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単位化学元素分析化学

原子量・モル計算機|元素のmol⇔g・分子量・アボガドロ数の完全解説

原子量からmol⇔gを相互計算する無料電卓。水素・炭素・窒素・酸素・鉄・金など主要40元素の原子量、アボガドロ数、分子量、化学反応の量的計算、電子数計算まで対応。研究開発・分析化学・製薬・化学工業・教育現場で頻用される化学の基本量を、IUPAC標準原子量2021・JIS K 0050など公的規格に照らして解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

原子量・モル計算機

計算式と単位系

基本式

質量 m (g) = 物質量 n (mol) × モル質量 M (g/mol)
物質量 n (mol) = 質量 m (g) ÷ モル質量 M (g/mol)
粒子数 N = n × Nₐ = n × 6.02214076×10²³

モル(mol)は物質量のSI基本単位で、2019年5月の国際単位系(SI)基本単位再定義以降、アボガドロ数 Nₐ = 6.02214076×10²³ を厳密値と定義した個数単位となりました。原子量は12C(炭素12)を基準としたその元素の相対質量を表す無次元量で、モル質量はその元素1 molの質量(g/mol単位)を意味します。

単位の整理

1 mol = 6.02214076×10²³個(アボガドロ数、SI基本単位定義)。1 mol の炭素¹²C = 正確に 12.000 g、水素¹H ≒ 1.008 g、酸素¹⁶O ≒ 15.999 g。原子量は無次元、モル質量は g/mol 単位を持つ物理量として区別されます。

関連する派生指標

モル計算の派生として モル濃度(mol/L)質量モル濃度(mol/kg)モル分率(無次元)モル体積(気体22.4 L/mol at STP)があります。詳細はモル計算濃度計算希釈計算ページを参照してください。

原子量・分子量・式量の違い

混同されやすい3つの化学量を整理します。

項目原子量分子量式量
対象単一元素の原子共有結合の分子イオン結晶・金属
単位無次元無次元無次元
計算IUPAC標準値構成原子の原子量合計組成式の原子量合計
H=1.008、C=12.011H₂O=18.02、CO₂=44.01NaCl=58.44、CaCO₃=100.09
モル質量その元素g/molその分子g/molその組成式g/mol
実務用元素分析有機化学・気体無機塩・鉱物

厳密には3者は明確に区別しますが、モル質量として扱う場合はいずれも g/mol 単位となり、質量↔物質量の変換式は同一です。学術論文・技術文書ではいずれを指すか(原子量/分子量/式量)を明示することが求められます。

主要元素の原子量早見表(IUPAC 2021版)

IUPAC(国際純正・応用化学連合)が2021年に公表した標準原子量に基づく主要元素の原子量です。実務ではおよそ小数点第2〜3位まで使用します。

元素記号元素名原子量実務用途
H水素1.008水・有機化合物・燃料電池
Heヘリウム4.003気球・冷却・分析キャリア
Liリチウム6.94リチウム電池・医薬品
Bホウ素10.81ガラス添加・半導体ドーパント
C炭素12.011有機化合物・鋼材・CO₂計算
N窒素14.007アンモニア・肥料・タンパク質
O酸素15.999水・空気・酸化物
Fフッ素18.998フッ化物・冷媒・虫歯予防
Neネオン20.180ネオン管・低温冷媒
Naナトリウム22.990NaCl・NaOH・電解
Mgマグネシウム24.305合金・海水・葉緑素
Alアルミニウム26.982建材・箔・電線
Siケイ素28.085半導体・ガラス・岩石
Pリン30.974肥料・洗剤・DNA
S硫黄32.06硫酸・ゴム加硫・化石燃料
Cl塩素35.45NaCl・塩酸・水道消毒
Kカリウム39.098肥料・電解質・KOH
Caカルシウム40.078骨・石灰石・セメント
Tiチタン47.867航空機・医療・顔料
Crクロム51.996ステンレス・めっき
Mnマンガン54.938鋼添加・電池
Fe55.845鋼材・ヘモグロビン
Niニッケル58.693ステンレス・電池
Cu63.546電線・熱交換器
Zn亜鉛65.38めっき・電池電極
Br臭素79.904難燃剤・医薬品
Ag107.868装飾・電子接点・触媒
Snスズ118.710はんだ・食缶
Iヨウ素126.904医薬・消毒・造影剤
Baバリウム137.327造影剤・磁石
Pt白金195.084触媒・電極・装飾
Au196.967装飾・電子接点
Hg水銀200.592気圧計・血圧計(廃止方向)
Pb207.2放射線遮蔽・鉛蓄電池
Uウラン238.029原子燃料・遮蔽材

よく使う分子量早見表

実務で頻用する分子・化合物の分子量(式量)です。有機合成・分析化学・水処理・製薬の量的計算で参照します。

化合物化学式分子量(g/mol)主要用途
H₂O18.02溶媒・生体
二酸化炭素CO₂44.01温室効果ガス・炭酸
アンモニアNH₃17.03肥料原料・冷媒
メタンCH₄16.04都市ガス・温室効果
エタノールC₂H₆O46.07消毒・飲料・燃料
グルコースC₆H₁₂O₆180.16糖・血糖・輸液
塩化ナトリウムNaCl58.44食塩・生理食塩水
水酸化ナトリウムNaOH39.997強塩基・洗浄
塩酸HCl36.46強酸・pH調整
硫酸H₂SO₄98.08強酸・電解液
硝酸HNO₃63.01強酸・エッチング
炭酸カルシウムCaCO₃100.09石灰石・チョーク
炭酸水素ナトリウムNaHCO₃84.01重曹・膨張剤
硝酸カリウムKNO₃101.10肥料・火薬原料
硫酸銅(II)五水和物CuSO₄·5H₂O249.68殺菌・農薬
アセトンC₃H₆O58.08溶剤・化粧品
ベンゼンC₆H₆78.11有機合成原料
酢酸CH₃COOH60.05食酢・化学原料

アボガドロ数と物質量の関係

アボガドロ数 Nₐ = 6.02214076×10²³ /mol は、2019年5月20日のSI基本単位再定義以降、実験値から厳密な定数へ格上げされました。従来「炭素12を12gとするときの原子数」と定義されていたモルの定義は、「アボガドロ数個の要素粒子を含む物質量」に改められました。

物質量から粒子数への計算例

  • 水1 mol = 18.02 g、分子数 = 6.02×10²³ 個
  • 水18 gに含まれる水素原子 = 12.04×10²³ 個(H₂Oに2個)
  • 18 gの水に含まれる電子 = 6.02×10²³ × 10 = 60.2×10²³ 個
  • 金1 g中の原子数 = 1 / 196.967 × 6.02×10²³ ≒ 3.06×10²¹ 個

気体のモル体積

理想気体は0℃・1気圧(STP)で1 mol = 22.4 Lを占めます(NTP 25℃・1気圧では24.5 L)。実在気体もほぼこの値に近いため、気体の質量↔体積計算の基本値として重宝します。詳細は気体状態方程式を参照。

化学反応の量的計算

化学反応式の係数比はモル比を意味するため、原子量とモルの計算は化学量論(ストイキオメトリー)の基本です。

実例:メタンの燃焼

CH₄ + 2 O₂ → CO₂ + 2 H₂O

メタン16.04 g(1 mol)を完全燃焼すると、酸素64.00 g(2 mol)を消費し、二酸化炭素44.01 g(1 mol)と水36.03 g(2 mol)を生成します。都市ガス消費量からCO₂排出量を換算する際の基本式で、環境省の温室効果ガス排出量算定にも用いられます。

実例:塩酸と水酸化ナトリウムの中和

HCl + NaOH → NaCl + H₂O

0.1 mol/L塩酸100 mLを中和するには、0.1 mol/L NaOH水溶液が100 mL必要(等モル)。実験室・水処理施設・pH調整の基本計算で、労働安全衛生法の毒物劇物取扱指針でも参照されます。

実例:鉄の酸化(鉄鋼工業)

4 Fe + 3 O₂ → 2 Fe₂O₃

鉄鉱石(赤鉄鉱 Fe₂O₃、式量159.69)1トンから鉄111.7 kg × 2/3 = 700 kg理論値。実際は還元剤(コークス)反応と歩留まりから約650 kgが目安。JFE・日本製鉄の高炉収支計算の基礎です。

業界での応用

🧪 分析化学・研究開発

液クロ(HPLC)・ガスクロ(GC)・質量分析(MS)の標準物質調製で、目的濃度から必要試薬mg量を原子量・分子量で逆算。JIS K 0050(化学分析方法通則)、JIS K 0121(原子吸光分析通則)等で試薬濃度の表記法も規定。

💊 製薬・医薬品開発

有効成分含量の設計・製造・品質管理でモル換算が必須。日本薬局方(第18改正)は有効成分の含量規格を質量%とモル基準で規定。原料仕込み計算、収率算出、不純物プロファイリングでもモル基準の計算が中心。

🏭 化学工業・プラント設計

反応器の物質収支、蒸留塔の分離設計、熱交換器の熱負荷計算で、供給量↔生成量をモル基準で追跡。プラント制御(DCS)の主要変数はモル流量。石油化学(ナフサクラッキング)、アンモニア合成、メタノール製造の設計基本。

🌱 環境・水処理

下水処理場のBOD/COD計算、大気環境のNOx/SOx排出量算定、CO₂換算(炭素1 mol=CO₂ 44 g)で温室効果ガス計算。環境省の温室効果ガス排出量算定ガイドラインは全てモル基準。GHGプロトコル・ISO 14064でも同じ。

🎓 教育・化学教育

高校化学・大学一般化学の中心概念。物質量(mol)は日本の化学教育で最も理解に時間を要する概念とされ、高校化学基礎・化学の教科書全社で最重要単元。文部科学省学習指導要領で扱いが規定。

🔬 半導体・電子材料

シリコンウェハのドーパント濃度(ホウ素・リン)計算、CVD装置の反応ガス供給量、エッチング液の消費量算定。国際半導体技術ロードマップ(IRDS)、SEMI規格でも物質量表記が標準。

よくある間違い・注意点

  • 原子量と質量数を混同 — 原子量は同位体存在比を考慮した平均値(例:Cl=35.45)、質量数は特定同位体の核子数(³⁵Cl=35)。試薬計算では必ずIUPAC標準原子量を使用してください。
  • 「1 mol = 12 g」の誤解 — これは炭素¹²Cのみの関係。他元素・分子はそれぞれのモル質量に従う(H₂O=18 g/mol、CO₂=44 g/mol)。元素・化合物ごとに換算が必要です。
  • 分子量と式量の混用 — 分子量は共有結合分子(H₂O、CO₂)、式量はイオン結晶(NaCl、CaCO₃)・金属に用いる用語。学術論文では厳密に使い分けます。
  • 気体のモル体積を22.4 L固定と誤認 — 22.4 L/molは0℃・1気圧(STP)の値。25℃・1気圧(NTP)は24.5 L、温度・圧力で変化。気体の状態方程式PV=nRT で厳密計算が必須です。
  • 水和物の質量計算漏れ — CuSO₄·5H₂O(249.68)とCuSO₄(159.61)は分子量が大きく異なる。水和物か無水物か試薬瓶を必ず確認、間違えると濃度計算で36%の誤差になります。
  • アボガドロ数を6.02×10²³で近似 — 教科書レベルは可だが、SI再定義後は 6.02214076×10²³ が厳密値。校正証明書付き分析や国家標準関連の計算では厳密値を使用してください。
  • 同位体標識試薬の分子量計算 — ¹³C・²H(D)・¹⁸O等の標識体は分子量が異なる。¹³C₆-グルコース は 186 g/mol(通常180)。薬物動態研究・代謝研究で必須の補正です。

関連する規格・法令

  • IUPAC 標準原子量 2021版 ― 国際純正・応用化学連合が公表する元素の標準原子量。原子量委員会(CIAAW)が2年おきに改訂。実務・学術・工業計算の国際標準。
  • JIS K 0050 ― 化学分析方法通則。日本国内における化学分析の共通ルール。試薬濃度・調製法・純度表記の基準。
  • JIS K 0121 ― 原子吸光分析通則。金属元素の定量分析における標準物質調製・計算方法。
  • JIS K 0116 ― 発光分光分析通則。ICP-OES・ICP-MS等の元素分析の共通規格。
  • 日本薬局方 第18改正 ― 医薬品の含量・純度・不純物の規格。有効成分のモル数計算・濃度基準に準拠。
  • SI基本単位再定義(2019年5月20日) ― モルはアボガドロ数を厳密値(6.02214076×10²³)として定義。国際度量衡総会(CGPM)の第26回会議決議。
  • 環境省 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 ― CO₂・CH₄・N₂O等のモル計算に基づく排出係数を規定。地球温暖化対策推進法に基づく法定計算。
  • ISO 6142(標準ガス調製法) ― 標準ガスの重量法による調製で、モル分率と質量分率の厳密な換算方法を規定。

参考文献・公的資料

より正確な原子量データや詳細な化学量論計算を確認したい場合は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページの計算結果および原子量データは概算値です。公式報告・薬事申請・国家標準関連の計算に用いる場合は、上記IUPAC最新版原子量および認証標準物質(CRM)による校正済み測定器での実測結果を優先してください。特に薬事・環境法規対応が必要な用途では、有資格者(化学分析技術者・薬剤師・環境計量士等)の判断を仰いでください。

よくある質問(FAQ)

1モルって何個?

6.02214076×10²³個(アボガドロ数)。2019年5月のSI基本単位再定義以降、実験値ではなく厳密値として定義されました。教科書レベルでは 6.02×10²³ で近似することも多くあります。

水H₂Oの分子量は?

18.02 g/mol(H×2 + O = 1.008×2 + 15.999)。実務では 18 g/mol で近似。水18 gには 6.02×10²³ 個の水分子、12.04×10²³ 個の水素原子、6.02×10²³ 個の酸素原子が含まれます。

原子量と質量数の違いは?

原子量は自然界の同位体存在比を考慮した平均値(例:Cl = 35.45)。質量数は特定同位体の陽子+中性子の数(例:³⁵Cl = 35、³⁷Cl = 37)。試薬計算では原子量を使用します。

気体1 molは何L?

標準状態(STP、0℃・1気圧)で22.4 L、NTP(25℃・1気圧)で24.5 L。気体の状態方程式 PV = nRT (R = 8.314 J/mol/K)から任意条件で計算可能。実在気体もほぼこの値に近似します。

硫酸H₂SO₄1 molは何g?

98.08 g/mol(H×2 + S + O×4 = 1.008×2 + 32.06 + 15.999×4)。市販の濃硫酸(98%、比重1.84)では、1 Lに約1840 g × 0.98 = 1803 g、これは 18.4 mol に相当します。バッテリー電解液の希硫酸(1.28)は約4.5 mol/Lです。

NaCl(塩化ナトリウム)1 molは何g?

58.44 g/mol(Na + Cl = 22.990 + 35.45)。生理食塩水(0.9%)は水100 gに0.9 g、これは0.154 mol/Lに相当。輸液・電気泳動・分析化学の基本濃度です。

1 gの金は何個の原子?

金の原子量は196.967なので、1 g ÷ 196.967 × 6.02×10²³ = 約3.06×10²¹ 個。原子1個の質量は 3.27×10⁻²² g で、1 mgの金でも 3.06×10¹⁸ 個の原子を含みます。

水和物と無水物、モル計算の違いは?

水和物は結晶水を含み分子量が異なります。CuSO₄·5H₂O = 249.68 g/mol、CuSO₄(無水物)= 159.61 g/mol。試薬瓶ラベルの表記を必ず確認、水和物と無水物を間違えると36%の濃度誤差になります。

モル濃度(mol/L)と質量パーセント濃度の違いは?

モル濃度は溶液1Lあたりの溶質mol数、質量パーセント濃度は溶液100 gあたりの溶質g数。溶液の比重を使えば相互換算可能。詳細は濃度計算ツールを参照。

CO₂排出量の計算方法は?

炭素1 mol(12 g)が完全燃焼するとCO₂ 1 mol(44 g)を生成。この44/12倍という比が排出係数の骨格です。実務で使う公式値はガソリン1 LでCO₂約2.29 kg(算定省令 別表第一:33.4 GJ/kL × 0.0187 t-C/GJ × 44/12)。都市ガス1 m³(メタン主体)では約2.05 kg(環境省・経済産業省が公表する代替値)。

同位体標識体の分子量計算は?

¹³C(質量数13)、²H(D、質量数2)、¹⁸O(質量数18)等の標識体は分子量が異なります。¹³C₆-グルコース = 186 g/mol(通常180)、D₂O(重水) = 20.03 g/mol(通常18.02)。薬物動態試験・代謝研究で必須の補正です。

電子1 molの質量は?

電子1個の質量は 9.109×10⁻²⁸ g、これに Nₐ = 6.02×10²³ をかけると 約 5.485×10⁻⁴ g/mol = 0.5485 mg/mol。電気化学(ファラデー定数 96,485 C/mol)と併せて電気分解の計算基礎になります。