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法人税 試算 計算ツール|中小企業の軽減税率・地方法人税・実効税率を一括算出

課税所得から法人税・地方法人税・住民税・事業税・特別法人事業税を一括試算。中小企業(資本金1億円以下)は所得800万円以下部分に軽減税率15%、超過部分に23.2%が適用されます。決算前の納税予測、期中着地見込み、赤字繰越の効果検証、税額控除の適用可否まで、国税庁・総務省の一次資料に基づき整理しています。実際の申告は税理士・国税庁e-Taxの公式書式を必ず参照してください。

最終更新:2026-08-02/監修:計算ツールズ編集部

法人税 試算計算機

計算式と税率体系

基本式

法人税額 = 課税所得 × 法人税率

中小800万円以下:15% / 800万円超部分:23.2%

法人税は各事業年度の所得金額(課税所得)に税率を掛けて算出します。企業会計上の当期純利益ではなく、法人税法に基づく別表四(所得金額の計算)で益金加算・損金不算入等を調整した所得が課税ベースです。中小企業(期末資本金1億円以下、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係にないもの)は、所得金額のうち年800万円以下の部分は軽減税率15%(令和7年3月31日までに開始する事業年度)、超過部分は本則23.2%となります。

課税所得の算出プロセス

企業会計上の税引前当期純利益を出発点に、別表四で以下の加算・減算調整を行います。

  • 益金加算 — 減価償却超過額、貸倒引当金繰入超過額、寄附金の損金算入限度超過額、交際費の損金算入限度超過額等
  • 益金不算入 — 受取配当等の益金不算入、法人税還付金、外国子会社配当の益金不算入等
  • 損金算入 — 中小法人の欠損金繰越控除、税額控除の適用等
  • 損金不算入 — 法人税・住民税、罰金・過料、寄附金限度超過額等

地方法人税の加算

地方法人税 = 法人税額 × 10.3%

2014年創設。国税として国に納付し、国から地方交付税財源として都道府県・市区町村に再配分されます。人口減少地域への財源配分平準化を目的としており、地方創生の財源として重要な位置づけになっています。

その他の付随税

法人住民税(均等割+法人税割)、法人事業税、特別法人事業税が地方に納付されます。合計した実質負担が実効税率で、資本金1億円以下の中小法人で概ね33-34%、大法人で29-30%程度が目安です。個人事業主の所得税(最高45%+住民税10%=55%)と比較すると、法人化による節税効果が数字で見えてきます。

納付期限と期別スケジュール

確定申告は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内。3月決算なら5月末までが期限で、電子申告(e-Tax)と電子納税がほぼ全社標準です。前期法人税額20万円超は事業年度開始から8ヶ月目までに中間申告・納付が必要となります。

中小企業と大企業の判定基準

法人税法上の「中小法人」判定は期末資本金額と親会社との資本関係で決まります。会社法上の中小企業・法人事業税上の外形標準課税対象とは判定軸が異なる点に注意してください。

区分判定基準軽減税率15%外形標準課税
中小法人(通常)期末資本金1億円以下かつ大法人による完全支配なし○(所得800万円以下)非適用
大法人子会社資本金5億円以上の法人による完全支配下×資本金1億円超で適用
大法人期末資本金1億円超×適用
公益法人等公益社団・財団、NPO等収益事業のみ課税(19%等)非適用

設立初年度でも判定は期末時点の資本金で行います。増資により1億円超となった場合、翌事業年度から軽減税率が使えなくなるため、増資タイミングは税務影響を試算のうえ意思決定してください。

税率早見表(令和6年度)

区分所得区分税率備考
中小法人年800万円以下15%租税特別措置42の3の2(適用期限令和9年3月末まで延長)
中小法人(所得10億円超)年800万円以下17%令和7年4月開始事業年度から
中小法人年800万円超部分23.2%本則税率
大法人全所得23.2%本則税率
公益法人・協同組合等年800万円以下15%収益事業に限る
公益法人・協同組合等年800万円超19%収益事業に限る
特定医療法人全所得19%厚労大臣認定
人格のない社団収益事業のみ15%/23.2%PTA・町内会等
地方法人税法人税額×10.3%10.3%国税(2014年創設)

過去10年の法人税率推移

年度本則税率中小軽減税率実効税率(大法人)
201425.5%15%34.62%
201523.9%15%32.11%
201623.4%15%29.97%
2018-202423.2%15%29.74%

本則税率は段階的に引下げられ、国際競争力向上を目的に大法人の実効税率は30%を切る水準まで低下しました。安倍政権期の税制改正で決定された流れが継続しています。

地方税(法人住民税・事業税)

法人住民税

都道府県民税と市町村民税の2階建て。均等割(資本金と従業員数で7万円〜380万円)と法人税割(法人税額×税率、標準税率合計7.0%、超過税率10.4%)で構成。赤字でも均等割は必ず発生します。

法人事業税

所得基準の税率は資本金1億円以下の普通法人で以下のとおり(標準税率)。

所得区分税率
年400万円以下3.5%
年400万〜800万円5.3%
年800万円超7.0%

資本金1億円超の外形標準課税法人は、所得割に加え付加価値割・資本割が課され、赤字でも一定額を負担する仕組みです。

特別法人事業税

2019年10月創設。事業税(所得割)額の37%(中小)/260%(電気・ガス供給業等)を国税として納付。

実効税率の求め方

実効税率 = 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率×(1+特別法人事業税率) ÷ (1+事業税率×(1+特別法人事業税率))

事業税は損金算入されるため、名目税率の単純合算より実質負担は低くなります。財務省・総務省の公表値では以下が目安です(令和6年度)。

区分実効税率(標準)
中小法人(所得800万円以下)約21.4%
中小法人(所得800万円超)約33.6%
大法人(外形標準課税適用)約29.7%
OECD平均(2024)約23.7%

諸外国との比較(法人実効税率)

実効税率備考
アイルランド12.5%欧州最低水準、外資誘致に成功
シンガポール17.0%アジアの金融・持株会社ハブ
英国25.0%2023年に19%→25%引上げ
米国25.6%連邦21%+州税平均
韓国27.5%累進税率適用
ドイツ29.9%営業税を含む
日本29.7%大法人・外形標準課税適用
フランス25.8%2022年に段階的引下げ完了

OECD平均を上回る水準ですが、税額控除・特別償却の充実で実効負担は下がる余地があります。国際競争力の観点から本則税率の議論は継続中です。

主な税額控除・特別償却

試験研究費税額控除

研究開発費の6-14%を法人税額から直接控除。中小法人特例で最大17%まで拡充。ソフトウェア開発の労務費・外注費も対象。

賃上げ促進税制

継続雇用者給与総額の増加率2.5%以上等で、控除率最大30%(中小)/最大35%(大法人・教育訓練上乗せ含む)。人的資本投資を促進。

中小企業投資促進税制

機械装置160万円以上等の取得で30%特別償却または7%税額控除(資本金3000万円以下)。IoT・DX投資に活用。

中小企業経営強化税制

経営力向上計画の認定後、対象設備を即時償却または10%税額控除。生産性向上・デジタル化・脱炭素などA〜D類型あり。

欠損金の繰越控除

青色申告法人は損失発生年度から10年間繰越し可能。中小法人は控除限度なし、大法人は所得の50%まで。

少額減価償却資産の特例

中小企業者(資本金1億円以下)は取得価額30万円未満を全額損金算入(合計300万円/年まで)。

DX投資促進税制

クラウド活用のデジタル基盤投資で、5%(グループ外)/3%(グループ内)税額控除または30%特別償却。認定計画必須。

カーボンニュートラル税制

脱炭素化促進計画の認定で、5-10%税額控除または50%特別償却。再エネ・省エネ設備が対象。

主な損金算入・別表加算項目

項目会計処理税務処理
役員退職金費用不相当高額部分は損金不算入
交際費(中小)費用年800万円まで全額損金
寄附金費用限度額超は損金不算入
減価償却超過額費用税務限度額まで損金
受取配当金収益益金不算入(株式保有比率で減額)
租税公課(法人税)費用損金不算入
貸倒引当金(中小)費用法定繰入率まで損金

試算が役立つ場面

期中着地予測

四半期・半期時点の損益から通期見込みを算定し、予定納税(中間申告)や資金繰り準備に活用。決算3ヶ月前には節税策の実行可能性を確認。

役員報酬の設計

役員報酬を上げると個人所得税+社会保険料が増え、下げると法人税が増える。合算最適点を試算で確認するのが定石。定期同額給与のルールに注意。

設備投資の意思決定

特別償却・税額控除の有無で税引後キャッシュフローが大きく変わる。投資回収期間の判断材料として不可欠。

M&A・組織再編

合併・分割の税務適格判定、繰越欠損金の引継可否、資産評価損の計上可能性など、実効税率を含めた総合判断が必要。

資本政策の検討

増資・自己株式取得の意思決定時、資本金1億円ライン超えによる外形標準課税・軽減税率消失の影響を数値化。

納税予測と資金繰り

決算月2ヶ月後の納付タイミングに向け、当座借越枠設定や事業用預金確保。予定納税分と合わせて年間キャッシュフロー計画。

よくある間違い・注意点

  • 会計上の利益=課税所得と勘違い — 交際費の一部損金不算入、寄附金の限度額、貸倒引当金の別表加算等の差異があります。別表四での調整必須。
  • 軽減税率を無条件に適用 — 資本金1億円以下でも大法人の完全支配下では軽減税率不適用。合弁会社・子会社化直後は特に注意。
  • 地方法人税を法人事業税と混同 — 地方法人税は国税(税率10.3%)で法人税額に加算。法人事業税は都道府県税で所得基準。別物です。
  • 均等割を赤字で計上漏れ — 法人住民税均等割は赤字でも最低7万円発生。決算書の未払法人税等に必ず反映してください。
  • 予定納税を無視した資金繰り — 前事業年度の法人税額20万円超は中間申告義務あり。半期分を6ヶ月目に納税するため、キャッシュフロー計画に組込を。
  • 税額控除の要件確認漏れ — 賃上げ促進税制は継続雇用者の要件(前期・当期在籍)を満たさないと不適用。書類保存要件も年々厳格化しています。
  • 電子申告(e-Tax)義務化を失念 — 資本金1億円超の法人はe-Tax申告が義務。書面提出は無申告扱いとなり加算税リスクあり。

関連法令・通達

  • 法人税法 ― 課税所得計算・税率・申告納付の基本法。第66条(税率)、第57条(欠損金繰越)、第52条(貸倒引当金)等。
  • 法人税法施行令 ― 減価償却の耐用年数、繰延資産の範囲、外国税額控除等の具体的規定。
  • 法人税法施行規則 ― 別表様式、記載要領、証拠書類の保存要件。
  • 租税特別措置法 ― 中小軽減税率(42条の3の2)、賃上げ促進税制(42条の12の5)、試験研究費控除(42条の4)等の特例規定。
  • 地方税法 ― 法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の課税根拠。第53条・第72条の2等。
  • 法人税基本通達 ― 国税庁が示す解釈・運用の指針。実務上の判断で頻繁に参照される。
  • 租税特別措置法通達 ― 特例規定の具体的適用方法。個別事案の判断基準。
  • 会社法 ― 資本金の変動、剰余金分配、組織再編の会社法上の効果を規定。税務適格判定と密接に関連。
  • 会社計算規則 ― 財務諸表の作成基準、剰余金の計算方法。
  • 電子申告(e-Tax) ― 国税庁の電子申告システム。資本金1億円超は義務化(平成30年度税制改正)。
  • 電子帳簿保存法 ― 帳簿・書類・電子取引データの保存要件。優良電子帳簿は35万円の過少申告加算税軽減。
  • 国税通則法 ― 申告・更正・決定・不服申立て・時効等の共通ルール。

参考文献・公的資料

法人税の最新税率、申告書式、質疑応答は必ず以下の公的機関から入手してください。税制改正は年度ごとに実施されるため、書籍情報より一次情報が優先です。

※本ページの試算値は概算です。実際の納税額は決算書別表四での調整、税額控除の適用可否、地方自治体の超過税率、期中の税制改正等で変動します。申告・納付にあたっては税理士に相談のうえ、国税庁e-Taxの最新書式・タックスアンサーを必ず参照してください。個別事案の税務判断について当編集部は責任を負いかねます。

よくある質問(FAQ)

中小企業の軽減税率15%はいつまで続く?

租税特別措置法42条の3の2により、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで適用が延長されています(令和6年度税制改正)。ただし所得10億円超の中小法人については、令和7年4月1日以後開始事業年度から軽減税率が15%→17%に引き上げられます。適用期限は税制改正で毎年見直されるため、国税庁の最新情報を確認してください。

資本金1億円ちょうどは中小企業扱い?

「期末資本金1億円以下」が中小法人の要件なので、1億円ちょうどは中小法人扱いです。1億円1円になった瞬間から大法人扱いとなり、外形標準課税・軽減税率不適用など税務影響が大きく変わります。増資の際は端数調整と適用要件を確認してください。

法人税と法人事業税は何が違う?

法人税は国税で税務署に納付。法人事業税は都道府県税で都税事務所・県税事務所に納付します。事業税は事業年度の翌期に損金算入できる(法人税との差異点)ため、実効税率の計算式で調整が入ります。地方法人税は名前が似ていますが国税(法人税額×10.3%)なので混同注意です。

赤字なら法人税はゼロ?

法人税本体はゼロですが、法人住民税の均等割は赤字でも必ず発生します。標準額で都道府県2万円+市町村5万円の合計7万円/年が最低額(資本金1000万円以下・従業員50人以下)。青色申告法人は欠損金を10年間繰越し、翌期以降の黒字と相殺できます(繰越欠損金)。

実効税率とは何か?

法人税・地方法人税・住民税・事業税・特別法人事業税の合算負担率を、事業税の損金算入効果を織り込んで示した実質税率です。中小法人で概ね33-34%、大法人で29-30%が目安。国際比較や投資意思決定でよく使われます。単純合算より低くなるのは事業税損金算入の効果です。

予定納税(中間申告)は必要か?

前事業年度の法人税額が20万円超の場合、事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に中間申告と納付が必要です。前期実績基準法(前期の半額)または仮決算法(実際の上期損益で計算)を選択可能。仮決算で赤字なら納付ゼロにできます。

青色申告と白色申告はどちらが有利?

法人はほぼすべて青色申告一択です。青色申告承認申請書を提出し帳簿要件を満たせば、欠損金10年繰越・特別償却・税額控除・貸倒引当金等の各種特典が使えます。白色申告ではこれらの特典が使えず、税務調査でも青色より不利な扱いになります。

役員報酬はどう決めるべき?

役員報酬は定期同額給与(月額固定)にすることが損金算入の原則。事業年度開始から3ヶ月以内に株主総会で決定・変更する必要があります。個人の所得税+社会保険料と法人税のトータルで最適点を試算し、事業計画に基づく設定が重要です。事後改定は原則損金不算入。

交際費は全額経費になる?

中小法人(資本金1億円以下)は年800万円まで全額損金算入可能(定額控除限度額)。または接待飲食費の50%を選択適用。大法人は接待飲食費の50%のみ損金算入。取引先1人あたり1万円以下の飲食費は交際費除外(令和6年4月から)などの特例あり。

電子申告(e-Tax)は義務?

資本金1億円超の大法人はe-Tax申告が義務化(平成30年度税制改正)。書面提出は無申告扱いで加算税リスクあり。中小法人は任意ですが、還付処理の迅速化・添付省略等のメリットが大きく、9割以上が電子申告を採用しています。マイナンバーカード・法人番号カードでの電子署名が必要です。

賃上げ促進税制の要件は?

中小企業向けは、継続雇用者(前期・当期在籍)給与総額の前期比1.5%以上増加で控除率15%(2.5%以上で30%、教育訓練費増で+10%、くるみん・えるぼし認定で+5%)、法人税額の20%が上限。要件を満たさないと1円も控除できないため、期末の給与総額シミュレーションが必須です。

設立初年度の消費税・法人税は?

資本金1000万円未満の設立初年度は原則消費税免税(適格請求書発行事業者登録で課税事業者になる場合を除く)。法人税は初年度から発生するが、開業費(繰延資産)の任意償却で調整可能。事業年度は最長1年で自由設定できるため、初年度短期化により2期目までの免税期間を延ばす戦略もあります。