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通勤手当 非課税限度額 計算ツール|電車・マイカー・新幹線・在宅勤務手当の実務

通勤手段と実支給額から、所得税・住民税の非課税限度額課税対象額を即算出します。所得税法9条・所得税法施行令20条の2、国税庁通達に基づく給与計算・源泉徴収の実務対応。電車バス(月15万円上限)、マイカー・自転車(距離別4,200〜66,400円+駐車場等の料金5,000円まで加算)、新幹線通勤、在宅勤務手当まで、人事給与担当者・社労士・個人事業主の年末調整実務まで幅広くカバーします。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

通勤手当 非課税限度額ツール

通勤手当非課税の基本ルール

通勤手当は「一定限度まで所得税・住民税を課さない」制度で、所得税法第9条第1項第5号および所得税法施行令第20条の2に規定されています。2016年10月改定により非課税上限が月10万円から月15万円へ引き上げられ、現在は電車・バス通勤で月15万円まで非課税、限度を超えた分は給与所得として課税されます。

課税対象額 = 実支給額 − 非課税限度額(0円未満は課税対象なし)

この制度の趣旨は、労働者が通勤という業務遂行のため負担する実費を、給与所得課税から除外することにあります。したがって「合理的な経路・方法による通勤」で「実費相当額」であることが非課税の前提となり、恣意的な高額支給や娯楽的な経路選択は認められません。

電車・バスの非課税限度

電車・バス(交通機関)による通勤の場合、「1ヶ月あたりの合理的な運賃相当額」で月15万円を上限に非課税となります。合理的経路とは、時間・距離・交通費の3要素を総合考慮して最も経済的かつ効率的な経路を指します。

  • 電車・バス・モノレール・地下鉄などの公共交通機関の運賃・定期券代
  • 1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月定期券代を月割りした金額(実務は6ヶ月定期が一般的)
  • 複数の交通機関を乗り継ぐ場合も、その合計金額が対象
  • 月15万円は「1ヶ月あたり」の上限で、年間180万円まで非課税

会社が現物の定期券を貸与する場合も、その運賃相当額を月割りして給与所得の非課税枠に該当させます。実務では6ヶ月定期券の支給が節税・事務効率の両面で最適です。

マイカー・自転車の距離別限度

マイカー・自転車等の交通用具を使用する場合、片道通勤距離に応じて非課税限度額が段階的に定められています(所得税法施行令第20条の2第2号イ〜ル)。区分は2km未満を含めて12段階で、上限は月66,400円です。

片道距離 非課税限度額(円/月) 備考
2km未満 0(全額課税) 非課税枠なし・徒歩相当
2km以上10km未満 4,200 近距離
10km以上15km未満 7,300 中距離
15km以上25km未満 13,500
25km以上35km未満 19,700
35km以上45km未満 25,900
45km以上55km未満 32,300 長距離
55km以上65km未満 38,700 長距離
65km以上75km未満 45,700 超長距離
75km以上85km未満 52,700 超長距離
85km以上95km未満 59,600 超長距離
95km以上 66,400 上限

ポイントは「片道距離で判定」すること。往復距離ではありません。また、自転車も交通用具に該当するため、同じ距離区分の非課税枠が適用されます。2km未満(徒歩相当)は非課税枠がゼロで、支給する場合は全額課税対象になります。

駐車場等の料金は限度額に上乗せできる

交通用具で通勤する人が駐車場等を利用し、その料金を負担することを常例とする場合、上表の距離別限度額に1か月あたりの駐車場代(5,000円を超えるときは5,000円)を加算した額までが非課税になります(所得税法施行令第20条の2第3号)。

非課税限度額 = 距離別限度額(4,200〜66,400円) + 駐車場等料金相当額(上限5,000円)

対象となる駐車場等は、勤務する場所または通勤経路上の駅・停留所その他の施設の周辺にあることなど、財務省令で定める要件を満たすものに限られます。自宅側の月極駐車場のように要件を満たさないものは加算できません。なお片道2km未満の人はそもそも第2号・第3号の対象外なので、駐車場代を加算する余地もありません。

交通用具と交通機関の併用

自宅から駅までマイカー、駅から会社まで電車、というパターンでは両方の非課税枠を合算できます。ただし合計は月15万円が上限です。

合計非課税額 = マイカー分(距離別4,200〜66,400円) + 駐車場等料金相当額(上限5,000円) + 電車バス分(実費)
上限:月15万円

例えば、自宅から駅まで片道12kmをマイカー通勤(非課税7,300円)、駅から会社まで月8万円の電車定期を使う場合、合計87,300円が非課税、限度枠内で全額非課税として処理できます。

さらに駅前の駐車場代を負担している場合は、その料金相当額(月5,000円が上限)も加算できます(所得税法施行令第20条の2第6号)。上の例で駅前駐車場が月6,000円なら、7,300円+5,000円+80,000円=92,300円までが非課税です。かつては駅駐車場代を非課税対象外として福利厚生費で処理する実務が一般的でしたが、現行法では通勤手当の非課税枠に加算する扱いに変わっています。

新幹線・特急・グリーン車の扱い

新幹線通勤

合理的な経路と認められれば月15万円まで非課税。新幹線通勤定期券「FREX」の運賃も対象。ただし合理性の判断は「時間・距離・費用」の3要素で総合的に行われ、明らかに時間短縮効果がない場合は否認される可能性があります。

グリーン車料金

原則普通車料金までが非課税で、グリーン車利用の差額分は課税対象。ただし障害・治療上の必要性がある場合や、深夜勤務等の合理的理由があれば例外的に認められるケースがあります。

特急料金

普通列車では通勤時間が過大となる場合、特急料金も含めて非課税対象。距離的・時間的合理性の説明が可能な範囲。特急券は基本的に定期券として発売されないため、実費精算・月額支給形式が一般的です。

飛行機通勤

原則として合理性が認められにくく、非課税適用は難しい。単身赴任や特殊業務等で例外的に認められる場合はありますが、税務署への事前確認を推奨。

リモートワーク・在宅勤務手当

コロナ禍以降、テレワーク普及で「通勤手当を廃止し、在宅勤務手当を新設」する企業が増加しています。ただし在宅勤務手当は通勤手当の非課税枠とは別扱いで、税法上は次のように整理されます。

  • 通勤手当(実費精算型):出社日数×往復交通費の実費精算なら、月15万円まで非課税
  • 通勤手当(定額支給):定期券代の実費を上回る部分は課税対象になる可能性
  • 在宅勤務手当(実費):光熱費・通信費等の実費相当分を合理的方法で支給する場合は非課税
  • 在宅勤務手当(一律定額):使途を問わない一律月額支給は全額給与所得として課税

国税庁は2021年に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表し、通信費・電気料金の按分計算方法(勤務日数比・使用時間比)を示しています。人事担当者は自社制度がFAQに沿っているか年1回は見直す必要があります。

給与計算実務のポイント

源泉徴収税額表の適用

非課税分の通勤手当は「支払金額」から除外して源泉徴収税額を計算。給与ソフトでは「非課税通勤費」項目に入力する運用が一般的です。

賃金台帳への記載

労働基準法108条により、賃金台帳への通勤手当支給額の記載が義務。非課税分と課税分を区別して記載することが望ましい実務です。

年末調整での確認

年末調整では通勤手当の支給明細を確認し、非課税限度を超えた分が給与所得に含まれているか点検。転勤・引越しで距離が変わった場合の遡及調整も対応。

実費精算vs定額

実費精算方式(出社日数×往復運賃)はテレワーク時代に適合。一方、6ヶ月定期支給は事務効率と割引メリットあり。企業の勤務形態に応じた選択が重要。

社会保険料の扱い

通勤手当は所得税では非課税枠がありますが、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)の算定基礎には全額含まれます(現金給与総額として扱う)。これは労働の対償として支給される給与とみなされるためです。

社会保険料の標準報酬月額 = 基本給 + 諸手当 + 通勤手当(非課税分含む全額)

この違いにより、通勤手当を月10万円→月5万円に減額し在宅勤務手当を新設すると、社会保険料の等級が下がるケースがあります。逆に高額通勤手当は本人・会社ともに社会保険料負担が重くなる点にも注意が必要です。

よくある間違い・注意点

  • 新幹線グリーン車の非課税適用 — 原則として普通車料金までが非課税。グリーン車の差額分は課税対象。障害・治療上の必要性等の特別事情がある場合のみ例外。
  • マイカー距離を往復距離で判定 — 非課税限度額は片道距離で判定します。往復距離での申告は誤り。給与ソフトのパラメータ確認が必要です。
  • 自転車通勤の非課税額の見落とし — 2km未満は非課税ゼロ、以降マイカーと同じ距離別区分が適用されます。「自転車だから無料」というわけではありません。
  • 駐車場代を加算し忘れる — 現行の施行令第20条の2第3号・第6号では、要件を満たす駐車場等の料金相当額を月5,000円を上限に距離別限度額へ上乗せできます。「駐車場代は全額課税」という古い運用のままだと、非課税にできる分まで源泉徴収してしまいます。
  • 旧限度額のまま計算している — 55km以上を一律31,600円で止めている表は旧版です。現行は55km以上が10kmごとに4区分に分かれ、95km以上で月66,400円まであります。
  • 在宅勤務中の通勤手当支給 — 完全在宅で通勤実態がないのに定期券代を支給し続けると、実費相当性を欠くため課税対象と判定される可能性があります。出社日数に応じた実費精算に切り替えるのが安全です。
  • 社会保険料算定への非算入 — 通勤手当の非課税分も社会保険料算定基礎に含めなければなりません。所得税との違いを認識しないと標準報酬月額の届出誤りに直結します。
  • 出張旅費との混同 — 単発の出張は「旅費交通費」で全額実費非課税、通勤手当とは別扱い。日常的な通勤との区別を明確にしてください。
  • 非課税限度額改正の見落とし — 2016年10月に月10万円から月15万円へ引き上げられました。それ以前の情報を参照しないよう注意。今後も改定の可能性があります。
  • 労働契約書での約定不足 — 通勤手当の支給有無・上限・計算方法は就業規則・労働契約書に明記が必要。改定時は労働者説明と書面合意を経てください。

関連する法令・通達

  • 所得税法 第9条第1項第5号 ― 通勤手当の非課税規定の根拠条文。合理的な運賃相当額を非課税とすることを規定。
  • 所得税法施行令 第20条の2 ― 通勤手当の非課税限度額の具体的な金額を規定する政令。第1号・第4号が交通機関(月15万円)、第2号イ〜ルが交通用具の距離別限度額(4,200〜66,400円)、第3号が駐車場等料金相当額(上限5,000円)の加算、第5号・第6号が併用時の取扱いを定めています。
  • 国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて(お知らせ) ― 2016年10月改定に関する国税庁の公式通知。
  • 国税庁 タックスアンサー No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当 ― 電車・バス通勤の非課税範囲に関する国税庁公式解説。
  • 国税庁 タックスアンサー No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当 ― マイカー・自転車の距離別非課税限度の公式解説。
  • 国税庁 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ ― 2021年公表。在宅勤務手当・通信費・電気料金の税務取扱指針。
  • 労働基準法 第108条 ― 賃金台帳作成義務。通勤手当を含む給与項目の記載を規定。
  • 健康保険法・厚生年金保険法 ― 標準報酬月額の算定基礎に通勤手当(非課税分含む)を含めることを規定。

参考文献・公的資料

※本ツールの非課税限度額は所得税法施行令第20条の2(e-Gov法令検索で条文を確認)および国税庁通達に基づく2026年8月時点の情報です。法令改正・国税庁の見解変更により変動する可能性があります。実務判断は、税理士・社労士等の有資格者にご相談いただくか、国税庁「タックスアンサー」および最寄りの税務署にお問い合わせください。特に、新幹線通勤・グリーン車利用・単身赴任・海外赴任・在宅勤務手当の設計は個別事情の考慮が必要です。

よくある質問(FAQ)

電車定期の非課税上限は?

月15万円(2016年10月から拡大、それ以前は月10万円)。年間で最大180万円まで所得税・住民税が非課税になります。合理的経路の運賃相当額であることが前提で、恣意的な高額支給は認められません。

マイカー20kmの非課税は?

片道15km以上25km未満の区分で月13,500円。往復40kmで通勤している方でも「片道距離20km」で判定します。ガソリン代の実態が上回っても、この額を超えた分は課税対象です。ただし要件を満たす駐車場等の料金を負担している場合は、月5,000円を上限に上乗せできます(最大18,500円)。

駐車場代は非課税枠に加算できる?

できます。所得税法施行令第20条の2第3号により、交通用具で通勤する人が駐車場等を利用しその料金を負担している場合、距離別限度額に1か月あたりの駐車場代(月5,000円が上限)を加算した額まで非課税です。交通機関と併用する場合も第6号で同じ加算ができ、合計は月15万円が上限。対象は勤務先や通勤経路上の駅・停留所の周辺にあるなど財務省令の要件を満たす駐車場等に限られます。

片道60kmのマイカー通勤の非課税額は?

55km以上65km未満の区分で月38,700円。55km以上を一律31,600円としている早見表は旧版です。現行は55〜65km=38,700円、65〜75km=45,700円、75〜85km=52,700円、85〜95km=59,600円、95km以上=66,400円の5段階に分かれています。

新幹線通勤の扱いは?

合理的な経路と認められれば月15万円まで非課税。JR東日本「FREX」等の新幹線通勤定期券を利用するのが一般的。ただしグリーン車料金は原則普通車料金までが非課税で、差額分は課税対象です。

リモートワーク手当は非課税?

非課税の一律基準はありません。実費相当の合理的な方法(例:勤務日数×光熱費按分)で支給する分は非課税と認められる可能性がありますが、使途を問わない一律定額支給は原則全額課税対象。国税庁「在宅勤務FAQ」で計算例が示されています。

自転車通勤の場合は?

自転車も交通用具に該当し、マイカーと同じ距離別区分が適用されます。片道2km未満は非課税ゼロ、2〜10kmで月4,200円、10〜15kmで月7,300円等。ガソリン代がかからない自転車でも、この額までは非課税扱いです。駐輪場が財務省令の要件を満たす「駐車場等」に当たる場合は、その料金も月5,000円を上限に加算できます。

徒歩通勤で通勤手当を出したら?

徒歩は交通用具にも交通機関にも該当しないため、原則として非課税枠はありません。支給した場合は全額給与所得として課税対象。会社によっては「健康促進手当」等の別名目で福利厚生費として処理する例もあります。

会社が定期券を現物支給した場合は?

現物支給も金銭支給と同じく、運賃相当額を月割りして非課税限度枠(月15万円)で判定します。定期券の実費を給与に加算して源泉徴収税額を計算する必要はなく、非課税分は課税対象から除外します。

単身赴任者の帰宅旅費は?

単身赴任者が家族の居住地に帰るための旅費は、職務上の必要に基づく旅行に付随するものとして、おおむね月4回以内の分が非課税として取り扱われます(国税庁 質疑応答事例「単身赴任者が帰宅するための旅費」、昭和60年直所3-15)。所得税法施行令第20条の2は通勤手当の規定(第4号は通勤用定期乗車券)で、帰宅旅費の直接の根拠条文ではありません。通勤手当とは別枠の取扱いです。

社会保険料はどう変わる?

通勤手当は所得税では非課税枠がありますが、社会保険料(健保・厚年・雇用)の算定には全額含まれます。標準報酬月額の届出時に通勤手当込みで計算する必要があり、この違いに注意が必要です。

2km未満の通勤で手当は?

片道2km未満(徒歩相当)は非課税枠ゼロ。支給する場合は全額給与所得として源泉徴収します。「近すぎるが会社が支給する場合」は制度趣旨から非課税と認めない、というのが法令の考え方です。