予防接種スケジュール 計算ツール|Hib・肺炎球菌・ロタ・BCG・MR・HPV・インフルの接種時期と回数を日本小児科学会準拠で即判定
Hib・肺炎球菌・ロタ・B型肝炎・BCG・4種混合(DPT-IPV)・MR(麻疹・風疹)・水痘・日本脳炎・HPV・インフルエンザなど、乳幼児から成人までの予防接種スケジュールを、日本小児科学会推奨予防接種スケジュール・予防接種法・厚生労働省の定期接種実施要領に沿って即判定。定期接種と任意接種の区別、公費補助と自己負担、同時接種の可否、副反応対応、海外渡航時の追加接種まで、母子手帳との対応がひと目で分かる完全無料ツールです。
予防接種スケジュールツール
日本の予防接種制度の全体像
日本の予防接種は予防接種法に基づくA類疾病(旧・定期一類)とB類疾病(旧・定期二類)に区分され、A類は集団予防目的で公費(無料)、B類は個人予防目的で市区町村により一部助成があります。A類疾病には現在、Hib・肺炎球菌・B型肝炎・ロタ・DPT-IPV・BCG・MR・水痘・日本脳炎・HPV・結核などが含まれ、対象年齢内であれば全額公費で接種可能です。
2026年の日本小児科学会推奨スケジュールでは、生後2ヶ月から接種を開始し、生後1年で15回以上の接種を完了させる稠密なスケジュールが標準となっています。同時接種を活用することで来院回数を減らし、確実に完了させるのが現代の実務です。
乳児期(0〜1歳)の必須スケジュール
生後2ヶ月からのスタートが日本小児科学会推奨。2ヶ月・3ヶ月・4ヶ月・5ヶ月・1歳の節目に集中して定期接種を消化します。
生後2ヶ月から開始する必須5ワクチン
- Hib(インフルエンザ菌b型):初回3回+追加1回=計4回。細菌性髄膜炎の主原因を予防。
- 肺炎球菌(PCV13/15/20):初回3回+追加1回=計4回。中耳炎・肺炎・髄膜炎を予防。
- B型肝炎:0・1・6ヶ月の3回。母子感染・水平感染を予防。
- ロタウイルス:経口ワクチンで2回(ロタリックス)または3回(ロタテック)。1価/5価どちらでも可。
- 4種混合(DPT-IPV):3ヶ月開始、初回3回+追加1回=計4回。ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオを一度に予防。
生後5〜8ヶ月:BCG
結核予防のBCGは生後5〜8ヶ月に1回接種(管針法。上腕にスタンプ状の痕が残る)。日本は結核低蔓延国だが、集団感染防止の観点から定期接種として維持されています。
幼児〜就学前(1〜6歳)
1歳になったらMR(麻疹・風疹)と水痘を接種。日本脳炎の初回開始(3歳)、就学前のMR2期・DPT-IPV追加も忘れずに。
| 時期 | ワクチン | 回数 |
|---|---|---|
| 1歳 | MR 1期・水痘 1回目 | 各1回 |
| 1歳3ヶ月 | 水痘 2回目 | 1回 |
| 1歳半 | 4種混合 追加 | 1回 |
| 3歳 | 日本脳炎 1期初回×2 | 2回 |
| 4歳 | 日本脳炎 1期追加 | 1回 |
| 5〜6歳(就学前) | MR 2期 | 1回 |
MR2期は幼稚園・保育園の年長時(就学前1年間)に接種。忘れると小学校入学後は定期接種の対象外となり自費(1回1万円前後)となるため要注意です。
学童・思春期(小学生〜高校生)
- 2種混合(DT):11歳〜13歳の間に1回。ジフテリア・破傷風の追加免疫。
- 日本脳炎 2期:9歳〜13歳未満に1回。
- HPV(ヒトパピローマウイルス):小学6年生〜高校1年生相当の女子・男子(一部自治体)に3回。詳細は次章。
- インフルエンザ:任意接種だが、毎年10〜11月の接種が推奨(13歳未満は2回、13歳以上は1回)。
HPVワクチン(子宮頸がん予防)
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、子宮頸がんの原因の70〜90%を予防できる有効な公衆衛生ツール。日本では2013年に副反応報道を受けて積極的勧奨が停止されていましたが、2022年4月に再開され、2024年から9価ワクチン(シルガード9)が定期接種化。対象は小学6年生相当〜高校1年生相当の女子で、キャッチアップ接種として1997年度〜2007年度生まれの女性も2025年3月まで公費接種が可能でした。
9価ワクチンのスケジュール
- 15歳未満:2回接種(0・6ヶ月)
- 15歳以上:3回接種(0・2・6ヶ月)
男性への接種
HPVは男性の中咽頭がん・肛門がん・尖圭コンジローマの原因にもなるため、東京都・大阪府など複数の自治体で男児への任意接種助成が拡大中。世界的にはWHOが男女両方への接種を推奨しています。
成人・高齢者の追加接種
成人以降も継続的な予防接種が推奨されます。
インフルエンザ
65歳以上は定期接種(B類)で1,500〜2,500円程度の自己負担。若年成人も毎年10〜11月接種が推奨。
肺炎球菌(PPSV23・成人用)
65歳から定期接種(B類)で1回。5年以上あけて2回目を任意接種することで抗体維持が可能。
帯状疱疹
2025年4月から65歳以上で定期接種化予定。生ワクチン(1回)と組換えワクチン(シングリックス・2回)から選択できます。
新型コロナ
2024年秋以降、65歳以上と基礎疾患のある人向けの定期接種化。年1回の追加接種が推奨されています。
破傷風トキソイド
10年に1回の追加接種が推奨。特に園芸・農業従事者・アウトドア愛好家は要注意。
MR(風疹)
1962〜1979年度生まれの男性は風疹抗体保有率が低いため、追加的対策として抗体検査+MRワクチンの無料クーポン制度が継続中です。
海外渡航時の追加ワクチン
渡航先により追加の予防接種が必須。渡航2〜3ヶ月前からトラベルクリニックで相談を。
- 黄熱:アフリカ・南米の一部で入国時に接種証明(イエローカード)必須。
- A型肝炎:東南アジア・アフリカ・中南米への1ヶ月以上の滞在で推奨。
- 破傷風・DPT:農村部・僻地への渡航で追加接種を検討。
- 狂犬病:野生動物との接触リスクのある地域で。
- 腸チフス:インド亜大陸・アフリカへの長期滞在で。
- 髄膜炎菌:サブサハラアフリカのメニンジャイトベルト、メッカ巡礼者は必須。
- 日本脳炎:アジア農村部で追加免疫を検討。
同時接種と接種間隔のルール
日本小児科学会は同時接種を積極的に推奨。理論的・臨床的にも安全性が確認されており、来院回数削減と確実な接種完了に有効です。
接種間隔の基本ルール(2020年10月改正)
- 異なる不活化ワクチン同士:制限なし(同日または翌日以降いつでもOK)
- 異なる生ワクチン同士(注射):4週間以上あける
- 同一ワクチンの複数回接種:各ワクチンで定められた間隔を厳守
- 経口生ワクチン(ロタ):他ワクチンとの間隔制限なし
従来「接種後1ヶ月あける」というルールがありましたが、2020年10月の改正で大幅に緩和。生ワクチン同士の4週間制限のみが残り、それ以外は柔軟に組めるようになりました。
費用と公費補助の仕組み
定期接種はA類・B類で費用負担が異なります。
A類(無料・集団予防目的)
Hib・肺炎球菌・B型肝炎・ロタ・DPT-IPV・BCG・MR・水痘・日本脳炎・HPV・結核が対象。対象年齢内であれば全額公費で無料接種可能。市区町村から送付される予診票を持参します。
B類(一部自己負担・個人予防目的)
高齢者インフルエンザ(65歳以上)、高齢者肺炎球菌(65歳)、帯状疱疹(2025年から65歳定期化)が対象。自治体により0〜2,500円の自己負担で、生活保護受給者・住民税非課税世帯は無料化されます。
任意接種
ロタ以前の時代のおたふくかぜ、成人の追加破傷風、渡航ワクチン等は全額自費。1回数千〜1万円超が中心相場ですが、健保組合の福利厚生助成を活用できるケースもあります。
世界の予防接種と日本との比較
日本の予防接種プログラムを国際比較すると、独自の特徴が浮き彫りになります。
接種スケジュールの違い
- 米国CDC:おたふくかぜ・インフル・髄膜炎菌が定期接種化。全体的に日本より広範
- 英国:MMR(麻疹・風疹・おたふく)が標準。BCGは限定地域のみ
- 豪州:ロタ・肺炎球菌等の導入が早く、公費補助が手厚い
- 日本:おたふくかぜ・髄膜炎菌が任意接種にとどまる点が国際比較で遅れ気味
ワクチンギャップ
日本はワクチンギャップ(先進国標準と日本の差)があるとされてきましたが、Hib・肺炎球菌・ロタ・水痘・HPVの定期化により大幅に縮小。今後はおたふくかぜワクチンの定期化が主要課題として議論されています。
母子手帳・接種記録の管理
予防接種歴の管理は、生涯健康記録として極めて重要です。
母子手帳の役割
妊娠時から乳幼児期の全予防接種を記録する公的健康記録。海外渡航時、大人になってからの追加接種判断、健康診断時にも活用されます。紛失時は自治体で再交付可能ですが接種履歴は復元困難なため、コピー保存を推奨します。
電子接種記録(VRS)
新型コロナワクチンで運用されたワクチン接種記録システム(VRS)は他ワクチンへの拡大が検討中。デジタル記録により自治体越境の接種履歴管理が改善される見込みです。
成人以降の記録管理
成人以降のインフル・肺炎球菌・帯状疱疹・海外渡航ワクチンは、お薬手帳・かかりつけ医のカルテ・自己記録で管理。特に海外渡航時のイエローカード(黄熱接種証明)は原本保存が必須です。
デジタル母子手帳アプリ
ぴったりサービス・母子モアプリ・トツキトオカ等のアプリで、紙母子手帳のバックアップと予約リマインダーが可能です。
キャッチアップ接種と接種漏れ対策
接種漏れがあった場合の追いつき接種(キャッチアップ)は、日本小児科学会の「キャッチアップ表」に沿って実施します。
接種可能年齢の限界
- Hib・肺炎球菌:5歳未満まで定期接種対象
- 4種混合:7歳6ヶ月未満まで
- MR:小学校就学前まで
- 水痘:3歳未満まで
- 日本脳炎:20歳未満まで(特例措置)
- HPV:定期は高1相当まで、キャッチアップ制度は終了
長期療養等による特例
基礎疾患・免疫抑制状態・海外滞在等の理由で接種できなかった場合、市区町村への申請で接種期間延長が認められる場合があります。事情がある場合は諦めずに保健センターに相談を。
ワクチンの管理と保管
ワクチンはコールドチェーン(低温流通管理)を厳守する必要があります。
- 不活化ワクチン:2〜8℃冷蔵保存
- 生ワクチン(BCG・MR等):2〜8℃冷蔵、遮光
- 新型コロナmRNAワクチン:ファイザーは-70℃超低温、モデルナは-20℃
- 凍結解凍後の再凍結禁止・使用期限厳守
医療機関では温度管理記録の作成、専用冷蔵庫の設置、停電時の対応手順(無停電電源装置・冷蔵バックアップ)が必須です。
よくある間違いと注意点
- 接種漏れで公費対象外 — 定期接種は対象年齢を過ぎると自費(1回数千〜1万円)になります。母子手帳と自治体からの通知を必ず確認しましょう。
- MR2期を忘れる — 就学前の1年間のみ公費対象。小学校入学後は自費で、忘れがちなワクチンNo.1です。
- HPVワクチンの接種完了忘れ — 3回接種(またはキャッチアップの2回)を6ヶ月以内に完了する必要があります。1回目から間隔があきすぎると効果減。
- 海外渡航前の準備遅れ — 黄熱・A型肝炎ワクチンは接種後10日〜1ヶ月で効果発現。渡航2〜3ヶ月前の受診が必須です。
- 体調不良時の無理な接種 — 37.5℃以上の発熱、急性疾患罹患時は延期が原則。ただし単なる鼻水・軽い咳では接種可能なことも多く、医師判断を仰ぎましょう。
- 副反応を過剰に恐れて未接種 — 重篤な副反応は数十万〜数百万人に1人。予防できる病気の重症化リスクを上回ることはほぼないため、正しい情報で冷静に判断を。
- 異なる自治体で接種した記録漏れ — 引越し前後で接種漏れが発生しやすい。母子手帳を必ず持参して継続性を確保しましょう。
参考資料・公的情報源
- 厚生労働省 予防接種情報 ― 予防接種法・定期接種実施要領・対象年齢・接種方法の一次資料。
- 日本小児科学会 予防接種スケジュール ― 日本小児科学会が推奨する最新の乳幼児予防接種スケジュール表。
- 国立感染症研究所(NIID)予防接種情報 ― 各ワクチンの科学的根拠・副反応データ・接種後効果の疫学情報。
- 厚生労働省 風しん追加的対策 ― 1962〜1979年度生まれ男性の抗体検査・MRワクチン無料クーポン制度。
- 厚生労働省 HPVワクチン ― 積極的勧奨再開後のHPV接種案内・キャッチアップ接種の詳細。
- PMDA ワクチン安全性情報 ― 副反応疑い報告制度と各ワクチンの安全性評価。
- 厚生労働省検疫所 FORTH(海外渡航者向け) ― 渡航先別の推奨ワクチン、黄熱イエローカード指定機関一覧。
- 日本産科婦人科学会 HPVワクチン声明 ― 医学界公式の子宮頸がん予防に関する見解。
- 政府広報オンライン 予防接種 ― 一般向けにやさしく解説されたスケジュールと制度説明。
- WHO 予防接種プログラム ― 世界標準の予防接種指針、国際比較のベンチマーク。
利用上の注意
よくある質問(FAQ)
Hibワクチンの接種はいつから?
生後2ヶ月から開始し、4〜8週間隔で3回接種した後、1歳過ぎに追加1回で計4回。細菌性髄膜炎の原因菌のトップだったHibを予防でき、導入後の日本の細菌性髄膜炎は劇的に減少しました。生後2〜7ヶ月開始が標準ですが、遅れても5歳未満なら接種可能です。
同時接種は本当に安全?
日本小児科学会・WHO・米国CDCすべてが同時接種を推奨しています。乳児は毎日多数の抗原に曝露されており、ワクチン数本を同時接種しても免疫系への負担は限定的。むしろ来院回数を減らして確実に接種完了できるメリットが大きく、副反応の増加も報告されていません。
HPVワクチンは本当に安全?
2013年の副反応報道以降、名古屋スタディ(3万人規模)・厚生労働省の追跡調査で「未接種群と接種群で症状発生率に差なし」と結論。副反応疑いの多くは心因性反応や、他の慢性疾患との時間的偶然一致とされています。2022年4月に積極的勧奨が再開され、9価ワクチンが定期接種化されました。
定期接種と任意接種の違いは?
定期接種はA類(無料・集団予防目的)とB類(一部自己負担・個人予防目的)があり、法律で対象年齢と接種回数が定められています。任意接種は個人の希望で受けるもので、費用は全額自己負担(ロタ以前の時代・おたふくかぜ・帯状疱疹の一部など)。任意接種でも医学的重要性は同等の場合が多いため、内容を確認しましょう。
接種後の副反応で発熱したら?
接種後24〜48時間以内の発熱・接種部位の腫れ・軽い機嫌不良は一般的で、通常2〜3日で自然に軽快します。38.5℃以上の高熱、けいれん、意識障害、じんましんの全身性発疹、呼吸困難などの重篤症状があれば速やかに医療機関を受診。予防接種健康被害救済制度の申請対象となる場合もあります。
接種を忘れて対象年齢を過ぎたらどうする?
まずは自治体の保健センターに相談を。多くの自治体で長期療養等の理由がある場合の救済措置があります。救済対象外でも、任意接種として全額自費(1回5,000〜1万円程度)で接種可能。免疫獲得の意義は年齢を過ぎても失われないため、諦めず接種を検討しましょう。
ロタワクチンは1価と5価どっち?
いずれも定期接種の対象。ロタリックス(1価・2回)とロタテック(5価・3回)で有効性・安全性はほぼ同等。医療機関の在庫に応じてどちらか一方を選び、途中で切り替えることはできません。生後6週〜24週(1価)/32週(5価)に完了する必要があります。
成人が受けるべきワクチンは?
①インフルエンザ(毎年10〜11月、65歳以上は公費)、②肺炎球菌(65歳、5年後任意)、③帯状疱疹(2025年から65歳定期接種化)、④破傷風(10年ごと)、⑤MR(1962〜79年度生まれ男性は要抗体検査+接種)、⑥新型コロナ(年1回追加)。渡航予定があれば追加ワクチンを検討します。
海外渡航前のワクチンはいつから準備?
渡航2〜3ヶ月前からトラベルクリニックで相談。黄熱ワクチンは接種後10日で効果発現、A型肝炎は2回接種で完全免疫まで6ヶ月。狂犬病は3回接種で1ヶ月要します。厚生労働省検疫所FORTHサイトで渡航先別の推奨リストを確認できます。
妊娠中のワクチン接種は可能?
不活化ワクチン(インフル・破傷風・DPT・B型肝炎)は接種可能で、むしろ母子感染予防のため推奨されるものも。一方、生ワクチン(MR・水痘・BCG・ロタ)は妊娠中禁忌。妊娠可能年齢の女性は、接種後2ヶ月間の避妊が必要。妊娠前の風疹抗体確認と接種が推奨されます。
ワクチンで卵アレルギーが心配
インフルエンザワクチンには微量の鶏卵成分が含まれますが、重度の卵アレルギー(アナフィラキシー既往)以外は接種可能なケースが大半。日本アレルギー学会も「卵アレルギーの子どもへのインフルエンザワクチン接種はほとんどの場合安全」と声明。事前に主治医に相談しましょう。
予防接種健康被害救済制度とは?
厚生労働省が運営する制度で、予防接種と因果関係のある健康被害に対して医療費・年金・障害児養育年金・死亡一時金等が給付されます。定期接種は「予防接種法」、任意接種は「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」に基づく制度で、いずれも申請できます。副反応疑いは速やかに医療機関受診+自治体窓口へ相談を。