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射出成形ショット重量機械選定プラスチック原価管理

射出成形ショット重量 計算ツール|製品重量・キャビ数・スプルー/ランナ重量から1ショット総重量と推奨型締力機械を即算出、機械選定・原価管理まで

射出成形の1ショット総重量(製品×キャビ数+スプルー・ランナ重量)と、それに適した推奨型締力機械(50t〜1000tクラス)を瞬時に算出。射出容量の70〜80%使用の原則、機械別射出容量早見表、スプルー・ランナ・ゲート設計の重量目安、コールドランナーとホットランナーの選択、樹脂ロス削減とリサイクル、キャビ数最適化、成形機のスクリュー径・可塑化能力、JSW・住友重機・ファナック・東芝機械等の国内メーカー、成形不良(未充填・過充填・バリ)対策まで、日本プラスチック機械工業会・JIS B 6712に基づき完全解説します。成形工場の営業技術・生産技術・購買原価管理・金型設計者の実務に。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

射出成形ショット重量ツール

計算式(ショット重量・射出容量)

ショット重量の基本式

1ショット重量(g) = 製品重量(g) × キャビ数 + ランナ・スプルー重量(g)

例: 製品50g × 4キャビ + ランナ20g = 220g/ショット。この重量を安定して射出できる射出容量の機械が必要になります。

射出容量の判定式

必要射出容量(g) = ショット重量 × 1.3〜1.5(余裕率)

射出容量の70〜80%で運転するのが理想。ショット重量が容量の90%を超えると樹脂の可塑化不足・温度ムラ・保圧不安定で成形品質が低下します。

可塑化能力の判定

可塑化能力(kg/h) ≥ ショット重量(g) × 3600 ÷ サイクル時間(秒) ÷ 1000

例: 220g・サイクル30秒なら26.4 kg/hが必要。可塑化能力が不足すると計量待ちでサイクルが伸びます。射出容量と可塑化能力の両方の確認が必須です。

射出容量と70〜80%ルール

70〜80%ルールの根拠

射出成形機の射出容量はGPPS(汎用ポリスチレン)換算で表示されます。実際の樹脂密度(PP=0.91、ABS=1.05、PC=1.20等)で換算量が変わるため、余裕率が必要です。

過大な機械選定のデメリット

ショット重量が射出容量の20%以下だと、樹脂がシリンダー内に長時間滞留し熱分解・変色・脆化が発生。特にPC・ナイロン等の熱感応樹脂で顕著。「小容量シリンダー交換」で対応するケースあり。

過小な機械選定のデメリット

射出容量ぎりぎりで運転すると、保圧時の樹脂補充不足でヒケ・ショートショット・寸法バラつきが発生。1ランク上の機械へ変更するケースが実務では多い。

機械別 射出容量・型締力早見表

型締力射出容量(GPPS換算)スクリュー径可塑化能力代表用途
50t30〜80gΦ22〜28mm15〜25 kg/h小物家電・電子部品
100t80〜200gΦ28〜36mm25〜50 kg/h日用品・容器蓋
180t200〜500gΦ36〜45mm50〜100 kg/h家電筐体・容器
350t500〜1200gΦ45〜55mm100〜200 kg/h自動車内装・大型家電
650t1500〜3000gΦ55〜75mm200〜400 kg/h自動車バンパー・工業部品
1000t3000〜5000gΦ75〜95mm400〜700 kg/h大型自動車部品・産業機器
2000t以上10 kg以上Φ100mm以上1000 kg/h以上コンテナ・パレット・大型物流

数値は目安。実際にはメーカー・機種・シリンダー仕様で幅があり、JSW・住友重機・ファナック・東芝機械・日精樹脂等の各メーカーカタログでの確認が必須。

スプルー・ランナ・ゲート重量の目安

コールドランナー方式の重量比率

製品重量に対するランナ・スプルーの重量比率は、2キャビで15〜25%、4キャビで20〜35%、8キャビで25〜45%、16キャビで35〜55%が目安。キャビ数が増えるほどランナ長が延びて重量比率が上昇します。

ゲート形状別の重量

ゲート方式重量目安特徴
ピンゲート0.05〜0.5g/点3プレート金型・自動切離し・外観良
サブマリンゲート0.1〜1g/点自動切離し・アンダーカット部品向
サイドゲート0.5〜3g/点2プレート金型・手動切離し・大物向
フィルムゲート1〜10g/点薄板・大面積成形
ダイレクトゲート製品同等1キャビ大型品・スプルー直結

スプルー重量

スプルー(注入口→ランナ)重量は機械側のスプルーブッシュ形状で決まり、小型金型で1〜3g、大型金型で10〜30g程度。ホットスプルーブッシュ化で常時保温すればスプルー廃材ゼロも可能。

ホットランナーとコールドランナー

コールドランナーの特徴

従来型でランナ・スプルーが冷えて固化する方式。金型費用が安く保守も容易だが、毎ショット樹脂ロスが発生。ランナ再生(粉砕→再投入)で使用も、物性低下・色変化のリスク。

ホットランナーの特徴

ランナ部を常時樹脂溶融温度に保つ方式。樹脂ロスゼロ+サイクル10〜30%短縮+品質向上。金型費用は+30〜100%増、電力消費増、保守難易度上昇のトレードオフあり。

選択の目安

年産10万本以上・製品単価が樹脂原料費に占める割合が高い場合はホットランナーのROIが出るケースが多い。逆に少量生産・多品種の場合はコールドランナー優位。営業段階でのROI試算が重要。

キャビ数最適化

キャビ数決定の三要素

キャビ数は①年産数量、②サイクルタイム、③金型価格の減価償却のバランスで決定。年産100万本・サイクル30秒なら、24時間稼働で4〜8キャビが定番。多キャビ化=金型価格上昇+成形機大型化+調整難易度上昇。

多キャビ金型のリスク

8キャビ以上はキャビ間の樹脂充填バランスが難しく、ランナ設計・ゲート寸法・金型温度分布の精密調整が必要。1キャビ不良で全ショット不良となり歩留低下も。営業段階で製品公差との整合性確認が必須。

キャビ数×サイクルの生産性最適点

キャビ数を増やすとサイクルが伸びる傾向あり(充填・保圧・冷却の負荷増)。4キャビ×30秒=8個/分8キャビ×45秒=約11個/分で比較し、トータル生産性+金型投資回収期間で最適点を選定します。

成形不良と機械選定

ショートショット(未充填)

射出容量不足・可塑化能力不足・型締力不足で発生。ショット重量が容量の90%超なら1ランク上の機械へ。射出圧・射出速度の不足も原因。

バリ(パーティング面漏れ)

型締力不足で金型が開き、樹脂がパーティング面から漏れる。投影面積×成形圧の必要型締力を超える機械選定が必要。

ヒケ・寸法不良

射出容量ぎりぎりで保圧補充が不十分。1ランク上の機械へ変更または肉厚均一化。ランナ長・ゲート寸法の再設計も検討。

樹脂焼け・変色

過大機械での樹脂長時間滞留による熱分解。射出容量に対しショット重量が20%以下なら小容量シリンダーに交換または機械変更。

キャビ間バラつき

多キャビ金型で発生。ランナ設計(バランスランナ)・ゲート寸法微調整・金型温度均一化・射出速度多段制御で対応。

ウェルドライン

樹脂合流部の弱点。ゲート位置変更・ガス抜き改善・樹脂温度上昇。機械側では射出速度多段制御の高機能機が有利。

現場での使い方

成形工場 営業技術

受注前見積で製品重量×キャビ数+ランナから機械選定→時間チャージ×サイクル=単価算定。機械選定ミスは受注後の追加投資リスクに直結。

金型設計者

キャビ数・ランナレイアウト・ゲート設計でショット重量を最適化。ホットランナー採用可否のROI試算、成形機との型締力・射出容量マッチング。

生産技術・製造管理

既存設備で新規金型を成形する際の適合性確認。射出容量70〜80%使用範囲か、可塑化能力がサイクルに追いつくかの検証。

購買・原価管理

樹脂原単位(製品重量+ロス率)から材料費算出。ロス率10〜30%が実務目安、ホットランナー・ランナ再生でロス削減可能。

設備投資判断

新規機械購入時の型締力・射出容量選定。汎用性のある350t〜650tクラスが最も投資対効果高。小容量・大容量に偏ると稼働率低下リスク。

OEM調達・購買

成形メーカー選定・複数見積比較で機械選定の妥当性チェック。キャビ数・機械クラスの前提差で価格差数十%になるケースあり。

よくある間違い・注意点

  • ランナ・スプルー重量の計算忘れ — 4キャビでランナが製品総重量の20〜35%を占める。ランナを無視すると機械選定が1ランク下振れ+実運用で射出容量超過。
  • 射出容量100%運転 — 保圧補充不足で寸法不安定・ヒケ多発。70〜80%使用が実務標準。ぎりぎり運転は品質保証と両立困難。
  • 過大機械での長時間滞留 — 容量の20%以下で運転するとPC・ナイロン等の熱感応樹脂が変色・脆化。小容量シリンダーへの交換または機械変更が必要。
  • 樹脂密度換算忘れ — 射出容量はGPPS(密度1.05)換算。PP(0.91)なら実質射出量減、PC(1.20)なら増。密度換算を怠ると設計ミス。
  • 型締力の見落とし — ショット重量に適した射出容量でも、投影面積×成形圧の必要型締力を超えるとバリ発生。投影面積計算(m²)×成形圧(35〜80MPa)で確認。
  • 可塑化能力の不足 — 射出容量は足りても次ショット分の計量が間に合わないとサイクル延長。ハイサイクル成形では特に注意。
  • ホットランナー投資の過信 — 少量多品種生産で導入するとROIが出ず、金型価格増分が回収困難。年産・単価・樹脂費比率での試算が必須。
  • キャビ数増加の副作用 — 多キャビ=生産性倍増と単純に考えると、金型価格・調整難易度・不良発生時のロス増加で逆効果。8キャビ超は精密同時充填の難易度が急上昇。

関連する規格・法規

  • JIS B 6712 ― 射出成形機の主要寸法・型締力・射出容量の呼称基準。国内成形機の仕様書標準。
  • JIS B 6717 ― 射出成形機の性能試験方法。設備選定・受入検査の実務標準。
  • ISO 20430 ― プラスチック機械の安全要件。国際安全規格、CE適合の基本。
  • JIS K 7100系 ― プラスチック試験方法(引張・曲げ・衝撃)。成形品品質評価の基準。
  • 労働安全衛生規則 ― 射出成形機の安全カバー・両手操作等の規定。
  • プラスチック資源循環促進法 ― 2022年施行。プラスチック製品の設計・製造・排出削減の枠組み。
  • RoHS指令・REACH規則 ― EU向け製品の有害物質規制。国内メーカーも対応必須。
  • 食品衛生法(器具及び容器包装ポジティブリスト) ― 食品用プラスチックの樹脂・添加物の使用制限。

参考文献・公的資料

射出成形の機械選定・技術基準・業界統計は下記の公的機関・業界団体の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は概算・目安値です。実際の機械選定・金型設計・成形条件設定にあたっては、樹脂メーカーの物性データシート、成形機・金型メーカーの技術文書、CAEシミュレーション(Moldflow等)、成形試作での実測データに基づいた検証を必ず実施してください。射出容量・可塑化能力・型締力は機械メーカー・機種・仕様で幅があり、樹脂密度・成形条件で実質性能が変動します。特に安全に関わる部品(自動車・医療機器・電気製品)では、成形品質保証のプロセス管理・工程能力指数(Cp・Cpk)の確認、品質保証部門との連携が必須です。当社は本ページの情報に基づく設計・生産結果について責任を負いません。

よくある質問(FAQ)

50g×4キャビ+ランナ20gの推奨機は?

1ショット220g、180t機推奨(射出容量300〜500g)。射出容量の44〜73%使用で適正範囲。100t機だと容量ぎりぎりで品質不安定、350t機だと過大で樹脂滞留リスク。

射出容量の70〜80%ルールの根拠は?

保圧補充・可塑化余裕・寸法安定性の実務経験則。90%超は寸法バラつき・ヒケ多発、20%以下は樹脂長時間滞留で熱分解。JIS B 6712の設計指針にも準拠。

樹脂密度換算は必要?

射出容量表示はGPPS(密度1.05)換算。PP(0.91)は実質射出量減、PC(1.20)は実質射出量増。各樹脂の密度で補正してから容量判定するのが正確な設計。

ランナ重量はどれくらい?

コールドランナーで製品総重量の15〜55%(2キャビ15〜25%、8キャビ25〜45%、16キャビ35〜55%)。ゲート方式・キャビレイアウト・金型サイズで変動。

ホットランナーはいつ導入?

年産10万本以上+製品単価に対する樹脂費比率が高い場合にROIが出やすい。金型価格+30〜100%増だが、樹脂ロスゼロ+サイクル10〜30%短縮+品質向上のメリット大。

キャビ数の最適点は?

年産100万本・サイクル30秒なら4〜8キャビが定番。キャビ数×サイクル×稼働率×金型価格の回収で総合判定。8キャビ超は精密同時充填の難易度急上昇で逆効果も。

可塑化能力の判定は?

ショット重量×3600÷サイクル秒÷1000 = 必要kg/h。これを機械の可塑化能力と比較し、超えるならサイクル延長。ハイサイクル成形では射出容量と可塑化能力の両方で判定必須。

樹脂焼け・変色の原因は?

過大機械での樹脂長時間滞留(容量20%以下)+シリンダー温度高すぎ。PC・ナイロン・POMで顕著。小容量シリンダー交換または機械変更が根本対策。

型締力はどう決める?

製品+ランナの投影面積(m²)×成形圧(35〜80MPa)=必要型締力(kN)。1000kN=約100t換算。射出容量が足りても型締力不足はバリ発生の直接原因。

ランナ再生の限界は?

ランナ粉砕→バージン材に配合が実務。通常10〜30%配合までが物性維持限界。それ以上は強度低下・色ムラ発生。ホットランナー化がロスゼロの本質的解決。

全電動サーボ機と油圧機の差は?

電動サーボ機は型開閉速度3倍・エネルギー消費50%減・成形精度2倍。設備投資1.3〜1.5倍だが3〜5年でROI。新規投資は事実上の標準。JSW・住友・ファナックの主流機種。

営業見積での機械選定ミスは?

ランナ重量計算忘れ・キャビ数最適化ミス・射出容量の下振れ判定が典型。受注後の追加投資や量産開始遅延リスクに直結。金型設計者と技術営業のダブルチェックが実務標準。