稲作収量
10aあたり収量と作付面積、等級構成から、稲作の総収量と販売収入を試算します。
稲作収量ツール
計算式と考え方
10aあたり530kgに品種の係数を掛けます。良食味の主力品種は係数1なので530kgのままです。5haは10a区画で50区画分にあたり、収穫は26,500kgになります。水分は調製基準の15%で計算するため換算後も26,500kgで、60kgで割ると約442俵です。1等米比率75%なら平均価格は18,000円から減額1,500円の25%分を引いた17,625円となり、販売収入は約778万円、1haあたり約156万円になります。
収量と等級を左右する要素
| 品種特性 | 良食味品種は収量が控えめ、多収性の業務用品種は2割前後多く取れます |
|---|---|
| 気象条件 | 登熟期の高温は白未熟粒を増やし、等級低下の主因になります |
| 肥培管理 | 窒素の量と施用時期が籾数と登熟に効きます。過剰は倒伏を招きます |
| 乾燥調製 | 水分15%前後が調製の基準です。乾かしすぎは重量減、残しすぎは変質の原因です |
稲作収量の詳しい解説
10aあたりの玄米収量は全国平均で530kg前後という水準で推移しています。この数字は品種、地域、気象、肥培管理の組み合わせで決まり、同じ地域の同じ品種でも圃場ごとに1割から2割の差が生じます。良食味を追求した品種は倒伏しやすく、収量を追わない設計になっているため500kg台前半にとどまることが多く、業務用や加工用を想定した多収性の品種では600kgを超えることもあります。有機栽培や特別栽培では、施肥と防除の制限から収量が2割程度下がるのが一般的ですが、単価で補える場合には所得は変わらないこともあります。近年、収量以上に経営を左右しているのが等級です。登熟期に高温が続くと、玄米の内部に白く濁った部分が生じる白未熟粒が増え、1等米の比率が下がります。1等と2等の価格差は60kgあたり1,000円から2,000円程度が目安で、比率が20ポイント落ちれば10haの経営で数十万円の収入差になります。対策としては、田植えの時期を遅らせて登熟期を高温期からずらす方法、出穂後の水管理で地温を下げる方法、高温に強い品種へ転換する方法などが取られますが、いずれも他の条件との兼ね合いがあり、地域の普及指導の助言を踏まえて判断することになります。乾燥調製の管理も見落とされやすい要素です。玄米の取引は水分15%前後を基準としており、乾かしすぎると重量が減って収入が落ちる一方、水分を残しすぎると保管中に変質する危険があります。0.5%の水分差は重量にすると0.5%程度の違いですが、10haの経営では百kg単位の差となり、金額でも数万円になります。乾燥機の設定と水分計の校正を定期的に確認する価値があります。収量を上げる投資の判断には注意が必要です。追加の肥料や資材で収量が5%増えたとしても、増えた収入がその費用を上回らなければ所得は減ります。特に米価が下がっている局面では、増収の効果が費用に届かないことがあります。10aあたりの追加費用と、増えた収量に平均価格を掛けた増収額を並べて比較するのが基本です。また、収量が増えると乾燥調製や保管の能力も追加で必要になるため、施設の余力も併せて確認してください。
業界・現場での使い方
収穫量の見積もり
作付面積から総収量と俵数を求めます。
収入の試算
等級構成を反映した平均価格から販売収入を出します。
品種選定の比較
良食味品種と多収性品種の収量差を確認します。
よくある間違い・注意点
- 1等米の価格で全量を計算する — 等級が下がる分の減額があります。1等米比率を反映した平均価格で見積もってください。
- 増収だけで投資を判断する — 追加の資材費が増収額を上回れば所得は減ります。増えた所得で比べてください。
- 乾燥の水分管理を軽視する — 乾かしすぎは重量減として直接収入に響きます。水分計の校正を定期的に確認してください。
関連する規格・法規
- 農水省
- JA全中
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
10aあたり530kgは何俵ですか?
60kgで割ると約8.8俵です。1反あたり8俵から9俵という言い方が現場では使われます。
1等と2等の価格差はどのくらいですか?
60kgあたり1,000円から2,000円程度が目安です。銘柄と年産、取引先によって幅があります。
高温で等級が落ちるのはなぜですか?
登熟期の高温でデンプンの蓄積が不十分になり、玄米内部が白く濁る白未熟粒が増えるためです。