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防火区画面積(用途別) 計算ツール|施行令112条 面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画

建築基準法施行令第112条 防火区画の最大面積を、用途・階数・耐火構造・スプリンクラー(SP)有無から瞬時に算出。1500m²/1000m²/500m²/200m²の面積区画、11階以上の高層区画、階段・EV・吹抜けの竪穴区画、共同住宅併用店舗等の異種用途区画まで対応。建築設計・確認申請・大規模改修・用途変更・消防同意対応の現場で頻用される規制を、建築基準法・施行令・平成12年建設省告示に照らして解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

防火区画面積 計算機

防火区画の種類と法令根拠

建築基準法施行令第112条は、火災延焼を建物内で食い止めるため、耐火建築物・準耐火建築物を4種類の防火区画で区切ることを義務化しています。

区画種別根拠条文目的区画部材
面積区画令112条1-6項水平方向の延焼防止耐火壁・特定防火設備
高層区画令112条7-8項11階以上の高層階耐火壁・特定防火設備
竪穴区画令112条9項階段・EV・吹抜けの縦延焼防止耐火壁・特定防火設備または防火設備
異種用途区画令112条12-13項用途混合建物の相互延焼防止耐火壁・特定防火設備

面積区画の詳細

耐火・準耐火建築物は、床面積が一定を超えると耐火構造の床・壁で区画する義務があります。

建物種別・階数面積区画SP設置時備考
耐火建築物(一般 事務所・共同住宅)1,500m² ごと3,000m²令112条1項
準耐火(45分)500m² ごと1,000m²令112条4項
1時間準耐火(令2条9号の3)1,000m² ごと2,000m²令112条5項
倉庫用途(専用)1,500m² ごと3,000m²倉庫特例あり
自動車車庫(令128条の2)500m² ごと(区画1500以下)1,000m²用途規制併用
特殊建築物 500m²超(令112条6項該当)500m² ごと1,000m²劇場・病院・ホテル等

面積区画の壁は耐火構造(令107条)、開口部は特定防火設備(令109条の2)で塞ぐ必要があります。区画壁は上階の床から外壁面まで連続し、耐火性能を確保しなければなりません。

高層区画(11階以上)

11階以上の階は、消防活動が困難なため面積区画が厳格化されます。

階数・室内装飾面積区画備考
11階以上・準不燃仕上(標準)100m² ごと令112条7項
11階以上・準不燃+SP200m² ごとSP緩和
11階以上・不燃仕上げ200m² ごと令112条8項
11階以上・不燃仕上げ+SP500m² ごと令112条8項ただし書
11階以上・完全不燃(壁・床・天井)+SP500m²(上限) → 実質1,000m²緩和特別緩和(告示)

タワーマンションや超高層オフィスビルは高層区画+SPで500-1,000m²単位に区切られており、廊下・EVホール・住戸の境界で特定防火設備(防火戸)が確認できます。オフィスビルのフロア一体空間は「フロア全面SP + 完全不燃仕上げ」で成立させる設計が主流です。

竪穴区画

建物内の階段・EV(エレベーター)シャフト・吹抜け・ダクトスペース等の縦方向空間は、火災の上昇気流(煙突効果)で延焼が急拡大するため、独立した竪穴区画が義務。

竪穴要素区画設備備考
階段(直通階段)特定防火設備床貫通部+階段室出入口
エレベーターシャフト特定防火設備(EV扉)EV機械室含む
吹抜け(3層以上)耐火壁+特定防火設備アトリウム空間は特別緩和
ダクトスペース(パイプシャフト)床貫通部の耐火目地+防火ダンパー令112条16項
共同住宅の階段(住戸集約)戸建て住宅は免除3階建て以下は緩和

竪穴区画の防火戸は「常時閉鎖式」または「煙感知器連動閉鎖式」が原則。3階建て住宅の階段は原則免除ですが、令元年施行令改正で「一定の避難条件」を満たさない場合は必要となるケースもあります。

異種用途区画

1棟の建物に複数用途(例:共同住宅+店舗、事務所+ホテル、病院+研究施設)が混在する場合、用途境界で区画が必要。

組合せ例区画要件備考
1階店舗 + 2階以上共同住宅階境界に耐火床+特定防火設備マンション1階店舗の典型
1階駐車場 + 2階以上事務所令128条の2 自動車車庫区画面積500m²以下でも必要
病院 + 診療所(混在)令112条12項該当なし(同一用途)特殊建築物範囲確認
老人ホーム + 一般住宅要区画(特殊vs非特殊)介護保険施設との併設

特定防火設備と防火設備

区画の開口部を塞ぐ設備は2種類あり、法令上明確に区別されます。

種別加熱時間認定基準使用箇所
特定防火設備(甲種防火戸)60分H12建告1369号面積区画・竪穴区画・異種用途区画
防火設備(乙種防火戸)20分H12建告1360号延焼のおそれのある部分・一部竪穴
防火ダンパーダクト貫通部令112条16項ダクト貫通部の遮煙
防火シャッター特定 or 防火設備仕様設置箇所により選択アトリウム・大空間の境界

特定防火設備は「甲種防火戸」とも呼ばれ、大臣認定品(FRD-60mなど)を使用します。開口部の四方を耐火構造で囲み、丁番・錠・煙感知連動装置が整った状態で認定範囲が成立します。

スプリンクラー緩和と免除規定

スプリンクラー(SP)設備を全域に設置すると、面積区画が原則2倍に緩和されます(令112条1項ただし書)。ただし高層区画・竪穴区画・異種用途区画には別の緩和体系が存在します。

SP緩和の要件

緩和対象要件緩和後面積
面積区画(令112条1項)区画全域にSP設置基準×2倍
高層区画(令112条7-8項)SP+不燃仕上げの組合せ100→200m² 等
竪穴区画SP緩和なし(常時必要)
異種用途区画SP緩和なし

免除される主な建物

  • 体育館・武道場・宗教建築の主要用途部分(令112条11項)
  • 階段室・便所・浴室等(令112条9項ただし書)
  • 戸建て住宅・小規模共同住宅(3階以下)の一部
  • 令元年改正で緩和された「主要構造部の完全不燃仕上げ」施設

業界・実務での使い方

建築設計(基本設計・実施設計)

プランニング段階でSP設置を前提とした大空間設計を組む。オフィスビルはフロア全面SP+全面不燃仕上げで500-1,000m²単位に区切る運用が主流。区画壁の位置は縦通し(全階同位置)が原則で、後の平面変更を制約します。

確認申請・消防同意

建築確認申請書に防火区画図(色分け平面+区画壁凡例)を必ず添付。SP設備一式は消防同意(消防長・消防署長)が必要で、審査で「区画壁の連続性」「特定防火設備の認定番号」「開口部の閉鎖装置」が指摘されやすいポイントです。

用途変更(コンバージョン)

事務所→ホテル・老人ホーム等の用途変更は特殊建築物化により、区画面積が1500m²→500m²に縮小することが多い。既存建物の壁位置では対応困難で、新設耐火壁+防火戸の追加工事が発生します。

大規模改修(リニューアル)

面積区画・竪穴区画の維持が改修計画の制約。オフィスビルのリノベで階段の壁を撤去する場合、竪穴区画の代替措置(排煙・避難導線変更)が必要になります。既存不適格建物は「同等以上の安全性確保」で継続使用可能なケースもあります。

大型商業施設・アトリウム

吹抜け空間は原則竪穴区画対象ですが、令112条ただし書で「一定の避難計画+排煙+SP+防火シャッター」の条件で緩和される特別扱いあり。ららぽーとやイオンモール等の巨大アトリウムはこの緩和条項で成立しています。

マンション1階店舗

共同住宅+店舗の異種用途区画が必須。階境界の床は耐火構造+特定防火設備、EVは共同住宅と店舗で別系統(または区画境界で防火戸)が基本。設計時に配管ルート・EV位置が制約になります。

よくある間違い・注意点

  • SP撤去で区画不足に — 一度SPを設置して2倍緩和で成立した設計は、SP撤去で区画が不足になります。改修時のSP撤去は必ず区画再検討とセット。
  • 11階以上の厳格基準見落とし — 高層区画は面積区画とは別の体系。11階以上は原則100m²(SP+不燃で500m²)まで小さく、10階までの1,500m²感覚では通りません。
  • 竪穴区画にSP緩和を適用 — 竪穴区画は原則SP緩和なし(令112条9項)。階段・EVには常時特定防火設備が必要。
  • 用途変更で区画不足 — 事務所(1500m²)→ホテル・病院(500m²)の変更は区画面積が1/3に縮小。既存の壁配置では対応困難で、新設区画壁工事が必須になるケースが多い。
  • 防火設備と特定防火設備の混同 — 面積区画・竪穴区画には「特定防火設備(甲種・60分)」が必要。20分の「防火設備(乙種)」では不足。認定番号(FRD-60等)を確認してください。
  • 異種用途区画の対象を狭く解釈 — 「病院」「老人福祉施設」等の判定は、面積比・専用性で判定。単に「診療所併設」等の看板だけでは判定できず、実質使用形態で判断されます。
  • ダクト・パイプの貫通部処理漏れ — 区画壁を貫通するダクトには防火ダンパー、配管には耐火目地(モルタル・ロックウール等)が必要。施工時点で建設監理者の中間検査対象です。

関連する規格・法規

  • 建築基準法 第26条 ― 大規模木造建築物の防火壁(1,000m²ごと)。
  • 建築基準法施行令 第112条 ― 防火区画(面積・高層・竪穴・異種用途)の中核規定。
  • 建築基準法施行令 第107条 ― 耐火性能に関する技術的基準(耐火時間の定義)。
  • 建築基準法施行令 第109条の2 ― 遮炎性能に関する技術的基準(特定防火設備)。
  • 建築基準法施行令 第128条の2 ― 自動車車庫の防火区画(500m²)。
  • 平成12年建設省告示 第1369号 ― 特定防火設備の構造方法(甲種防火戸60分)。
  • 平成12年建設省告示 第1360号 ― 防火設備の構造方法(乙種防火戸20分)。
  • 消防法 第17条(消防用設備等) ― SP・自動火災報知設備・排煙設備の設置基準。
  • 消防法施行令 第12条(SP設備の設置基準) ― 用途・階数・面積による設置義務。
  • 令和元年施行令改正 ― 木造建築の防火区画緩和(準耐火の1時間化等)。

参考文献・公的資料

より正確な防火区画・防火設備の適用や、確認申請・消防同意対応の詳細は下記公的機関の一次資料を参照してください。

※本ページの計算結果は建築基準法施行令第112条の主要な基準面積に基づく参考値です。実際の防火区画設計は、建物の詳細な用途・構造・立地・付属設備、地方自治体条例、指定確認検査機関の運用、消防同意事項、令和元年改正等の最新告示によって変動します。実務適用に際しては、建築士・設備設計者・防火設計担当・消防設備士等の有資格者による判断、および所轄特定行政庁・所轄消防署への事前相談を必ず実施してください。既存不適格建物の改修・用途変更では追加規制がかかる場合があります。

よくある質問(FAQ)

事務所ビルの防火区画は?

耐火建築物の一般用途(事務所・共同住宅等)は1,500m²ごとに区画。スプリンクラー全域設置で3,000m²ごとに緩和されます(令112条1項)。11階以上は別体系で100-500m²に厳格化されます。

特殊建築物とは?

建築基準法別表第1に掲げる、劇場・映画館・観覧場・公会堂・集会場・病院・診療所(有床)・ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎・下宿・老人福祉施設・児童福祉施設・学校・体育館・博物館・美術館・図書館・百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・料理店・飲食店・物品販売店(床面積10m²超)等、不特定多数が利用する建物。防火区画は面積500m²と厳しめ。

区画境界に必要な設備は?

特定防火設備(甲種防火戸・60分性能)が原則。平成12年建設省告示第1369号で認定基準が規定。「常時閉鎖式」または「煙感知器連動閉鎖式」を選択し、開口部の四方を耐火構造で囲みます。防火シャッター(FRDS)、防火ダンパー(FRDR)も特定防火設備の範疇です。

11階以上が厳しい理由は?

消防のはしご車の届く高さが15階(約45m)までで、それを超えた階の消防活動は屋内階段・非常用EVに限られます。延焼リスクを最小化するため区画面積を極端に小さくします。超高層マンションで住戸間隔ごとに防火戸が設置されているのはこのため。

竪穴区画とは?

階段・EVシャフト・吹抜け・ダクトスペース等の縦方向連続空間の区画。火災の煙突効果(上昇気流)による垂直延焼を防ぐため、原則階段室・EV室を独立させ、床貫通部と出入口に特定防火設備を設置します(令112条9項)。

異種用途区画とは?

1棟の建物に複数用途(共同住宅+店舗、事務所+ホテル、病院+研究施設等)がある場合、用途境界で耐火構造の床・壁+特定防火設備で区画する義務(令112条12-13項)。マンション1階店舗の階境界が典型例。

スプリンクラーの緩和は自動的に効く?

いいえ。区画対象「全域」にSP設置が条件で、一部のみでは緩和対象外。設計時にSP設置範囲と区画範囲を厳密に合わせる必要があります。既存建物のSP改修時はカバー範囲図面と区画図の重ね合わせを確認します。

用途変更で区画も変わる?

変わります。事務所(1,500m²)→ホテル/病院/老人ホーム(500m²)への変更で、区画面積が1/3に縮小。既存壁位置では対応困難で、新設耐火壁+防火戸の追加工事が発生することが多いです。用途変更確認申請時に必ず区画再設計します。

戸建て住宅にも防火区画は必要?

原則3階建て以下の戸建て住宅は面積区画・竪穴区画とも免除されます。ただし木造3階建てで200m²超は準耐火建築物+階段の竪穴区画が必要になるケースあり。地下室のある戸建ても竪穴区画対象です。

吹抜けやアトリウムはどう扱う?

原則、竪穴区画対象で耐火壁+特定防火設備が必要。ただし令112条9項ただし書で「一定の避難計画+排煙+SP+防火シャッター」の条件で緩和(告示適用)される特別扱いがあります。ららぽーと・イオンモール等の巨大アトリウムはこの緩和で成立しています。

区画壁を貫通するダクトの処理は?

区画壁を貫通するダクトには防火ダンパー(FRDR、施行令112条16項)を設置、配管には耐火目地(モルタル・耐火パテ・ロックウール等)が必要。ダンパーは温度ヒューズ72℃等の設定で自動閉鎖する仕様。施工中間検査の重要チェック項目です。

既存不適格建物の防火区画対応は?

既存不適格(現行法不適合だが建築時法令に適合)は、増改築時に「同等以上の安全性確保」を条件に既存部の全面適合を求めない緩和があります。特定行政庁の判断ですが、SP追加設置+一部区画補強で認められるケースが多い。用途変更や大規模模様替えでは既存不適格解除の判定が変わるため、事前相談が必須です。