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スポット溶接ナゲット打点ピッチ板金

スポット溶接の打点数とピッチの計算

板厚・材質・継手の長さから、スポット溶接のナゲット径・最小ピッチ・打点数・加圧力と電流を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

スポット溶接の打点数とピッチの計算ツール

ナゲット径は係数×板厚の平方根で、板厚1.0mm・係数5では5.0mmです。最小ピッチは板厚の15倍とナゲット径の2.5倍の大きいほうを採り15.0mm。端末距離をナゲット径の1.5倍=7.5mmとすると、継手300mmで使える範囲は285mmとなり、打点数は285÷15+1=20点になります。必要な最小フランジ幅はナゲット径の2.5倍に2mmを足した14.5mmで、指定の16mmなら1.5mmの余裕があります。加圧力は2.40kN、電流は8.5kAが目安です。

板厚とスポット溶接条件の目安(冷延鋼板・2枚重ね)

板厚ナゲット径最小ピッチ加圧力電流
0.6 mm3.9 mm9.7 mm1.3 kN6.6 kA
0.8 mm4.5 mm12.0 mm1.8 kN7.6 kA
1.0 mm5.0 mm15.0 mm2.4 kN8.5 kA
1.6 mm6.3 mm24.0 mm4.2 kN10.8 kA
2.3 mm7.6 mm34.5 mm6.5 kN12.9 kA

材質による条件の違い

材質加圧力の係数電流の係数注意点
冷延鋼板 SPCC1.01.0基準となる材質です
高張力鋼板 590MPa級1.40.95加圧力の確保が要点になります
ステンレス SUS3041.50.65電気抵抗が高く低い電流で溶けます
アルミ合金2.23.0大電流と短時間の通電が要ります

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

スポット溶接の打点数とピッチの計算の詳しい解説

ナゲット径が板厚の平方根に比例するのは、接合部の強度が溶けた部分の断面積で決まり、必要な断面積が板厚に比例して増えるためです。面積は径の2乗なので、径は板厚の平方根に比例します。実務では板厚の平方根の4倍から5倍が目安とされ、5倍を確保できていれば母材が先に破断するプラグ破断の形になります。逆に4倍を下回ると、ナゲットの界面ではがれる界面破断が起きやすく、強度が安定しません。

判断が分かれるのは打点ピッチの詰め方です。ピッチが近いと、すでに打った点に電流が分かれて流れる分流が起き、狙った位置のナゲットが小さくなります。この影響は板厚が厚いほど大きく、板厚の10倍程度までは分流が無視できない領域とされます。強度を稼ぐために点数を増やしたつもりが、分流で1点ごとの品質が落ち、全体では強度が上がらないこともあります。分流を織り込んで電流を上げる方法もありますが、散りの発生と電極の摩耗が早まります。

見落とされやすいのはフランジ幅と端末距離です。電極が板の端に近すぎると、溶融金属が端から吹き出す散りが発生し、ナゲットが形成されません。ナゲット径の2.5倍程度のフランジ幅と、端からナゲット径の1.5倍程度の距離が目安になります。板金の展開図を描く段階でこの幅を確保していないと、後から打点位置を動かせず設計変更になります。電極先端径もフランジ幅の制約を受け、細い電極では加圧が集中して圧痕が深くなります。

材質によって条件は大きく変わります。ステンレスは電気抵抗が高く熱伝導が低いため、鋼板より小さい電流で溶けますが、加圧力は高めにする必要があります。アルミは逆に電気抵抗が低く熱伝導が高いので、鋼板の3倍前後の大電流を短時間で流します。高張力鋼板は加圧力を確保しないと隙間が残り、散りが出やすくなります。いずれの材質でも、電極の先端形状は打点ごとに摩耗するため、定期的な先端の整形と、破壊試験や超音波による品質確認を組み合わせた管理が前提になります。打点位置の設計では、荷重の伝わり方も考慮が要ります。力が集中する端部の打点は他より強度を要求されるため、そこだけピッチを詰めるか、ナゲット径を大きくする条件を別に設定する方法が採られます。均等配置が常に最適とは限りません。

業界・現場での使い方

板金の設計

フランジ幅と打点位置を決め、展開図に反映します。

溶接条件の初期設定

板厚と材質から電流と加圧力の出発点を決め、試験片で追い込みます。

工数の見積り

継手長さから打点数を求め、1点あたりのサイクルタイムで所要時間を算出します。

品質不良の原因調査

ピッチが近すぎて分流が起きていないかを確認します。

よくある間違い・注意点

  • 打点を増やせば強度が上がると考える — ピッチが近いと分流で1点ごとのナゲットが小さくなり、全体の強度は上がりません。
  • フランジ幅を確保せずに設計する — 端に近い打点では散りが出てナゲットが形成されません。
  • 材質が変わっても同じ条件で打つ — ステンレスは低い電流、アルミは3倍前後の大電流が要ります。
  • 外観だけで品質を判断する — 圧痕があってもナゲットができていない場合があり、破壊試験や超音波での確認が要ります。
  • 電極の摩耗を管理しない — 先端が広がると電流密度が下がり、同じ条件でもナゲット径が小さくなります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

板厚1.0mmのナゲット径はいくつですか?

板厚の平方根の5倍で5.0mmが目安です。4倍を下回ると界面破断が起きやすくなります。

最小ピッチはどう決めますか?

板厚の10〜15倍とナゲット径の2.5倍の大きいほうが目安です。板厚1.0mmでは15mm前後になります。

分流とは何ですか?

すでに打った打点に電流が分かれて流れる現象で、ピッチが近いほど強く出てナゲットが小さくなります。

フランジ幅はどれくらい要りますか?

ナゲット径の2.5倍に余裕を加えた値が目安で、板厚1.0mmでは14.5mm前後です。

継手300mmには何点打ちますか?

端末距離を確保したうえでピッチ15mmなら20点になります。

アルミのスポット溶接が難しいのはなぜですか?

電気抵抗が低く熱伝導が高いため、鋼板の3倍前後の大電流を短時間で流す必要があるからです。

ナゲットができているか確認する方法は?

タガネによるはく離試験や引張せん断試験、非破壊では超音波による検査が用いられます。

電極の手入れはどのくらいの頻度で行いますか?

打点数に応じて先端径が広がるため、決めた打点数ごとに整形するのが一般的な管理方法です。