リタイア前計画|退職後の不足総額と必要な積立額を計算
リタイアまでに用意しておく金額を計算する無料電卓。現在年齢・退職年齢・退職後の月支出・年金見込み額から、90歳までの不足総額と、年間・毎月の必要積立額を算出します。
リタイア前計画ツール
計算式と前提
必要総額 = 退職後の月支出 × 12 ×(90 − 退職年齢)
− 年金見込み月額 × 12 ×(90 − 退職年齢と65歳の遅いほう)
年間の必要積立額 = 必要総額 ÷(退職年齢 − 現在年齢)
毎月の必要積立額 = 年間の必要積立額 ÷ 12
既定値(現在50歳・退職65歳・退職後の月支出25万円・年金見込み月14万円)では、90歳までの生活費が7,500万円、受け取る年金の合計が4,200万円で、差額の3,300万円が必要総額になります。準備期間は15年なので、年220.0万円・月18.33万円の積立が必要という結果です。公的年金は原則65歳からの受給として計算するため、65歳より前に退職する設定では、年金が始まるまでの空白期間の生活費が全額そのまま不足額に加わります。年金見込み額は「ねんきん定期便」の見込額を入れると精度が上がります。既定値の月14万円は、厚生年金(老齢基礎年金を含む)受給者の平均的な水準を目安にしたものです。必要総額は小数第1位まで表示されます(3,300万円は「3300.0」と表示)。
早見表
退職年齢別(現在50歳・月支出25万円・年金14万円)
| 退職年齢 | 年金までの空白 | 必要総額 | 準備期間 | 年間の積立額 | 毎月の積立額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 60歳 | 5年 | 4,800万円 | 10年 | 480.0万円 | 40.00万円 |
| 62歳 | 3年 | 4,200万円 | 12年 | 350.0万円 | 29.17万円 |
| 65歳(既定値) | 0年 | 3,300万円 | 15年 | 220.0万円 | 18.33万円 |
| 68歳 | 0年 | 2,904万円 | 18年 | 161.3万円 | 13.44万円 |
| 70歳 | 0年 | 2,640万円 | 20年 | 132.0万円 | 11.00万円 |
60歳退職と65歳退職では必要総額が1,500万円違い、しかも準備期間が5年短くなるため、毎月の積立額は18.33万円から40.00万円へ2倍以上に跳ね上がります。早期退職の負担が重く出るのは、支出が5年分増えることと年金が5年分減ることが同時に効くためです。
退職後の月支出別(現在50歳・退職65歳・年金14万円)
| 退職後の月支出 | 必要総額 | 年間の積立額 | 毎月の積立額 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 1,800万円 | 120.0万円 | 10.00万円 |
| 25万円(既定値) | 3,300万円 | 220.0万円 | 18.33万円 |
| 30万円 | 4,800万円 | 320.0万円 | 26.67万円 |
| 35万円 | 6,300万円 | 420.0万円 | 35.00万円 |
| 40万円 | 7,800万円 | 520.0万円 | 43.33万円 |
月支出が5万円動くと必要総額は1,500万円動きます。この計算でいちばん精度を上げるべき入力は、退職年齢でも利回りでもなく「退職後の月支出」です。
詳しい解説
既定値で出る3,300万円は、90歳まで生きる、支出は毎月一定、年金は65歳から一定額という3つの仮定の積です。内訳は生活費の合計7,500万円から年金の合計4,200万円を差し引いたものです。効き方がいちばん大きいのは月支出で、25万円を30万円にするだけで必要総額は4,800万円へ1,500万円増えます。年金月額を1万円読み違えれば300万円ずれます。
仮定のうち意見が分かれるのは、何歳までを見込むかです。90歳は保守的な設定に見えますが、夫婦のどちらかが生存している確率まで考えると余裕のある値とは言い切れません。95歳まで伸ばすと必要額は2割ほど増えます。一方でこの計算機は運用利回りを0%として扱っており、取り崩しながらも一部を運用に残す実際の行動に比べると、その分は安全側へ振れています。2つの効果は逆向きなので、既定値の3,300万円という数字は「おおむね3,000万円から4,500万円の帯のどこか」と受け取るのが実務的です。
見落とされやすいのは、年金の額面と手取りの差です。年金からも所得税・住民税が引かれ、65歳以降は介護保険料、75歳以降は後期高齢者医療の保険料が天引きされます。反対に、この計算機に入っていない収入もあります。退職金、企業年金、確定拠出年金の受取、繰下げ受給による増額、65歳以降も働く場合の給与です。支出も一定ではありません。65歳から75歳ごろは活動的で旅行や趣味の支出が多く、その後いったん下がり、介護が必要になると再び上がります。住宅の修繕、車の買い替え、葬儀費用といった一時的な大きな支出は別枠で用意してください。
世帯の形でも結果が変わります。夫婦2人の場合、年金は2人分入りますが、この計算機は月額を1つしか受け取らないので合算して入力します。片方が先に亡くなると遺族年金へ切り替わって世帯の年金収入は減る一方、支出は半分にはならないため、その時点で不足の構造が変わります。持ち家か賃貸かも大きく、賃貸であれば家賃が90歳まで続くので、必ず月支出に含めてください。地域差もあり、住居費と車の維持費の分だけ、都市部と地方で月3〜5万円ほどの開きが出ます。
この計算機はインフレも運用利回りも織り込まず、税と社会保険料も差し引いていません。繰上げ・繰下げ受給、在職老齢年金による調整、取り崩し中の運用も対象外です。おおよその不足額と、そこから逆算した積立ペースを掴むための道具として使い、実際の計画は年金見込額の実数を確認したうえで、税理士やファイナンシャル・プランナーへご相談ください。
よくある間違い・注意点
- 年金の額面をそのまま手取りとして入れる ― 年金からも税と社会保険料が引かれます。手取りは額面の85〜90%程度になることが多いため、見込額をそのまま入れると不足額を小さく見積もります。
- 退職金や企業年金を計算に入れないまま「足りない」と結論する ― これらは必要総額から差し引ける原資です。受取見込額を確認してから、残りをこの計算機の必要総額と比べてください。
- 退職後の月支出を現役時の生活費で入れる ― 通勤費・被服費は減り、医療費・保険料は増えます。住宅ローンの完済時期によっても住居費が変わるため、費目ごとに増減を当ててから合算してください。
- 65歳前の退職で年金開始までの空白を見落とす ― 公的年金は原則65歳からです。この計算機は空白期間の生活費を全額不足額に加えますが、手元の試算でこれを忘れると数百万円単位で過小評価になります。
- 90歳という上限を絶対視する ― 5年延びれば必要額は約2割増えます。既定値の結果は幅で受け取り、単一の目標額に固定しないでください。
関連する制度・法令
- 国民年金法・厚生年金保険法 ― 老齢年金の支給開始は原則65歳です。この計算機もその前提で年金収入を計上します。
- 繰上げ受給 ― 60歳から受け取れますが、1か月早めるごとに減額され、60歳受給開始では最大24%の減額になります。減額は生涯続きます。
- 繰下げ受給 ― 最長75歳まで遅らせられ、1か月遅らせるごとに0.7%増額、75歳受給開始で最大84%の増額になります。この計算機は繰上げ・繰下げに対応していません。
- 在職老齢年金 ― 働きながら年金を受け取る場合、賃金と年金の合計が一定額を超えると老齢厚生年金の一部が支給停止になります。
- 公的年金等控除 ― 年金収入には給与とは別の控除が適用されます。課税所得の計算はこの控除を差し引いてから行います。
- 所得税・住民税 ― 2026年分の所得税では、合計所得金額489万円以下の場合の基礎控除が104万円で、これを超えると67万円、62万円と段階的に下がります。住民税の基礎控除は43万円のままです。
- 介護保険法 ― 65歳以上は第1号被保険者となり、保険料は原則として年金から天引きされます。
- 高齢者の医療の確保に関する法律 ― 75歳以上は後期高齢者医療制度へ移行し、保険料と窓口負担の仕組みが変わります。
- 高額療養費制度 ― 1か月の医療費の自己負担に上限を設ける制度で、医療費の見込みを立てる際の前提になります。
- 退職所得控除 ― 退職金にかかる税負担を軽くする仕組みで、勤続年数によって控除額が変わります。
参考資料
- 日本年金機構 ― 支給開始年齢、繰上げ・繰下げ、在職老齢年金の一次情報。
- 日本年金機構 ねんきんネット ― 自分の年金見込額を確認できます。この計算機の年金欄はここの数値を入れてください。
- 厚生労働省 年金 ― 公的年金制度の全体像と改正情報。
- 国税庁 公的年金等の課税関係 ― 年金にかかる所得税の計算方法。
- 総務省統計局 家計調査 ― 高齢者世帯の実際の支出額。月支出を決める際の参照先。
- 厚生労働省 生命表 ― 平均余命の統計。何歳までを見込むかの判断材料。
- 厚生労働省 介護・高齢者福祉 ― 介護保険料と自己負担の仕組み。
- 金融庁 ― 資産形成と高齢期の資金計画に関する公表資料。
- 金融広報中央委員会 知るぽると ― 家計と資産形成の中立的な解説。
本ページの計算結果は概算です。年金見込額は必ずご自身の記録で確認し、税金・社会保険料の扱いや具体的な資産計画については、税理士やファイナンシャル・プランナーなどの専門家にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
年金だけで生活できますか?
既定値では、月支出25万円に対して年金は月14万円なので、毎月11万円が不足します。90歳までの25年分で3,300万円です。年金だけで収まるかどうかは月支出の水準で決まり、支出が年金月額を下回れば不足はゼロになります。住居費が家賃か持ち家かで結論が変わりやすいので、まずそこを確定させてください。
運用の利回りは考慮されますか?
されません。この計算機は利回り0%として、必要総額を準備期間で単純に割っています。取り崩しながら一部を運用に残す場合、必要な積立額はこの結果より少なくて済む可能性がありますが、相場の下落が退職直後に来ると資産の減り方が想定より早くなります。運用を前提に積立額を下げる判断は、下落局面を含めた試算をしてから行ってください。
退職後も働き続ける場合はどう入力しますか?
働いて得る収入の分だけ、退職後の月支出を減らして入力するのが簡単です。たとえば月8万円稼ぐなら、月支出25万円のところを17万円として計算します。ただし65歳以降に厚生年金へ加入して働く場合、賃金と年金の合計が一定額を超えると老齢厚生年金の一部が支給停止になる仕組みがあるため、収入が高い場合は年金額のほうも見直しが必要です。
60歳で退職すると、なぜ必要額が急に増えるのですか?
支出が5年分増えることと、年金の受取が5年分ないことが同時に効くためです。既定値の条件で退職年齢を60歳にすると、必要総額は3,300万円から4,800万円に増え、さらに準備期間が15年から10年へ短くなるため、毎月の積立額は18.33万円から40.00万円へ2倍以上になります。
退職金はどう扱えばよいですか?
この計算機には入っていません。必要総額から退職金の手取り見込額を差し引き、残りを準備期間で割ってください。既定値の3,300万円に対して退職金が1,000万円なら、残り2,300万円を15年で用意する計算になり、毎月の積立額は12.78万円まで下がります。退職金には退職所得控除があり、勤続年数によって手取りが変わります。
90歳ではなく95歳まで見たい場合は?
上限は90歳で固定です。95歳まで見る場合は、表示された必要総額に「(月支出 − 年金月額)× 12 × 5年」を手計算で足してください。既定値なら11万円 × 12 × 5 = 660万円を上乗せして、3,960万円になります。
年金見込み額はどこで確認できますか?
毎年届く「ねんきん定期便」か、年金記録を照会できる公的なオンラインサービスで確認できます。50歳以上の方に届く定期便には、現在の加入条件が60歳まで続いた場合の見込額が記載されています。既定値の月14万円は平均的な水準の目安なので、必ずご自身の実数に置き換えてください。