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復水ボイラ省エネ蒸気熱源設備JIS B 8222

復水負荷(蒸気消費) 計算ツール|蒸気消費量・回収率から復水回収量とタンク容量を即算出

蒸気消費量・回収率から復水回収量と推奨給水タンク容量を即算出。密閉還水系/開放還水系/直接接触還水の回収率、スチームトラップ選定、フラッシュ蒸気回収、ボイラ給水前処理、ドレン水質管理、省エネ法特定事業者の対応、JIS B 8222陸用ボイラ、ボイラ及び圧力容器安全規則まで、食品工場・化学プラント・病院・地域冷暖房などの熱源設備設計を1画面で完結します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

復水負荷計算ツール

計算式と単位系

復水回収量(kg/h) = 蒸気消費量(kg/h) × 復水回収率(%)

推奨タンク容量(L) ≒ 復水回収量(kg/h) × 10分 ÷ 60分 ÷ 密度1kg/L

ボイラで発生させた蒸気は熱交換器等で熱を放出後に凝縮して「復水(ドレン)」となります。この復水を回収してボイラ給水に再利用することで、燃料10〜15%削減・水処理費削減・排水温度低下による環境負荷低減が同時に実現します。密閉還水系(閉ループ)なら回収率90%以上、大気開放型は60〜70%が実務標準。

タンク容量は復水量×10分保有分を目安に設計します。復水は蒸気使用量の脈動により流入量が変動するため、給水ポンプが常時給水を継続できるだけの緩衝容量が必要。500kg/hの蒸気消費・回収率80%なら復水量400kg/h、タンク容量は約67L(400×10/60)が目安ですが、脈動係数・安全率を織り込んで100〜150Lで設計するのが実務的です。

系統別 復水回収率目安

復水回収系統の方式によって、回収率と設備コストが大きく異なります。工場・施設の用途と規模に応じて最適な系統を選定します。

系統回収率設備コスト特徴
密閉還水(閉ループ)85〜95%加圧還水・熱ロス最小・給水も高温化
ポンプアップ還水75〜85%中〜高復水回収ポンプで昇圧・柔軟な配管
開放還水(大気開放)60〜75%フラッシュ蒸気ロス・水質劣化リスク
直接接触(直接混合)10〜30%復水が製品と接触・回収不可の場合
ドレン回収+熱交換60〜80%復水は捨てるが熱だけ回収する妥協案

復水回収の詳しい解説

ボイラ運用の効率化において、復水回収は最も投資効果が高い施策の一つです。既設ボイラでも大幅な燃料削減が可能で、脱炭素経営の中核施策としても重視されています。

復水回収は「ボイラ給水として再利用する省エネの本命施策」です。ボイラで大気給水(20〜30℃)を蒸気(180〜200℃・1MPa前後)に変えるまでに、水を加熱するエネルギーだけで約630kJ/kg、蒸発潜熱で約2,000kJ/kg、合計約2,700kJ/kgの燃料エネルギーを投入します。このうち、蒸気が熱交換器で凝縮する際に放出するのは主に蒸発潜熱(2,000kJ/kg)で、復水は依然として80〜100℃の高温水として残ります。

この高温水を捨てるか回収するかで、ボイラ給水の温度が大きく変わります。復水を80℃で回収するとボイラ給水温度が20℃→80℃に上昇し、水を80℃から沸点(1MPaで180℃)まで加熱するエネルギーが不要に。燃料消費10〜15%削減、CO2削減、水処理費削減、排水温度低下という多重効果があります。

加えて、蒸気配管系の効率化にも寄与します。

開放還水の場合、大気開放タンクでフラッシュ蒸気(復水が減圧される際に再蒸発する蒸気)が消失し、実質回収率が低下します。

密閉還水系ではフラッシュ蒸気も回収するため実質回収率が高まります。

導入判断は初期投資回収年数で行います。密閉還水系の追加投資(スチームトラップ増強・還水配管・還水タンク・受け入れ側の変更)は500kg/h規模で500万〜1,000万円程度、年間の燃料・水処理費削減効果が100〜300万円/年になれば、5〜8年で投資回収可能。重油ボイラ・都市ガスボイラのいずれでもエネルギー価格の高騰に伴い投資回収期間が短縮する傾向です。

スチームトラップの選定と保守

復水回収の要となるのがスチームトラップ(蒸気捕捉弁)です。蒸気は通さず復水だけを通す機能を持ち、正しく機能しないと蒸気ロス・復水滞留の両方が発生します。工場全体で数十〜数百台を運用する現場では、選定・診断・交換のPDCAが省エネ効果を左右する最大要因になります。主要な形式と用途を示します。

ディスク式(サーモダイナミック型)

構造がシンプルで低コスト。ドレン量が少ない蒸気配管の末端・トレーサーラインに使用。故障モードで蒸気を吹き続けるため、保守が疎かになると大きなロスに。

フロート式(機械式)

連続排出型で追随性が良く、熱交換器のように復水量が多く変動する用途に最適。バルブ内部のフロート機構が汚れに弱いため、給水水質管理が重要。

バケット式(逆倒バケット)

耐久性・耐圧性に優れ、大流量・高圧蒸気に対応。工場のメインライン・大型熱交換器で採用。冬季の凍結対策(バケット内の水が凍る)が必要。

サーモスタティック式(温度差型)

復水を溜めて過冷却してから排出する方式。フラッシュ蒸気ロスが少なく、還水熱回収系に最適。小容量の用途向け。

スチームトラップの保守と診断

スチームトラップは年間故障率15〜25%と言われ、放置すると1台あたり年間数十万〜数百万円の蒸気ロス。定期診断(超音波検査・表面温度検査・スチームトラップ・パフォーマンス・アセスメント=STPA)で早期発見・交換が必須です。工場全体で数十〜数百台を運用する現場では、年1〜2回の全数点検を計画的に実施することで、蒸気ロスを大幅に抑制できます。

フラッシュ蒸気回収

フラッシュ蒸気の有効活用は開放還水系の弱点を補完する省エネ施策として重要です。代表的な回収手法を以下に示します。

フラッシュ蒸気は、高圧の復水が低圧側に減圧された際に再蒸発する蒸気のこと。1MPaの復水(180℃)を大気圧まで減圧すると、復水量の約13%がフラッシュ蒸気として放出されます。この蒸気を大気に捨てると熱ロスとなり、復水回収率も見かけよりも下がります。密閉還水系では加圧のままフラッシュを抑え、開放還水系ではフラッシュタンクで別途回収するのが原則です。

フラッシュ蒸気の有効活用は、開放還水系の弱点を補完する省エネ施策として重要です。代表的な回収手法として、①低圧蒸気系での再利用(高圧蒸気系→フラッシュ→低圧蒸気系のカスケード利用)、②予熱用途(給水予熱・空気予熱・洗浄水加熱)、③脱気器の熱源(給水の溶存酸素除去)が挙げられます。中規模以上の蒸気利用工場では、フラッシュタンクを設置して低圧側で回収する事例が多く、追加投資数百万円で年間燃料の5〜10%削減が可能です。

ボイラ給水前処理と水質管理

復水回収で忘れがちなのが水質管理です。復水は基本的には純水ですが、配管や機器からの鉄分・銅・シリカ・薬品残留などが混入する可能性があり、そのままボイラ給水に戻すとスケール発生・腐食・キャリーオーバー(蒸気に水滴が混じる現象)の原因になります。JIS B 8223「ボイラの給水及びボイラ水の水質」に準拠した継続監視・管理体制の構築が必要です。

硬度・シリカ管理

復水中の硬度成分・シリカがボイラ内でスケール化。給水前に軟水器・逆浸透膜(RO)・脱塩装置で除去。ボイラの管理水質基準はJIS B 8223(ボイラの給水及びボイラ水の水質)で定められている。

油脂・製品成分の混入

食品工場・化学プラントでは、熱交換器の漏洩により製品成分が復水に混入するリスク。油分監視装置(OMD)・pH監視・電導度監視で連続検知し、汚染時は自動的に排出する系統設計が必要。

溶存酸素・pH

復水中の溶存酸素は配管腐食の主要因。脱気器・ヒドラジン注入・pH調整で管理。密閉還水系なら大気接触が少ないため管理は容易。

薬品残量

ボイラ水処理薬品(脱酸素剤・スケール抑制剤)が復水経由で戻る場合、蓄積管理が必要。ブロー(排出)頻度と補給水量のバランスで濃度管理。

復水汚染時の対応として、ダンプ弁(緊急排出弁)を設けて汚染検知時に自動的に復水を排水系へ流す仕組みを組むのが標準。汚染がボイラに達すると、キャリーオーバーによる過熱器損傷・タービン損傷・製品汚染など二次被害が大規模になるため、水質異常検知は復水回収系の最重要ポイントです。

脱気器の役割と設計

脱気器は復水・補給水中の溶存酸素・炭酸ガスを物理的に除去する装置で、加熱脱気器(102〜105℃で運転)が主流。ボイラ配管の腐食防止に必須の設備で、復水を80〜100℃で受け入れて脱気器で加熱蒸留し、脱気済み給水としてボイラに供給します。フラッシュ蒸気を脱気器の加熱源に利用する設計は、省エネと水質管理を両立させる代表的な手法です。溶存酸素濃度は7μg/L以下(JIS B 8223)が管理基準で、これを超えると配管腐食が加速します。

省エネ法特定事業者の対応

エネルギー使用量が一定規模(原油換算1,500kL/年)以上の事業者は「省エネ法特定事業者」として、①エネルギー管理統括者・企画推進者の選任、②中長期計画書の提出、③定期報告書の毎年提出、④年平均1%以上のエネルギー効率改善(中長期努力義務)が課されます。復水回収の徹底は、このエネルギー効率改善の代表的な施策として計画・実施され、多くの企業では中長期計画書の重点項目に組み込まれています。

復水回収率を60%→80%に改善すると、年間燃料削減効果は蒸気消費量・稼働時間・燃料種別によりますが、1t/h規模のボイラ・年間8,000時間稼働・重油ボイラで概ね年間燃料削減30〜50kL(重油換算)、削減額300〜500万円のレンジ。省エネ法の中長期計画に組み込む代表的な施策になります。

また、SHK制度(温対法の排出量算定・報告・公表)にも直接反映され、CO2削減実績としてESG開示・SBT削減目標達成にも寄与。GX-ETS(排出量取引制度)対象事業者では、削減分を排出枠削減または売却可能な資産として計上できるため、経済価値がさらに高まります。

コスト計算と投資回収の実務

復水回収系の投資判断は、年間燃料削減額・水処理費削減額・CO2削減価値の3方向で経済性を評価します。以下は500kg/h規模の中型ボイラでの試算例で、実際の投資判断ではこの類の内訳表を作成して経営会議・稟議で承認を取るのが標準的なプロセスです。

費目年間削減額備考
燃料費削減(重油)200〜400万円年間削減30〜50kL×単価8万円/kL
燃料費削減(都市ガス)150〜300万円削減量とガス単価に依存
ボイラ給水費削減20〜50万円純水コスト・水処理薬品費
排水処理費削減10〜30万円排水量・排水温度低下
CO2削減価値30〜80万円J-クレジット売却または内部炭素価格
合計削減額260〜580万円/年回収率60%→80%改善時
初期投資500〜1,000万円還水配管・タンク・ポンプ・トラップ増強
投資回収年数2〜4年(単純回収)5〜8年(NPV評価・割引率5%)

省エネ補助金(SII・NEDO・地方自治体)の活用で初期投資が1/3〜1/2削減されるケースも多く、投資回収年数はさらに短縮します。GX-ETSによるカーボンプライシング本格化(2028〜2030年目安)で、CO2削減価値が今後上乗せされる方向。設備更新時期を待たず、既存設備の段階的な還水系改修が現実的なアプローチです。

復水回収技術の歴史と最新動向

復水回収の思想自体は19世紀の産業革命期の蒸気機関時代からあり、当時は主に蒸気機関車の給水確保のために復水器(コンデンサー)が用いられていました。工場用ボイラでの復水回収は、20世紀前半に大気開放型還水系として普及。1970年代のオイルショックを契機に密閉還水系・フラッシュ蒸気回収が急速に普及し、日本の食品・化学・製紙業界では省エネの中核施策として定着しました。

2010年代以降のトレンドは、IoT(モノのインターネット)による見える化です。スチームトラップに小型センサー(超音波・温度・振動)を取り付け、故障予兆をクラウド経由で管理する「スマート・スチームマネジメント」が主要ベンダー(スパイラックスサーコ、TLV、ヨシタケ等)から提供されています。工場全体で数十〜数百台のトラップを一元管理し、故障率5%以下に抑える運用が実現しつつあります。

脱炭素の観点では、電化(電気ボイラ・ヒートポンプへの置換)と水素/アンモニア燃料化が長期的な選択肢として検討されています。ただし、高温プロセス(180〜250℃の飽和蒸気)は電化難易度が高く、既存の蒸気系の効率向上(復水回収の徹底・保温強化・スチームトラップ管理)による当面のCO2削減が現実的な解になっています。

業界・現場での使い方

復水回収の重要性は、蒸気使用量の多い業種で特に高く、脱炭素化の中核施策として位置付けられています。以下、業種ごとの復水回収の実務ポイントをまとめます。

食品工場

大量蒸気系(殺菌・乾燥・蒸煮)のエネルギー再利用。密閉還水+フラッシュ蒸気回収で燃料15〜20%削減。復水汚染管理(製品混入対策)が最重要ポイント。

化学プラント・製薬

高温反応器・蒸留塔・熱交換器の復水回収。プロセス条件の変動が大きく、フロート式トラップ+還水ポンプで柔軟に対応。水質管理が特に厳格。

製紙・パルプ

抄紙機・乾燥機の蒸気消費が膨大。復水回収80%以上が標準運用。省エネ効果も比例して大きく、投資回収期間は3〜5年と短い。

病院・大型ホテル

セントラル蒸気系の暖房・給湯・厨房・洗濯。用途分散型のため回収率60〜75%が現実的な水準。夜間の蒸気需要低下を想定した設計が必要。

地域冷暖房(DHC)

都市部の熱供給インフラ。蒸気配管が長距離にわたるため、放熱ロス・フラッシュ蒸気管理が重要。密閉還水系が基本設計。

石油精製・製鉄

コジェネレーション(コージェネ)発電と組み合わせた高効率利用。復水は熱源機の給水として全量回収するのが標準。省エネ法対応の中核事業。

よくある間違い・注意点

復水回収系の設計・運用では、机上計算と現場の実態がズレやすいポイントがあります。特に既設プラントの改修では、現状把握のミスが計画達成の障害になりがちです。以下は代表的な誤解と対策です。

  • 回収率の過大見積 — 漏洩・大気開放・フラッシュ蒸気の考慮不足で、実質回収率が計画より10〜15ポイント低いケースが多発。実測ベースの評価を推奨。
  • タンク容量の過小設計 — 復水は脈動が大きく、瞬間流量が平均の2〜3倍になることも。安全率1.5倍以上を確保しないと給水ポンプが空運転してキャビテーション損傷。
  • スチームトラップ放置 — 故障率は年間15〜25%。放置すると1台あたり数十万〜数百万円の蒸気ロス。定期点検(STPA)の実施が必須。
  • 復水汚染の見落とし — 熱交換器の漏洩による製品混入がボイラに達し、キャリーオーバー・タービン損傷・食品汚染の重大事故に発展。連続水質監視+ダンプ弁の設置。
  • 還水配管の勾配不足 — 復水は重力流下が基本。勾配が不足するとエア溜まり・水撃(ウォーターハンマー)が発生し配管損傷。1/100以上の下り勾配を確保。
  • 凍結対策の不足 — 冬季の屋外配管・バケット式トラップは凍結リスク。トレーシング・保温・排水勾配で対策。
  • 水質管理の軽視 — 復水中の溶存酸素・硬度・シリカ・pHを管理しないとスケール・腐食・キャリーオーバー。JIS B 8223に準拠した水質管理体制の構築。
  • ボイラ・圧力容器安全規則の未遵守 — 定期自主検査・性能検査の未実施は労働安全衛生法違反。ボイラ技士の選任・作業マニュアルの整備。

関連する規格・法規

ボイラ・蒸気設備・復水回収に関わる主要な規格・法規を整理します。設計・施工・運用のいずれの段階でも遵守が必要で、特に労働安全衛生法・省エネ法・大気汚染防止法の3法は熱源設備管理の基盤になります。

  • JIS B 8222 ― 陸用鋼製ボイラの構造・材料・設計基準。ボイラ本体設計の日本産業規格。
  • JIS B 8223 ― ボイラの給水及びボイラ水の水質。復水回収系の水質管理の基準。
  • JIS B 8210 ― 蒸気及びガス用ばね安全弁。ボイラ安全弁の技術基準。
  • ボイラ及び圧力容器安全規則(労働安全衛生法) ― ボイラ設置・使用・検査・技術者選任の根拠。定期自主検査・性能検査の義務。
  • 労働安全衛生法 第37条 ― 特定機械等の製造許可、ボイラの特定機械としての位置付け。
  • エネルギー使用合理化等に関する法律(省エネ法) ― 特定事業者のエネルギー管理義務、中長期計画、年1%効率改善努力。
  • 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法) ― SHK制度によるCO2排出量算定・報告・公表義務。
  • 大気汚染防止法 ― ボイラの排ガス(NOx・SOx・ばいじん)の排出基準。ばい煙発生施設の届出。
  • 消防法(危険物取扱) ― 重油・軽油等の燃料保管・取扱の基準。危険物取扱者の選任。
  • 水質汚濁防止法 ― ボイラ排水(ブロー水)の排出基準。特定施設の届出。

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

参考文献・公的資料

ボイラ・蒸気設備・復水回収・省エネ技術の一次情報は、以下の公的機関・業界団体を参照してください。設計・保守・運用のいずれの段階でも、最新の告示・規格・技術資料を確認することが実務のスタンダードです。

※本ページの計算結果は概算です。実際のボイラ・復水回収系統の設計・施工・運用にあたっては、最新のボイラ及び圧力容器安全規則・JIS規格・省エネ法・関連法令に従い、有資格のボイラ技士・エネルギー管理士・設備設計技術者の判断を優先してください。水質管理・スチームトラップ選定・タンク容量設計は、蒸気系統の圧力・温度・脈動特性・清浄度要求に応じて個別に最適化する必要があります。

よくある質問(FAQ)

500kg/h蒸気・回収率80%の復水量は?

400kg/hです。推奨タンク容量は約67L(10分保有)、安全率1.5倍で100〜150Lで設計するのが実務的。給水ポンプの吸込条件を安定させるための最小限の緩衝容量です。

復水回収でどれくらい燃料削減できる?

回収率60%→80%への改善で、燃料10〜15%削減が実務目安。1t/h規模・年8,000時間稼働の重油ボイラで年間削減30〜50kL(重油換算)、金額で300〜500万円のレンジ。投資回収期間は5〜8年程度です。

密閉還水と開放還水の違いは?

密閉還水(閉ループ)は回収率85〜95%で加圧還水・熱ロス最小・給水も高温化。開放還水(大気開放)は60〜75%でフラッシュ蒸気ロス・水質劣化リスクあり。前者は初期投資が大きいが省エネ効果も大きく、大規模プラント向け。

スチームトラップは何年で交換?

年間故障率15〜25%と言われ、定期診断(超音波検査・STPA)で早期発見・交換が必須。工場全体で数十〜数百台運用の場合、年1〜2回の全数点検で蒸気ロスを最小化します。故障のまま放置すると1台あたり年数十万〜数百万円のロス。

フラッシュ蒸気は回収できる?

はい、フラッシュタンクを設置して低圧蒸気系で再利用可能です。復水量の約13%がフラッシュ蒸気(1MPa→大気圧の場合)。追加投資数百万円で年間燃料の5〜10%削減が可能。中規模以上の工場では標準装備。

復水の水質管理で気を付ける点は?

油脂・製品成分の混入(食品・化学系)、溶存酸素・pH(配管腐食)、硬度・シリカ(スケール)を継続監視。異常検知時のダンプ弁による自動排出、JIS B 8223準拠の水質管理体制の構築が必須です。

省エネ法の特定事業者に該当するのは?

エネルギー使用量が原油換算1,500kL/年以上の事業者。エネルギー管理統括者・企画推進者の選任、中長期計画書の提出、定期報告書の毎年提出、年平均1%以上のエネルギー効率改善が義務化されます。復水回収はこの計画の中核施策として位置付けられることが多いです。

ボイラ技士の資格は必要?

ボイラ及び圧力容器安全規則で、ボイラの取扱・管理にはボイラ技士免許(1級・2級・特級)またはボイラ取扱作業主任者資格が必要です。無資格者による運転は労働安全衛生法違反。日本ボイラ協会主催の講習・試験で取得します。

復水回収の投資回収年数は?

密閉還水系の追加投資は500kg/h規模で500万〜1,000万円、年間の燃料・水処理費削減効果100〜300万円/年で5〜8年で回収可能。エネルギー価格の高騰・カーボンプライシング導入で、投資回収期間はさらに短縮する傾向です。

電気ボイラ・ヒートポンプへの置換は現実的?

低温プロセス(100℃以下)では現実的で、実際にヒートポンプ給湯・空調への置換が進行中。しかし高温プロセス(180〜250℃)は電化難易度が高く、電気ボイラでも運用コストが重油の1.5〜2倍になるケースが多い。当面は既存蒸気系の効率向上(復水回収徹底)がCO2削減の現実解です。

復水回収系の設計・診断チェックリスト

新設・改修・診断のいずれの場面でも、以下の項目を一つずつ潰していくことで、計画通りの省エネ効果を実現できます。既存設備の場合、まず現状のスチームトラップ全数調査と復水回収率の実測から始めるのが定石です。

①現状把握(実測ベース)

現状の蒸気消費量・復水回収量・トラップ台数・故障率・水質・ボイラ効率を実測。計算値と現場実態のギャップを明確化。改修計画の基準点になる。

②系統別 回収率目標設定

密閉還水(90%)・ポンプアップ(80%)・開放還水(70%)など、系統ごとに現実的な回収率目標を設定。全体で60%→80%の改善を段階的に。

③スチームトラップ計画

用途・圧力・流量・変動特性に応じてトラップ形式を選定。故障率が高い箇所は監視センサーを追加、定期診断計画(STPA)を年1〜2回で計画。

④配管系・タンク容量

還水配管の勾配1/100以上、脈動吸収の緩衝容量、給水ポンプの吸込条件、大気開放型なら通気管・ダンプ弁の適切な設計。凍結対策も。

⑤水質監視系

油分・pH・電気伝導度・溶存酸素の連続監視、異常検知時のダンプ弁自動作動、水質異常の通報体制。食品・化学プラントでは重要度高。

⑥運用・保守体制

ボイラ技士・エネルギー管理士の役割分担、日常点検・月次点検・年次点検の計画、故障発見時の対応フロー、記録の保管と分析。

実務では、①〜②を最初の3ヶ月で完了、③〜④の設計・施工を6〜9ヶ月、⑤〜⑥を並行して整備、というスケジュールで年間プロジェクト化されることが多い運用パターンです。エネルギー管理士・省エネ診断士との連携で、公的診断制度(SIIの省エネ診断等)を活用できる場合もあります。