発注点
使用量と調達期間から、発注する在庫の水準と安全在庫を算出します。
発注点ツール
計算式と考え方
調達期間中の需要は「1日の使用量 × 調達日数」で、80 × 4 で320個です。安全在庫は、使用量と調達日数の両方のばらつきを考慮し、分散を「調達日数 × 使用量の分散 + 使用量の2乗 × 調達日数の分散」として求めます。4 × 324 + 6,400 × 1 で7,696、その平方根87.7に欠品を防ぐ水準95%の係数1.645を掛けて約144.3個です。発注点は320 + 144.3 で約464.3個になります。経済的発注量は、年間需要29,200個、発注費用3,000円、単位あたり保管費44円から約1,995個と算出されます。
発注の間隔は、上の発注点方式(在庫が発注点まで減ったら発注する方式)では使いませんが、定期発注方式では中心的な数値になります。決まった間隔でしか発注できない場合、次の発注が届くまでの期間は「調達日数+発注間隔」に伸びるため、その分の需要と安全在庫を持つ必要があります。
定期発注方式の基準在庫 = 1日の使用量 ×(調達日数 + 発注間隔)+ 係数 × √((調達日数 + 発注間隔) × 使用量の分散 + 使用量² × 調達日数の分散)
初期値では 80 ×(4 + 7)= 880個に、1.645 × √(11 × 324 + 6,400 × 1) = 約164個を加えた約1,044個が基準在庫です。発注のたびに、この水準まで在庫を戻す量を発注します。また発注間隔からは年間の発注回数(365 ÷ 発注間隔)と年間の発注費用が求まります。経済的発注量を1日の使用量で割った日数が「費用の合計が最小になる発注間隔」で、実際の発注間隔がこれより極端に短ければ発注費用が、長ければ保管費用が過大になっていることを示します。
在庫管理の要素
| 発注点 | この水準まで減ったら発注する。調達期間の需要と安全在庫の和 |
|---|---|
| 安全在庫 | 需要と調達期間の変動に備える量。欠品を防ぐ水準で決まる |
| 経済的発注量 | 発注費用と保管費用の合計が最小になる1回の発注量 |
| 在庫回転数 | 年間需要を平均在庫で割った値。高いほど資金効率が良い |
発注点の詳しい解説
在庫の管理では、欠品を避けることと、過剰な在庫を持たないことという相反する要求を両立させる必要があります。欠品は販売の機会を失うだけでなく、顧客の信頼にも影響します。一方、在庫を多く持てば保管の費用がかかり、資金が寝てしまい、品目によっては劣化や陳腐化の損失も生じます。発注点は、在庫がどの水準まで減ったら発注するかを示す基準です。発注してから入荷するまでの間も在庫は減り続けるため、その期間の需要を賄える量が必要です。加えて、需要が予想を上回る、入荷が遅れるといった変動に備える分を上乗せします。この上乗せ分が安全在庫で、どの程度の確率で欠品を避けたいかによって量が決まります。安全在庫の算出では、需要のばらつきと調達期間のばらつきの両方を考慮する必要があります。需要が安定していても、入荷の時期が読めなければ在庫を厚く持つ必要があります。逆に、入荷が確実であれば、需要の変動だけに備えればよく、在庫を抑えられます。この観点から、供給元との関係を安定させ、調達期間を予測可能にすることが、在庫の削減に直結します。欠品を防ぐ水準の設定は、経営の判断になります。99%を目指せば安全在庫は大きく増え、95%と比べて4割以上多くなります。欠品による損失が大きい品目では高い水準を、代替が効く品目では低い水準を設定するという使い分けが実務的です。すべての品目に一律の基準を適用すると、重要な品目で欠品し、そうでない品目で過剰在庫を抱えるという事態になります。発注の量については、発注にかかる費用と保管の費用の均衡から求める考え方があります。まとめて発注すれば発注の回数は減りますが在庫は増え、少量ずつ発注すれば在庫は減りますが発注の手間が増えます。この両者の合計が最小になる量が経済的な発注量です。ただし実務では、供給元の最小発注単位、まとめ買いによる価格の優遇、保管場所の制約といった条件があり、計算どおりにはならないことも多くあります。生鮮品のように劣化の速い品目では、この枠組みがそのままは適用できません。保管できる期間が短いため、発注の頻度を上げ、需要の予測精度を高めることが中心的な対策になります。
業界・現場での使い方
発注の基準
どの水準で発注すべきかを算出します。
安全在庫の設定
欠品を防ぐ水準に応じた在庫量を求めます。
発注量の最適化
発注費用と保管費用から適切な1回の量を算出します。
よくある間違い・注意点
- 需要のばらつきだけを考慮する — 調達期間のばらつきも安全在庫に影響します。両方を含めて算出してください。
- 全品目に一律の基準を適用する — 重要な品目で欠品し、そうでない品目で過剰在庫を抱えます。品目ごとの設定が必要です。
- 生鮮品に同じ枠組みを使う — 保管期間が短いため適用できません。発注頻度と予測精度が中心の対策になります。
関連する規格・法規
- 日本フードサービス協会
- 中小企業庁
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
安全在庫はどう決めますか?
需要と調達期間のばらつき、および欠品を避けたい水準から算出します。品目ごとの設定が実務的です。
欠品を防ぐ水準は何%にすべきですか?
欠品による損失の大きさによります。代替が効かない品目では99%、効く品目では90%といった使い分けをします。
経済的発注量どおりに発注すべきですか?
最小発注単位や価格の優遇、保管場所の制約があるため、目安として使うことが一般的です。