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スキージャンプ 飛距離スコア計算|K点・HS・風補正までFIS準拠で総合点算出

スキージャンプの総合スコアを、FIS(国際スキー連盟)ルール準拠で計算。飛距離点(60点+メーターバリュー×(飛距離−K点))・飛型点(5審判×20点)・風補正・ゲート補正を組み合わせ、ノーマルヒル(NH)/ラージヒル(LH)/フライング(SF)のK点別レートに自動対応。大倉山(K124/HS137)・白馬(K120/HS142)・宮の森(K90)・白馬フライング(HS185)等の日本主要ヒル基準で、選手・指導者・観戦者向けにスコアを再現します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

スキージャンプ 飛距離スコア計算ツール

スコア計算式(FIS準拠)

基本式

総合スコア = 飛距離点 + 飛型点 + 風補正 + ゲート補正

飛距離点 = 60 + (飛距離 − K点) × メーターバリュー

スキージャンプは飛距離だけでは決まらないスポーツ。ジャンパーの飛型美・風の影響・スタートゲート補正の合計で総合スコアが決まります。2ラウンド制(1本目+2本目)が基本で、両者の合計順位で表彰台が決まります。個人戦は上位30名で2本目、団体戦は各国4名編成。

2本合計スコア

最終スコア = 1本目スコア + 2本目スコア

個人戦は1本目上位30名が2本目へ進出し、両ラウンドの合計で順位確定。団体戦は4名×2本=8本の合計で決まります。悪天候中止時は1本目のみで表彰の場合もあります。

飛型点(Style Score)

飛型点 = 5審判 × 各20点満点 → 最高最低を除いた3人の合計

飛型点は5人のジャッジ(FIS認定審判)が各20点満点で採点し、最高最低を除いた中3人の合計(0-60点)。飛行姿勢・着地・テレマーク・スタイル・音を含む総合的な美しさが評価対象です。

ヒル種別とK点・HS

スキージャンプの競技ヒルは、K点(Konstruktionspunkt=構造点、着地予測点)HS(Hill Size=最大着地可能距離)の2つで規定されます。

ヒル種別K点範囲HS範囲用途
ミディアム(MH)50-84m50-99mジュニア・練習
ノーマルヒル(NH)85-99m100-109m五輪・世界選手権個人
ラージヒル(LH)100-169m110-184m五輪・世界選手権個人/団体
フライング(SF)170m以上185m以上スキーフライング世界選手権

K点は「これ以上飛んだら加点、届かなければ減点」の基準点。HSは「これ以上飛ぶと危険」の限界点で、通常はK点の10-15%増しに設定されます。

メーターバリュー(M値)一覧

メーターバリューはK点から1m飛ぶごとの加点(またはK点未満での減点)。ヒル種別で異なります。

ヒル種別メーターバリュー(M値)K点+1mあたりの点数
ミディアム(MH)2.4点/m+2.4
ノーマルヒル(NH)2.0点/m+2.0
ラージヒル(LH)1.8点/m+1.8
フライング(SF)1.2点/m+1.2

フライングヒル(K170+)はM値1.2と小さく、飛距離差での得点差が抑えられます。逆にミディアムはM値2.4と大きく、飛距離の巧拙が得点に強く反映されます。K点到達時点で60点が基準となります。

飛型点(20点満点)

飛型点は各審判が20点満点で採点。減点は0.5点刻みで、以下のような項目が対象です。

飛形(空中姿勢)

Vスタイル(スキー板をV字に開く)を美しく維持できているか。板の角度、身体の伸び、風受けの姿勢を評価。空中3-5秒間の姿勢維持が技術。

着地(Landing)

両足を前後にずらすテレマーク姿勢での着地。両足を揃えたパラレル着地は減点対象。テレマーク成功時は加点、失敗時は最大-5点まで。

テレマークライン

着地後の走行姿勢。バランスを崩さず、フラッグまで真っ直ぐ滑れるか。転倒(Fall)は最大-10点。

スタイル・音

ジャンプ全体の美しさ、着地時の音(静かな着地が高評価)、リズム感、板の音鳴りなど。

方向・角度

着地方向がヒル中央から外れる、板が斜めに向いている等は減点対象。ヒルの中央線に沿った着地が理想。

ミス種別と減点幅

軽微(バランス崩れ)-0.5〜-2、中程度(パラレル着地)-2〜-5、重大(転倒)-7〜-10、失格(危険行為)-20。

風・ゲート補正

2010年以降、風速補正ゲート補正が導入され、天候・スタート位置による有利不利を数値で相殺するようになりました。

風補正(Wind Compensation)

風補正 = 風速 × ヒル別風係数(K点近くの平均風速から算出)

向い風(+)は追加加点、追い風(-)は減点。ラージヒル(LH)の風係数はおおむね7.5〜10ポイント/m/sで、風速1m/sの向い風で7.5-10点減点(スコアが下がる)、追い風で同点数加点(スコアが上がる)。同じ飛距離でも風条件で得点が変わります。

ゲート補正(Gate Compensation)

ゲート補正 = ゲート差 × ゲート係数(ヒル別)

各ジャンパーが異なるゲート(スタート位置)から飛んだ場合、ゲートを下げると助走が長くなり有利、上げると不利。この差を係数で相殺します。ラージヒルで約5-8ポイント/1ゲートが目安。

風補正が導入された背景

2010年ヴィルヘルミナ(スウェーデン)大会での風による大混乱がきっかけ。従来は風でスコアが不公平になっていましたが、風補正の導入で「公平性」が飛躍的に向上しました。ただし補正係数の算定に議論があり、今も改良が続いています。

日本の主要ヒル

大倉山ジャンプ競技場(札幌)

K124/HS137のラージヒル。1972年札幌五輪の会場で、現在もW杯札幌大会・全日本選手権の主要会場。「大倉山」は選手にとって特別なヒルとされています。

宮の森ジャンプ競技場(札幌)

K90/HS100のノーマルヒル。1972年札幌五輪の会場。国内のノーマルヒル代表戦・強化選考の主要会場。

白馬ジャンプ競技場(長野)

K120/HS142のラージヒル。1998年長野五輪の会場。日本国内で最も国際大会が多く開催されるヒル。

蔵王ジャンプ台(山形)

K90/HS102のノーマルヒル。W杯女子蔵王大会・国内トップ大会が開催される。

宮様スキー競技会場(旭川)

K90/HS100のノーマルヒル。皇族の宮様御名代を掲げる大会が伝統的に開催。

白馬フライング(廃止)

かつては白馬にHS185のフライングヒルが計画されましたが、実際にはK120までの整備で運用されました。日本にフライングヒルは存在しません。フライングは欧州(プラニツァ・オーバーストドルフ・ヴィキャッセン等)に集中しています。

世界記録・日本人選手の水準

記録選手飛距離/ヒル
公式最長記録(フライング)ステファン・クラフト(オーストリア)253.5m/フィキャッセン(NOR、HS240)2017
公式最長記録(女子)ダニエラ・イラシュコ・シュトルツ(オーストリア)200m/ハラホフ(CZE、HS142)2003非公式・2020記録
札幌大倉山記録山田いち・伊藤有希約145m級近年
4回転ジャンプ相当技術該当なし

日本人選手の水準

葛西紀明

「レジェンド」8度の五輪出場(1992-2018)。世界最高齢の五輪ジャンプメダリスト(2014ソチ銀+銅)。W杯優勝多数。

小林陵侑

2018-2022シーズンのW杯覇者。2022年北京五輪でノーマルヒル金メダル・ラージヒル銀メダル。フォーヒルズトーナメント優勝(2019)。

原田雅彦

1998年長野五輪団体金メダルの立役者。1994年リレハンメル五輪個人銀(ラージヒル)。1998年世界選手権個人金。

船木和喜

1998年長野五輪ラージヒル個人金・団体金・ノーマルヒル個人銀の三冠。世界選手権金メダル多数。

高梨沙羅(女子)

W杯優勝60勝超(女子歴代最多)。2014ソチ五輪出場(4位)、2022北京五輪銅メダル(混合団体)。世界選手権金・銀多数。

伊藤有希(女子)

W杯優勝経験、世界選手権銅メダル。近年は高梨と並ぶ日本女子のエース。

よくある間違い・注意点

  • K点=最大着地可能距離と誤解 — K点は「基準点」であって上限ではありません。上限はHS(ヒルサイズ)で、HSを超えて着地するとバランス崩壊・転倒リスクが急上昇。両者を混同しないでください。
  • 飛型点20点満点×5審判=100点満点と計算 — 実際は最高最低を除いた中3人の合計=60点満点です。5人分の合計ではありません。
  • 風補正なしで得点を比較 — 2010年以降のスコアは風補正込み。過去の記録と現行スコアを単純比較すると、追い風有利/向かい風不利の相殺効果を見逃します。
  • フライング=通常ヒルの延長と考える — フライング(SF)はメーターバリューが1.2と小さく、K点+50m飛んでも+60点しか付きません。飛距離差での差別化が抑制され、飛型・風が結果を左右する競技性です。
  • テレマーク姿勢を軽視 — 着地時に両足を前後にずらすテレマークは飛型点で必須。パラレル着地は-2〜-5点減点で、ラージヒルの1本で表彰台圏を外す致命傷になります。
  • 2本合計を1本目のみで判断 — 個人戦は上位30名が2本目進出。1本目の順位だけで結果を予測すると、2本目の逆転劇(高梨・小林・葛西の得意パターン)を見逃します。
  • ゲート補正を無視 — 各ジャンパーで異なるゲートから飛ぶ場合があり、その差は1ゲートあたり5-8点にもなります。テレビ観戦時は「補正込みスコア」で最終順位が決まります。

関連する規程・FISルール

  • FIS International Ski Jumping Rules (ICR) ― 国際スキー連盟のスキージャンプ公式規則(International Competition Rules)。K点・HS・メーターバリュー・飛型点・風/ゲート補正の詳細を規定。
  • FIS Ski Jumping Judging Rules ― 5名の審判員による飛型点採点の詳細基準。飛形・着地・テレマーク・スタイル・音の判定要領。
  • FIS Certificate of Hill ― 各ヒルのK点・HS・M値・風係数を認定する公式証書。W杯・世界選手権・五輪開催の必須条件。
  • 日本スキー連盟(SAJ)ジャンプ競技規則 ― 全日本選手権・全日本ジャンプ大会等の国内試合規則。FIS規則に準拠。
  • SAJ ジャンプ強化指定選手基準 ― W杯出場・世界選手権選考のための強化選手選考基準。
  • FIS Anti-Doping Rules ― WADA(世界アンチドーピング機関)の規則と連動したドーピング防止規程。

参考文献・公的資料

より正確なスキージャンプのルール・記録を確認したい場合は、以下の公的機関・団体の資料を参照してください。

※本ページのスコア計算は概算です。実際の試合スコアはFIS認定審判の飛型点(0.5点刻み)・風速の詳細計測・ゲート補正・DSQ(失格)判定を含んで決まります。公式試合の結果はFIS公式サイト・全日本スキー連盟公式サイトを参照してください。メーターバリュー・風係数はヒルごとに認定されており、本ツールの数値は代表値です。

よくある質問(FAQ)

日本ジャンプ界の歴史は?

原田雅彦・船木和喜(1998年長野五輪金)で世界を席巻。葛西紀明は8度の五輪出場・史上最年長の五輪メダリスト(41歳・ソチ2014銀+銅)。小林陵侑は2022年北京五輪ノーマルヒル金メダル、女子では高梨沙羅がW杯歴代最多勝(60勝超)を記録しています。

K点とHS(ヒルサイズ)の違いは?

K点(Konstruktionspunkt)=スコア計算の基準点。ここを超えると加点、届かないと減点。HS(Hill Size)=最大着地可能距離。K点の10-15%増しに設定され、HS超えは危険。札幌大倉山はK124・HS137、白馬はK120・HS142です。

飛型点の評価項目は?

飛形(空中姿勢)・着地(テレマーク)・テレマークライン・スタイル/音・方向の5要素。5人の審判員が各20点満点で採点し、最高最低を除いた中3人の合計(0-60点)が飛型点となります。空中3-5秒の姿勢維持、テレマーク姿勢での着地が重要です。

スキー板・スーツの規定は?

FISが板の長さ・幅・重量、スーツの材質・厚み・サイズを厳しく規定。競技用スキー板=30-50万円、ジャンプスーツ=5-10万円が目安。スーツは風洞試験で厳密チェックされ、違反時は失格(DSQ)となります。板の長さは身長比×145%以下(BMI連動規定あり)。

フライングヒル(SF)って何?

K170m以上、HS185m以上のヒル。スキーフライング世界選手権の会場で、200m超のジャンプが常識。プラニツァ(スロベニア、K200)、オーバーストドルフ(ドイツ、K200)、ヴィキャッセン(ノルウェー、K200)、ハラホフ(チェコ、K185)、クルム(オーストリア、K200)の5ヒルが公認。日本にフライングヒルは存在しません。

世界最長ジャンプは何m?

公式最長は253.5m(ステファン・クラフト、オーストリア、2017年ヴィキャッセン)。それ以降も260m超の試技はあるものの、着地失敗等で公式記録には至っていません。女子は200m超が2020年代に達成されました。

風補正はどう働く?

向い風(+)はジャンプが伸びやすく有利なのでマイナス補正(得点減)、追い風(-)は不利なのでプラス補正(得点加)。ラージヒルの風係数は1m/sあたり7.5-10点で、風条件により同じ飛距離でも最終スコアが変わります。

個人戦と団体戦の違いは?

個人戦は1本目上位30名が2本目進出、両ラウンド合計で順位確定。団体戦は4名編成×2本=8本の合計で決まります。混合団体は男女2名ずつの計4名編成で、五輪では2022北京から採用されています。

五輪と世界選手権の違いは?

五輪は4年ごと、種目はノーマルヒル個人・ラージヒル個人・団体・混合団体の男女計4-6種目。世界選手権は2年ごと、スキーフライング世界選手権も別途開催されます。世界選手権はより多くの種目・カテゴリーで実施されます。

失格(DSQ)の主な理由は?

スーツ規定違反(材質・サイズ・厚み)、板の長さ・重量違反体重規定違反(BMIが低すぎるとスキー板の長さが制限される)、危険行為等。特にスーツの風洞試験不合格はW杯・五輪でも頻繁に発生し、選手にとって最大のリスク要因の一つです。

ヒルレコード(場記録)はどう認定される?

各ヒルで達成された最長飛距離が「Hill Record」として記録されます。ただしヒル改修時にはリセット。転倒や着地失敗を含む「Fallout」も認定される場合と、綺麗な着地のみを認定する場合があり、FIS認定基準に従います。

スキージャンプの練習は?

夏季はサマージャンプ(プラスチック樹脂ランディング)で通年練習可能。日本では札幌大倉山・白馬・蔵王で夏季トレーニングが行われます。ジュニアはK15-40mの練習ヒルからスタートし、段階的にK点を上げていきます。国内ジュニア選手は年間100-300本のジャンプが標準。