贈与税シミュレーター|暦年課税と相続時精算課税を切替比較、住宅取得資金・教育資金非課税まで対応の精密ツール【2026年版】
贈与額・贈与者・受贈者年齢・贈与目的を入力すると、暦年課税と相続時精算課税の税額を並べて表示し、どちらが得かを瞬時に判定します。2024年改正の精算課税110万円基礎控除、住宅取得等資金の非課税特例(省エネ1,000万円)、教育資金一括贈与1,500万円、結婚子育て資金1,000万円まで対応。さらに7年内相続加算リスクと複数年贈与の生涯移転可能額まで可視化する完全版です。
贈与税シミュレーター
計算プロセス(内訳)
複数年シミュレーション
| 年 | 贈与額 | 暦年税額 | 精算課税税額 | 累計移転 |
|---|
結果の見方
贈与税は制度が二本立て(暦年課税・相続時精算課税)で、しかも2024年改正で精算課税が大幅に有利化されました。1回の贈与額と受贈者の年数プランで最適解が変わるため、シミュレーターの各値を必ず両方比較してください。
- 推奨方式:1年あたりの税額と、複数年合計・生涯移転可能額を総合判断して自動で推奨方式を表示します。数万円レベルの差は生活状況・相続時期見通しで判断してください。
- 暦年課税:年110万円の基礎控除後、超過分に速算表の税率適用。直系尊属→18歳以上の子孫は「特例贈与」の低税率が使えます。
- 精算課税:2024年改正で年110万円の基礎控除が新設。さらに累計2,500万円の特別控除、超過分は一律20%。相続時に贈与時価額で相続財産に持ち戻しされる点が特徴。
- 7年内加算リスク:暦年課税は相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算(従来3年→2024年から段階施行で最終7年)。高齢時の駆け込み贈与は効果が薄れます。
- 生涯移転可能額:選択した方式で贈与年数分続けた場合の累計移転額。相続財産の圧縮効果の目安になります。
計算の仕組みと数式
暦年課税の贈与税
贈与を受けた年の1月1日〜12月31日に受け取った額の合計に対して課税されます。同一年に複数の贈与者から受けても、受贈者側で合算する点に注意。
課税価格 = 年間贈与額の合計 − 目的別非課税 − 110万円
贈与税額 = 課税価格 × 税率 − 速算控除額
直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子・孫への贈与は特例税率(低い)、それ以外は一般税率(高い)。同じ500万円の課税価格でも、特例なら48.5万円、一般なら53万円と差が出ます。
相続時精算課税の贈与税
60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与について選択できる制度。一度選択するとその贈与者からの贈与は暦年課税に戻せない点が最大の注意点です。
毎年の控除 = 110万円(2024年改正で新設)
特別控除 = 2,500万円(生涯で使う枠)
超過分税額 = (贈与額 − 110万 − 特別控除残枠) × 20%
2024年改正で年110万円基礎控除が新設され、しかもこの110万円分は相続時の持ち戻し対象外。子・孫への計画的な少額贈与は暦年課税より精算課税の方が有利になるケースが増えました。
相続時の精算
贈与者死亡時に、精算課税で贈与した財産は贈与時の時価で相続財産に持ち戻します。既に払った贈与税は相続税から控除。値上がりが見込める資産(株式・都心不動産等)を早期に精算課税で移転すると、値上がり分がまるごと非課税移転できます。
贈与税の速算表(2026年時点)
特例贈与(直系尊属→18歳以上の子・孫)
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 200万円超 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円超 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 600万円超 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,000万円超 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 1,500万円超 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 3,000万円超 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般贈与(上記以外)
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 200万円超 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 300万円超 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 400万円超 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 600万円超 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,000万円超 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 1,500万円超 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
ケーススタディ:贈与プラン別の税負担
① コツコツ贈与:年200万円×10年(子1人・18歳以上)
年110万を超える90万に特例税率10%=9万円/年、10年で90万円の税負担。— が推奨方式の合計。精算課税なら年110万非課税に収まり0円移転が可能で完勝。累計2,000万円を子に移転できる。
② スピード贈与:年500万円×5年(子1人・18歳以上)
年110万控除後390万に特例税率15%-10万=48.5万/年、5年で243万円の税負担。—。精算課税なら年間390万×5年=1,950万を特別控除2,500万で吸収でき、税額0円で2,500万を移転可能。
③ 住宅取得資金一括:1,000万円(省エネ住宅・18歳以上)
住宅取得等資金の非課税特例(省エネ等優良1,000万)と暦年110万を組み合わせ。—。特例活用で税額0円、実質1,110万円を非課税移転できる強力な使い方。
④ 教育資金一括:1,500万円(孫・信託口座)
教育資金一括贈与非課税特例(1,500万まで)を活用。—。信託銀行の教育資金口座で管理し、学費支払いに使用。孫の受贈者が30歳到達までに使い切らない残額は贈与税課税される点に注意。
⑤ 精算課税で一気に:3,000万円(子1人・18歳以上・特別控除フル活用)
特別控除2,500万を使い切り、超過500万に一律20%=100万円の税負担。—。値上がり資産(自社株・都心不動産)を精算課税で早期移転する場合の典型。相続時に贈与時価で持ち戻すため、値上がり分が節税効果になる。
暦年課税 vs 相続時精算課税 選択の判断軸
| 暦年課税 | 相続時精算課税 | |
|---|---|---|
| 年間基礎控除 | 110万円/年 | 110万円/年(2024年改正で新設) |
| 特別控除(生涯) | なし | 2,500万円 |
| 超過分の税率 | 10〜55%(累進) | 一律20% |
| 相続時の持ち戻し | 相続開始前7年以内分(改正後) | 贈与時価で全額(110万非課税分除く) |
| 贈与者の年齢要件 | なし | 60歳以上 |
| 受贈者の年齢要件 | 特例贈与は18歳以上 | 18歳以上 |
| 関係要件 | 誰でも可 | 直系尊属からの贈与のみ |
| 選択後の変更 | いつでも精算課税に切替可 | 暦年課税に戻せない |
| 向いている人 | 相続開始まで15年以上ある、少額を多人数に分散したい | 60歳以上→18歳以上の子孫、値上がり資産の早期移転、コツコツ贈与 |
| 不向きな人 | 相続開始が近い高齢者(7年内加算リスク) | 贈与財産が値下がりする資産、暦年110万を毎年フル活用したい少額贈与 |
2024年改正の目玉は「精算課税にも年110万円の基礎控除」が新設されたこと。しかもこの110万円分は相続時の持ち戻し対象外です。従来「精算課税は少額贈与に向かない」とされてきた常識が覆り、親60代〜孫20代のような長期贈与プランでは精算課税が有利になるケースが増えました。
節税テクニックと注意点
① 贈与契約書と資金移動の証跡を残す
「あげた・もらった」の合意なしに親名義の口座に子名義で入れているだけの「名義預金」は、税務調査で相続財産扱いになり数千万円級の追徴課税に直結します。毎回贈与契約書を作成、受贈者名義の口座に送金、受贈者が管理・使用の3点を必ず徹底してください。
② 定期贈与とみなされない工夫
「毎年100万円を10年間贈与する」と当初から約束していると、1,000万円の権利を初年度に贈与したとみなされ課税されます(定期贈与)。金額・時期・タイミングを毎年変える、契約書を毎年別途作成する等の対策が必要。
③ 教育資金・結婚子育て資金は信託口座で管理
教育資金一括贈与(1,500万非課税)・結婚子育て資金一括贈与(1,000万非課税)は信託銀行の専用口座で管理する必要があります。学費支払時に領収書提出が必要な点、受贈者が30歳(結婚子育ては50歳)到達時に残額があると贈与税課税される点に注意。
④ 住宅取得等資金は令和8年12月31日まで
省エネ等優良住宅1,000万円・一般住宅500万円までの非課税枠は令和8年12月31日まで(延長の議論あり)。住宅取得予定なら、この時期に暦年110万・精算課税・住宅資金特例を組み合わせて最大限活用。
⑤ 精算課税の110万非課税は毎年使い切る
2024年改正で精算課税にも年110万非課税が新設されました。この110万分は相続時の持ち戻し対象外のため、毎年110万を子・孫3人に贈与すれば、20年で110万×3人×20年=6,600万円を確実に相続財産から切り離せます。
よくある質問(FAQ)
贈与税がかからない範囲はいくらまでですか?
暦年課税では年間110万円まで基礎控除で無税、申告も不要です。ただし複数の贈与者から受けた場合は受贈者側で合算して110万円まで。夫と妻の親からそれぞれ100万円ずつもらうと合計200万円で110万円超過分に贈与税がかかります。精算課税を選択した場合も、2024年改正で年110万円の基礎控除が別途新設され、精算課税の枠内でも年110万は無税で申告も不要です。
暦年課税と相続時精算課税、どちらが得ですか?
ケースによって逆転します。相続開始まで15年以上ある・少額を多人数に分散したいなら暦年課税、60代の親から18歳以上の子・孫にコツコツ長期贈与したいなら2024年改正後の精算課税(110万非課税+相続時持ち戻し対象外)が有利。特に値上がり見込みのある株式・都心不動産は精算課税で早期移転すると、値上がり分がまるごと節税に。当ツールで両方の税額を比較して判断してください。
2024年改正で7年内加算になったのは何が変わりますか?
暦年課税の贈与は、贈与者死亡時に「相続開始前○年以内の贈与」を相続財産に加算するルールがあります。従来3年→2024年から段階的に7年に延長。加算対象贈与のうち4〜7年前の分は総額100万円まで加算対象外という激変緩和措置あり。高齢者の駆け込み贈与の効果が大幅に薄れたのがポイントで、80代以降は精算課税(110万非課税分は持ち戻し対象外)にシフトするのが定石になりました。
住宅取得資金の非課税特例はいくらまで使えますか?
2026年時点で省エネ・耐震・バリアフリー等優良住宅は1,000万円、一般住宅は500万円まで非課税。適用期限は令和8年12月31日(延長議論中)。受贈者要件は「贈与年の1月1日時点で18歳以上・所得2,000万円以下」等。暦年110万・精算課税の枠と併用可能で、住宅取得資金特例1,000万+暦年110万=1,110万円の非課税移転が可能です。翌年3月15日までに住居の取得・入居する必要がある点にも注意。
教育資金一括贈与は1,500万円まで本当に非課税ですか?
信託銀行の専用口座で管理し、学費支払時に領収書提出する運用を守れば1,500万円まで非課税(学校等以外の習い事等は500万円まで)。ただし受贈者が30歳到達時に残額があれば贈与税課税、また贈与者死亡時に残額があると相続財産に加算(受贈者23歳以上の場合)される点に注意。実務では孫が幼少期に一括贈与して長期使用するのが向く一方、既に成人した孫への一括贈与は残額課税リスクを見極める必要があります。
名義預金と贈与、税務署はどう区別しますか?
税務署は次の3点で贈与の実質性を判断します。①贈与契約書の有無、②資金移動が受贈者名義の口座で行われているか、③受贈者が自ら通帳・印鑑・キャッシュカードを管理し、実際に使っているか。この3点が揃わない場合、税務調査で「実質的には親のお金」と判定され、相続財産に加算+無申告加算税+延滞税で数千万円級の追徴になる典型的トラブルです。毎年110万を子供口座に入れているだけで安心せず、契約書と本人管理を徹底してください。
夫婦間の贈与に特例はありますか?
婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産取得資金を贈与した場合、2,000万円まで非課税(暦年110万と別枠、通称「おしどり贈与」)。一生に一度・同一夫婦間で1回のみ使える特例です。ただしこの特例による贈与は相続時の持ち戻し対象外で、二次相続対策として有効な反面、不動産取得税・登記費用が別途かかる点に注意。実務では相続税より不動産取得税等の方が高くつくケースもあり、事前試算が必須です。
精算課税を選択したら暦年課税に戻せますか?
戻せません。相続時精算課税は特定の贈与者からの贈与について「一度選択したら、その贈与者からの贈与は生涯精算課税」となり、暦年課税110万非課税は使えなくなります。ただし他の贈与者からの贈与は暦年課税のまま維持できます。例:父からの贈与は精算課税、母からの贈与は暦年課税、というように贈与者ごとに使い分け可能。選択の前に、その贈与者からの生涯累計プランと相続開始見通しを税理士とシミュレーションしてください。
贈与税の申告はいつ・どこにするのですか?
贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までに、受贈者の住所地の税務署に申告・納付します。e-Taxまたは書面で申告可能。相続時精算課税を初めて選択する場合は、同じ期限内に「相続時精算課税選択届出書」を必ず提出。この届出書の期限徒過は、そのまま暦年課税扱いになり数百万〜数千万円の税額差を生む典型ミスです。精算課税は継続適用のため、以後の贈与でも贈与額問わず申告が必要(110万以下でも要申告)な点に注意。
孫への贈与は何が有利ですか?
孫への贈与は次の3点でメリットが大きい:①7年内加算の対象外(相続人でない孫は加算されない、代襲相続人・養子は対象)、②世代飛ばしで相続税を1世代分節約できる、③直系尊属からなので特例贈与税率・住宅取得資金特例・教育資金一括贈与非課税が使える。祖父母→孫の贈与は生前贈与の王道パターンで、孫が幼少期の教育資金一括贈与1,500万+成人後の暦年贈与コツコツで数千万円級の資産移転が可能です。ただし孫養子は相続税額20%加算対象になる点だけ注意。
出典・参考資料
- 国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」タックスアンサーNo.4408 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
- 国税庁「相続時精算課税の選択」タックスアンサーNo.4103 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
- 国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」タックスアンサーNo.4508 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
- 国税庁「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」タックスアンサーNo.4510 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4510.htm
- 国税庁「令和5年度税制改正の大綱(相続時精算課税制度の見直し・生前贈与加算7年延長)」
※本記事の計算結果はあくまで概算です。実際の税額は贈与財産の種類・評価方法・特例適用要件の充足・過去の贈与履歴により異なります。個別具体的な贈与税申告・生前対策は必ず税理士にご相談ください。