倉庫ピッキング能率
移動距離と作業時間から、倉庫のピッキング能率と1日の処理量を試算します。
倉庫ピッキング能率ツール
計算式と考え方
1行あたりの所要時間は「移動時間 + 取り出し時間 + 段取り時間の按分」で求めます。シングルピッキングで移動12m、歩行速度60m/分なら移動は12秒です。取り出し10秒、段取り40秒を3行で按分した約13.3秒を足すと約35.33秒になります。1時間3,600秒を割ると約101.9行/時です。6人が7時間作業すると、1日の処理は約4,279行、オーダー数では約1,426件となります。誤ピック率0.3%では約12.8件です。
ピッキング方式と特徴
| シングル(摘み取り) | オーダーごとに棚を回る。少品種多量には向かず、移動距離が最も長い |
|---|---|
| トータル(種まき) | 複数オーダー分をまとめて取り、後で仕分ける。移動距離が半分以下になる |
| ゾーンピッキング | 作業者を区画に固定し、容器を流す。移動が短く習熟も早い |
| GTP(自動搬送) | 棚のほうが人のところへ動く。移動時間がほぼゼロになる |
倉庫ピッキング能率の詳しい解説
ピッキングの能率を決めているのは、取り出しそのものではなく移動です。手作業のシングルピッキングでは、1行あたりの所要時間のうち移動が3割から5割を占めることが多く、取り出しと確認の動作を速くしても頭打ちになります。1行あたり12mを歩けば、歩行速度60m/分で12秒かかります。この12秒を短くする方法は、歩く速さを上げることではなく、歩く距離そのものを減らすことです。距離を減らす手段は大きく三つあります。第一はロケーション管理で、出荷頻度の高い品目を入口寄りかつ腰の高さの棚に配置します。出荷データを取って上位2割の品目を特定し、そこを集中配置するだけで平均移動距離が目に見えて縮みます。第二は方式の変更です。複数オーダー分をまとめて取るトータルピッキングでは、同じ品目を一度に取るため移動が半分以下になりますが、取ったあとに仕分ける工程が増えます。オーダーあたりの行数が少なく、品目が重複しやすい通販型の出荷ではトータルが効き、行数が多く重複が少ない業務用出荷ではシングルのほうが総時間が短くなることがあります。第三は自動搬送で、棚が作業者のところまで動くため移動がほぼ消え、能率は数倍になりますが、投資額と保守費用、そして物量の下限が判断材料になります。段取り時間も見落とされやすい要素です。オーダーを開始するたびに、容器の準備、伝票の確認、台車の移動といった作業が発生します。この試算ではオーダーあたり40秒としていますが、1オーダーの行数が少ないほど1行あたりに按分される時間が増えます。行数1のオーダーばかりの現場では、段取り時間が能率を支配することになります。複数オーダーをまとめて1回の段取りで処理するマルチオーダー化は、ここに直接効きます。誤ピックの扱いも重要です。能率を上げると誤ピックが増える関係にあり、1件の誤出荷が発生すると、返品受付、再出荷、送料、顧客対応で数千円規模の損失になります。誤ピック率0.3%は1日4,000行の現場で12件前後にあたり、無視できる水準ではありません。デジタルピッキング表示器やハンディ端末による照合を入れると1行あたり数秒増えますが、誤りの削減効果と比べて判断することになります。速さと正確さのどちらを優先するかは、扱う商品の単価と誤出荷の影響度で決まります。
業界・現場での使い方
人員計画の作成
出荷量から必要な人数と作業時間を逆算します。
方式変更の効果測定
シングルからトータルに変えた場合の処理量の変化を見ます。
レイアウト改善の評価
移動距離を短くしたときの能率向上を数値で確認します。
よくある間違い・注意点
- 取り出し動作の速さだけを追う — 所要時間の3〜5割は移動です。距離を減らすほうが効果が大きくなります。
- 段取り時間を計算に入れない — 行数の少ないオーダーが多い現場では、段取りが能率を支配します。
- 誤ピックの損失を能率と切り離す — 1件の誤出荷は数千円規模の損失です。速さと正確さは同時に評価してください。
関連する規格・法規
- 日本ロジスティクスシステム協会
- JIS物流規格
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
手作業ではどのくらいが標準ですか。
1人1時間あたり100行前後が一つの目安です。動線とロケーション次第で150行を超える現場もあります。
トータルピッキングは必ず速いですか。
仕分け工程が増えるため、行数が多く品目の重複が少ない出荷では逆に遅くなることがあります。
自動化の判断基準は何ですか。
物量の下限と投資回収年数です。能率向上分の人件費削減と、設備費と保守費を並べて比較します。