損益分岐来店数
固定費と客単価から、店舗の損益分岐となる来店数を算出します。
損益分岐来店数ツール
計算式と考え方
損益分岐となる来店数は「固定費 ÷(客単価 ×(1 − 変動費率))」で求めます。分母は1人の来店から得られる限界利益(粗利)です。固定費200万円、客単価3,000円、原価率30%なら、1人あたりの粗利は2,100円となり、損益分岐は月953人、1日あたり37人という計算になります。目標利益を上乗せする場合は、固定費に目標利益を足して同じ計算をします。月50万円の利益を目指すなら月1,191人、1日46人が必要です。この数字を席数と回転率で実現できるかが、事業計画の現実性を判断する基準になります。
損益分岐を下げる手段
| 固定費の削減 | 家賃と人件費が中心。最も効果が大きいが柔軟性は下がる |
|---|---|
| 客単価の引き上げ | セットメニュー、サイドの併売。1人あたりの粗利が直接増える |
| 原価率の改善 | 仕入れの見直し、ロスの削減。粗利率が上がり分岐点が下がる |
| 営業日数の増加 | 1日あたりの必要客数は減るが、人件費が増える点に注意 |
損益分岐来店数の詳しい解説
損益分岐点の分析は、事業計画の現実性を判断する最も基本的な手法です。効いてくるのは、算出された必要客数が物理的に実現可能かを検証することです。1日37人が必要という結果が出ても、席数が10席で回転率が2なら1日20人が上限となり、そもそも成立しません。この検証を怠ると、開業してから初めて構造的な無理に気づくことになります。固定費の中で調整余地が大きいのは家賃と人件費です。家賃は契約時に決まると変更が難しいため、物件選定の段階で損益分岐点を計算し、必要客数が集客見込みの範囲内かを確認する必要があります。一般に飲食店では家賃は売上の10%以内が目安とされ、これを超えると利益が出にくくなります。人件費はシフトの調整で変動費的に扱える部分がありますが、最低限の営業体制を維持するための人員は固定費です。客単価の引き上げは損益分岐点を下げる有効な手段で、単価を10%上げれば必要客数は約9%減ります。ただし値上げによる客数減が上回れば逆効果になるため、セットメニューや併売による自然な単価上昇のほうが安全です。月平均で見るだけでは足りない点にも注意が必要で、来店は曜日と季節で偏ります。平均で分岐点を超えていても、閑散期には数か月続けて下回ることがあり、その期間を乗り切る運転資金があるかまで確認しておくべきです。また損益分岐点は毎月の損益に関する指標であり、内装や厨房設備への初期投資の回収はここには含まれません。開業計画では、損益分岐点に加えて損益分岐点比率(実際の売上に対する損益分岐売上の割合)を見ると安全性が分かります。この比率が80%以下なら、売上が2割落ちても赤字にならない余裕があることになります。変動費率の置き方でも結果は変わります。持ち帰りや配達を扱う場合、容器代や仲介するサービスへの手数料が売上に比例して発生し、店内飲食より1人あたりの粗利が下がります。同じ客数でも構成比が変われば分岐点は動くため、業態が複数あるなら分けて計算するほうが実態に合います。見直しや撤退の判断についても、単月の未達ではなく、季節要因を除いても分岐点に届かない状態が何か月続いたら手を打つかを、開業前に決めておくと判断が遅れません。数字の基準を先に置くことが、その場の状況に流されない意思決定につながります。
業界・現場での使い方
開業計画
物件契約前に必要客数を算出し、席数と回転率で実現可能かを検証します。
店舗運営
実績と損益分岐を比較し、余裕度を把握します。
撤退判断
損益分岐に届かない状態が続く場合の判断基準にします。
よくある間違い・注意点
- 物理的な実現可能性を検証しない — 席数×回転率が上限です。必要客数がこれを超えるなら計画自体が成立しません。
- 人件費を全額変動費として扱う — 最低限の営業体制分は固定費です。シフトで削れない部分を固定費に計上してください。
- 損益分岐ぎりぎりの計画を立てる — 売上は変動します。損益分岐点比率80%以下を目指すと余裕が生まれます。
関連する規格・法規
- 日本フードサービス協会
- 中小企業庁
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
変動費率には何を含めますか?
原材料費が中心です。売上に比例して増える費用(決済手数料、送料など)も含めます。
家賃の目安は?
飲食店では売上の10%以内が目安とされます。これを超えると利益が出にくくなります。
損益分岐点比率とは?
損益分岐売上 ÷ 実際の売上です。80%以下なら売上が2割落ちても赤字にならない余裕があります。