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すみ肉溶接のど厚溶接長さ許容応力度

すみ肉溶接の必要溶接長の計算

作用する力・脚長・許容応力度から、すみ肉溶接ののど厚と必要な溶接長さ、配置に対する余裕率を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

すみ肉溶接の必要溶接長の計算ツール

のど厚は脚長×0.7で、脚長6mmなら4.2mmです。必要なのど断面積は 作用力÷許容応力度=120,000N÷90N/mm2=1,333mm2。これをのど厚で割った有効長さの合計は1,333÷4.2=317.5mmで、両側すみ肉なら1本あたり158.7mmになります。端部のクレーター分として片端に脚長の2倍=12mmを見込むと、1本の実長は170.7mm、合計で341.5mm。配置できる長さ300mmに対して余裕率は75.72%です。

脚長とのど厚・単位長さあたりの耐力(長期・90N/mm2)

脚長 Sのど厚 a1mmあたりの耐力
4 mm2.8 mm252 N
6 mm4.2 mm378 N
8 mm5.6 mm504 N
10 mm7.0 mm630 N
12 mm8.4 mm756 N

すみ肉溶接で確認する制限

項目一般的な考え方
最小脚長厚いほうの母材厚に応じて下限が定められています
最大脚長薄いほうの母材厚を超えないようにします
最小有効長さ脚長の10倍かつ40mm以上が目安です
側面すみ肉の最大有効長さのど厚の60倍程度が上限とされています

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

すみ肉溶接の必要溶接長の計算の詳しい解説

すみ肉溶接の耐力がのど厚で決まるのは、破断がのど断面を通る面で起こるためです。直角二等辺の断面を仮定すると、のど厚は脚長のおよそ0.7倍になります。脚長を1.5倍にすればのど厚も1.5倍になり、同じ力に対して必要な長さは3分の2で済みます。ただし脚長を大きくすると1パスで盛れなくなり、入熱と溶接変形が増え、母材の熱影響部も広がります。長さで稼ぐか脚長で稼ぐかは、変形と工数を含めた総合の判断になります。

判断が分かれるのは、力の向きをどう扱うかです。応力方向と平行に走る側面すみ肉では、溶接線の両端に応力が集中し、中央部は相対的に働きません。この不均一さがあるため、有効長さにはのど厚の60倍程度という上限が置かれています。応力方向と直角の前面すみ肉では応力分布が比較的そろい、実験上の耐力も高く出ますが、ルート部の応力集中が疲労の起点になりやすい弱点があります。繰返し荷重がかかる部位では、静的な耐力だけで判断せず疲労等級での検討が要ります。

見落とされやすいのは端部の扱いです。溶接の始端と終端にはクレーターや溶込み不足が残るため、有効長さから除外するのが原則で、その分だけ実際に溶接する長さを伸ばす必要があります。端部を回り込ませる回し溶接を行えばこの控除は不要になりますが、回し込む長さとして脚長の2倍程度が必要です。組立の順序によっては回し溶接ができない位置もあり、その場合は控除を見込んだ長さで設計します。溶接記号にどちらの前提を書くかで、現場の施工も変わります。

条件による違いも大きく効きます。許容応力度は母材と溶接材料の組合せ、そして長期か短期かで変わり、短期では長期の1.5倍を用いるのが一般的です。板厚が薄い側の母材厚を超える脚長は指示できず、逆に厚板では溶込みを確保するための最小脚長が定められています。実際の設計では、この計算で得た長さに対して継手の形状、部材の納まり、施工姿勢を重ねて確認します。構造物の安全性に関わる判断であるため、最終的には構造設計者の確認を受けてください。現場では指示した長さがそのまま施工されているとは限りません。断続すみ肉では溶接部と非溶接部の配分を、連続すみ肉では始終端の処理を完成検査で実測し、記録に残しておくと後の耐力評価の根拠になります。

業界・現場での使い方

鉄骨・製缶の設計

作用力から必要な溶接長さを求め、継手の納まりが成立するかを確認します。

溶接施工要領の作成

脚長と溶接長さを指示し、パス数と入熱の計画に反映します。

既存構造物の検討

実際に施工されている溶接長さから、耐力の余裕を逆算します。

見積り

溶接の総延長から溶接材料と工数を積算します。

よくある間違い・注意点

  • 脚長をそのままのど厚として計算する — のど厚は脚長の0.7倍で、そのまま使うと耐力を4割ほど過大に見積もります。
  • 端部のクレーター分を控除しない — 始端と終端は有効長さから除くのが原則で、短い溶接ほど影響が大きくなります。
  • 側面すみ肉の長さ制限を無視する — のど厚の60倍を超える長さは有効に働かず、耐力が頭打ちになります。
  • 短期と長期の許容応力度を取り違える — 短期は長期の1.5倍が一般的で、混同すると設計が危険側になります。
  • 繰返し荷重を静的耐力だけで判断する — 疲労では溶接部の形状が支配的になるため、別の検討が要ります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

120kNをすみ肉溶接で伝えるには何mm必要ですか?

脚長6mm・許容90N/mm2・両側すみ肉で、実長の合計約341mmが目安です。

のど厚はどう求めますか?

直角二等辺の断面を仮定して脚長×0.7です。脚長6mmならのど厚4.2mmになります。

脚長を大きくすれば長さは短くできますか?

短くできます。ただし1パスで盛れる脚長には限りがあり、入熱と変形が増える点に注意が要ります。

回し溶接は必ず必要ですか?

端部の控除を省くために有効ですが、納まりで不可能な場合は控除を見込んだ長さにします。

側面すみ肉と前面すみ肉で耐力は違いますか?

実験上は前面すみ肉のほうが高く出ますが、設計では同じ許容応力度で扱うのが一般的です。

短期荷重ではどれくらい余裕が出ますか?

許容応力度が1.5倍になるため、必要な溶接長さは3分の2程度に短くなります。

最小の脚長はどう決まりますか?

厚いほうの母材の板厚に応じて下限が定められています。薄いほうの板厚を超える脚長は指示できません。

計算した長さで足りない場合はどうしますか?

脚長を上げる、継手を両側にする、ガセットを追加して溶接線を増やすといった対応があります。