RM換算 計算ツール|1RM・5RM・10RM・15RM相互変換とトレーニング設計
筋トレの1RM〜15RMを相互変換。ベンチプレス・スクワット・デッドリフトのトレーニング重量設定に。Brzycki式・Epley式・Lombardi式の3公式比較、目的別(最大筋力・筋肥大・筋持久力)のプログラム設計、ACSM/NSCA/JATIの公式ガイドラインを踏まえた実務ガイドとして解説します。
RM換算 計算機
RMとは何か
RMは「Repetition Maximum」の略で、正しいフォームで指定回数を挙げられる最大重量を指します。1RMは1回だけ挙上できる最大重量、10RMは10回連続で挙げられる最大重量。トレーニング強度の設計基準として、米国スポーツ医学会(ACSM)・全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)・日本トレーニング指導者協会(JATI)で標準的に用いられます。
1RM推定の意義
実際に1RM測定を行うのはリスクが高く、負担も大きいため、5RM・8RM・10RMなど中〜高回数の実測値から数式で推定するのが標準実務。ACSMの臨床ガイドラインでも、1RMの直接測定より推定式の使用を推奨しています。
RMと%1RMの関係
1RM = 100%/2RM ≈ 97%/3RM ≈ 94%/5RM ≈ 87%
8RM ≈ 80%/10RM ≈ 75%/12RM ≈ 70%/15RM ≈ 65%/20RM ≈ 60%
この比率はACSMの筋トレガイドラインに基づく標準値。トレーニング歴・個人差により±2-5%の変動があります。
3公式の比較と選び方
Brzycki式(標準・低回数向き)
1RM = 重量 × 36 ÷ (37 − 回数)
Matt Brzycki(1993年)により提案された最も広く使われる公式。1-10レップの範囲で精度が高く、パワーリフティング・ストレングストレーニングの標準式。10レップを超えると精度が落ちるため、高レップには不向き。
Epley式(中〜高回数向き)
1RM = 重量 × (1 + 回数 ÷ 30)
Boyd Epley(1985年)による式。1-15レップまで幅広く使える汎用性の高い公式で、ボディビル・筋肥大目的のトレーニングで多用。Brzycki式より高レップでの精度が良好。
Lombardi式(低回数・パワー系向き)
1RM = 重量 × 回数0.10
Vince Lombardi(1989年)が提案した指数関数型の公式。1-5レップの高強度トレーニングで精度が高く、パワーリフター・ウエイトリフター向け。10レップ超では過大評価する傾向。
3公式の推定値比較(80kg×5回の場合)
| 公式 | 推定1RM | 特徴 |
|---|---|---|
| Brzycki | 90.0 kg | 標準的な推定 |
| Epley | 93.3 kg | やや高めの推定 |
| Lombardi | 92.3 kg | Brzyckiに近似 |
実務ではBrzycki式が最も引用頻度が高いため、パーソナルトレーニング・スポーツ現場で標準的に採用されます。3公式の平均を取ることで、より安定した推定値になります。
目的別のRM設定
ACSM/NSCA/JATIの公式ガイドラインでは、目的別に異なるRM設定が推奨されています。
| 目的 | RM範囲 | %1RM | セット数 | セット間休息 |
|---|---|---|---|---|
| 最大筋力・神経適応 | 1-3RM | 90-100% | 3-5 | 3-5分 |
| 筋力増強(一般) | 3-6RM | 85-93% | 3-5 | 2-3分 |
| 筋力+筋肥大(両立) | 6-8RM | 80-87% | 3-5 | 2-3分 |
| 筋肥大(標準) | 8-12RM | 70-80% | 3-6 | 60-90秒 |
| 筋持久力+軽い肥大 | 12-15RM | 65-72% | 2-4 | 45-60秒 |
| 筋持久力・準備期 | 15-25RM | 60-65% | 2-3 | 30-45秒 |
初心者への推奨
NSCAの入門者向けガイドラインでは、10-15RMの中程度負荷・週2-3回・3セットから始めることを推奨。フォーム習得と怪我予防を優先し、8週間程度で身体が慣れてから重量を上げていきます。
アスリートへの推奨
競技力向上を目指す場合、シーズンオフに最大筋力(1-5RM)、プレシーズンに筋力+筋肥大(5-8RM)、シーズン中は維持(8-10RM)と期分けするのがJATI認定コーチの標準的なアプローチです。
目的別プログラム設計
最大筋力プログラム(パワーリフター向け)
5×5法:1RMの85%を5レップ×5セット。週3日、ベンチ・スクワット・デッドリフトを中心に構成。スターティング・ストレングス・ストロングリフト5×5が代表的なプログラム。神経系適応で短期間の筋力アップが期待できる。
筋肥大プログラム(ボディビル向け)
3×10法:1RMの75%を10レップ×3セット。週4-6日、部位分割で高頻度刺激。PPL(Push-Pull-Legs)・ブロスプリット・アーノルドスプリットが代表例。総ボリューム(重量×回数)が筋肥大の主要因子。
両立プログラム(一般向け・PHUL)
週4日、パワー日(5×5)とハイパートロフィー日(3×10-12)を分けるPHUL(Power Hypertrophy Upper Lower)プログラム。筋力・筋肥大の両立で、フィジーク競技者・スポーツ選手に人気。
循環プログラム(コンディショニング系)
サーキットトレーニング:1RMの40-60%×15-20レップを休憩短めで複数種目連続。心肺機能と筋持久力の両立、脂肪燃焼効果。クロスフィットもこの派生形。
ピラミッド法(強度変動)
セットごとに重量を上げ回数を下げる(15→10→5→3レップ)。ウォームアップ効果と最大挙上への準備を兼ねる。ドロップセット(逆に重量を下げていく)は追い込み用として筋肥大に有効。
DUP(Daily Undulating Periodization)
日ごとに強度を変える方式(月:8RM、水:5RM、金:3RMなど)。刺激の多様化で停滞を防ぐのが特徴。NSCAの研究でも線形ピリオダイゼーションより効果的な場合が示されています。
種目別の1RM目安
体重比での1RM水準の目安。ACSM/NSCAのフィットネス評価基準・パワーリフティング競技記録に基づきます。
男性ベンチプレス(体重比)
| レベル | 体重の何倍 | 体重70kgでの目安 |
|---|---|---|
| 初心者(3ヶ月未満) | 0.5-0.75倍 | 35-52 kg |
| 初級(6ヶ月-1年) | 0.75-1.0倍 | 52-70 kg |
| 中級(1-3年) | 1.0-1.5倍 | 70-105 kg |
| 上級(3年以上) | 1.5-2.0倍 | 105-140 kg |
| エリート・競技者 | 2.0倍以上 | 140 kg以上 |
男性スクワット(体重比)
| レベル | 体重の何倍 | 体重70kgでの目安 |
|---|---|---|
| 初心者 | 0.75-1.0倍 | 52-70 kg |
| 初級 | 1.0-1.25倍 | 70-87 kg |
| 中級 | 1.5-2.0倍 | 105-140 kg |
| 上級 | 2.0-2.5倍 | 140-175 kg |
| エリート | 2.5倍以上 | 175 kg以上 |
男性デッドリフト(体重比)
| レベル | 体重の何倍 | 体重70kgでの目安 |
|---|---|---|
| 初心者 | 1.0-1.25倍 | 70-87 kg |
| 初級 | 1.25-1.5倍 | 87-105 kg |
| 中級 | 1.75-2.25倍 | 122-158 kg |
| 上級 | 2.25-2.75倍 | 158-193 kg |
| エリート | 2.75倍以上 | 193 kg以上 |
女性の目安(男性比×0.6)
女性の1RM水準は、同じレベルで男性の約60%が目安。体重60kgの中級ベンチプレスなら36-54kg、中級スクワットなら60-72kg、中級デッドリフトなら73-95kg程度です。
ピリオダイゼーション(期分け)
NSCA/JATIの推奨に基づく年間ピリオダイゼーションの例。1RMを基準にした強度変動で、停滞を防ぎながら継続的な向上を目指します。
準備期(4-6週)
フォーム習得と基礎体力構築の期間。1RMの60-70%×12-15レップ×3セットで高回数・低負荷。関節・筋腱の準備を進めます。
筋肥大期(4-6週)
筋量の増加を目指す期間。1RMの70-80%×8-12レップ×3-4セット。総ボリュームを最大化し、テクニカル・フェーラー(技術的に挙げられなくなる限界)まで追い込みます。
筋力期(4-6週)
神経系適応と最大筋力を高める期間。1RMの85-95%×3-5レップ×4-5セット。セット間休息を3-5分と長めに取り、質の高い挙上を優先します。
ピーク期(2-3週)
1RM測定・大会に向けた最終調整。1RMの90-100%×1-3レップ×3セット。ボリュームを落とし、疲労を抜きながらピークに合わせます。
デロード(1週)
強度を落として回復を促す週。通常の60-70%程度の重量で3セット。疲労蓄積・オーバートレーニング予防に不可欠。4-6週ごとに1週のデロードが推奨されます。
アクティブレスト(2-4週)
年に1-2回、大会後や長期ブロック終了時に。他種目(ランニング・水泳)・軽い筋トレのみ。身体の完全な回復と再生を目指す期間。
安全に測定する方法
直接1RM測定のリスク
1RM直接測定は関節・筋腱への負担が大きく、フォームの崩れによる怪我リスクも高い。ACSMのガイドラインでも、初心者・中高年者は推定式による1RM算出を推奨しています。
推定式の使い分け
| 対象者 | 推奨レップ | 推奨公式 |
|---|---|---|
| 初心者(3ヶ月未満) | 10-12レップから推定 | Epley式 |
| 中級者(3ヶ月-2年) | 5-8レップから推定 | Brzycki式 |
| 上級者(2年以上) | 3-5レップから推定 | Brzycki式・Lombardi式 |
| 高齢者・リハビリ中 | 15-20レップから推定 | Epley式(過大評価を避ける) |
実測時の注意事項
推定式でも実測は必要。ウォームアップを十分(10-15分)、フォームチェック、スポッター(補助者)確保、セーフティラックの使用が必須。特にスクワット・ベンチプレスは補助なしでの限界挑戦は禁物です。
よくある間違い・落とし穴
- フォームを崩して回数を稼ぐ — 「10RM」は正しいフォームでの10回であり、腰を反らせる・チーティングでの回数はカウント外。フォームが崩れた瞬間の直前で計測を止めるのが正しい実務。フォーム崩れによる怪我が非常に多い落とし穴。
- 推定式の絶対視 — 推定式は個人差±5-10%の誤差があります。実測値との照合を月1-2回行い、自身の推定式を補正するのが実務セオリー。若年・トレーニング歴長い人ほど過小評価、高齢・初心者ほど過大評価する傾向。
- 1RMを頻繁に測定 — 直接1RM測定は月1回以下が原則。頻繁な測定は神経系・関節への負担が大きく、慢性疲労・オーバートレーニングの原因に。ピリオダイゼーションのピーク期のみ実測するのが理想。
- 種目間で同じ%1RMを使う — ベンチプレス・スクワット・デッドリフトで%1RM-レップ関係は微妙に異なる。デッドリフトは他種目より高%でも多くのレップができる特性があり、種目別の補正が必要な場合も。
- ウォームアップ不足 — 高強度のRMテストは十分なウォームアップが必須。軽い負荷(1RM40-60%)で複数セット、動的ストレッチ、実測種目のフォーム練習を行い、10-15分かけて準備。ウォームアップ不足は怪我リスク倍増。
- 栄養・睡眠を考慮しない測定 — 前日の睡眠不足・食事不足・カフェイン摂取有無で1RM値は5-10%変動します。コンディションを揃えて測定するのが実務基本。連日の測定は避けるべき。
参考文献・公的資料
- 米国スポーツ医学会 ACSM Physical Activity Guidelines ― 世界的なスポーツ医学の権威組織。筋トレの科学的ガイドラインの一次情報。
- 全米ストレングス&コンディショニング協会 NSCA ― 筋トレ・コンディショニングの世界的権威。トレーニング指導者資格CSCS認定。
- 日本トレーニング指導者協会 JATI ― 日本の公認トレーニング指導者資格の認定機関。JATI-ATI等の認定資格を運営。
- 日本スポーツ協会 JSPO ― 公認スポーツ指導者資格・スポーツ医科学研究の公式団体。
- 国立スポーツ科学センター JISS ― トップアスリートの科学的サポート機関。ストレングス&コンディショニング研究の実施機関。
- 日本整形外科スポーツ医学会 ― トレーニング関連障害(腰痛・肩の腱板損傷・肘関節障害)の予防・治療ガイドライン。
- 日本ストレングス&コンディショニング協会 ― 筋力トレーニング・スポーツパフォーマンス向上の学術団体。
- スポーツ庁 ― 国のスポーツ振興・生涯スポーツ政策の主管官庁。
- 厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準 ― 一般成人向けの運動指針。筋トレの推奨頻度・時間も含まれる。
- 全日本パワーリフティング協会 JPA ― 日本のパワーリフティング競技団体。ベンチプレス・スクワット・デッドリフトの競技記録・体重別基準の一次情報。
よくある質問(FAQ)
1RM推定式の精度はどれくらい?
Brzycki式・Epley式・Lombardi式ともに個人差±5-10%の誤差があります。トレーニング歴が長い上級者・パワーリフター系のほうが精度が高く、初心者・高齢者は誤差が大きくなる傾向。3公式の平均を取ることで、単一公式より安定した推定値になります。
Brzycki・Epley・Lombardiのどれを使うべき?
1-5レップならBrzycki・Lombardi、5-10レップならBrzycki、10-15レップならEpleyが適しています。パワーリフター・ストレングス系はBrzycki式が業界標準、ボディビル・筋肥大目的はEpley式が多用されます。実務ではBrzycki式が最も引用頻度が高いため、標準として使用するのが無難。
筋肥大に最適なRMは?
ACSMのガイドラインでは1RMの70-80%×8-12レップが筋肥大の標準ゾーン。ただし近年のメタ分析(Schoenfeld et al.)では、「セットを限界まで追い込めば、幅広いRM範囲(5-30RM)で同等の筋肥大効果」との報告も。総ボリューム(重量×回数×セット数)が筋肥大の主要因子とされています。
1RM測定はどの頻度で?
ピリオダイゼーションのピーク期のみ、月1回以下が原則。頻繁な測定は関節・神経系への負担が大きく、慢性疲労・オーバートレーニングの原因になります。日常的な進捗確認には、推定式(5-8RMからの1RM推定)を月1回程度実施するのが実務的です。
初心者は1RMを測るべき?
フォーム習得が不完全な初心者(3ヶ月未満)は、直接1RM測定は怪我リスクが高いため非推奨。10-15レップの中負荷で身体を慣らし、フォームが安定してから推定式で1RMを算出するのが安全策。NSCAの入門者ガイドラインでも同様の推奨があります。
体重比の1RMは何倍が目標?
男性中級レベルなら、ベンチプレス体重の1.0-1.5倍、スクワット1.5-2.0倍、デッドリフト1.75-2.25倍が目安。「BIG3合計体重の4倍」が中級者の到達目標としてよく引用されます(体重70kgなら合計280kg)。女性は男性の60%程度が同レベルの目安。
RMを上げる最速の方法は?
神経系適応が最速で、4-6週間の高強度トレーニング(1RMの85-95%×3-5レップ)で顕著な向上が見られます。筋量による向上は12週以上かかるため、短期成果は神経系、長期成果は筋肥大の組み合わせが実務的。ピリオダイゼーションで交互に狙うのが最速コースです。
スクワットとベンチプレスで1RMの伸びが違うのは?
下半身種目(スクワット・デッドリフト)は上半身種目(ベンチプレス・オーバーヘッドプレス)より筋量が大きく重量進歩が速いのが標準。ベンチプレス月2.5-5kg、スクワット月5-10kg、デッドリフト月5-10kgが中級者の平均的伸び幅です。
デロード週は本当に必要?
NSCA/JATIの推奨では4-6週ごとに1週のデロードが原則。慢性疲労蓄積・オーバートレーニング・停滞(プラトー)を予防します。デロード後は神経系・筋腱の回復により、1RMがむしろ上がるケースも多い。デロード軽視は長期の停滞に直結します。
1RMは女性でも同じ公式を使える?
使えます。Brzycki・Epley・Lombardi式は性別に依存しない数式で、女性も同じ%1RM-レップ関係が成立します。ただし相対的な体重比では男性より低いため、絶対値ではなく体重比・進捗率で評価するのが実務的。
マシンとフリーウェイトで1RMは違う?
違います。マシンはフリーウェイトの1.2-1.5倍の重量を扱えるのが標準(軌道が固定されバランス補正が不要なため)。ベンチプレスならスミスマシン>ダンベル>バーベルの順に重量が扱いやすい。種目・機器ごとに個別に1RMを設定するのが原則です。
高齢者もRMベースのトレーニングをすべき?
推奨されます。厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準」でも、高齢者の筋トレは週2回以上推奨。1RMの60-70%×10-15レップの中負荷が基本で、骨密度低下・サルコペニア予防に効果的。ただしメディカルチェック後、専門家の指導下で実施するのが必須条件です。