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年金働き方停止

在職老齢年金計算機|働きながら受給する年金の支給停止額

在職老齢年金を計算する無料電卓。 賃金・年金月額から、支給停止額・実際の受取額を瞬時算出。 2025年現在の基準額は月51万円で、 賃金と年金の合計がこれを超えると超過額の半分が支給停止されます。 60歳以降も働きながら厚生年金を受給する方には 「働き損」を避けるための必須知識です。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

在職老齢年金ツール

在職老齢年金とは

在職老齢年金制度は60歳以降も働きながら厚生年金を受給する場合、 賃金と年金の合計が一定額(2025年で月51万円)を超えると 年金の一部が支給停止される制度です。 「働き過ぎると年金が減る」と批判される制度で、 2022年に支給停止基準が大幅引上げ(28万→47万→51万円)され、 対象者は減少しています。 それでも役員報酬や高賃金の再雇用者は依然として影響を受けます。

計算式と考え方

支給停止額 = (賃金 + 年金月額 − 51万円) ÷ 2
支給後年金 = 年金 − 支給停止額

2025年現在の基準額は月51万円です。 賃金は標準報酬月額+直近1年の標準賞与額の1/12で計算されます。 基礎年金(老齢基礎年金)は対象外で、 厚生年金部分(老齢厚生年金)のみが調整されます。 基準額は毎年度改定され、 賃金水準・物価水準の変動に応じて数千円単位で動きます。

計算例

  1. 賃金30万・年金12万 → 合計42万<51万→停止なし・満額受給
  2. 賃金40万・年金15万 → 合計55万→停止額2万・実受取13万
  3. 賃金60万・年金20万 → 合計80万→停止額14.5万・実受取5.5万
  4. 賃金80万・年金15万 → 合計95万→停止額22万→年金全額停止(15万まで)
  5. 賃金45万・年金6万 → 合計51万→ちょうど基準・停止なし

早見表・基準値

賃金+年金停止額実受取年金
51万以下0円満額
55万2万円年金-2万
60万4.5万円年金-4.5万
70万9.5万円年金-9.5万
80万14.5万円年金-14.5万
100万24.5万円年金-24.5万
120万34.5万円年金全額停止

制度の変遷と2022年改正

制度創設(1965年)

1965年(昭和40年)に「在職老齢年金制度」が創設されました。 当初は60歳以降も就労を続ける労働者に対し、 賃金水準に応じて年金支給を制限する仕組みでした。 高度成長期には基準額が低く、 多くの就労高齢者が支給停止の対象となっていました。

1994年改正・2000年改正

1994年に基礎年金部分の支給停止が廃止され、 厚生年金部分のみの調整に。 2000年には60歳代前半(60〜64歳)の「低在老」と 65歳以降の「高在老」の2種類に分かれ、 基準額が別々に設定されていました。

2022年4月改正(低在老の廃止)

2022年4月に大改正が行われ、 60歳代前半の低在老(基準28万円)が廃止され、 高在老と統合されて基準額47万円(当時)に一本化。 対象者は約100万人減少し、 高齢者の就労意欲を高める政策として評価されました。

2025年時点の基準額

賃金・物価の上昇に応じて基準額も改定され、 2024年度は50万円、2025年度は51万円と段階的に引上げ。 今後もインフレに応じて基準は上昇する見込みです。 ただし政府の税制改正議論次第では制度そのものの廃止も検討されており、 制度改正動向を注視する必要があります。

「賃金」の正確な定義

標準報酬月額とは

在職老齢年金の計算に使う「賃金」は、 実際の給与そのものではなく標準報酬月額を使います。 標準報酬月額は健康保険・厚生年金の保険料計算の基礎で、 月給を1〜32等級(現在は50等級)に区分した金額です。 例えば月給42万円なら標準報酬月額42万円(第26等級)に該当します。

標準賞与額の1/12

賞与も賃金に含まれます。 過去1年間に支給された標準賞与額(賞与1回150万上限)の合計を 12で割った額を月額換算し、 標準報酬月額に加算します。 夏冬各100万・合計200万の賞与なら月あたり約16.7万円が加算されます。

役員報酬の扱い

役員(取締役・監査役)の報酬も、 厚生年金の適用対象であれば標準報酬月額として賃金にカウントされます。 中小企業のオーナー社長で年金受給を優先したい場合、 役員報酬を意図的に51万円以下に抑える節税手法もあります。

賃金に含まないもの

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金:全額所得控除で報酬対象外
  • 企業型DC(マッチング拠出):加入者掛金は報酬対象外
  • 退職金:一時金・分割いずれも報酬対象外
  • 持株会の拠出金:福利厚生扱いで報酬対象外
  • 通勤手当(非課税分):標準報酬には含めるが実質影響小

繰下げ受給との組み合わせ

繰下げの基本ルール

65歳の受給開始を最大75歳まで繰下げると、 月0.7%×繰下げ月数で年金額が増額されます。 70歳繰下げなら+42%、75歳繰下げなら+84%です。 在職老齢年金で支給停止される部分は繰下げ増額の対象にならないため、 支給停止対象者の繰下げ効果は限定的になります。

繰下げしても停止部分は増額されない

重要な落とし穴として、 支給停止された年金は「もらっていない」扱いにならず、繰下げ増額の対象外です。 つまり在職中に停止になっている部分は、 繰下げても増えません。 高賃金で働きながら繰下げても、 想定した増額効果が得られないケースが多発しています。

戦略:繰下げ前に退職するか賃金を下げる

  • 65歳で退職→年金は満額受給・繰下げなしで受給開始
  • 60〜65歳は嘱託で低賃金→65歳以降フル勤務で年金停止覚悟
  • 65歳退職→70歳まで年金なし→70歳から+42%増額で受給開始
  • 65歳以降役員報酬を51万円以下に→年金満額+繰下げも可能

厚生年金だけ繰下げ・基礎年金は受給の選択

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、 片方だけ繰下げることができます。 例:基礎年金は65歳から受給、 厚生年金は在職中で停止気味→70歳まで繰下げ→退職後受給、 という組み合わせが可能です。 停止額が大きい高賃金勤務者に有利な戦略です。

ケーススタディ:5パターンの在職年金

ケースA:63歳・嘱託社員(月給25万)

  • 賃金25万+年金12万=37万<51万
  • 支給停止なし・年金満額12万
  • 手取り総額37万×0.85(社保等)=約31万
  • 基準に余裕あり、繰下げ効果もフルで受けられる

ケースB:67歳・現役再雇用(月給40万+賞与100万)

  • 賃金40万+8.3万=48.3万
  • 年金15万→合計63.3万→停止額6.15万
  • 実受取年金8.85万・手取り総額約46万
  • 賃金を月給37万にすれば支給停止解消

ケースC:72歳・オーナー社長(役員報酬80万)

  • 賃金80万+年金18万=98万
  • 停止額23.5万→年金全額停止
  • 実受取年金0円・企業側は健康保険料負担続く
  • 役員報酬40万に減額→年金満額+会社の社保負担も減

ケースD:65歳退職・年金開始

  • 賃金0・年金月18万
  • 合計18万<51万→停止なし
  • 65歳以降フル年金受給・悠々自適の老後
  • 退職所得控除の活用と併せ節税効果最大化

ケースE:60歳嘱託→65歳役員復帰

  • 60〜64歳:嘱託月給25万→年金満額
  • 65歳:役員復帰・報酬70万→年金停止
  • 65歳以降の厚生年金だけ繰下げ→70歳から+42%
  • 基礎年金は65歳から受給・生活費に

「働き損」を回避する5つの戦略

戦略1:賃金を51万円以下に抑える

最もシンプルな方法。 標準報酬月額を51万円以下に設定できるよう、 月給と賞与を調整します。 賞与ゼロで月給51万まで、あるいは月給40万+賞与132万のようなパターンでも 月あたり賃金は51万円に収まります。 雇用契約書の書き直しや役員報酬決議で対応可能です。

戦略2:iDeCo・企業型DCで報酬を減額

iDeCo(60〜65歳)や企業型DCのマッチング拠出を活用すれば、 賃金を実質的に減らしつつ将来資産形成が可能。 月2.3万円×5年で138万円を非課税で積み立てられます。 年金停止額は月1.15万円減、 さらに所得税・住民税で年約7万円節税と一石二鳥。

戦略3:厚生年金だけ繰下げ受給

在職中の厚生年金は繰下げて増額を狙い、 基礎年金は65歳から満額受給。 70歳退職+繰下げなら+42%増額で受給開始。 高賃金勤務者に最適な戦略です。 ただし停止部分は繰下げ対象外なので、 賃金設計と併せた検討が必須です。

戦略4:個人事業主として独立

厚生年金の被保険者資格がなくなるため、 在職老齢年金の対象外となり満額受給できます。 役員退任+顧問契約(業務委託)のような形式で、 実質的な仕事を継続しながら年金満額を狙える方法です。 ただし社会保険は国民健康保険+国民年金の切替が必要。

戦略5:配偶者に報酬を分散

自社の役員に配偶者を追加し、 役員報酬を分散させることで各人の賃金を下げる方法。 配偶者の年収の壁(税では2026年分から扶養の判定が136万円、所得税がかかり始めるのが178万円。社会保険は改正されず106万円・130万円のまま)を意識しつつ、 夫婦合算で世帯収入を維持しつつ夫の年金を満額化。 中小企業オーナーに人気の節税・年金確保テクニックです。

注意点・落とし穴

  • 基礎年金は対象外。厚生年金部分のみ調整されます。老齢基礎年金・付加年金は満額受給できます。
  • 2022年の基準引上げで多くの高齢就労者が満額受給可に。過去に手続きした人も再確認を。
  • 賃金=標準報酬月額+賞与1/12。実支給額ではありません。標準賞与額の計算に注意。
  • 働き損を避けるため、賃金51万以下に調整するケース多い。役員報酬減額の総合検討を。
  • 支給停止部分は繰下げ増額の対象外。65歳以降フル勤務なら繰下げは慎重に。
  • 加給年金(配偶者加算)も支給停止の影響を受ける場合あり。
  • 雇用保険との併給調整(高年齢雇用継続給付)で追加減額の可能性あり。

関連用語

標準報酬月額
社会保険料計算ベース。月給に近似
標準賞与額
賞与1回150万上限で厚生年金保険料の計算基礎
支給停止
受給権はあるが支給されない状態
60歳定年
在職老齢年金の典型対象者
70歳到達
厚生年金被保険者資格喪失=計算対象外
高在老
65歳以降の在職老齢年金(旧称)
加給年金
配偶者加算(年約40万円)
繰下げ受給
受給開始を遅らせて増額(月0.7%)

よくある質問(FAQ)

働き過ぎは損?

限界税率50%相当。51万超部分の半分が年金カット+所得税住民税もかかります。年収51万×12=612万を超える設計は要注意です。

60歳代前半の特別支給は対象?

対象です。基準額は65歳以降と同じ月51万円。特別支給の老齢厚生年金(一部の生年月日該当者)も同じ計算方式です。

70歳以降は?

厚生年金被保険者資格を失うため対象外。ただし70歳以上被用者制度で同じ計算が続く場合あります。個人事業主として就労するなら影響なし。

iDeCoは賃金に含む?

含めません。給与天引き形式でも報酬計算外。60歳以降もiDeCo拠出可能(65歳まで)で節税と年金確保の両方が可能です。

共働き夫婦の年金は?

個別計算。妻の年金は妻の賃金で判定します。世帯年収ではなく個人単位で見ます。夫婦それぞれの繰下げ戦略も別々に検討可能。

役員報酬の場合は?

役員報酬も賃金扱い。報酬月額51万超は支給停止対象。役員報酬を下げ、配偶者役員報酬を上げる分散策も検討できます。

企業年金は?

企業年金は対象外。厚生年金(公的年金)のみ調整。確定給付企業年金・確定拠出年金・厚生年金基金はいずれも影響なし。

フリーランス・個人事業主なら?

影響なし。厚生年金被保険者でないため、事業所得がどれだけ大きくても老齢厚生年金は満額受給できます。定年後独立が節税・年金確保の両面で有利。

加給年金も減る?

本体停止時は加給年金も停止されるルールあり。配偶者加算約40万円が消えるインパクトは大きいため、加給年金対象者は特に慎重な設計が必要です。

参考リンク(公的機関)

在職老齢年金の受給前チェックリスト

  • 自分の年金月額を「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認したか
  • 今の標準報酬月額と標準賞与額を把握しているか
  • 賃金+年金の月額合計を試算したか
  • 51万円基準を上回るかどうか確認したか
  • 役員報酬・賞与の設計変更で調整可能か検討したか
  • 加給年金対象の配偶者がいる場合、停止影響を計算したか
  • 65歳以降の繰下げ戦略を厚生年金・基礎年金別に検討したか
  • iDeCo・企業型DCの活用で報酬を減らす選択肢を検討したか
  • 退職金の受取時期・分割・一時金の税務比較をしたか
  • 個人事業主として独立する選択肢を検討したか

免責事項

本ツールは2025年度の在職老齢年金制度に基づく試算ツールです。 実際の支給停止額は個人の年金加入履歴・標準報酬月額・標準賞与額・加給年金の有無等により変動します。 年金制度は2025年財政検証・税制改正の動向によって将来大きく変わる可能性があります。 本ツールの計算結果はあくまで概算値であり、 正確な金額は日本年金機構(ねんきん定期便・ねんきんネット・年金事務所)で確認してください。 また支給停止された年金は繰下げ増額の対象外であるなど、 制度細部にも重要な例外があります。 個別事情については、社会保険労務士・税理士等の専門家に相談してください。 本ツールの計算結果に基づく損害について、当サイトは一切の責任を負いません。