レイノルズ数
流体の物性と管の内径、流速からレイノルズ数を求め、流れの状態と圧力損失を試算します。
レイノルズ数ツール
計算式と考え方
レイノルズ数は密度×流速×内径÷粘度で求めます。水20℃は密度998kg/m³、粘度0.001002Pa·sなので、流速1.5m/s・内径50mmでは998×1.5×0.05÷0.001002となり約74,700です。4,000を超えるため乱流と判定されます。管摩擦係数は乱流域では近似式を用い、絶対粗さ0.045mmで約0.0227となります。圧力損失は係数×(長さ÷内径)×密度×流速の2乗÷2で、長さ20mでは約10.2kPa、損失水頭にすると約1.04mです。
レイノルズ数と流れの状態
| 2,300未満 | 層流。流体が層をなして流れ、混合はほとんど起きません |
|---|---|
| 2,300〜4,000 | 遷移域。層流と乱流が入れ替わり、損失の予測が難しい領域です |
| 4,000以上 | 乱流。渦により混合が進み、伝熱は良くなる一方で圧力損失は増えます |
| 10万以上 | 完全乱流に近づき、管摩擦係数は粗さでほぼ決まりレイノルズ数への依存が弱まります |
レイノルズ数の詳しい解説
レイノルズ数は、流体に働く慣性力と粘性力の比を表す無次元数です。慣性力が大きければ流れは乱れ、粘性力が勝てば流れは整った層をなします。この比が同じであれば、大きさや流体の種類が違っても流れの様子は相似になるという性質があり、模型実験の結果を実機に適用する根拠になっています。円管内の流れでは2,300付近が層流と乱流の境目とされますが、これは実験的に得られた目安であり、入口の形状や振動の有無によって上下します。丁寧に整えた条件では1万を超えても層流が保たれた例が報告されており、逆に入口が乱れていれば2,300を下回っても乱れが生じます。設計では、境界付近の値になる条件を避け、明確に層流側か乱流側に入るように流速や内径を選ぶのが安全です。流れの状態が変わると、設計上の扱いが二つの面で変わります。一つは圧力損失です。層流では管摩擦係数が64をレイノルズ数で割った値になり、圧力損失は流速に比例します。乱流では係数の低下が緩やかになり、損失は流速のほぼ2乗で増えます。流量を倍にしたときのポンプ動力は、層流なら約4倍、乱流なら約8倍という差になり、配管径の選定に直接効きます。もう一つは伝熱と混合です。乱流では渦によって熱と物質が管の中心と壁の間で活発に運ばれるため、熱交換器では乱流域で運転するのが基本になります。逆に、粘度の高い液体を扱う工程では乱流にすること自体が難しく、伝熱を得るために攪拌や静止型混合器を併用します。実務で見落とされやすいのが、粘度の温度依存性です。水は20℃から60℃で粘度が半分以下になり、油ではさらに大きく変わります。冬季の起動時と定常運転時ではレイノルズ数が数倍違うことがあり、起動直後に層流域に入って想定より圧力損失が大きくなる、といった現象が起きます。温度の範囲を決めて両端で計算する習慣をつけると、こうした見落としを防げます。断面が円でない場合は、内径の代わりに水力直径を使います。四辺形の流路なら断面積の4倍を濡れ縁長さで割った値です。また、直管の損失だけでなく、曲がりや弁による局所損失も無視できません。多くの場合は相当長さに換算して直管に足し合わせる方法が使われます。
業界・現場での使い方
流れの判定
配管内が層流か乱流かを確認します。
圧力損失の概算
配管長さと内径からポンプの必要揚程を見積もります。
配管径の検討
流速を変えたときの損失の増え方を比べます。
よくある間違い・注意点
- 外径で計算する — レイノルズ数も圧力損失も内径で決まります。肉厚を引いた内径を使ってください。
- 常温の粘度だけで判断する — 水は20℃と60℃で粘度が半分以下になります。運転温度の範囲の両端で確認してください。
- 直管の損失だけを積算する — 曲がりや弁の局所損失が全体の半分を占めることもあります。相当長さに換算して加えてください。
関連する規格・法規
- JIS化学規格
- ISO化学基準
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
境目の2,300は絶対的な値ですか?
実験的な目安です。入口条件や振動により上下するため、設計では境目付近の運転を避けるのが安全です。
角形の流路ではどう計算しますか?
内径の代わりに水力直径を使います。断面積の4倍を濡れ縁長さで割った値です。
粗さの値はどう決めますか?
材質ごとの代表値が便覧に載っています。新品の鋼管で0.045mm前後、経年で数倍になることがあります。