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溶接ワイヤ溶着金属施工量マグ溶接

溶接ワイヤ1巻あたりの施工量の計算

ワイヤ径・脚長・溶着効率・総延長から、1巻で溶接できる長さと必要な巻数、ガス消費量を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

溶接ワイヤ1巻あたりの施工量の計算ツール

すみ肉溶接の断面積は脚長の2乗÷2に余盛分1.1倍を掛けた値で、脚長6mmでは19.8mm2です。鋼の密度7.85g/cm3を掛けると1mあたりの溶着金属は155.4g。溶着効率92%で割ったワイヤ消費は168.9g/mとなり、20kg巻では20,000÷168.9=118.4m溶接できます。総延長500mなら5巻が必要で、端数として91.9m分が余ります。電流260A・径1.2mmでの送給速度は7.5m/min、アーク時間は約21.1時間です。

脚長と1mあたりの溶着金属質量(すみ肉溶接)

脚長断面積溶着金属20kg巻で溶接できる長さ
4 mm8.8 mm269.1 g/m266 m
5 mm13.8 mm2107.9 g/m170 m
6 mm19.8 mm2155.4 g/m118 m
8 mm35.2 mm2276.3 g/m67 m
10 mm55.0 mm2431.8 g/m43 m

ワイヤ径と1mあたりの質量

ワイヤ径1mあたりの質量ガス流量の目安
0.9 mm5.0 g/m12 L/min
1.0 mm6.2 g/m12 L/min
1.2 mm8.9 g/m15 L/min
1.4 mm12.1 g/m20 L/min
1.6 mm15.8 g/m20 L/min

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

溶接ワイヤ1巻あたりの施工量の計算の詳しい解説

ワイヤの消費量が脚長の2乗で増えるのは、溶着金属の量が断面積で決まるからです。脚長を6mmから8mmに上げると断面積は1.78倍になり、必要なワイヤも同じ割合で増えます。設計上は脚長を1mm大きくするだけの変更でも、ワイヤ代とアーク時間はそれ以上に膨らみます。逆に必要以上の脚長を指示していないかを見直すと、材料費と工数の両方が下がります。開先溶接では板厚の2乗に近い形で増えるため、この傾向はさらに強く出ます。

判断が分かれるのは溶着効率の見方です。ソリッドワイヤではスパッタと蒸発で数%が失われ、実務では90%前後が使われます。フラックス入りワイヤではスラグになる分があり、80%台まで下がります。効率を高めに見積もると巻数が足りなくなり、途中で発注をかけることになります。切替のたびにワイヤ端を捨てる分や、送給トラブルで抜き出す分も実際には積み上がるため、計算値に1割程度の余裕を見ておく運用が現実的です。

見落とされやすいのはアーク時間と実作業時間の差です。ワイヤ送給速度から求まるのはアークが出ている時間だけで、位置決め、姿勢の変更、スラグ除去、点検といった時間は含まれません。稼働率は自動化の程度で大きく変わり、手溶接では20%から30%、ロボット溶接では60%を超えます。総延長からアーク時間を出したうえで稼働率を当てはめないと、工程計画が実態から外れます。シールドガスもアーク時間に比例して消費され、前後のプリフローとアフターフローの分がさらに加わります。

条件による違いも押さえておきます。ワイヤ径が太いほど1mあたりの質量は増えますが、同じ電流での送給速度は落ち、溶着速度そのものは大きく変わらないこともあります。太いワイヤは高電流域で溶着速度が伸びるため、厚板の多パス溶接では有利です。薄板では入熱を抑える必要があるので細径が選ばれます。姿勢も効き、立向や上向では溶落ちを避けるために電流を下げるので、同じ長さでもアーク時間が延びます。見積りの際は、下向以外の比率をどれだけ含むかを確認してください。ワイヤの保管状態も歩留りに影響します。湿気を吸ったワイヤは送給不良やブローホールの原因となり、巻の途中で廃棄することになれば、計算した巻数では足りなくなります。

業界・現場での使い方

溶接材料の発注

施工の総延長から必要な巻数を求め、余裕を含めた発注数量を決めます。

原価計算

溶着金属量とアーク時間から材料費と工数を積算します。

工程計画

アーク時間に稼働率を掛けて、実際の作業日数を見積もります。

設計の見直し

脚長を変えたときのワイヤ消費とアーク時間の差を比べ、過剰な指示を洗い出します。

よくある間違い・注意点

  • 溶着効率を100%として計算する — スパッタと蒸発の分で1割前後が失われ、実際の消費は計算より多くなります。
  • 脚長を余裕を持って大きく指示する — 溶着量は脚長の2乗で増えるため、1mmの上乗せが大きな費用差になります。
  • アーク時間を作業時間と同一視する — 位置決めや点検を含む実作業時間はアーク時間の3倍以上になることがあります。
  • 端数の巻を計算に入れない — 最後の1巻は使い切れないことが多く、次の工事に持ち越せるかで扱いが変わります。
  • シールドガスの前後流を無視する — プリフローとアフターフローの分が積み上がり、想定より早くボンベが空になります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

脚長6mmのすみ肉は1mで何g必要ですか?

溶着金属で155.4g、溶着効率92%のワイヤ消費では168.9gになります。

20kg巻で何m溶接できますか?

脚長6mmのすみ肉で約118mです。脚長8mmなら約67mまで落ちます。

溶着効率はどのくらいで見ればよいですか?

ソリッドワイヤで90%前後、フラックス入りワイヤで80%台が目安です。

ワイヤ送給速度はどう決まりますか?

電流とワイヤ径で決まります。径1.2mmで260Aなら毎分7.5m前後です。

シールドガスはどれくらい使いますか?

径1.2mmで15L/min程度です。アーク時間21時間なら約19m3になります。

太いワイヤに変えると効率は上がりますか?

高電流域では溶着速度が伸びます。ただし薄板では入熱過多になるため細径が適します。

立向や上向の溶接では変わりますか?

溶落ちを避けるため電流を下げるので、同じ長さでもアーク時間が延びます。

必要な巻数に余裕は見るべきですか?

端材や送給トラブルの分を含めて1割程度の余裕を見ておくと途中の発注を避けられます。