計算ツール
投資信託コスト複利

信託報酬の差 計算ツール

信託報酬(運用管理費用)の違いが、長期でどれだけの金額差になるかを一括投資の前提で試算します。

最終更新:2026-08-18/監修:計算ツールズ編集部

信託報酬の差 計算機

計算式と前提

低コスト側の残高 = 投資額 ×(1 + リターン − 低コスト)^ 年数 高コスト側の残高 = 投資額 ×(1 + リターン − 高コスト)^ 年数 差額 = 低コスト側の残高 − 高コスト側の残高

既定値の「500万円・20年・低0.1%・高1.5%・リターン6%」で追います。低コスト側は実質年5.9%で回り20年後に15,735,814円、高コスト側は実質年4.5%で12,058,570円、差額は3,677,244円です。コストがまったくかからなければ16,035,677円になるので、年0.1%でも20年で約30万円が差し引かれている計算になります。

前提は3つあります。第一に、比較する2本の運用リターンは同じとみなしています。第二に、一括投資で追加の積立はしません。第三に、税金・分配金・購入時手数料は考慮していません。また、この式は信託報酬をリターンから差し引く近似で、実際には残高に対して日々控除されるため、厳密に計算すると差額は既定値で約386万円とやや大きくなります。

コスト差・年数・金額別 早見表

高コスト側の信託報酬を動かした場合(500万円・20年・低0.1%・リターン6%)

高コスト側低コスト側の残高高コスト側の残高差額
0.3%15,735,814円15,151,993円583,821円
0.5%15,735,814円14,588,787円1,147,026円
1.0%15,735,814円13,266,489円2,469,325円
1.5%15,735,814円12,058,570円3,677,244円
2.0%15,735,814円10,955,616円4,780,198円

※計算機が表示するのは差額の欄だけです。残高の2列は同じ式から求めた参考値です。

運用年数を動かした場合(500万円・低0.1%・高1.5%・リターン6%)

運用年数差額投資額に対する割合
5年428,716円8.6%
10年1,105,275円22.1%
20年3,677,244円73.5%
30年9,189,128円183.8%

投資額を動かした場合(20年・低0.1%・高1.5%・リターン6%)

投資額差額
100万円735,449円
300万円2,206,346円
500万円3,677,244円
1,000万円7,354,487円
1,800万円13,238,077円

※差額は投資額に正比例します。金額を2倍にすれば差額も2倍です。一方で年数に対しては指数的に開くため、期間のほうが影響は大きくなります。

なぜ年1.4%の差が370万円になるのか

信託報酬の差がここまで膨らむのは、コストが1回きりの手数料ではなく、毎年の成長率そのものを削る形で効くためです。既定値では低コスト側が実質5.9%、高コスト側が4.5%で回ります。1年目の差は7万円ほどにすぎませんが、削られた分は翌年以降に増える元手からも失われるため、差は年を追うごとに広がります。5年で42万円、10年で110万円、20年で367万円、30年では918万円です。割合で見ると、5年の8.6%が20年で73.5%、30年で183.8%になります。つまりコスト差は金額に対しては比例、期間に対しては指数で効くという非対称な性質を持っています。

気づきにくいのは、信託報酬が請求書として届かない点です。信託報酬は純資産総額に対する年率で定められ、日割りで毎日、基準価額から差し引かれています。投資家が見るのは差し引かれた後の基準価額なので、いくら払ったかを意識する機会がありません。年間の負担額を知りたい場合は、運用報告書の「1万口当たりの費用明細」を見ると、信託報酬に加えて売買委託手数料・有価証券取引税・監査費用などを含む実質的な負担が分かります。この実質コストは目論見書の信託報酬より高くなるのが普通で、売買回転率の高いファンドほど差が開きます。

実務で判断が分かれるのは、高コストのファンドが超過リターンでコスト差を埋められるかという点です。この計算機は両者のリターンを同一に置いているため、構造上つねに低コスト側が勝ちます。現実には運用手法が違うのでリターンも異なり、年1.4%の差を継続的に上回る運用ができるなら高コスト側が有利になります。もう一つ分かれるのが、信託報酬以外の費用をどこまで比較に含めるかです。購入時手数料がかかるファンドでは初年度の負担が上乗せされ、解約時に信託財産留保額が引かれるファンドもあります。

この計算モデルの限界も押さえておいてください。式はリターンから信託報酬を単純に引く近似で、実際には残高に対して控除されます。厳密に計算すると既定値の差額は約386万円となり、この計算より20万円ほど大きくなります。また、毎年一定のリターンが続く前提なので、下落した年の挙動や、積立で買い増していく場合の平均取得額の違いは表現できません。税金も入っていないため、課税口座では利益に対して20.315%の税負担が生じ、少額投資非課税制度の口座であればその税負担がない、という差も別途考える必要があります。具体的な投資判断や税務上の取り扱いについては、金融機関や税理士など専門家にご相談ください。

よくある間違い・注意点

  • 目論見書の信託報酬だけで比べる:実際の負担には売買委託手数料・有価証券取引税・監査費用が加わります。運用報告書の「1万口当たりの費用明細」に載る実質コストで比べてください。目論見書の値より高くなるのが普通です。
  • この計算結果を「低コストが必ず得」の証明として使う:両者のリターンを同じに置いているため、構造上つねに低コスト側が勝ちます。運用手法が違うファンド同士を比べるなら、コスト控除後のトータルリターンで見る必要があります。
  • 差額が投資額を超える表示に驚いて入力を疑う:30年では差額が投資額の183.8%になります。コストが毎年の成長率を削るため、期間が延びるほど差は指数的に開きます。入力の誤りではありません。
  • 積立投資に当てはめる:この計算は一括投資の前提です。毎月積み立てる場合は資金が入っている期間が銘柄ごとに異なるため、同じ年数でも差額は小さくなります。積立の試算には積立シミュレーションを使ってください。
  • 税金と購入時手数料を忘れる:課税口座では利益に20.315%が課され、購入時手数料がかかる商品では初年度にその分が引かれます。非課税制度の口座を使うかどうかで手取りは大きく変わります。

出典・参考資料

※本ツールは一括投資・リターン一定・税引前という単純化した前提の概算です。特定の金融商品を推奨するものではありません。実際の投資判断や税務上の取り扱いについては、金融機関・税理士など専門家にご相談ください。

よくある質問

信託報酬はいつ、どうやって支払っているのですか?

個別に請求されることはありません。純資産総額に対する年率で定められ、日割りで毎日、信託財産から差し引かれています。投資家が目にする基準価額はすでに差し引かれた後の値なので、支払いを意識する機会がないのが特徴です。年間の負担額を確認したい場合は、運用報告書の「1万口当たりの費用明細」を見ると、信託報酬に加えて売買委託手数料などを含む実質的な負担が分かります。

低コストと高コストには何%を入れればよいですか?

比較したい2本のファンドの信託報酬(税込・年率)をそのまま入れてください。国内外の株価指数に連動するインデックス型では年0.1%前後の商品が主流で、運用担当者が銘柄を選ぶアクティブ型では年1.0〜2.0%が中心帯です。より実態に近づけたい場合は、目論見書の信託報酬ではなく、運用報告書に記載された実質コストを入れてください。

差額が投資額を超えるのはなぜですか?

コストが1回きりの手数料ではなく、毎年の成長率を削る形で効くためです。削られた分は翌年以降に増えるはずだった元手からも失われるので、差は年を追うごとに広がります。既定値の条件では、5年で投資額の8.6%、20年で73.5%、30年で183.8%になります。入力の誤りではなく、複利の構造そのものによるものです。

信託報酬が高くても運用成績が良ければ問題ないのでは?

その考え方自体は成り立ちます。年1.4%のコスト差を継続的に上回る超過リターンが得られるなら、高コスト側が有利です。ただし判定にはコスト控除後のトータルリターンを、同じ指数・同じ期間で比べる必要があり、直近数年の成績だけでは判断できません。この計算機は両者のリターンを同一に置いているため、コスト差だけを取り出して見るための道具だと理解してください。

積立投資でも同じ差になりますか?

なりません。この計算は最初に一括で投資する前提です。毎月積み立てる場合、後から買った分は運用期間が短いためコストの影響を受ける時間も短くなり、同じ年数でも差額は一括投資より小さくなります。積立の場合は積立シミュレーションのツールで、投入額と期間を分けて試算してください。

信託報酬以外にどんなコストがありますか?

購入時手数料、解約時の信託財産留保額、そして運用の中で発生する売買委託手数料・有価証券取引税・監査費用・保管費用があります。後者は信託報酬とは別に信託財産から支払われるため、実質コストは目論見書の信託報酬より高くなります。為替ヘッジ付きの商品では、内外の金利差に応じたヘッジコストも実質的な負担として乗ります。

税金は考慮されていますか?

されていません。課税口座で運用益が出た場合、譲渡益や分配金に対して20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)が課されます。少額投資非課税制度の口座であればこの課税がないため、同じコスト差でも最終的な手取りは変わります。制度の要件や具体的な税務の取り扱いについては、税務署または税理士にご確認ください。