積載荷重の設定値計算
室の用途と算定の目的、固定荷重から、採用すべき積載荷重と床の総荷重を求めます。
積載荷重の設定値計算ツール
積載荷重は用途と算定の目的で三通りの値が定められています。住宅の居室では床用1,800、大梁・柱用1,300、地震力用600 N/m2です。既定値は床の計算用なので表の値は1,800 N/m2。実重量1,200N/m2に安全率1.2を掛けた1,440N/m2は表の値を下回るため、1,800 N/m2を採用します。固定荷重4,000N/m2を加えた床の総荷重は5,800 N/m2、対象面積60m2では348.0 kNになります。
用途別の積載荷重(建築基準法施行令第85条)
| 室の用途 | 床用 | 大梁・柱・基礎用 | 地震力用 |
|---|---|---|---|
| 住宅の居室 | 1,800 | 1,300 | 600 |
| 事務室 | 2,900 | 1,800 | 800 |
| 教室 | 2,300 | 2,100 | 1,100 |
| 百貨店・店舗の売場 | 2,900 | 2,400 | 1,300 |
| 劇場等の固定席 | 2,900 | 2,600 | 1,600 |
| 自動車車庫 | 5,400 | 3,900 | 2,000 |
三通りの値を使い分ける理由
| 算定の目的 | 考え方 | 値の大小 |
|---|---|---|
| 床の計算用 | 局部的に集中する荷重を想定 | 最も大きい |
| 大梁・柱・基礎用 | 広い面積の平均として低減 | 中間 |
| 地震力用 | 地震時に同時に存在する分のみ | 最も小さい |
| 倉庫業を営む倉庫 | いずれも3,900以上とする | 三つとも同じ |
※参考計算です。規準・示方書・製品仕様は改定されるため、実施設計では最新の告示と材料メーカーの技術資料で確認してください。
積載荷重の設定値計算の詳しい解説
積載荷重に三通りの値があるのは、荷重が同時に最大となる範囲が部材ごとに違うためです。小さな床スラブは家具が一か所に寄れば局部的に大きな荷重を受けますが、柱が支える広い範囲すべてで同時に満載になる確率は低くなります。だから床用より大梁・柱用のほうが小さく設定されています。地震力用がさらに小さいのは、地震の瞬間に建物内に存在する荷重の期待値を見ているからです。
判断が分かれるのは、表にない用途をどう扱うかです。法令の表は代表的な室について定めたもので、実験室や厨房、サーバー室、書庫などは実況に応じて計算することが求められます。書庫は移動棚の有無で倍近く変わり、サーバー室はラックの構成と密度で決まります。近い用途の値を借りるより、実際の機器と配置から実況値を積み上げるほうが根拠として説明できます。
見落とされやすいのは用途変更です。事務室として設計された床に書庫や倉庫の機能を後から持ち込むと、設計時の2倍以上の荷重がかかることがあります。既存建物のテナント入替えでは、契約前に想定積載荷重を確認しないと後から補強が必要になります。ピアノや金庫、大型の複合機のように点で効く荷重は、平米あたりの値では捉えられないため個別の検討が要ります。
用途や規模による違いも押さえておきます。倉庫業を営む倉庫は三つの値をいずれも3,900N/m2以上とする特則があり、実況がそれ以下でも下げられません。自動車車庫は床用5,400N/m2と大きく、集合住宅の1階を駐車場とする計画では梁せいが大きくなります。屋上を人が使う計画にする場合も、屋根から床への扱いの変更が必要です。適用の可否は建築主事や指定確認検査機関の判断にも関わります。
実務の進め方としては、まず室ごとに用途を割り当て、次に算定の目的に応じた値を選び、最後に実況値と比べて大きいほうを採ります。図面に室名を書き込むだけでなく、想定した積載荷重を併記しておくと、後の用途変更や改修の判断が早くなります。特殊な機器は重量表を残しておくと確認が容易です。設計時の想定を運用側と共有しておけば、入居後の使われ方とのずれも早く気づけます。
業界・現場での使い方
構造計算の荷重設定
室の用途ごとに三通りの値を割り当て、部材の設計に用います。
テナント入替えの審査
新しい用途の想定荷重が既存の設計値に収まるかを確認します。
倉庫・書庫の計画
棚の構成から実況値を積み上げ、表の値との大小を比較します。
既存建物の耐震診断
設計時の積載荷重と現況の使われ方の差を把握します。
よくある間違い・注意点
- 三通りの値を使い分けない — 床用の値で柱まで設計すると過大に、地震力用で床を設計すると過小になります。
- 表にない用途に近い値を流用する — 書庫やサーバー室は実況で大きく変わります。実際の機器から積み上げる必要があります。
- 用途変更時に確認しない — 事務室から書庫への変更で設計値の2倍を超えることがあり、補強が必要になります。
- 点荷重を平米あたりで処理する — 金庫やピアノは局部の集中荷重として個別に検討しなければ危険側になります。
- 倉庫の特則を見落とす — 倉庫業を営む倉庫は三つの値とも3,900N/m2以上とすることが定められています。
関連する規格・公的資料
- 国土交通省 — 建築基準法・土木
- 日本建築学会 — 構造設計規準
- 土木学会 — 示方書・指針
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 建築研究所 — 建築の研究開発
- 土木研究所 — 土木の研究開発
- 日本道路協会 — 道路構造・舗装
- 日本コンクリート工学会 — コンクリート
- 日本建設業連合会 — 施工・積算
- 国土地理院 — 測量・基準点
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
住宅の居室で床を設計するときの値は?
1,800 N/m2です。固定荷重4,000N/m2と合わせて総荷重5,800 N/m2になります。
なぜ三通りの値があるのですか?
荷重が同時に最大となる範囲が部材ごとに違うためです。支える面積が広いほど平均化されて小さくなります。
表にない用途はどうしますか?
実況に応じて計算します。実際に置く物の重量と配置から積み上げ、根拠を残しておくことが求められます。
実況値が表の値を下回る場合は?
表の値を下回っても表の値を採用するのが原則です。安全側の運用として本ツールも大きいほうを採ります。
倉庫の特則とは何ですか?
倉庫業を営む倉庫では三通りの値をいずれも3,900 N/m2以上とすることが定められています。
自動車車庫はなぜ大きいのですか?
車両の輪荷重が局部に集中するためです。床用で5,400 N/m2と住宅の3倍になります。
屋上を利用する場合の扱いは?
人が立ち入る屋上は用途に応じた積載荷重を見込みます。緑化や設備を置く場合はその重量も加算します。
この値で構造計算を確定できますか?
目安です。用途の判定と最終的な採用値は、構造設計者と確認検査機関の判断によります。