R²決定係数
回帰分析の平方和から、決定係数と自由度調整済みの説明力を算出します。
R²決定係数ツール
計算式と考え方
決定係数は「1 −(残差変動 ÷ 全変動)」で求めます。全変動4,800に対して残差変動が1,440なので、1 − 0.30 で0.70、つまり70.00%です。目的変数のばらつきのうち7割をモデルが説明できていることを意味します。自由度調整済み決定係数は、残差変動を自由度116(120−3−1)で割った12.41と、全変動を119で割った40.34の比から求め、約69.22%になります。回帰全体のF値は、回帰変動3,360を説明変数の数3で割った1,120を12.41で割って約90.22です。残差の標準偏差は12.41の平方根で約3.523、目的変数の平均50に対して約7.05%の誤差にあたります。
決定係数の読み方
| 0.7以上 | 予測の用途でも実用的とされる水準。工学や自然科学の分野で目安になる |
|---|---|
| 0.5〜0.7 | 要因の説明としては高い。予測には誤差の幅の確認が必要 |
| 0.3〜0.5 | 人の行動を扱う分野ではよく見られる水準。個々の係数の有意性が重要になる |
| 0.3未満 | 説明力は弱い。ただし係数が有意なら関係の存在自体は示せる |
R²決定係数の詳しい解説
決定係数は、目的変数のばらつきのうち、モデルが説明できた割合を示す値です。全変動に対する回帰変動の比として定義され、0から1の範囲を取ります。この値が高いほど当てはまりが良いことになりますが、高ければ良いモデルだとは限らない点に、この指標の扱いの難しさがあります。最も注意すべき性質は、説明変数を追加すると必ず上がるという点です。目的変数とまったく関係のない変数を加えても、偶然の一致によって残差はわずかに減り、決定係数は上がります。標本数に対して説明変数が多いほどこの効果は強く現れ、極端な場合には、説明変数の数が標本数に近づくと決定係数が1に近づきます。これを補正するのが自由度調整済み決定係数で、説明変数の数に応じた罰則を課すため、意味のない変数を加えると下がります。複数のモデルを比べる際は、調整済みの値で比較するのが基本です。分野による水準の違いも理解が必要です。物理的な法則に基づく関係を扱う場合、0.9を超える値が普通に得られます。一方、人の購買行動や意識を扱う分野では、測定できない要因が多いため、0.2から0.4程度でも意味のある分析とされます。同じ0.3という値が、ある分野では失敗を意味し、別の分野では十分な成果を意味します。他分野の目安を持ち込むと、判断を誤ります。決定係数が高くても信頼できないケースがあります。時系列のデータで、両方の変数が時間とともに増加している場合、実質的な関係がなくても高い値が出ます。見せかけの回帰と呼ばれる現象で、差分を取るなどの処理が必要になります。また、少数の外れ値が全体を引っ張って高い値を作っている場合もあり、残差の散布図を描いて、誤差が偏りなく分布しているかを確認する作業が欠かせません。説明変数どうしが強く相関している場合も問題になります。この状態では、モデル全体の当てはまりは良くても、個々の係数の推定が不安定になり、符号が直感と逆転したり、標本を少し変えるだけで大きく動いたりします。分散拡大係数によって程度を測り、10を超える変数は統合や削除を検討するのが一般的な扱いです。分析の目的が予測なのか、要因の寄与を説明することなのかによって、許容できる水準も、優先すべき確認事項も変わります。予測が目的なら、学習に使っていないデータでの誤差を測ることが最終的な判断材料になります。
業界・現場での使い方
モデルの評価
説明力を数値で把握し、変数の追加の是非を判断します。
モデルの比較
自由度調整済みの値で説明変数の数が異なるモデルを比べます。
誤差の把握
残差の標準偏差から、予測がどの程度ずれるかを確認します。
よくある間違い・注意点
- 変数を増やして決定係数を上げる — 無関係な変数でも値は上がります。自由度調整済みの値と個々の係数の有意性で判断してください。
- 分野を問わず0.7以上を目標にする — 人の行動を扱う分野では0.3程度でも意味があります。分野の水準に照らして評価してください。
- 残差の分布を確認しない — 外れ値や見せかけの回帰で高い値が出ることがあります。散布図での確認が前提になります。
関連する規格・法規
- 日本統計学会
- ASA声明
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
決定係数はいくつあれば良いですか?
分野によって異なります。自然科学では0.7以上、社会調査では0.3程度でも意味のある分析とされます。
自由度調整済みの値を使う理由は?
説明変数を増やすと決定係数は必ず上がるためです。調整済みの値は無意味な変数の追加で下がります。
VIFはいくつまで許容されますか?
10を超えると多重共線性が強いとされます。5を超えた時点で係数の解釈に注意が必要です。