ファイアウォール性能
回線速度と有効化する機能から、必要なファイアウォールの性能を試算します。
ファイアウォール性能ツール
計算式と考え方
ピーク時の通信量は「同時利用者数 × 1人あたりの帯域」と回線帯域の小さいほうで見積もります。300人×2Mbpsで600Mbpsです。ファイアウォールは機能を有効にするほど処理性能が下がり、侵入防止で約45%、アンチウイルスで約30%、SSL通信の復号で約70%の低下が生じます。すべて有効にすると、実効性能はカタログ値の約11.6%まで落ちます。VPNの処理性能150Mbpsを加えた750Mbpsを実効値として必要とするなら、カタログ性能は余裕率50%を含めて約9,700Mbpsが必要という計算になります。
機能による性能低下の目安
| ファイアウォールのみ | カタログ値どおりの性能が出る |
|---|---|
| 侵入防止を有効化 | 40〜50%の低下。通信内容の検査が必要になるため |
| アンチウイルスを有効化 | 25〜35%の低下。ファイルの展開と検査を行う |
| SSL通信の復号 | 60〜80%の低下。暗号化の解除と再暗号化が最も重い |
ファイアウォール性能の詳しい解説
ファイアウォールの選定で最も誤解されやすいのが、カタログに記載された性能値です。この値は多くの場合、追加の検査機能を有効にしない状態での測定結果であり、実際の運用条件では大きく下回ります。特にSSL通信の復号は処理負荷が重く、有効にすると性能が数分の1まで落ちることがあります。通信の大部分が暗号化されている現在、この機能を有効にしないと検査対象が限られるため、実質的には有効化を前提とした選定が必要になります。統合型の機器は、複数の機能を1台で提供する利便性がある一方、すべての機能を有効にすると処理が集中します。機能ごとに専用の機器を並べる構成に比べ、導入と管理は容易ですが、性能の面では制約があります。組織の規模と要求される検査の水準に応じて、どちらの構成が適するかが変わります。性能の見積もりでは、平均値ではなくピーク時を基準にすることが重要です。始業時、昼休み、大きなファイルの配布時といった特定のタイミングに通信が集中し、この時に処理が追いつかないと通信が滞ります。また、余裕率を確保しておくことも必要です。利用者の増加、新しい業務システムの導入、動画やクラウドサービスの利用拡大により、通信量は年々増加する傾向にあります。導入時にぎりぎりの性能を選ぶと、数年で不足します。VPNの処理も負荷になります。在宅勤務の普及により同時接続数が増え、暗号化と復号の処理が加わります。1接続あたりの帯域は小さくても、接続数が多ければ合計の負荷は大きくなります。この処理を専用の機器に分離する構成も検討されます。近年は、社内ネットワークの境界に機器を置く従来の考え方から、利用者と端末を都度検証する方式へ移行する動きもあります。クラウドサービスの利用が中心となり、社内と社外の境界が曖昧になったことが背景です。この場合、境界に配置する機器の役割は変わり、必要な性能の考え方も変化します。
業界・現場での使い方
機器の選定
必要な性能を算出し、適切な機種を選びます。
機能の検討
有効にする機能による性能低下を把握します。
更新の判断
利用者の増加に対して現在の機器が足りるかを確認します。
よくある間違い・注意点
- カタログ性能をそのまま前提にする — 検査機能を有効にすると大きく下がります。実効性能で選定してください。
- 平均の通信量で見積もる — ピーク時に処理が追いつかないと通信が滞ります。ピークを基準にしてください。
- 余裕率を確保しない — 通信量は年々増加します。導入時にぎりぎりだと数年で不足します。
関連する規格・法規
- 電気通信事業法
- IETF規格
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
カタログ性能はなぜ実際と違うのですか?
追加の検査機能を有効にしない状態での測定値だからです。運用条件では大きく下回ります。
SSL復号は必要ですか?
通信の大部分が暗号化されている現在、有効にしないと検査対象が限られます。ただし負荷は最も重くなります。
余裕率はどのくらい見込みますか?
50%程度が一つの目安です。利用者の増加と通信量の伸びを織り込む必要があります。