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支払督促 費用計算ツール|印紙代・郵券・強制執行までの実務ガイド

支払督促の申立費用を、請求金額から瞬時に計算。民事訴訟費用等に関する法律に基づく印紙代(通常訴訟の1/2)、郵券(切手)、予納金の内訳を提示し、通常訴訟との費用比較、仮執行宣言付支払督促の取得、異議申立への対応、給与・預金・動産への強制執行、時効の更新まで債権回収の全プロセスを実務目線で解説します。売掛金・貸金・家賃・養育費など少額から高額まで幅広く対応。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

支払督促 費用計算機

計算式(印紙代・郵券の根拠)

基本式

支払督促の申立手数料 = 通常訴訟の印紙代 ÷ 2 (民訴費用法別表第一)

支払督促は、金銭その他の代替物・有価証券の一定数量の給付を求める場合に、債権者の申立により簡易裁判所書記官が債務者に支払いを命ずる手続です(民事訴訟法第382条)。口頭弁論を経ずに書面のみで審理されるため、印紙代は通常訴訟の半額と定められています(民事訴訟費用等に関する法律別表第一・第4項)。

通常訴訟の印紙代(民訴費用法別表第一の1項)

100万円まで:10万円ごとに1,000円
100万〜500万円:20万円ごとに1,000円加算(基準5,000円)
500万〜1000万円:50万円ごとに2,000円加算(基準15,000円)
1000万〜10億円:100万円ごとに3,000円加算(基準35,000円)

郵券(予納切手)

相手方への送達(送付)に使う予納郵券は、各裁判所が組み合わせを指定します。東京簡易裁判所民事第9部(督促手続)では、相手方1名につき約1,082〜3,500円(内訳例:500円×3、100円×5、84円×5、10円×5、1円×5)が標準的です。相手方が複数の場合は人数分を予納します。

仮執行宣言の追加費用

支払督促が発せられて2週間経過後、債権者は仮執行宣言の申立てを行います(民訴法第391条)。追加の申立手数料は原則不要ですが、送達費用として追加の郵券が必要となる裁判所が多く、目安として500〜1,500円程度を見込みます。

支払督促と通常訴訟・少額訴訟の違い

金銭債権の回収手段には支払督促のほか、通常訴訟、少額訴訟、民事調停があります。手続の性格と適用範囲を整理します。

項目支払督促通常訴訟少額訴訟
根拠法民訴法382条以下民訴法一般民訴法368条以下
上限額なしなし60万円以下
管轄債務者住所地の簡裁書記官訴額140万以下=簡裁/超=地裁簡易裁判所
印紙代通常訴訟の1/2訴額に応じた基準額通常訴訟と同額
口頭弁論なし(書面のみ)あり(複数期日)原則1期日で終結
審理期間最短2〜3週間6か月〜1年以上1〜2か月
異議申立異議で通常訴訟へ移行控訴・上告異議で通常訴訟へ移行
証拠調べ不要必要簡易(即時取り調べ可能な証拠のみ)
債務名義取得仮執行宣言後に取得判決確定後判決言渡し後

相手方の住所が明確で、争いが少ない見込みの債権は支払督促が有効。相手方が異議を出しそう・住所不明・複雑な事実認定が必要な場合は最初から通常訴訟を検討します。60万円以下の少額請求は、確実に1期日で終わる少額訴訟の選択肢もあります。

請求額別の印紙代早見表

民事訴訟費用等に関する法律別表第一に基づく、通常訴訟と支払督促の印紙代を並記します。

請求額通常訴訟印紙支払督促印紙差額
10万円1,000円500円500円
30万円3,000円1,500円1,500円
50万円5,000円2,500円2,500円
100万円10,000円5,000円5,000円
200万円15,000円7,500円7,500円
300万円20,000円10,000円10,000円
500万円30,000円15,000円15,000円
700万円40,000円20,000円20,000円
1,000万円50,000円25,000円25,000円
2,000万円80,000円40,000円40,000円
3,000万円110,000円55,000円55,000円
5,000万円170,000円85,000円85,000円
1億円320,000円160,000円160,000円

印紙代のほかに、郵券(相手方1名あたり約1,082〜3,500円)、登記事項証明書・住民票取得費用、弁護士・司法書士に依頼する場合の報酬が別途必要となります。

申立から確定までの手続きフロー

段階期間目安債権者の作業債務者側の動き
①申立準備1〜2週間支払督促申立書・当事者目録・請求の趣旨/原因を作成
②申立1日債務者住所地の簡裁書記官へ提出、印紙・郵券納付
③書記官審査1〜2週間補正指示があれば対応
④支払督促発付・送達1〜2週間債務者に督促正本が送達される
⑤督促異議申立期間送達から2週間異議が出れば通常訴訟へ移行、出なければ次段階異議申立or無反応
⑥仮執行宣言申立異議期間満了後30日以内仮執行宣言の申立てを行う
⑦仮執行宣言付支払督促送達1〜2週間再度2週間の異議申立期間
⑧確定異議期間経過債務名義(確定判決と同一効力)取得
⑨強制執行2〜4週間執行文付与→給与差押・預金差押等差押えを受ける

順調に進めば申立から強制執行の債務名義取得まで約2〜3か月。相手方が異議を出さなければ通常訴訟より遥かに早く回収に着手できます。

仮執行宣言と強制執行

債務者が2週間の異議申立期間内に異議を出さなかった場合、債権者は仮執行宣言の申立てをします。仮執行宣言付支払督促は民事執行法第22条第4号の債務名義となり、強制執行の申立てが可能です。

主な強制執行の種類

給与差押え

債務者の勤務先へ債権差押命令が送達され、給与手取り(法定控除後)の1/4(33万円超部分は全額)を差押えます。継続的差押のため、完済まで毎月徴収可能。会社への差押通知で相手方に社会的圧力もかかります。

預金差押え

金融機関の支店を特定し、預金口座を差押えます。空振り(残高不足)のリスクがあり、事前調査(第三者からの情報取得手続、民執法205条)で口座を特定してから執行するのが実務。

動産差押え

執行官が債務者宅・事業所を訪問し、金銭・有価証券・機械設備・在庫商品を差押えます。生活必需品は差押禁止(民執法131条)、換価が難しく回収額が小さくなりがちで、心理的圧力目的で行うケースが多い。

不動産差押え

債務者所有の土地・建物を差押え、競売にかけて代金から回収。抵当権設定済みの物件では回収額が少ない/ゼロの場合も。登記費用と長期化を要するが、大口債権には有効。

異議申立への対応と通常訴訟移行

債務者が支払督促送達後2週間以内、または仮執行宣言付支払督促送達後2週間以内に督促異議申立てを行うと、支払督促の効力は失われ、通常訴訟に移行します(民訴法第395条)。

この場合、支払督促申立時に納めた印紙代の半額分は充当されますが、差額分(もう半額)の追加納付が必要です。訴額140万円超の場合は簡易裁判所から地方裁判所へ事件が移送されます。

異議が予想される案件(過去の交渉で相手方が争っていた・請求原因に事実認定が絡む)では、最初から通常訴訟または少額訴訟を選ぶ方が結果的に安く早く済むケースがあります。弁護士・認定司法書士(訴額140万以下)に事前相談を推奨します。

こんな債権に使える

売掛金・請負代金の回収

建設業・製造業・卸売業・IT受託の未払報酬に。取引先が「支払う」と口頭では認めるが振込がない場合、支払督促の送達自体が強い心理的プレッシャーとなり、送達到達直後に任意弁済されるケースが多い。

個人間の貸金回収

借用書・LINE履歴・振込記録がある個人間の金銭消費貸借。契約書がなくても、貸付事実を証する資料があれば申立可能。金額が大きい場合は弁護士介入で内容証明→支払督促の順が有効。

賃料未払い(家賃・地代)

賃貸物件の家賃滞納。ただし建物明渡しの請求は支払督促の対象外(金銭給付のみ)なので、明渡しを含む場合は通常訴訟。滞納額のみ回収したいなら支払督促を活用可能。

養育費・婚姻費用の未払い

離婚時の公正証書や調停調書がある場合は直接強制執行できるが、口約束・私的合意しかない場合は、まず支払督促で債務名義を取得してから執行に移る戦術がある。

敷金返還請求

賃貸退去時の敷金が返還されない場合、支払督促で請求可能。金額が小さくても、時効中断(更新)のために手続開始する意義がある。

時効間近の債権の時効更新

民法166条の消滅時効(原則5年)の完成が近い債権は、支払督促の申立てにより時効の完成猶予、確定判決同一効力取得後は時効の更新となる。督促手続だけでは足りず、確定または通常訴訟移行が必要。

よくある間違い・注意点

  • 債務者の住所地の裁判所ではないところに申立てる — 支払督促の管轄は債務者住所地の簡易裁判所書記官のみ(民訴法383条)。債権者住所地では受け付けられません。相手方の住民票・法人登記の確認は必須です。
  • 異議申立てを軽視して仮執行宣言申立てが遅れる — 仮執行宣言は異議期間満了後30日以内に申立てないと、支払督促そのものが失効します(民訴法392条)。カレンダー管理を厳格に。
  • 公示送達を選択するも要件を欠く — 債務者の住所不明時に公示送達(裁判所掲示板)を使えるが、事前調査を尽くさないと後日「送達無効」となる。住民票・戸籍附票・現地訪問等の調査記録を必ず残しましょう。
  • 金銭以外の給付を請求する — 支払督促は金銭・代替物・有価証券の給付請求のみ対応可能。動産引渡し、建物明渡し、名誉毀損の謝罪広告等は対象外で、通常訴訟が必要。
  • 相手方が個人事業主の場合の管轄ミス — 個人事業主は「自然人」のため、事業所所在地ではなく住民票上の住所地が管轄基準。屋号住所と個人住所が異なる場合、後者を優先します。
  • 時効の完成猶予・更新のタイミングを誤る — 支払督促申立時点で時効の完成猶予、確定または通常訴訟移行後の判決確定時点で時効の更新が生じます(民法147条)。この効力発生時期を誤ると、後日「時効消滅」を主張されるおそれ。
  • 電子申立できると思い込む — 現在、支払督促のオンライン申立て(督促手続オンラインシステム)は、資格者代理人(弁護士・認定司法書士)が主に利用。個人が単独でオンライン申立てするケースは限定的。書面申立てが一般的です。

関連する法令・規則

  • 民事訴訟法第382条〜第402条 ― 支払督促手続の全体規定。管轄、申立て要件、督促異議、仮執行宣言、通常訴訟移行等。
  • 民事訴訟費用等に関する法律 ― 訴え・申立ての手数料額を定める法律。別表第一の4項が支払督促(通常訴訟の1/2)に該当。
  • 民事訴訟規則第234条〜第240条 ― 支払督促申立書の記載事項、送達方法、電子情報処理組織による申立等の細則。
  • 民事執行法第22条第4号 ― 仮執行宣言付支払督促は「債務名義」となる。強制執行の申立てが可能となる根拠。
  • 民事執行法第131条 ― 差押禁止動産の範囲。生活必需品・66万円までの現金等は差押不可。
  • 民事執行法第152条・第153条 ― 給与差押の範囲。原則1/4(33万円超部分は全額)、養育費請求権では1/2まで拡大。
  • 民事執行法第205条 ― 第三者からの情報取得手続。金融機関に対する預貯金債権・振替社債等の情報照会が可能。
  • 民法第147条〜第152条 ― 時効の完成猶予・更新の規定。支払督促申立てで完成猶予、確定で更新。
  • 民法第166条 ― 債権の消滅時効。原則5年(債権者が権利を行使できることを知ったとき)または10年(客観的起算点)。

用語集(債権回収の基礎)

用語意味
債務名義強制執行の根拠となる公的文書。確定判決、仮執行宣言付支払督促、公正証書(執行認諾文言付)、和解調書等。
執行文債務名義に付される「強制執行できる」旨の証明。裁判所書記官・公証人が付与。
送達裁判所からの書類を法定の方法で相手方に届けること。原則は郵便による特別送達。
公示送達相手方の住所不明時の代替手段。裁判所の掲示板に2週間掲示し送達したものとみなす。
仮執行宣言判決確定前でも強制執行できる旨の裁判所宣言。支払督促では異議期間経過後に付与。
連帯債務・連帯保証複数人が同一債務を負担し、各人が全額支払義務を負う関係。相互求償あり。
差押命令裁判所が第三債務者(勤務先・銀行等)に対して、債務者への支払禁止を命令する文書。
取立訴訟差押債権が任意履行されない場合、第三債務者を相手取って提起する訴訟。
期日呼出状通常訴訟移行時、口頭弁論期日に出頭を求める裁判所からの通知。
認定司法書士簡裁訴訟代理関係業務認定(訴額140万円以下)を受けた司法書士。

参考文献・公的資料

制度の詳細や最新の手数料は、以下の公的機関の一次資料を参照してください。

※本ページの計算結果は、民事訴訟費用等に関する法律別表第一に基づく標準的な印紙代を算出したものです。郵券(切手)の額・組み合わせは申立先の簡易裁判所により異なるため、必ず事前に管轄裁判所に確認してください。強制執行費用(執行文付与手数料、執行官送達費用、差押命令書送達費用等)は別途必要となります。個別の債権回収案件では、弁護士・認定司法書士に事前相談することを強くお勧めします。

よくある質問(FAQ)

支払督促と通常訴訟の違いは?

支払督促は書面のみの審理・口頭弁論なしで、印紙代は通常訴訟の1/2。ただし相手方が異議申立てをすると通常訴訟に移行します。金額の上限はなく、争いのない金銭債権に有効。通常訴訟は口頭弁論・証拠調べを経る本格的訴訟で、期間6か月〜1年以上を要します。

相手が異議申立てをしたらどうなる?

督促異議申立てにより、支払督促は効力を失い通常訴訟に移行します(民訴法395条)。印紙代の差額(通常訴訟印紙−支払督促印紙)を追加納付し、訴額140万円超は地方裁判所へ移送。証拠準備・弁護士依頼を早急に行う必要があります。

強制執行はいつからできる?

仮執行宣言付支払督促が送達され、そこから2週間以内に督促異議がなければ、給与差押・預金差押・動産差押等の強制執行が可能となります(民執法22条4号)。異議期間経過を待たずに仮執行宣言付支払督促の時点で執行できる場合もあります。

債務者が行方不明の場合は?

公示送達(裁判所掲示板への掲示)で対応可能ですが、住民票調査・戸籍附票調査・現地訪問等の事前調査を尽くさないと後日「送達無効」となるおそれ。行方不明の債権回収は、そもそも回収可能性が低いため、費用対効果を慎重に判断する必要があります。

相手方が複数(連帯債務者・保証人)の場合の費用は?

印紙代は請求額に応じた1件分ですが、郵券(送達費用)は相手方の人数分を予納します。東京簡裁の場合、相手方1名あたり約1,082〜3,500円、3名なら約3,246〜10,500円を追加。連帯債務・連帯保証は「不真正連帯」の場合も含めまとめて申立て可能。

時効間近の債権にも使える?

支払督促の申立てで時効の完成猶予が生じます(民法147条1号)。確定または通常訴訟移行→判決確定により時効の更新(従来の中断)となり、時効が振り出しに戻ります。時効完成の直前でも申立て可能。ただし、督促異議が予想される場合は最初から訴訟提起する選択も。

弁護士・司法書士に依頼すべき?

訴額140万円以下は認定司法書士も代理可能。案件が単純(借用書あり・住所明確・争いなし)なら本人申立ても可能ですが、書式ミスや管轄ミス、異議申立て時の通常訴訟対応など専門知識が必要な場面が多いため、初回相談だけでも専門家利用を推奨します。

養育費・婚姻費用の回収に使える?

離婚公正証書・調停調書・審判書等の債務名義がある場合は直接強制執行可能。私的合意(LINE・口約束)しかない場合は、まず支払督促で債務名義を取得。給与差押は民執法152条3項により手取りの1/2まで拡大可能で、通常債権より回収力が強い特例あり。

予納郵券が余ったら返ってくる?

手続終了後に未使用の郵券は返還されます(郵券還付)。担当書記官の指示に従い、還付申請書を提出。返還までは1〜2か月かかることが一般的。少額のため放置される方もいますが、経費計上上は請求すべきです。

相手方の勤務先や口座がわからない場合は?

債務名義取得後、第三者からの情報取得手続(民執法205条・206条)で、金融機関に預貯金債権照会、勤務先情報を市町村・年金機構から取得可能。手続には別途手数料(1件2,000〜5,000円)と申立てが必要。事前調査費用が回収額を上回らないか慎重に検討を。

債務者が破産・民事再生を申し立てたら?

破産手続開始決定・民事再生開始決定により、既に係属中の支払督促手続は中断します。既に取得した債務名義も、破産債権として届出て配当を待つことになり、強制執行は原則できなくなります。相手方の資力悪化の兆しがあれば、早期の手続開始が重要。

支払督促が却下されるケースは?

①管轄違反(債務者住所地でない)、②請求内容が金銭給付以外(動産引渡・建物明渡等)、③公示送達しかできない事案で送達要件を欠く、④請求原因が特定されていない、⑤債務者に日本国内に住所・居所・営業所がない、等が主な却下理由。申立書式の事前確認が重要です。