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START式トリアージ 判定ツール|歩行・呼吸・脈拍・意識の4項目から赤(最優先)・黄(準緊急)・緑(軽症)・黒(救命困難)の4区分を30秒判定

歩行可能・呼吸(頻度)・橈骨脈拍・意識(命令従える)の4項目チェックだけで、多数傷病者発生時に傷病者を赤(最優先)・黄(準緊急)・緑(軽症)・黒(救命困難)の4区分に瞬時判定できるSTART(Simple Triage And Rapid Treatment)式トリアージ。1980年代に米国カリフォルニア州で開発され、1995年地下鉄サリン事件、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2019年京アニ放火事件などの日本の重大事案で運用されて実効性が実証された、災害医療の科学的選別手法。1人あたり30秒以内で判定して次の傷病者に移り、限られた医療リソースで救命率を最大化することが目的です。JATEC外傷初期診療、JPTEC病院前救護、日本DMAT研修、消防機関・救急救命士教育の共通言語として定着しており、企業BCP・自治体防災担当・災害拠点病院職員の必須スキルでもあります。本ツールはSTART式の判定フローを忠実に実装し、実際の現場運用・訓練・自己学習に使えるプロ仕様です。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

START式トリアージツール

STARTトリアージの手順

STEP1: 歩行可能か? → はい=緑(軽症)

STEP2: 呼吸あるか? → なし=黒(救命困難) / 30/分以上=赤(最優先)

STEP3: 橈骨脈あるか? → なし=赤(最優先)

STEP4: 命令に従えるか? → 従えない=赤(最優先) / 従える=黄(準緊急)

STARTはSimple Triage And Rapid Treatment(簡単トリアージと迅速治療)の頭文字。歩行→呼吸→脈拍→意識の順に上から評価していき、条件に該当した時点で色分けが決定します。1人あたり30秒以内での判定が原則で、判定に時間をかけすぎて他の傷病者への対応が遅れると、全体の救命率が低下します。

本ツールで4項目を選択するだけで、赤・黄・緑・黒のいずれか、および対応優先度(即時搬送・2時間以内・待機可・搬送不要)が即座に表示されます。実際の現場では、判定と同時にトリアージタッグ(4色の脱着式カード)を傷病者の手首・足首・首に取り付けて、医療スタッフ全員が判定結果を共有できるようにします。

トリアージの歴史

トリアージ(Triage)の起源は19世紀ナポレオン戦争まで遡ります。フランス軍の医師ドミニク=ジャン・ラレー(1766-1842)が戦場で「傷病兵を階級ではなく緊急度で選別する」という革新的アプローチを実践し、これが近代トリアージの原点。当時は「治療の順位付け」の意味で、フランス語の「trier(選別する)」から派生した用語です。

本格的な多数傷病者選別としての現代トリアージは1980年代の米国で確立。カリフォルニア州のホーグ病院とニューポートビーチ消防局が共同で、1983年にSTART法を開発。当初は化学工場事故を想定した手法でしたが、その後の実運用で災害医療の標準として世界的に採用されました。JumpSTART(小児用改訂版)、SALT(米国版新型)、Sieve(英国版)など各国で改良版が派生しています。

日本では1995年地下鉄サリン事件を契機にトリアージが本格導入され、消防機関・DMAT(災害派遣医療チーム)・医療機関で標準化が進みました。2011年東日本大震災では約6,000名の傷病者にトリアージが実施され、多数傷病者対応の実効性が改めて実証されました。JATEC(外傷初期診療ガイドライン)・JPTEC(病院前救護ガイドライン)にもSTART法が組み込まれ、現在の日本の災害医療教育の中核です。

トリアージ4区分

区分状態対応
最優先(Immediate)生命危機即時搬送・処置
準緊急(Delayed)安定・要処置2時間以内搬送
軽症(Minor)歩行可能待機可
救命困難(Deceased)心肺停止・重篤搬送不要

判定フローチャート(START法)

ステップ質問YesNo
1歩行可能か?緑(軽症・退去)次のステップ
2呼吸あり?次のステップ気道確保→無ければ黒
3呼吸30/分以上?赤(最優先)次のステップ
4橈骨脈あり?次のステップ赤(最優先)
5命令に従える?黄(準緊急)赤(最優先)

START式トリアージの詳しい解説

START法は「多数傷病者発生時の科学的選別手法」として、1980年代の米国で確立された災害医療の中核技術です。地下鉄サリン、9/11同時多発テロ、東日本大震災、熊本地震、京アニ放火事件など、複数の重大災害で実運用されてその有効性が実証されてきました。原則は「限られた医療リソースで、最大の救命率を達成する」という功利主義的アプローチで、感情ではなく数値と手順に基づいた冷静な判断が求められます。

判定の順序は歩行→呼吸→脈拍→意識と固定されており、上位の項目で条件を満たした時点で色分けが決定します。歩行可能な傷病者は自力移動できるため軽症(緑)、呼吸停止で気道確保しても呼吸再開しない傷病者は救命困難(黒)、呼吸30/分以上または脈なしまたは意識障害のいずれかで生命危機と判定して最優先(赤)、それ以外の呼吸あり・脈あり・意識あり傷病者は準緊急(黄)となります。

この判定は1人あたり30秒以内が原則。判定と同時にトリアージタッグを装着し、次の傷病者に移行します。判定に時間をかけすぎると、他の傷病者への対応が遅れ、全体の救命率が低下するというトリアージの根本原理があります。医療スタッフの心理として「目の前の傷病者を助けたい」という自然な感情が働きますが、多数傷病者現場では感情を抑えて機械的判定を行うことが全体救命率の最大化につながります。

トリアージ判定担当者は治療は行わず、判定のみに専念するのが実務原則。治療を始めると判定が止まり、他の傷病者への対応が遅れます。判定担当者(トリアージオフィサー)と、救護担当者(治療担当)、搬送担当者(搬送車手配)を役割分担することで、多数傷病者現場の全体運営が機能します。DMATチームでは常に3〜5名のチームで役割分担を明確化して運用します。

START法は「一次トリアージ」の位置付けで、その後に医療機関で行われる詳細評価は「二次トリアージ」と呼びます。二次トリアージにはPAT法(生理学的解剖学的評価)、JTAS(緊急度判定支援システム)、CTAS(カナダ版)、ATAS(オーストラリア版)などがあり、時間経過での状態変化を再評価して搬送優先順位を継続的に更新します。

トリアージタッグの運用

トリアージ判定と同時に装着する脱着式カード(トリアージタッグ)は、多数傷病者対応の現場運営の要です。

タッグの構造

日本の標準トリアージタッグは4色(赤・黄・緑・黒)を切り離せる短冊型。判定色以外を切り離すことで、装着状態で他の医療スタッフが判定色を一目で識別できる仕組みです。傷病者情報(氏名・年齢・性別・傷病内容・処置履歴)を書き込むスペースも備えます。

装着場所

実務標準は手首または足首への装着。首に装着すると窒息リスクがあり、腕・脚が失われている場合は残された部位に装着。衣服のポケットに入れるのは紛失リスクがあるため避けます。

複写式の重要性

標準タッグは3枚複写で、①現場保管、②搬送先病院提出、③災害対策本部集計用と3系統で情報を共有。多数傷病者の集約管理・搬送計画・関係機関連携の基盤情報として重要です。

再判定と色変更

時間経過で状態が変化した場合(悪化・改善)、タッグ色を切り替え直す再判定が必要。緑と判定された傷病者が数分後に呼吸不全に陥るケースもあり、待機中の傷病者への再アセスメントが実務ポイントです。

二次トリアージ・JTAS・PAT法

STARTは一次トリアージの位置付けで、その後の詳細評価には別の手法が使われます。

PAT法(生理学的解剖学的トリアージ)

STARTでの一次判定後、より詳細に生理学的指標(血圧・脈拍・呼吸)と解剖学的損傷(頭部・胸部・腹部の外傷有無)を組み合わせた二次トリアージ。医療機関到着後の搬送順位再評価に使用。

JTAS(緊急度判定支援システム)

Japan Triage and Acuity Scale。院内トリアージの日本版標準。5段階(緊急・準緊急・中等・低・非緊急)で来院患者の緊急度を判定。カナダ版CTAS準拠。ERで日常的に使用される。

CTAS/ATAS

カナダ版・オーストラリア版のトリアージ規格。日本のJTASの原型でもあり、国際的な院内トリアージ標準として広く採用。多国籍医療チームでの共通言語として機能。

SALT(米国次世代START)

米国で2010年代に開発されたSTART後継規格。Sort(選別)・Assess(評価)・Life-saving interventions(救命処置)・Treatment/Transport(処置搬送)の4段階。従来のSTARTより救命率が高いという研究報告あり。

Sieve/Sort(英国版)

英国NHS準拠のトリアージ。Sieveが一次(STARTに相当)、Sortが二次評価。多数傷病者事案時に統一的に運用される。テロ事件対応でも実績あり。

OPQRST(問診法)

Onset(発症)・Provocation(誘発)・Quality(性状)・Region(部位)・Severity(重症度)・Time(時間)の6項目問診法。トリアージ後の詳細評価で使われる医療従事者の共通問診法。

小児トリアージ(JumpSTART)

小児(1〜8歳)は成人と生理学的指標が異なるため、成人用STARTでは正確な判定ができません。米国で開発された小児用改訂版JumpSTARTが国際標準です。

JumpSTARTの特徴

成人STARTと同じ4段階判定フローだが、呼吸判定基準を「15-45回/分」に、脈拍評価に「触知可能かどうか」を組み込むなど、小児の生理学的特徴を反映。また、呼吸停止時は5秒間の人工呼吸を試みてから黒判定するのが成人版との大きな違いです。

年齢適用

1〜8歳の小児が対象、8歳以上は成人STARTを適用。乳児(1歳未満)は判定困難で、原則として全員赤(最優先)扱いです。

日本での運用

日本DMAT研修、日本救急医学会の推奨手法として教育。小児科医が少ない地域では成人版STARTで代用されるケースもありますが、判定精度が下がるリスクあり。学校・保育施設のBCP計画では小児トリアージ手順の整備が推奨されます。

業界・現場での使い方

救急救命士

災害現場での一次トリアージ実施。日常の救急業務でも多数傷病者事案での運用スキルを維持。年次訓練で判定精度・速度を継続的に磨く。

DMAT(災害派遣医療チーム)

大規模災害時の派遣先で運用。医師・看護師・救急救命士が役割分担してSTART/JumpSTART/PAT法を組み合わせる。JATEC/JPTEC研修修了が必須。

医療機関(病院・診療所)

災害拠点病院・二次救急指定病院では、多数傷病者受入時のトリアージ手順が策定されている。院内訓練で全職員の対応スキル維持。

消防機関

火災・爆発・大規模事故現場での一次トリアージ。全国の消防学校でSTART教育が必修化。地域防災計画にも位置付け。

企業BCP・工場

製造業・化学工場・大規模オフィスビルの防災担当が習得。工場火災・化学物質漏洩事故での多数傷病者対応の初動を担当。年次訓練でSTART判定を実演。

自治体防災担当

大規模災害・多数傷病者事案の地域対応。避難所・臨時救護所の運営でトリアージ実施担当を配置。市民向け講習も普及進行中。

学校・保育施設

災害時の多数傷病者対応。教職員がSTART/JumpSTARTを習得することで、初動の医療リソース配分を効率化。防災訓練でも組み込む学校増加中。

大規模イベント運営

フェス・スポーツイベント等、多数観客集まる場での多数傷病者対応。救護スタッフがSTARTを習得することで初動対応が迅速化。

実務ケーススタディ

START式トリアージの実際の運用パターンを3ケースで紹介します。

ケースA:地下鉄サリン事件(1995年3月)

東京の地下鉄5路線で発生した化学テロ事件。約5,500名の傷病者に対して、聖路加国際病院・広尾病院・虎の門病院ほかが多数傷病者を受け入れ。START式トリアージが日本で初めて大規模運用された事案で、赤160名、黄400名、緑数千名、黒13名(現場・搬送中を含む)という選別が行われました。日本の災害医療体制がこの事件を契機に大きく再構築されたきっかけです。

ケースB:東日本大震災(2011年3月)

M9.0の巨大地震・大津波・原発事故の複合災害。日本DMATが最大346チーム・約1,600名を派遣、多数傷病者にトリアージを実施。気仙沼・南三陸等の被災地拠点病院で数百〜数千規模の傷病者選別が行われ、限られた医療リソースでの救命率最大化を実現しました。この経験を経てDMAT体制・災害拠点病院制度・広域搬送体制が大幅に強化されました。

ケースC:京アニ放火事件(2019年7月)

京都アニメーション第1スタジオでの放火事件。約70名の死傷者に対して、京都府医師会・京都府DMAT・京都府警察・消防が連携して多数傷病者対応を実施。火傷傷病者は特に重症で、体表面積・熱傷深達度の詳細評価を含めた二次トリアージが救命率に直結しました。近年の重大事件でSTART/PAT法が組み合わせ運用された典型例です。

ケースD:福知山線脱線事故(2005年4月)

JR福知山線マンション激突脱線事故で乗客107名死亡・562名負傷。近隣の兵庫医科大学病院・尼崎中央病院ほかが多数傷病者を受け入れ、現場と受入医療機関の双方でトリアージを実施。DMATが本格的に運用された初期事例で、日本の災害医療体制の実効性検証事案として今も研究対象となっています。多数傷病者受入時の院内トリアージ手順が全国的に整備されるきっかけになりました。

心理的負担への対処

トリアージ判定担当者への心理的負担は極めて大きい問題です。特に「黒判定」を下すことは救命を諦めることに他ならず、判定者に強いストレスを与えます。

ストレスの実態

災害後の追跡調査では、トリアージ判定担当者の50-70%がPTSD症状を経験。「なぜ助けなかったのか」という自責感、遺族対応での批判、事後の追悼式典への出席困難など、長期的な心理的影響が報告されています。

組織的サポート

DMAT・消防・自治体では災害対応後のストレス・デブリーフィング(CISD)実施が推奨。集団での体験共有・専門カウンセラーによる面接・数ヶ月フォローアップが標準化されています。

判定基準の徹底教育

「感情」ではなく「基準」に基づく判定であることを事前教育で徹底することで、判定者の罪責感を軽減。「判定は個人の判断ではなく、確立された医学的手順の適用である」という認識が心理的サポートになります。

ローテーション

長時間のトリアージ判定は判定精度低下・心理的負担増加を招くため、2〜3時間ローテーションで判定担当者を交代する運用が実務標準。連続長時間判定は避けるのが原則です。

家族・遺族への配慮

黒判定を受けた傷病者の家族・遺族への説明は、災害医療の重要な後工程。個人の責任判断ではなく組織的判定であることを丁寧に説明し、事後の遺族支援体制(遺族相談窓口・心理カウンセラー配置)につなげます。

日常訓練の推奨頻度

トリアージスキルの維持には継続的な訓練が不可欠です。

DMAT・救急救命士

年2〜4回の実地訓練が推奨。大規模災害を想定した机上訓練・シミュレーション・実演訓練を組み合わせて、判定速度・精度を継続的に磨きます。JATEC/JPTEC研修の定期受講も必須。

医療機関

災害拠点病院では年1〜2回の院内訓練が義務。多数傷病者受入シミュレーション・全職員のロール演習・関係機関との連携訓練が組み込まれます。

企業・自治体・学校

年1回の防災訓練でトリアージシミュレーションを組み込むケース増加。市民向け短時間講習(2〜3時間)で基礎的なSTART判定を習得可能。

eラーニング活用

近年は動画教材・シミュレーターアプリで自己学習が可能。判定シナリオを繰り返し練習することでスキル維持できます。無料の学習リソースも充実してきています。

訓練実施の質評価

訓練の質は判定速度(1人あたり30秒以内)・判定精度(教官評価90%以上)・チーム連携(役割分担の遵守)の3指標で評価。年次評価と個別フィードバックにより、実災害時の対応力を段階的に向上させます。DMATチームでは所属個人のスキル維持が公的責任として位置付けられています。

よくある間違い・注意点

  • 感情優先の判定 — 若年者・子供・目の前の傷病者を優先しがち。全体救命率を最大化するためには手順通り機械的判定が原則。
  • 30秒超過の判定 — 1人あたり30秒を大幅に超えると他の傷病者への対応が遅れ、全体救命率が低下。判定に時間をかけすぎないことが重要。
  • 治療との混同 — トリアージ判定担当者は治療を行わない。判定と治療の役割分担が原則で、混同すると全体運営が破綻。
  • 再判定の忘れ — 時間経過で状態変化した傷病者への再アセスメント忘れ。緑と判定された傷病者が悪化して急死するケースが典型ミス。
  • 子供・妊婦の判定基準ズレ — 成人STARTは小児・妊婦・高齢者で判定精度低下。JumpSTART(小児用)の運用と、妊婦・高齢者への配慮が必要。
  • タッグ装着位置ミス — 首装着による窒息リスク、衣服ポケット装着による紛失。手首・足首装着が実務標準。
  • 黒判定への抵抗 — 「まだ助かるかも」という感情的判断で黒判定を回避する傾向。医学的基準に基づく判定を徹底する教育が必要。
  • マンパワー不足で全員赤扱い — トリアージせず全員赤扱いで搬送すると医療機関側のキャパオーバー。適切な選別が全体救命率向上の鍵。
  • タッグ情報の記入不備 — 判定色だけでなく傷病者氏名・年齢・傷病内容の記入が受入病院での二次判定に不可欠。装着後の情報整備が疎かになりがち。
  • 判定担当と治療担当の役割混同 — 判定者が治療を始めると全体運営が破綻。厳格な役割分担が多数傷病者現場の生命線です。

関連する規格・法規

  • JATEC(外傷初期診療ガイドライン) — 日本外傷学会・日本救急医学会編。外傷初期診療の標準化。
  • JPTEC(病院前救護ガイドライン) — Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care。救急救命士の標準ガイドライン。
  • 厚生労働省 災害医療体制 — DMAT・災害拠点病院・広域搬送体制の法令的枠組み。
  • 災害対策基本法・災害救助法 — 災害医療体制の根拠法。DMAT派遣・多数傷病者対応の法的位置付け。
  • 消防法・救急救命士法 — 救急救命士の業務範囲・トリアージ実施権限。
  • 日本DMAT活動要綱 — 厚生労働省の日本DMAT運営要綱。派遣手順・訓練基準。
  • ATLS(Advanced Trauma Life Support) — 米国外科学会の外傷診療標準。国際的な外傷医療の共通語。
  • WHO EMT分類 — 世界保健機関の緊急医療チーム分類。国際災害対応での標準。

※本ツールはトリアージ手法の学習・訓練用参考ツールです。実際の災害医療現場での判定は、有資格者(医師・看護師・救急救命士等)による責任判断・所轄官庁の指示に従ってください。

参考文献・公的資料

トリアージ・災害医療の詳細については、以下の公的機関・学会の一次資料を参照してください。

※本ページのトリアージ手順・判定基準は、災害医療の学習・訓練用参考情報です。実際の災害医療現場での判定は、有資格者(医師・看護師・救急救命士等)による責任判断、厚生労働省・日本DMAT・所轄消防機関の指示、および最新のJATEC/JPTECガイドラインに従ってください。特にトリアージ判定は個人ではなくチーム・組織的な運用が原則であり、単独判定は例外的な状況を除き避けるべきです。市民向けの学習では応急手当・心肺蘇生法(BLS)習得と併せて活用することが推奨されます。

よくある質問(FAQ)

歩行不可・呼吸速の区分は?

赤(最優先)。歩行不可+呼吸30/分以上で生命危機と判定、即時搬送・処置が必要です。

STARTの判定手順は?

歩行→呼吸→脈拍→意識の順で上から評価。歩行可=緑、呼吸なし=黒、呼吸30/分以上/脈なし/命令従えず=赤、それ以外=黄という判定フローです。

1人あたりの判定時間は?

30秒以内が原則。時間をかけすぎると他の傷病者への対応が遅れ、全体救命率が低下します。判定に集中して次の傷病者に移行する規律が重要。

子供のトリアージは?

成人STARTとは別のJumpSTARTを使用。1〜8歳が対象で、呼吸判定を15-45回/分に、呼吸停止時は5秒の人工呼吸を試みてから黒判定するなど、小児の生理学的特徴を反映した改訂版です。

トリアージタッグの装着位置は?

手首または足首が実務標準。首装着は窒息リスクあり避ける、衣服ポケットは紛失リスクあり不可。

黒判定の心理的負担への対処は?

ストレス・デブリーフィング(CISD)実施が推奨。判定基準の徹底教育と、「判定は個人判断ではなく確立された医学的手順」という認識が心理的サポートになります。

再判定はいつ必要?

時間経過で状態変化した場合。緑と判定された傷病者が悪化するケースも多く、待機中の傷病者への再アセスメントが実務ポイントです。

市民でもSTARTを学べる?

可能。市民向け講習(2〜3時間)で基礎的なSTART判定が習得できます。日本赤十字社・自治体・消防機関で提供されており、応急手当講習と併せて受講が推奨されます。

STARTと院内JTASの違いは?

STARTは災害現場一次トリアージ、JTASは院内トリアージ。JTASは5段階(緊急・準緊急・中等・低・非緊急)で、日常のER受付でも使用されます。両方の使い分けが医療現場の常識です。

SALT法はSTARTとどう違う?

米国で2010年代に開発されたSTART後継規格。Sort・Assess・Life-saving interventions・Treatment/Transportの4段階で、従来のSTARTより救命率が高いという研究報告あり。日本での本格運用はこれから。

トリアージ担当者に必要な資格は?

日本では医師・看護師・救急救命士が主体。DMAT研修・JATEC/JPTEC受講が実質的な必要教育。市民向けの補助的役割は可能ですが、正式判定は有資格者の責任下で行います。

判定を間違えたらどうなる?

災害現場での判定ミスは救命率低下の直接原因になりますが、個人責任というより組織的な判定精度向上の課題として扱われます。事後レビュー・教育改善・訓練強化が組織的対応の中核です。

トリアージタッグはどこで入手できる?

医療機関・DMAT配備品として全国の災害拠点病院・消防機関で標準備蓄。企業BCP用途では医療機器販売店・防災用品専門店で購入可能。1セット500〜1,500円程度の相場です。

災害医療の現場で1人何回判定する?

大規模災害の初動フェーズでは1判定者が数十人〜100人以上を短時間で判定するケースあり。2〜3時間ローテーションで担当者を交代することが疲労管理・判定精度維持の実務標準。

訓練でどう習得できる?

DMAT研修・JATEC/JPTECコース受講、日赤・消防機関の講習会、eラーニング教材、シミュレーターアプリの活用。年1〜4回の継続訓練で判定速度・精度を維持できます。