計算ツール
単位工学断熱建材

熱伝導率変換計算機|W/m·K単位の素材比較・断熱材/金属/建材の完全ガイド

熱伝導率λ(W/m·K)を素材別に比較する無料電卓。ダイヤモンド2000・銀429・銅401・アルミ237・鉄80・ステンレス16の金属系から、ガラス1.0・木材0.15・水0.6・空気0.024の一般建材、グラスウール0.038・発泡ウレタン0.024・真空断熱材VIP 0.002の高性能断熱材まで40素材を瞬時比較。住宅省エネ基準(HEAT20 G1/G2/G3)、フーリエの法則Q=λ·A·ΔT/L、U値・R値換算、結露計算、床暖房設計、鍋の材質選び、電子機器の放熱設計まで、6000字級の解説と20用途100件の早見表で工学・建築・DIYの実務判断をサポートする無料ツールです。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

熱伝導率ツール

熱伝導率の定義と計算式

熱伝導率λ(ラムダ、単位:W/m·K)は、素材内部で熱がどれだけ伝わりやすいかを示す物性値です。数値が大きいほど熱を良く通し(=良導体)、小さいほど熱を通しにくい(=断熱材)。国際単位系(SI)で定義され、JIS A 1412(建築用断熱材の熱抵抗試験)、JIS R 2616(耐火物)等で測定法が規格化されています。

フーリエの熱伝導方程式

Q = λ × A × ΔT ÷ L
Q:熱流量(W)
λ:熱伝導率(W/m·K)
A:断面積(m²)
ΔT:温度差(K または °C)
L:厚さ(m)

フランスの数学者・物理学者ジョゼフ・フーリエが1822年に発表したフーリエの法則が基本式。壁の断熱性能・鍋の底の熱移動・CPUヒートシンクの設計まで、あらゆる熱設計の出発点となる普遍的な式です。

熱伝導率・熱抵抗・熱貫流率の関係

熱抵抗 R(m²·K/W) = 厚さ L(m) ÷ 熱伝導率 λ(W/m·K)
熱貫流率 U(W/m²·K) = 1 ÷ ΣR(全層の熱抵抗合計)

建築業界では素材の λ より、厚さも加味した熱抵抗 R値や、複数層の壁全体の性能を示す熱貫流率 U値を使うのが一般的。同じ λ=0.04の断熱材でも、100mm厚ならR=2.5、200mm厚ならR=5.0と2倍の断熱性能になります。

金属系素材の熱伝導率

金属は自由電子が熱を運ぶため、他の素材と桁違いに熱伝導率が高いのが特徴。銀・銅・アルミが「熱伝導3強」で、鍋・ヒートシンク・電線に多用されます。

素材熱伝導率 λ(W/m·K)用途
銀(Ag)429高級鍋、電子部品、鏡
銅(Cu)401電線、ヒートシンク、鍋
金(Au)318電子接点、宝飾
アルミニウム(Al)237サッシ、鍋、ヒートシンク
マグネシウム(Mg)156軽合金、航空機部品
亜鉛(Zn)116メッキ、電池
鉄(Fe・純鉄)80建材、機械部品
炭素鋼(軟鋼)50建築鋼材、H鋼
チタン(Ti)22航空機、医療インプラント
ステンレス(SUS304)16キッチン、建材、外装
鉛(Pb)35放射線遮蔽、ハンダ

意外なのがステンレスの低さ(16 W/m·K)。鉄の1/5、銅の1/25で、鍋にすると底が焦げやすい。対策として業務用ステンレス鍋は底に銅・アルミを挟んだ3層構造(クラッド)を採用しています。

建材・住宅素材の熱伝導率

建築材料は熱伝導率が金属より2〜3桁小さく、家の断熱性能を左右します。ガラス・コンクリート・木材・タイルの数値を把握しておくと、リフォーム・新築時の判断が的確になります。

素材熱伝導率 λ(W/m·K)備考
ダイヤモンド1000〜2000非金属で最高、CPU冷却研究
大理石2.8ひんやり感の正体
花崗岩2.0〜3.5石材
コンクリート(普通)1.5〜1.6躯体、基礎
タイル(磁器)1.3床・水回り
ガラス(普通板)1.0窓、瓶
ALC(軽量気泡コン)0.19外壁材、へーベルハウス
石膏ボード0.22室内壁、天井
木材(杉・松)0.10〜0.15木造住宅の柱
木材(ヒノキ・ケヤキ)0.12〜0.19硬木ほど λ 大
合板(12mm)0.15下地材、家具
0.11床材、断熱性あり
紙(新聞・段ボール)0.05〜0.09非常時の簡易断熱

意外な高熱伝導・低熱伝導

  • 大理石2.8:木の20倍。だから冬に触ると「ひんやり」感じる。実際の温度は室温と同じでも、体温を素早く奪うため冷たく感じる。
  • 木材0.12:金属の1/2000。だから木造家屋は鉄骨・RC造より暖かく感じる。
  • 水0.60:氷2.2の1/4。凍ると熱伝導が良くなる(水分子の配列が変化)。冷凍食品が「ひんやり感じない」のは氷の熱伝導が高いから。

断熱材の性能比較

住宅・工場・冷凍設備で使う断熱材のλは0.02〜0.05 W/m·Kが中心。数値が小さいほど高性能で、同じ厚さでも大きな断熱効果を発揮します。近年は真空断熱材(VIP)で0.002まで達成しています。

断熱材λ(W/m·K)特徴・用途
真空断熱材(VIP)0.002〜0.008冷蔵庫、宇宙服、高性能住宅
硬質ウレタンフォーム0.023〜0.028吹付断熱、パネル
フェノールフォーム0.019〜0.022ネオマフォーム、最高クラス
発泡スチロール(EPS)0.037〜0.043ミラフォーム、住宅外皮
押出法発泡ポリスチレン(XPS)0.028〜0.034スタイロフォーム
ロックウール0.036〜0.045耐火性重視、工場
グラスウール(16K相当)0.038〜0.045最普及、コスパ良
グラスウール(24K高性能)0.034〜0.036高断熱住宅
セルロースファイバー0.038〜0.040調湿性あり、新聞紙由来
羊毛断熱材0.036〜0.040自然素材、エコハウス
木質繊維ボード0.040〜0.050ヨーロッパで人気
コルクボード0.042〜0.045デザイン、床

グラスウール16K・厚さ100mmと、フェノールフォーム50mmはほぼ同等の断熱性能(熱抵抗R≒2.5)。壁厚を薄くしたい都心の狭小住宅ではフェノール・ウレタン、コスト重視の郊外ではグラスウール、と使い分けます。

U値・R値・熱貫流率

基本の関係式

R値 = 厚さ ÷ λ(単一層)
ΣR = R1 + R2 + R3 + ...(多層壁)
U値 = 1 ÷ ΣR
Q値(住宅全体の熱損失) = 各部位のU×面積の合計 ÷ 延床面積

窓の熱貫流率(U値)

窓の種類U値(W/m²·K)備考
アルミサッシ+単板ガラス6.51980年代標準、旧基準
アルミサッシ+ペアガラス4.71990年代標準
アルミ樹脂複合+Low-Eペア2.3〜3.5現行の標準
樹脂サッシ+Low-Eペア1.7〜2.3寒冷地HEAT20 G1相当
樹脂サッシ+Low-Eトリプル0.9〜1.4HEAT20 G2/G3、北海道標準
木製サッシ+Low-Eトリプル0.7〜1.0スウェーデン基準相当

戸建て住宅の熱損失の約50%は窓から。壁を厚い断熱材にしても、窓が単板ガラスなら効果は半減します。窓のU値改善が住宅省エネの最優先事項です。

住宅省エネ基準(HEAT20)

住宅の断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)の基準は、国交省の省エネ基準と、民間団体HEAT20(一般社団法人 20年先を見据えた住宅シナリオ)の2系統。HEAT20の方が高い性能を要求します。

基準UA値(4-7地域)UA値(1-3地域寒冷地)年間暖冷房費目安
1980年基準(旧)1.541.0225〜35万円
1992年新基準1.250.7220〜30万円
1999年次世代省エネ0.870.4615〜20万円
2013年省エネ基準0.870.4615〜20万円
2025年改正基準(義務化)0.870.4615〜20万円
ZEH基準0.600.4010〜15万円+太陽光
HEAT20 G10.560.3410〜15万円
HEAT20 G20.460.287〜10万円
HEAT20 G30.260.203〜7万円(欧州標準)

2025年4月から改正省エネ基準が新築住宅の適合義務化。ただしUA=0.87は世界標準では中程度で、ドイツ・北欧の高断熱住宅(U=0.15相当)と比較すると日本の基準はまだ低水準です。

結露と断熱の関係

結露は空気中の水蒸気が「露点温度」以下の面で液化する現象。断熱不足→表面温度低下→結露発生→カビ→健康被害という連鎖を断つには、素材のλを正しく選ぶことが重要です。

露点温度の目安(室温20°C)

室内湿度露点温度結露リスク
30%(乾燥)1.9°C
40%6.0°C低〜中
50%(快適標準)9.3°C
60%12.0°C中〜高
70%14.4°C
80%(浴室・キッチン)16.4°C非常に高

アルミサッシ(λ=237、単板ガラスU=6.5)は外気0°Cで内側5°C以下となり、湿度50%でも即結露。樹脂サッシ+Low-Eペア(U=2.0)なら内側13°C以上を保ち、結露リスクが激減します。

用途別の材質選定

🍳 鍋・フライパン

熱伝導:銅401>アルミ237>鉄80>ステンレス16。プロは銅鍋(熱回りが良い)、家庭は3層クラッド(ステン+アルミ+ステン)。IHでは鉄・ステンレスが必須。

🏠 住宅の断熱材

コスパ:グラスウール16K(λ=0.038)+ 100mm厚。高性能:フェノールフォーム(λ=0.020)+ 50mm厚で同等以上。狭小住宅は厚み削減できる高性能材が有利。

🌡️ 床暖房

フローリング材のλが低いと熱が伝わりにくい。床暖房対応フローリングは特殊構造で熱伝導を上げている。畳は熱を通しにくいので床暖房と相性悪い。

💻 CPU・電子機器

ヒートシンクは銅(401)が最高、次にアルミ(237)。銀ペースト(グリス)λ=8で接触抵抗を減らす。高性能PCではダイヤモンド粒子入りグリス(λ=15)も登場。

🧊 冷凍・冷蔵設備

冷凍倉庫の壁はウレタンパネル150mm厚が標準。家庭用冷蔵庫は真空断熱材VIP(λ=0.005)を薄く挟むことで、庫内容積を最大化。

👕 衣類・寝具

羽毛(λ=0.02)・ウール(λ=0.04)は空気を含むため断熱性が高い。ダウンジャケットが暖かいのは羽毛のふくらみ=空気層を作っているから。

よくある間違い・注意点

  • λが低い=良い、と一概に言えない — 鍋・ヒートシンクなど「熱を伝えたい用途」ではλが高い方が良い。断熱材や衣類など「熱を遮りたい用途」ではλが低い方が良い。用途で正逆が変わります。
  • 断熱材の性能を「λだけ」で判断する誤り — 実際の性能はλ×厚み(=熱抵抗R)で決まります。λ=0.038のグラスウール200mmは、λ=0.020のフェノール100mmと同等の断熱性能。単価とセットで比較を。
  • ステンレス鍋の底が焦げる原因 — ステンレスのλは鉄の1/5・銅の1/25と低いため、局所加熱で温度ムラが起きやすい。3層クラッド(銅・アルミ挟み)や厚底構造で対策された商品を選んでください。
  • アルミサッシは結露しやすい — アルミのλ=237で室内側が外気温に近づくため、湿度50%でも簡単に結露します。樹脂サッシ・木製サッシへの交換で結露は劇的に減ります。
  • 断熱材の湿気による性能低下 — グラスウールは水を吸うとλが2〜3倍に悪化。防湿シート・気密施工が必須。DIYで断熱材を追加する際は湿気管理を怠らないでください。
  • 床暖房と畳の相性 — 畳(λ=0.11)は断熱材寄りで、床暖房の熱が伝わりにくい。畳の下に薄い床暖房パネルを敷いても効きが悪く、フローリング化が現実的です。
  • 省エネ基準を「UA値の数字だけ」で判断 — UA値は外皮性能の平均値。実際の快適さは気密性能C値(1.0以下推奨)、換気計画、日射取得も影響します。数値だけでなく設計の総合力で判断を。

参考文献・公的資料(発リンク)

熱伝導率・断熱・住宅省エネ基準については、以下の公的機関・専門団体の一次資料を参照してください。

※本ページの熱伝導率数値は代表値であり、実際の性能は温度・密度・湿度・製造ロットで変動します。住宅の断熱設計・断熱材選定・省エネ基準適合等の正式な場面では、一級建築士・建築設備士・省エネ計算プログラム(BEST・SMASH等)による計算と、上記公的資料の最新値を優先してください。特に湿気による性能低下、界面熱抵抗、経年劣化については専門家の判断が不可欠です。

よくある質問(FAQ)

銅と鉄の熱伝導率の差は?

銅401 W/m·K vs 鉄80 W/m·K で約5倍の差。同じ厚み・面積で、銅は鉄の5倍のスピードで熱を伝えます。銅鍋の熱回りが良い、電線に銅を使う理由はこの高い熱伝導率(と電気伝導率)です。ステンレスに至っては16 W/m·Kと鉄の1/5で、料理では熱ムラの原因になります。

断熱材の選び方は?

λが0.04 W/m·K以下が住宅用断熱材の基準ライン。コスパ重視ならグラスウール16K(λ=0.038)+ 100mm厚、薄く高性能にしたいならフェノールフォーム(λ=0.020)+ 50mm厚で同等以上。壁厚・予算・耐火性・調湿性で選択が変わります。冷蔵庫用途では真空断熱材VIP(λ=0.005)が現行最高峰です。

ダイヤモンドが熱を良く通すのはなぜ?

ダイヤモンドのλ=1000〜2000 W/m·Kで銅の2〜5倍、非金属で唯一の超高熱伝導体。理由は炭素原子の共有結合ネットワークによる強固な格子振動(フォノン)の伝達。半導体レーザーやCPU用ヒートスプレッダーとして研究されており、次世代電子機器の冷却材として期待されています。

ステンレス鍋が焦げやすい理由は?

ステンレスのλは16 W/m·Kで鉄の1/5・銅の1/25。熱が広がらず加熱点だけ高温になるため、油や食材が焦げやすい。3層クラッド構造(ステン・アルミ・ステン)や5層構造で銅・アルミの高熱伝導層を挟むと解決。ティファール・全面クラッド鍋を選ぶと均一加熱が得られます。

木造住宅は本当に暖かい?

木材のλは0.10〜0.15 W/m·Kで、鉄骨(λ=50)の300分の1、コンクリート(λ=1.6)の10分の1。同じ厚みなら木材は圧倒的に断熱性能が高く、木造住宅は鉄骨造・RC造より暖かいのは事実です。ただし現代の高気密高断熱住宅ではRC造でも断熱材で対策すれば同等以上に。素材だけでなく気密・断熱の総合設計で決まります。

アルミサッシと樹脂サッシの差は?

アルミのλ=237、樹脂(PVC)のλ=0.17と約1400倍の差。同じガラスでもサッシの材質で熱貫流率U値が3倍以上変わります。アルミサッシ+単板ガラス(U=6.5)は結露多発、樹脂サッシ+Low-Eトリプル(U=1.0)は結露ゼロ・暖房費60%減も可能。窓リフォームは省エネ効果が最も大きい投資の一つです。

水と氷でλが違うのはなぜ?

水のλ=0.60、氷のλ=2.2で氷の方が約3.7倍熱伝導が高い。理由は凍ることで水分子が規則正しい結晶格子を形成し、格子振動が伝わりやすくなるため。だから冷凍食品は口に入れた瞬間に「冷たい!」と感じやすく、水よりも氷の方が体温を素早く奪います。

HEAT20 G2とG3の違いは?

HEAT20 G2はUA=0.46(4-7地域)で年間暖冷房費7-10万円、G3はUA=0.26で3-7万円と約半分の光熱費。G3は欧州標準レベルで、樹脂サッシ+Low-Eトリプル、壁200mm・屋根300mm断熱、C値0.3以下の気密性が必要。建築コストはG2で+150万円、G3で+300万円が目安ですが、光熱費削減で20年で回収可能です。

断熱材が水を吸うとどうなる?

グラスウール・ロックウール等の繊維系断熱材は水を吸うとλが2〜3倍に悪化し、断熱性能が激減します。原因は空気層(λ=0.024)が水(λ=0.6)に置換されるため。防湿シート・気密施工が必須で、雨漏り・結露で濡れた場合は交換が必要。フェノール・ウレタン等の発泡系は吸水性が低く、湿気に強い特徴があります。

床暖房に向く床材は?

タイル(λ=1.3)>床暖房対応フローリング(λ=0.3)>畳(λ=0.11)の順で熱を伝えます。タイルは即温まるが冷えるのも早い、フローリングはバランス型、畳は熱が伝わりにくく床暖房には不向き。無垢材フローリングも収縮するため床暖房対応品を選ぶ必要があります。

電子機器のヒートシンクは何が良い?

ヒートシンクは銅(λ=401)>アルミ(λ=237)の順で高性能。ただし銅は重く高価なため、多くはアルミ製。高性能PCでは銅ベース+アルミフィンのハイブリッド。CPUとヒートシンクの間には熱伝導グリス(λ=1〜15)を塗布し、微小な隙間の熱抵抗を減らすのが定番です。

真空断熱材(VIP)とは?

Vacuum Insulation Panelの略。芯材(シリカ・グラスウール)を真空パックした断熱パネルで、λ=0.002〜0.008 W/m·Kと従来断熱材の10〜20倍の性能。厚さ10mmでグラスウール100mm相当。冷蔵庫の壁、宇宙服、超高性能住宅で使用。難点は真空破れで性能激減する点と、価格がグラスウールの10倍以上する点です。