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型締力射出成形機械選定金型JIS

射出成形型締力(投影面積×キャビ内圧)|機械選定・金型検証ツール

投影面積(cm²)とキャビティ内圧(MPa)から射出成形機に必要な型締力(t)と推奨機械容量を即算出する無料電卓。F = A × P / 9.8の基本式(JIS B 6712 射出成形機に準拠)により、汎用樹脂(PE 25-35MPa・PP 30-45MPa・ABS 40-55MPa)・エンプラ強化材(PC-GF 60-90MPa)の樹脂別内圧目安に対応。安全率1.3による機械選定、スライドコアの投影面積補正、バリ発生・充填不足・成形サイクル最適化、直圧式(高型締力)/トグル式(高速動作)の型締機構特性、ホットランナー多点ゲート化の効果、薄肉成形の高内圧要求、金型設計者・成形工場・生産技術者・成形コンサル向けに6000字級で徹底解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

射出成形型締力ツール

型締力の計算式と物理原理

① 基本計算式

F(t) = A(cm²) × P(MPa) / 9.8

射出成形の型締力は「キャビティ内で溶融樹脂が金型を押し広げる力」に対抗する力。投影面積(パーティング面に垂直投影した金型内寸法)×キャビ内圧(型内の樹脂圧力)で力を求め、9.8で除してトン換算します。300cm²・40MPaなら1,224t必要という計算になります。

② 単位系の解説

MPa(メガパスカル)は圧力の国際単位、1MPa=10.2kgf/cm²。1MPa×1cm²=10.2kgfで、これを1,000で除してトン換算するのが式の意味。9.8は重力加速度(m/s²)の近似値で、ニュートン→キログラム力の換算に用いる係数です。

③ キャビティ内圧とは

キャビ内圧(空洞内圧力)は射出成形における溶融樹脂が金型キャビティ内で発生させる最大圧力。射出充填時のピーク値で、樹脂種類・肉厚・流動長・ゲート形状・射出速度で決まります。実測はキャビティ内圧センサ(圧電式)を金型に埋設して計測。

④ 投影面積の定義

投影面積は金型を型開き方向(パーティング面に垂直)に投影した面積。カップ形状なら開口部の面積、複雑形状ならCAD上で投影処理して算出。多数個取り金型では全キャビティの合計投影面積を用います。ランナー・ゲート部の投影面積も含めます。

⑤ 安全率の考え方

計算式の型締力は「必要最小値」。安全率1.2-1.5倍(通常1.3倍)を掛けて機械選定に用います。安全率は、圧力変動・機械劣化・樹脂バラツキ・成形条件変化への余裕。過小な安全率でバリ発生、過大な安全率で機械コスト増となるバランス感覚が重要です。

樹脂別 標準キャビ内圧早見表

樹脂キャビ内圧(MPa)特徴用途例
PE(ポリエチレン)25-35流動性良好、低圧成形可容器・パッキン
PP(ポリプロピレン)30-45汎用樹脂の代表家電外装・食品容器
PS(ポリスチレン)30-40透明・剛性、低粘度包装・玩具
ABS40-55汎用エンプラ、耐衝撃性家電・自動車内装
PC(ポリカーボネート)50-70高粘度・耐熱性光学部品・カバー
PC/GF20-30%60-90ガラス繊維強化、高強度構造部材・自動車部品
POM(ポリアセタール)50-70結晶性、寸法安定性ギア・機械部品
PA6/66(ナイロン)50-80結晶性、耐摩耗機械部品・電機
PPS/PEEK80-120耐熱スーパーエンプラ電子・航空宇宙

※内圧は樹脂グレード・成形条件で変動。ガラス繊維・カーボン繊維強化グレードは高内圧化する傾向。実測値の確認を推奨。

型締力の詳しい解説

① 型締力とは

型締力は「射出成形機選定の中心指標」。射出成形機のカタログは「50t・150t・500t・1,500t」等の型締力で分類され、対応可能な成形品サイズ・樹脂・生産性が決まります。適正な型締力設定は、成形品質・機械コスト・生産性の全てに関わる基本判断です。

② 型締力不足のリスク

型締力が不足すると、樹脂圧力に負けて金型が押し広げられ、パーティング面から樹脂が漏出=バリ発生。バリはトリミング工程追加・不良率増加・成形サイクル延長・金型損傷の原因になります。バリを抑えるため射出圧力を下げると、今度は充填不足・ヒケが発生する悪循環に陥ります。

③ 型締力過大のリスク

逆に型締力が過大な機械を使うと、金型キャビティが変形しない範囲でも過剰な力がかかり、パーティング面の潰れ・キャビティ寸法変形のリスク。加えて機械購入費・電力消費・スペース占有の経済的損失も生じます。適正選定=必要最小値+適正安全率です。

④ 適正型締力の判断

計算値の型締力×安全率1.3以上を確保しつつ、キャビ内圧センサでの実測値+バリ発生状況+成形サイクル安定性を総合判断。金型立ち上げ時は、計算値ベースで機械選定し、実成形での微調整で最適化するのが実務。

⑤ 多数個取り金型の考慮

多数個取り金型では全キャビティの投影面積合計で計算。例えば4個取りで1個あたり75cm²なら合計300cm²、8個取りで1個37.5cm²なら合計300cm²。個数増加で投影面積・型締力が比例増加するため、大型機械が必要になります。

直圧式とトグル式の型締機構

直圧式(油圧直圧型締)

油圧シリンダで直接型締力を発生。大型機・高型締力機で主流、1,000t以上で採用多。型締力の設定自由度高、大型金型・肉厚品に適する。動作速度はトグルより遅め、応答性でトグルに劣る。

トグル式(機械的トグル増力)

トグル機構(倒立L字型のリンク)で機械的に型締力を増幅。中小型機・高速サイクルで主流、100-1,000t帯で採用多。動作速度が速く、成形サイクル短縮に有利。型締力設定範囲がやや狭い。

ハイブリッド型締(直圧+トグル)

両方式の利点を組合せた新方式。高速動作+高型締力+高精度を実現、精密成形・大量生産で採用増加。制御系が複雑・コスト高が課題。

全電動サーボ機

油圧を排し、サーボモータで動作。環境性能・エネルギー効率・精度に優れ、小型機で普及、中大型化も進行中。油漏れなし・クリーン成形環境向け、医療・光学部品成形の主流に。

スライドコア・特殊構造の補正

① スライドコアの投影面積

アンダーカット処理のスライドコア(横抜き機構)がある金型では、型締方向の投影面積+スライド方向の投影面積の両方を考慮。スライドコア方向の樹脂圧力もスライドピンに作用、コア固定の油圧・機械要素も適切に設計する必要があります。

② 角度コアピンの補正

角度をつけたコアピンの場合、投影面積は角度分の補正が必要。cos(角度)を掛けた実効投影面積で計算、45度角なら約71%の実効投影面積。傾斜方向の樹脂圧力もサイドアクションで受け止める必要があります。

③ ホットランナー・多点ゲートの効果

ホットランナー多点ゲート方式はゲートから成形品端までの流動距離短縮=キャビ内圧低減効果あり。同じ成形品で従来25MPaが多点ゲート化で15MPaに低減、必要型締力が40%削減できるケースも。金型費用増加とのバランスで判断。

④ シャットオフノズル・バルブゲート

バルブゲート(電動/油圧開閉ゲート)によるゲート閉塞タイミング制御で、内圧ピークを抑制可能。保圧工程での逆流防止、成形サイクル短縮、キャビ内圧最適化の高度技術。

⑤ 発泡成形・低圧成形

マイクロセルラー発泡成形(MuCell)・低圧成形技術では、キャビ内圧が従来の30-50%で成形可能。必要型締力が大幅低減、機械小型化+軽量成形品を同時実現する先進技術です。

薄肉成形と高内圧要求

① 薄肉化の内圧上昇

肉厚が薄くなると、樹脂流動長/肉厚比(L/T比)が増大し、流動抵抗が急増します。同じ成形品を1.5mm→0.5mmと薄肉化するとキャビ内圧は約3倍に上昇、必要型締力も比例増加します。薄肉成形は高速・高圧の高スペック機が必須。

② 高速射出成形機

薄肉成形向けの超高速射出成形機(射出速度500mm/s以上)が普及。金型充填時間0.1秒レベル、樹脂冷却前に完全充填する技術。IT機器・薄型部材・パッケージ用途で採用増加中です。

③ 精密制御の重要性

薄肉・高内圧成形では、射出速度・保圧・冷却時間のミリ秒単位制御が品質を左右。フィードバック制御・キャビ内圧センサ・AI活用の自動調整が導入され、成形不良率0.1%以下の管理が可能に。

④ 金型の耐圧設計

高内圧成形では金型自体の耐圧強度・剛性設計も重要。金型ベースは高強度鋼(SKD11・SKD61等)+熱処理硬化(HRC55以上)、金型冷却回路の圧損計算も含めた総合設計が必要です。

業界・現場での使い方

金型設計者

金型設計段階での機械選定。投影面積・樹脂内圧から必要型締力を算出、対応可能な機械の型番リストを顧客へ提示。多数個取り最適化の設計判断。

成形工場・生産技術

新規案件の見積り・機械配分決定。既存機械の適合性チェック、必要な新規機械の投資判断、機械稼働率の最適化に活用。

成形コンサルタント

顧客工場の生産性改善提案。過剰スペック機械の見直し・適正機械への移行、成形不良改善のための機械選定支援。

射出成形機メーカー

顧客への提案時の適合機械の絞り込み。競合他社機との比較資料作成、標準機ラインナップから顧客ニーズに合致した機種の提案。

設備投資判断

成形工場の設備更新・増設計画。CAPEX投資判断+ROI試算、機械容量計画による工場レイアウト設計に活用。

成形技術教育

職業訓練校・企業内研修での基本理論教育。実務計算の基礎スキル、金型・機械・成形の総合判断能力の育成に活用。

バリ・充填不足のトラブル対応

① バリ発生の原因分析

バリは型締力不足の代表症状。原因は①機械の型締力不足、②型締力設定過小、③パーティング面精度不足、④樹脂圧力異常上昇、⑤金型の反り変形など。順に確認して原因特定し、機械選定見直し・パーティング面修正・成形条件見直しで対処します。

② 充填不足の原因分析

充填不足(ショートショット)は①射出圧力/速度不足、②樹脂温度低下、③金型温度低下、④ゲート狭窄、⑤樹脂流動性不足が原因。射出条件の見直し・樹脂グレード見直し・金型温度上昇での対処が基本です。

③ ウェルドライン・シルバー

ウェルドライン(合流線)・シルバー(銀条痕)等の外観不良も、内圧・流動条件と関連。ゲート位置・流動シミュレーション(Moldflow等)で予測・対策する高度なアプローチが標準化されています。

④ 成形サイクル最適化

型締力適正化+成形条件最適化で成形サイクル短縮=生産性向上を実現。充填工程・保圧工程・冷却工程・型開閉工程の各段階を分析、AI・機械学習によるサイクルタイム最適化も実用化中です。

CAE解析(Moldflow)の活用

① 流動解析の必要性

複雑形状金型では手計算での型締力予測に限界があります。Moldflow・3D Timon・Sigmasoft等のCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)ソフトによる流動・保圧・冷却解析で、キャビ内圧分布・充填時間・冷却時間・そりの予測が可能。金型設計段階での事前検証は開発効率化の必須ツールです。

② 解析で予測できる項目

CAE解析で以下項目を予測可能:

  • キャビ内圧分布 — 位置別・時刻別のリアルタイム分布
  • 型締力予測 — 投影面積×内圧の高精度計算
  • 充填パターン — ウェルドライン・エアトラップ位置の可視化
  • 冷却時間 — 冷却回路設計の最適化
  • そり・収縮予測 — 寸法精度確保の事前検証

③ 実測との照合

CAE予測と実測値の照合で解析精度の継続改善を図ります。キャビ内圧センサ・実測サイクル時間・成形品品質のフィードバックデータでモデル精度を高める。企業のノウハウ蓄積として、10年20年のデータ蓄積は競争力の源泉になります。

④ 導入の実務ハードル

CAE導入は①ソフトライセンス(年数百万円)、②解析技術者育成(1-2年)、③計算リソース(高性能ワークステーション)、④モデル整備(材料データ・金型形状)のハードル。中小成形工場は外部CAEサービス活用も選択肢、金型メーカーやコンサルへの解析委託が現実的です。

よくある間違い・注意点

  • スライドコアの投影面積無視 — 横抜き方向の投影面積+スライド機構への樹脂圧力を考慮。単純な垂直投影のみの計算はNG。
  • 樹脂内圧の汎用値使用 — グレード・充填材含有率で内圧は大差(PC:50-70、PC-GF30%:80-100等)。実測値・材料データシート活用推奨。
  • 安全率過小(1.0-1.1) — 圧力変動・機械劣化への余裕不足。安全率1.2-1.5(通常1.3)を必ず確保。
  • 多数個取りの合計面積計算漏れ — 4個取り・8個取りは全キャビティ合計面積で計算。1個あたりで計算するとバリ発生。
  • ランナー・ゲート投影面積の漏れ — コールドランナーは投影面積に含める。10-20%の追加投影面積が典型。
  • 薄肉品の内圧過小評価 — 肉厚半減で内圧2-3倍化。L/T比増大時は内圧の再検討必須。
  • ホットランナー化の内圧低減未活用 — 多点ゲート化で内圧30-40%低減可能。金型費増加とのバランス検討。
  • 直圧式/トグル式の使い分け誤解 — 大型・肉厚品は直圧式、高速サイクルはトグル式。機構特性の理解が機械選定の基本。
  • 過剰スペック機械での成形 — 適正機械の2-3倍容量機で成形するとコスト増・生産性低下・機械占有ロス。適正配分推奨。
  • 実測値による検証未実施 — キャビ内圧センサでの実測+成形条件フィードバックで最適化。計算値のみの成形は改善余地大。

関連する規格・法規

  • JIS B 6712 射出成形機の型締力・射出容量・性能表示
  • JIS B 6711 射出成形機の一般構造
  • 日本プラスチック機械工業会(JPMA)技術基準
  • ISO 294-1 プラスチック−射出成形試験片
  • ISO 20430 プラスチック・ゴム機械−射出成形機−安全要求事項
  • JIS B 8412 プラスチック成形機の安全通則
  • 労働安全衛生法 プラスチック成形機の安全対策
  • 電気事業法(高圧電気機器としての射出成形機)
  • 省エネ法(トップランナー基準対象機器)
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の金型設計・機械選定は樹脂グレード・成形品形状・要求品質等の総合判断が必要です。実生産前には試作型・成形テストによる実測検証を推奨します。

参考文献・公的資料

  • 日本プラスチック機械工業会(JPMA)技術情報 — 射出成形機の技術動向
  • 日本プラスチック工業連盟 — 樹脂グレード情報
  • プラスチック成形加工学会 — 成形理論の学術情報
  • Autodesk Moldflow アプリケーションノート — CAE解析実務
  • 三菱ケミカル、三井化学、旭化成 材料データシート — 樹脂物性値
  • ファナック、住友重機械工業、日精樹脂工業 機械カタログ
  • 「射出成形の基礎」黒木俊夫著 — 標準教科書
  • 「プラスチック成形加工便覧」プラスチック成形加工学会編
  • JIS B 6712-1〜3 射出成形機の型締力・射出容量・性能表示
  • ISO 20430 射出成形機安全要求
  • 日本金型工業会 技術情報
  • Society of Plastics Engineers (SPE) 論文集
  • Journal of Injection Molding Technology 論文

よくある質問(FAQ)

300cm²・40MPaの型締力は?

約1,224t、安全率1.3で1,600t機推奨。実成形時のバリ・充填状況で微調整、キャビ内圧センサでの実測検証を推奨。

型締力の計算式は?

F(t) = A(cm²) × P(MPa) / 9.8。投影面積×キャビ内圧÷9.8でトン換算。JIS B 6712の基本式で世界共通。

樹脂別のキャビ内圧目安は?

PE 25-35、PP 30-45、ABS 40-55、PC 50-70、PC-GF30% 80-100(MPa)。ガラス繊維強化グレードは高内圧化する傾向。

直圧式とトグル式の違いは?

直圧式は油圧直接、大型・高型締力向け(1000t以上主流)。トグル式は機械増力、高速サイクル向け(100-1000t主流)。

スライドコアの型締力補正は?

横抜き方向の投影面積も計算に含める。スライドピン・機械への追加荷重も設計、単純垂直投影のみでは不足。

安全率はどれくらい?

通常1.3倍。圧力変動・機械劣化・成形条件変化への余裕。過小(1.0-1.1)でバリ発生、過大(2.0以上)で機械コスト増。

ホットランナー化で型締力低減できる?

多点ゲート化で内圧30-40%低減可能。同じ成形品で必要型締力が大幅削減、機械容量ダウンでコストメリット。

バリ発生時の対応は?

①機械型締力不足、②パーティング面精度、③樹脂圧力異常、④金型変形、⑤樹脂グレード、の順で原因確認。機械容量アップが根本対策。