CSIRT体制
組織規模とリスクから、セキュリティインシデント対応体制の人員を試算します。
CSIRT体制ツール
計算式と考え方
必要な人員は、従業員数と監視対象システム数から基礎人数を算出し、リスク水準に応じた係数を掛けて求めます。従業員1,000人で50システム、個人情報を大量に扱う企業なら、基礎3人に係数1.5を掛けて5人という計算です。外部監視サービスを利用すれば6割程度に圧縮でき3人になります。年間人件費900万円なら人件費2,700万円、MSSP費用1,200万円を加えて3,900万円、従業員1人あたり39,000円という計算になります。24時間365日の常時監視を自社で行う場合は、交代制のため人数が4.5倍程度必要になります。
体制の構成要素
| 検知・監視 | ログの分析とアラートの一次対応。24時間体制が必要なら人数が増える |
|---|---|
| 分析・調査 | インシデントの深刻度判定と影響範囲の特定 |
| 対応・復旧 | 封じ込め、根絶、復旧の実行 |
| 報告・改善 | 経営層と関係先への報告、再発防止策の策定 |
CSIRT体制の詳しい解説
セキュリティインシデント対応体制の設計では、すべてを自社で賄う必要はありません。特に24時間365日の監視は、交代制のため単純計算で4.5人分の人員が必要になり、小規模な組織では現実的でありません。この部分を外部の監視サービス(MSSP)に委託し、自社は判断と対応に集中するという分業が広く採られています。委託する際は契約の範囲を具体的に確認する必要があります。ログの監視と通知までを行う契約と、遮断などの初動対応まで代行する契約では、自社に求められる体制が変わります。夜間に通知だけが届いても、判断できる人が不在なら対応は進みません。自社に残すべき機能は、事業への影響を判断する役割です。技術的な検知は外部化できても、「このシステムを止めてよいか」「どの取引先に連絡すべきか」という判断は、事業を理解している内部の人間でなければ行えません。このため、外部委託しても最低2名程度の内部要員は必要になります。1名だと不在時に対応できず、体制として成立しません。体制の実効性を左右するのは、人数より事前の準備です。インシデント発生時の連絡体制、判断基準、対応手順を文書化し、定期的な訓練で機能することを確認しておく必要があります。実際のインシデントでは混乱の中で判断を迫られるため、平時に決めておかないと対応が遅れます。特に、報告先と報告のタイミングは法令上の義務が絡むため、事前の整理が不可欠です。個人情報の漏えいでは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられており、速報は3〜5日以内という期限があります。重大な事案では専門的な調査を行う事業者への依頼が必要になりますが、発生後に一から探すと着手までに時間がかかるため、あらかじめ契約を結んでおく組織もあります。システムの停止といった判断は経営層の権限に属するため、緊急時に誰が決めるかを平時に定めておくことも対応の速度を左右します。人材の確保も課題で、既存の情報システム部門の要員への教育と外部の専門家との顧問契約を組み合わせるのが現実的です。体制を評価する際は、検知から封じ込めまでにかかった時間を記録しておくと改善点が見えます。人数を増やしても連絡と判断で滞留していれば時間は縮まらず、逆に手順の整備だけで大きく短縮できる場合もあります。投資の優先順位は、この滞留がどこで起きているかによって変わります。
業界・現場での使い方
情報セキュリティ
組織規模に応じた体制の人員と費用を見積もります。
経営判断
自社対応と外部委託の費用を比較します。
体制構築
必要な機能を洗い出し、内製と外注の切り分けを検討します。
よくある間違い・注意点
- すべてを自社で賄おうとする — 24時間監視は4.5人分の人員が必要です。外部委託との組み合わせが現実的です。
- 1名体制にする — 不在時に対応できません。最低2名は確保する必要があります。
- 手順を文書化しない — 実際のインシデントでは混乱します。平時に決めて訓練で確認しておく必要があります。
関連する規格・法規
- NIST
- IPA
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
最低何人必要ですか?
外部委託を活用しても2名は必要です。1名では不在時に体制が成立しません。
MSSPとは何ですか?
セキュリティ監視を代行する事業者です。24時間の検知と一次対応を委託できます。
個人情報漏えい時の報告義務は?
個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務です。速報は3〜5日以内という期限があります。