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露点温度(空調用) 計算ツール|Magnus式で露点・絶対湿度・冷却コイル除湿判定

気温・相対湿度からMagnus式で露点温度・絶対湿度・飽和水蒸気圧・水蒸気圧を即算出。空調除湿設計・冷却コイル選定・窓ガラス結露判定・除湿機性能・半導体クリーンルーム低露点管理までカバー。SHASE空調計算基準・ISO 5149冷凍装置・建築基準法シックハウス対策・湿り空気線図(サイクロメトリック)まで、HVAC実務で必要な情報を網羅します。

最終更新:2026-08-08/初版:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

露点温度(空調用) 計算機

計算式(Magnus式)

基本式

飽和水蒸気圧 es = 6.11 × exp(17.27 × T ÷ (T + 237.3)) [hPa]

実水蒸気圧 e = es × RH ÷ 100 [hPa]

α = ln(e ÷ 6.11)

露点 Td = 237.3 × α ÷ (17.27 − α) [℃]

絶対湿度(重量絶対湿度) x = 0.622 × e ÷ (P − e) × 1000 [g/kg乾燥空気]

ここで T=気温(℃)、RH=相対湿度(%)、P=大気圧(標準1013.25hPa)。Magnus式は工学分野で最も普及する近似式で、−45℃〜60℃の範囲で誤差±0.4℃以内の精度があります。

物理的意味

露点温度は「その空気を等圧のまま冷却したとき、水蒸気が飽和して水滴が凝結し始める温度」です。冷却面の表面温度が露点以下となると、その表面で結露(凝縮)が発生します。空調・除湿・結露判定の基本指標として、HVAC(暖房・換気・空調)分野で日常的に使用されます。

Tetens式との違い

類似式にTetens式(6.1078 × 10^(7.5T/(T+237.3)))があり、Magnus式と数値的にほぼ同一。米国ではASHRAE式、より広範囲対応にはArden Buck式(2012年更新)も使用されます。実用上、通常空調域(0〜40℃)ではどの式も±0.5℃以内の一致で、Magnus式で十分な精度です。

湿度用語の整理

用語定義単位
相対湿度 RH水蒸気圧÷飽和水蒸気圧×100%
絶対湿度(重量)x乾燥空気1kgあたりの水蒸気質量g/kg(DA)
絶対湿度(容積)a空気1m³あたりの水蒸気質量g/m³
露点温度 Td水滴が凝結し始める温度
湿球温度 Tw湿らせた温度計で示す温度(蒸発冷却)
飽和度 μ絶対湿度÷飽和絶対湿度%
比エンタルピ h乾燥空気1kgあたりの熱量kJ/kg(DA)
水蒸気分圧 e大気圧のうち水蒸気による分圧hPa

気象・空調・製造分野で使用される湿度単位は多様ですが、「相対湿度・絶対湿度・露点」の3種類を状況に応じて使い分けます。空調設計・除湿量計算では絶対湿度と露点、結露判定では露点、体感湿度では相対湿度が主に使用されます。

気温・湿度別 露点早見表(℃)

Magnus式による計算値。1℃刻みでの詳細確認には計算機を使用してください。

気温RH40%RH50%RH60%RH70%RH80%RH90%
5℃-7.4-4.6-2.3-0.31.53.4
10℃-3.0-0.12.64.86.78.4
15℃1.54.67.39.611.513.4
20℃6.09.312.014.416.418.3
22℃7.811.113.916.318.420.3
25℃10.513.916.719.121.323.3
26℃11.414.817.620.122.324.3
28℃13.116.719.622.124.326.2
30℃14.918.421.423.926.228.2
32℃16.620.223.225.828.130.1
33℃17.421.124.126.729.031.1
35℃19.122.926.028.731.033.0

冷却コイル温度と除湿量

冷却除湿の原理

空調機の冷却コイル表面温度を露点温度以下にすることで、空気中の水蒸気が凝縮して除湿されます。標準的な冷房サイクルは「7〜12℃冷水」をコイルに通し、通過する空気を除湿しながら冷却、その後の必要に応じて再熱で目標温度に調整します。

コイル出口空気の状態

冷却コイル通過後の空気は「バイパスファクター(BF)」で表現されます。BF=0.1のコイルなら、通過空気の90%がコイル表面温度と平衡状態になります。例:入口26℃60%(露点17.6℃)、コイル表面7℃、BF=0.1 → 出口空気は約9℃・RH 95%、絶対湿度は約7.2g/kgに減少。この状態から再熱で26℃に上げると、相対湿度が下がり快適域(RH 40〜60%)を実現します。

除湿量計算(概算)

除湿量(kg/h) = 風量(m³/h) × 1.2 × (入口絶対湿度 − 出口絶対湿度) ÷ 1000

例: 風量5000m³/h、入口14.4g/kg、出口7.2g/kg → 除湿量 = 5000×1.2×(14.4−7.2)÷1000 = 43.2 kg/h(43L/h)。中規模オフィスビルの1フロア相当の除湿量に相当し、これがドレン管から排水されます。

結露判定と対策

結露発生条件

「材料表面温度 ≦ 空気の露点温度」となった時に結露が発生します。冬の窓ガラス結露が典型例で、室内空気20℃60%(露点12℃)に対し、窓表面が10℃以下となると結露発生します。

典型的な結露リスク箇所

箇所典型的な表面温度結露条件
単板窓(冬)4〜10℃室内露点10℃以上でほぼ結露
複層ガラス(冬)13〜17℃室内露点17℃以上で結露
Low-E複層ガラス(冬)17〜19℃結露リスク低
アルミサッシ枠(冬)5〜10℃結露多発・カビ発生源
コンクリート外壁室内側(冬)10〜15℃断熱不足で結露
冷水配管(夏)7〜12℃断熱不良で結露
冷凍・冷蔵庫扉外面10〜15℃ドアパッキン結露

対策

結露対策の基本は「表面温度を上げる(断熱強化)」または「露点を下げる(除湿・換気)」のいずれか。窓は複層ガラス・Low-E化、サッシは樹脂枠、壁は内断熱強化。除湿は除湿機・エアコン除湿運転、換気は24時間換気システム(建築基準法第28条の2)。

低露点管理(半導体・電池・光学)

半導体・リチウムイオン電池・光学レンズ製造では、通常の相対湿度管理では不十分で「露点温度」による超乾燥管理が必須となります。

用途必要露点絶対湿度
一般クリーンルーム(電子部品)+5℃約5.4 g/kg
半導体前工程(リソグラフィ)−20℃約0.6 g/kg
半導体後工程(ボンディング)−40℃約0.08 g/kg
リチウムイオン電池組立(ドライルーム)−40〜−50℃0.02〜0.08 g/kg
全固体電池・次世代電池−60〜−70℃<0.005 g/kg
光学レンズ蒸着−30℃約0.2 g/kg
圧縮空気(制御用)−17℃(3級)約0.9 g/kg

低露点実現にはデシカント除湿機(シリカゲル・ゼオライトによる吸着除湿)が必須で、冷却コイルによる除湿では露点+3〜5℃が物理的下限(氷結問題)となります。

業界での応用

🏢 オフィス・商業施設空調

目標室内条件(夏26℃・50%/冬22℃・40〜50%)に対し、冷却コイル出口条件を露点計算で設計。ビル管理法(建築物衛生法)で相対湿度40〜70%が努力目標として規定。

🏥 病院・手術室・クリーンルーム

手術室では感染防止の観点から相対湿度50〜60%・室温22〜26℃を厳格管理。ISO 14644クリーンルーム規格・米国CDC/HICPAC推奨に基づく設計。

🍜 厨房・食品工場

厨房排熱・調理蒸気で高湿度になりやすく、露点30℃超では冷蔵庫扉結露・カビ発生リスク大。強制換気・スポットクーラー・除湿機で厨房内露点を下げる設計が必須。

🏭 半導体・電子工場

ISO 14644準拠クリーンルームでの露点管理。デシカント除湿+HEPAフィルタ+層流吹出で0.1μm粒子と露点を同時管理。24時間365日連続稼働で電力消費大。

🔋 リチウムイオン電池ドライルーム

電解液の吸湿を防ぐため露点−40〜−50℃管理。パナソニックHD・LGエナジーソリューション・CATL等の電池工場で数十億円規模の除湿設備投資が実施されています。

🏠 住宅・戸建結露対策

冬の窓・壁結露が住宅のカビ・ダニ発生源。建築基準法シックハウス対策(24時間換気義務)・結露計算(住宅省エネ基準の外皮平均熱貫流率UA値)で対策設計。

湿り空気線図(サイクロメトリック)の使い方

HVAC実務では「湿り空気線図」(サイクロメトリックチャート)を使い、乾球温度・湿球温度・露点・相対湿度・絶対湿度・比エンタルピ・比容積を1枚のグラフで相互変換します。ASHRAEチャートが米国標準、日本ではSHASE-S 001準拠のカルノーサイクル図が使われます。

基本の使い方

2つの状態値(乾球温度と相対湿度、乾球温度と湿球温度など)を入力すると、他の状態値が読み取れます。空調過程(冷房・暖房・加湿・除湿)は線図上の直線・折れ線として表現され、必要熱量・水量が視覚的に把握可能。

代表的な空調過程

顕熱冷房:水平左移動(温度下降・絶対湿度一定)、潜熱冷房(除湿):飽和曲線に沿った左下移動、蒸発冷却:湿球温度一定線に沿った左上移動、デシカント除湿:比エンタルピ一定線に沿った左下→右下移動(発熱を伴う)。

快適域と健康リスクの湿度目安

ASHRAE Standard 55・厚生労働省ガイドライン等に基づく、湿度と人体・材料への影響の目安です。

相対湿度域影響対応
<30%粘膜乾燥・インフルエンザウイルス活性化・木材収縮・静電気発生加湿(気化式・超音波式)推奨
30〜40%やや乾燥・呼吸器負担冬季住宅の下限目標
40〜60%快適域(ASHRAE推奨)維持が理想
60〜70%やや高湿・カビ発生リスク増除湿検討
70〜80%不快指数上昇・ダニ繁殖・木材膨張除湿・換気必須
>80%結露多発・カビ・電子機器故障強制除湿

よくある間違い・注意点

  • 相対湿度だけで結露判定 — 結露は絶対的な露点温度で判定します。冬季の室内20℃60%と外気5℃60%では相対湿度が同じでも露点が全く異なる(12℃と−2℃)ため、結露リスクは全く別物です。
  • 「露点=気温」と誤解 — RH=100%(飽和)のときのみ露点=気温となります。それ以外は必ず露点<気温。降雨時・霧発生時のみ露点=気温です。
  • 全空気系の露点均一を想定 — 空気混合・熱交換で局所的に露点は上下します。空調系統別・部屋別に評価する必要があります。特にダクト内での温度低下による結露発生に注意。
  • 絶対湿度と相対湿度の混同 — 絶対湿度(g/kg)は温度非依存の実質水蒸気量、相対湿度(%)は温度依存の相対比。加湿・除湿の効果評価は絶対湿度で行うべきです。
  • Magnus式の適用範囲外での使用 — Magnus式は−45℃〜60℃で誤差±0.4℃ですが、極端な高温(>80℃)・極低温(<−60℃)では別式(Arden Buck式・Wexler式)を使用します。
  • 大気圧補正の忘れ — 標高が高い地域(標高1500m以上)では大気圧が850hPa以下となり、絶対湿度計算に補正が必要。標準1013hPa前提の計算では10%以上の誤差が出るケースも。
  • 低露点(−40℃以下)を冷却で実現しようとする — 冷却コイルで達成できる露点は+3〜5℃が物理的下限(氷結問題)。それ以下はデシカント除湿機が必須です。

関連する規格・法令

  • SHASE-S 001 ― 空気調和・衛生工学会規格。湿り空気の物性値・計算式・線図の日本標準。
  • SHASE-S 111 ― 空調負荷計算基準。最大熱負荷計算・機器容量選定の実務基準。
  • JIS Z 8806 ― 湿度-測定方法。絶対湿度・相対湿度・露点の測定方法JIS規格。
  • ISO 5149 ― 冷凍装置及びヒートポンプ-安全及び環境要求事項。国際的な冷凍装置基準。
  • 建築基準法第28条の2(シックハウス対策) ― 住宅・建築物の24時間換気システム設置義務。
  • 建築物衛生法(ビル管理法) ― 特定建築物の室内空気環境基準(温度17〜28℃・湿度40〜70%等)。
  • ISO 14644 ― クリーンルームおよび関連する制御環境の分類。半導体・製薬工場の露点管理の基礎。
  • 住宅省エネ基準 外皮平均熱貫流率(UA値) ― 断熱性能基準。結露計算・室内表面温度予測に使用。
  • ASHRAE Standard 55(米国) ― 熱環境快適性の国際基準。相対湿度30〜60%範囲が快適域。

参考文献・公的資料

湿り空気の物性値・空調設計・結露対策の詳細については、以下の公的機関・専門学会の一次資料を参照してください。

※本ページの計算結果および露点データは、Magnus式による理論値です。実際の空調設計・結露判定・クリーンルーム設計・冷却コイル選定には、SHASE-S 111・ASHRAE Handbook等の公式基準と、湿り空気線図(サイクロメトリックチャート)による詳細検討、および建築設備士・空調衛生工学会認定技術者等の専門家判断が必要です。特に半導体・電池ドライルーム等の低露点管理は、デシカント除湿装置メーカー(西部技研・ダイキン等)との詳細協議が必須です。

よくある質問(FAQ)

26℃60%の露点は?

Magnus式で計算すると約17.6℃となります。冷却コイルの表面温度をこれ以下にすることで除湿が発生します。標準的な冷房サイクルの冷水温度7〜12℃であれば、余裕を持って除湿できます。窓ガラスがこの温度以下だと結露します。

露点温度で結露リスクがわかる?

はい。「材料表面温度 ≦ 空気の露点温度」が結露発生条件です。冬季の室内20℃60%(露点12℃)で窓ガラス表面10℃なら結露、複層ガラス表面15℃なら結露しません。断熱性能と換気設計の要点です。

相対湿度と絶対湿度の違いは?

相対湿度(%)は温度依存の割合で、飽和水蒸気圧に対する現在の水蒸気圧の比。絶対湿度(g/kg)は温度非依存の実質水蒸気量で乾燥空気1kgあたりの水蒸気質量。加湿・除湿効果の評価は絶対湿度で、体感湿度は相対湿度で判断します。

低露点ドライエアとは?

露点−40〜−70℃の超乾燥空気のこと。半導体前工程(リソグラフィ)・リチウムイオン電池ドライルーム・光学レンズ蒸着で必須です。冷却除湿では達成不可(下限+3℃)のため、デシカント除湿機(シリカゲル・ゼオライト吸着)が必要となります。

Magnus式の精度は?

−45℃〜60℃の範囲で誤差±0.4℃以内の高精度です。実用空調域(0〜40℃)ではほぼ完璧な近似で、より高精度が必要な場合はArden Buck式(2012年更新)・Wexler式を使用します。ただし極端な高温・極低温領域では別式が推奨されます。

冷却コイル温度は何度に設定?

標準的な冷房サイクルでは7〜12℃の冷水をコイルに通します。バイパスファクターBF=0.1のコイルなら、コイル出口空気温度が9℃前後・RH 95%となります。目標室内条件と外気条件から必要な冷水温度・風量を逆算します。

湿り空気線図とは?

乾球温度・湿球温度・露点・相対湿度・絶対湿度・比エンタルピ・比容積を1枚のグラフで相互変換できるサイクロメトリックチャートのこと。ASHRAEチャート・SHASE準拠図が代表で、HVAC設計実務では必須のツールです。

体感湿度が高いのはなぜ?

体感は気温+相対湿度+風で決まります。30℃・RH 40%(露点15℃)より30℃・RH 70%(露点24℃)の方が発汗蒸発が阻害され不快指数が高くなります。快適域は気温22〜26℃・相対湿度40〜60%とASHRAE Standard 55で規定されています。

建築基準法の湿度規定は?

ビル管理法(建築物衛生法)で特定建築物(3000m²以上)の相対湿度40〜70%が努力目標。建築基準法第28条の2でシックハウス対策として24時間換気が義務化されています。住宅省エネ基準でも結露計算による断熱性能確保が求められます。

ドライエアと圧縮空気の違いは?

圧縮空気は6〜10 barに加圧された工場ユーティリティ空気で、通常は冷却式ドライヤで露点+3〜10℃程度、より低露点(-40℃)にはヒートレス・吸着式ドライヤを使用します。JIS B 8392-1:2017(圧縮空気の品質等級)で1〜9級の露点等級が規定されています。

デシカント除湿と冷却除湿の違いは?

冷却除湿は冷却コイルで水蒸気を凝結させる方式で+3〜5℃露点が下限。デシカント除湿はシリカゲル・ゼオライトによる吸着で−70℃露点まで可能。デシカント式は再生熱源(80〜140℃)が必要で、電力消費・排熱管理が課題となります。

結露計算に必要な情報は?

①室内空気条件(乾球温度・相対湿度→露点)、②材料の熱伝導率(λ)、③材料厚み、④屋外空気条件、⑤材料表面熱伝達率(α_i, α_o)。これらから定常熱伝導計算(フーリエの法則)で内表面温度を計算し、露点と比較します。結露計算プログラム(WUFI等)で非定常計算も可能です。