 < 内製実コスト なら「外注」、そうでなければ「内製」

内製月給35万円・福利厚生倍率1.4の場合、実コストは49万円/月。外注費が50万円なら内製が有利、45万円なら外注が有利という判定になります。

福利厚生倍率(給与→実コスト)の内訳

項目給与比備考
健康保険料(事業主分)約5%協会けんぽ平均
厚生年金保険料(事業主分)約9.15%労使折半
雇用保険料(事業主分)約0.6-0.9%業種で異なる
労災保険料(全額事業主)約0.25-8.8%業種で大差
子ども・子育て拠出金0.36%全額事業主
介護保険(40歳以上)約0.9%事業主分
賞与積立(月額換算)約20-33%賞与3〜4ヶ月分
退職金積立約5-10%制度あり企業
法定外福利厚生約2-5%住宅・食事等
合計目安1.35〜1.6倍企業により差

本ツールの倍率1.4は「賞与・退職金の月額換算を含まない、社会保険料+法定外福利厚生のみ」の狭義の実コスト。賞与・退職金を含めた広義のフルコストなら1.6〜1.8倍で試算するのが実務標準です。

契約形態別のコスト構造

業務委託(請負契約)

特定業務の成果物完成に対して報酬支払。作業指示・時間管理を発注者が行うと偽装請負リスク。フリーランス・受託開発会社に多い。消費税課税対象で、月100万円なら+10万円の消費税負担。

業務委託(準委任契約)

専門業務の遂行そのものに対する対価。医師・弁護士・SES(システムエンジニアリングサービス)等。成果物ではなく時間・工数ベース。

労働者派遣

派遣会社が雇用する労働者を受入企業で就業。指揮命令は受入企業。派遣料金は派遣スタッフの手取りの1.5〜2倍(派遣会社マージン25〜35%、社会保険料等)。労働者派遣法で3年ルール・同一労働同一賃金の規制。

正社員雇用(内製)

無期労働契約で終身雇用に近い。総人件費は月給の1.4〜1.8倍(社保+賞与+退職金+福利厚生)。解雇規制が厳しく、業務量変動への柔軟性は低い。

契約社員(有期雇用)

期間定めのある正社員。社保加入は正社員と同じで実コストは変わらないが、契約期間満了で自然退職。5年で無期転換ルール(労働契約法)適用。

アルバイト・パート

時給制の短時間労働。年収130万円・週20時間以上等で社保加入義務。同一労働同一賃金の観点で、正社員との待遇差の合理性説明が必要。

隠れコスト(採用・教育・退職金)

採用コスト(新卒・中途)

採用形態採用単価備考
新卒(大卒)50-100万円/人就職ナビ+合説+選考工数
中途(一般)50-150万円/人人材紹介30-35%+媒体費
中途(ハイクラス)200-500万円/人年収35%基準
エグゼクティブ500万円〜ヘッドハント35〜40%

教育・研修コスト

新入社員研修で1人あたり10〜30万円(外部研修+社内OJTの人件費)、管理職研修で10〜50万円/人。中途採用でも初期3ヶ月は生産性50〜70%と見積もり、月給の30〜50%相当のオンボーディングコストが発生します。

退職金・企業年金

中退共・確定給付企業年金・確定拠出年金等で給与の5〜10%を積立。10年勤続で退職金300〜500万円、30年勤続で1,000〜2,500万円が中小〜大企業の相場。

機会損失(離職リスク)

正社員の離職時、代替採用+空席期間の売上機会損失+引き継ぎコストで、離職者年収の50〜200%相当の損失が発生と試算(SHRM研究)。外注ではこのリスクは限定的です。

業務別の判断ポイント

コア業務(競争優位の源泉)

自社独自のノウハウ蓄積・機密情報が関わる業務は内製が原則。営業戦略、商品企画、コア技術開発、経営管理、顧客DB管理等。

専門性が高く需要が不安定

デザイン、動画制作、翻訳、法務、税務、ITシステム開発等は外注が定石。専門会社の稼働率マネジメントで単価がこなれ、正社員雇用より安価。

季節変動・繁閑差が大きい

繁忙期のみ増員が必要な業務は外注・派遣が柔軟。年間平均で内製化するとオフシーズンの遊休が発生。EC通販の発送・カスタマーサポート等が該当。

コンプライアンス・秘匿性

個人情報・機密情報を扱う業務は外注時のNDA・データ管理体制が重要。人事情報・M&A情報は原則内製推奨。

長期継続業務

3年以上継続確実な業務は総コスト計算で内製が有利になるケースが多い。学習効果・改善提案の蓄積も内製の強み。

スタートアップの初期段階

PMF未達成期は内製リソース固定化を避け、外注中心が定石。事業のピボット時のダメージ最小化。

インボイス制度の影響

2023年10月から開始したインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、外注コスト計算に大きく影響します。

免税事業者への外注

年間売上1,000万円以下の免税事業者(フリーランス・小規模事業者)からの請求書はインボイスにならず、発注側で仕入税額控除ができない。実質的にコスト10%増(消費税相当を発注側が負担)。

経過措置(2029年10月まで段階縮小)

期間免税事業者への支払における仕入税額控除
2023年10月〜2026年9月80%控除可能(実質2%コスト増)
2026年10月〜2029年9月50%控除可能(実質5%コスト増)
2029年10月以降控除不可(10%コスト増)

実務対応

免税事業者への外注では、①インボイス登録を依頼、②登録拒否なら実質10%(段階的)の値引き交渉、③課税事業者への発注切替、④内製化、の4選択肢を検討。値引き交渉は下請法・独禁法に配慮した「合理的な水準」に留めることが公取委ガイドラインで求められています。

こんな場面で使う

新規業務の実施方法検討

デザイン・ライティング・ITシステム開発等、新業務の実施方法を検討する際、外注と内製の月次コスト比較で意思決定を支援。

既存外注の内製化検討

長期継続の外注契約について、社員雇用による内製化が経済合理的かを試算。3年以上継続確実な業務は内製優位のケース多い。

M&A時の重複業務統合

買収先の外注業務を統合したとき、内製化(統合)か外注維持かをコスト比較で判定。PMI(統合後経営)の意思決定支援。

スタートアップの成長段階判断

初期は外注中心、事業安定後に内製化が定石。売上フェーズ別に外注/内製バランスを可視化して人員計画に活用。

フリーランス→社員雇用の提案

長期契約フリーランスに正社員転換を提案する際、双方のコスト・報酬構造を可視化して意思疎通を円滑化。

よくある間違い・注意点

  • 外注費と内製月給の単純比較 — 内製は月給の1.4〜1.8倍が実コスト(社保・賞与・退職金・福利厚生)。単純比較では内製を過小評価します。
  • 採用・教育コストの無視 — 内製化には採用コスト50〜200万円+初期の低生産性期間(3〜6ヶ月)の隠れコスト。長期継続前提でも初年度は外注のほうが安いケースが多い。
  • 離職リスクを軽視 — 正社員1名離職で年収の50〜200%相当の代替コスト+機会損失。外注はこのリスクが限定的。
  • 偽装請負のリスク認識不足 — 業務委託と称して指揮命令・時間管理を行うと偽装請負(職安法違反)。厚労省の是正勧告・罰則リスク。
  • 下請法違反(減額・支払遅延) — 資本金基準に該当すれば下請法適用。書面交付・支払期日60日以内等の義務を怠ると公取委の勧告・課徴金対象。
  • インボイス未対応の外注先 — 免税事業者への支払は仕入税額控除できず実質10%コスト増(段階的経過措置あり)。契約前に登録状況を確認。
  • 解雇規制の楽観視 — 内製化した社員を業務縮小時に減らせない(整理解雇の4要件クリア必要)。外注は契約解除で柔軟。
  • フリーランス新法(2024年11月〜)への未対応 — 個人事業主との取引に取引条件明示・60日以内支払等の義務。違反は指導対象。

関連する制度・ガイドライン

  • 下請代金支払遅延等防止法(下請法) ― 公正取引委員会・中小企業庁所管。親事業者の4義務・11禁止行為。
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法) ― 2024年11月施行。取引条件明示・60日以内支払・ハラスメント対策等。
  • 職業安定法・労働者派遣法 ― 厚生労働省所管。偽装請負規制、派遣3年ルール、同一労働同一賃金。
  • 労働契約法 ― 厚生労働省所管。無期転換ルール(有期雇用5年ルール)、整理解雇の4要件。
  • 民法(請負契約・委任契約) ― 法務省所管。業務委託契約の基本ルール。
  • 独占禁止法(優越的地位の濫用) ― 公正取引委員会所管。取引先への一方的な条件変更等の規制。
  • 消費税法(インボイス制度) ― 国税庁所管。適格請求書の記載事項・仕入税額控除ルール。
  • 個人情報保護法 ― 個人情報保護委員会所管。外注時の個人データ委託ルール。

参考文献・公的資料

外注・内製の意思決定に関わる法制度は、以下の公的機関資料を必ずご確認ください。

※本ページの計算結果は概算値です。実際のコスト・法令適用は業種・企業規模・契約内容・地域で大きく変動します。労務・契約判断は社会保険労務士・弁護士等の有資格者、および上記公的機関の最新資料を優先してください。特に下請法・偽装請負・フリーランス新法・インボイス制度は運用基準の変更が頻繁で、最新情報の確認が必須です。

よくある質問(FAQ)

福利厚生倍率1.4は妥当?

社会保険料の事業主負担+法定外福利厚生を狭義に含んだ倍率。賞与・退職金を月額換算すると1.6〜1.8倍が実務標準。長期比較なら1.6〜1.8倍で試算するとより実態に近い比較になります。

外注と内製、判断の基本は?

①コア業務は内製、非コア業務は外注、②繁閑差が大きい業務は外注、③3年以上継続確実な業務は内製化検討、④専門性が高く社内で採用困難な業務は外注、⑤機密性が高い業務は内製、が実務の基本原則です。

偽装請負とは?

形式上業務委託(請負)でも、発注者が労働者に対して直接指揮命令・時間管理を行う実態がある場合。厚労省の判断基準では、業務指示権・労働時間管理・服務規律の3要素で判断。違反は職安法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。

下請法の対象になる基準は?

資本金基準で決まります。製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の別に、親事業者・下請事業者の資本金額で線引き。例えば情報成果物作成委託では親事業者資本金5,000万円超・下請5,000万円以下等。詳細は公取委HPで確認を。

フリーランス新法(2024年11月〜)の要点は?

①取引条件明示(書面/電子)、②報酬支払期日60日以内、③受領拒否・返品・減額・買いたたき等の禁止、④育児介護等への配慮、⑤ハラスメント防止、⑥中途解除の予告義務等。違反は公取委・中企庁・厚労省の指導対象。

インボイス未登録の外注先とはどう扱う?

選択肢は4つ: ①登録を依頼、②登録拒否なら実質10%(段階的)値引き交渉、③課税事業者への発注切替、④内製化。値引き交渉は公取委ガイドラインで「合理的水準」に留めることが求められ、一方的な減額は下請法・独禁法違反リスク。

採用コストはいくら見ておく?

新卒50〜100万円、中途一般50〜150万円、中途ハイクラス200〜500万円、エグゼクティブ500万円〜。人材紹介の相場は年収の30〜35%(ハイクラスは35〜40%)。オンボーディング(教育)コストとして月給の30〜50%×3〜6ヶ月も加算。

正社員は解雇できる?

労働契約法上、整理解雇には「4要件」(人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性)を満たす必要があり、非常に厳しい。業績悪化時の減員が困難なため、内製化はダウンサイドリスクが高いことを認識して判断を。

SES(準委任契約)と派遣、どちらが有利?

SESは業務指揮を業者側リーダーが行う、派遣は受入企業が直接指揮命令。指揮命令構造で選択します。派遣は3年ルール(同一組織単位で3年上限)がある一方、SESは長期継続可能。SES指揮命令実態が受入企業側なら偽装請負リスクあり注意。

離職リスクをコストに含めるべき?

正社員1名離職で年収の50〜200%相当の代替コスト・機会損失(SHRM試算)。年収500万円の社員なら1名離職で250〜1,000万円の潜在コスト。内製化判断時はこのダウンサイドリスクも試算に含めるべきです。

コアとノンコアの分け方は?

①自社独自の付加価値の源泉か、②機密情報を扱うか、③長期継続業務か、④社内人材で対応可能か、で判断。営業戦略・商品企画・コア技術・経営管理・顧客DBはコア。総務・経理事務・IT運用・清掃・警備はノンコアの典型例です。

季節変動が大きい業務の判断は?

繁忙期のみ人員が必要な業務(EC通販の発送、税務繁忙期の経理等)は、常勤内製すると閑散期の遊休が発生。派遣・業務委託・繁忙期短期契約の組み合わせで、年間コストを最適化します。