マグネシウム必要量
マグネシウム必要量を、年齢と性別から1日の推奨量として算出します。
マグネシウム必要量ツール
計算式と前提
1日の推奨量 = 年齢区分・性別ごとに定められた値(mg/日)
体重や活動量から計算する栄養素ではなく、年齢区分と性別ごとに数値が決まっています。既定値の「40歳・男性」なら370mg/日、同じ年齢の女性なら290mg/日です。成人男性は18〜29歳が340mg、30〜64歳が370mg、65〜74歳が350mg、75歳以上が320mgと、体格の変化に合わせて上下します。妊婦は付加量として1日40mgを加えます。授乳婦に付加量はありません。
年齢・性別ごとの推奨量(mg/日)
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | 70 | 70 |
| 3〜5歳 | 100 | 100 |
| 6〜7歳 | 130 | 130 |
| 8〜9歳 | 170 | 160 |
| 10〜11歳 | 210 | 220 |
| 12〜14歳 | 290 | 290 |
| 15〜17歳 | 360 | 310 |
| 18〜29歳 | 340 | 270 |
| 30〜64歳 | 370 | 290 |
| 65〜74歳 | 350 | 280 |
| 75歳以上 | 320 | 260 |
マグネシウムを多く含む食品(可食部100gあたりの目安)
| 食品 | 含有量 | ひとくちメモ |
|---|---|---|
| あおさ(素干し) | 約3,200mg | 少量でも量が稼げるが実際に食べる量は数g |
| わかめ(素干し) | 約1,100mg | 水で戻すと重量あたりの量は大きく下がる |
| アーモンド(いり) | 約310mg | 25粒で約30g、脂質も一緒に入る |
| カシューナッツ(味付け) | 約240mg | 間食として量を数えやすい |
| 納豆 | 約100mg | 1パック40〜50gで40〜50mg程度 |
| あさり(生) | 約100mg | 汁物にすると煮汁側にも移る |
| ほうれんそう(生) | 約69mg | ゆでると水に溶け出す分がある |
| 木綿豆腐 | 約57mg | にがり由来。製法によって差が出る |
| 玄米ごはん | 約49mg | 精白米の約7倍 |
| 精白米ごはん | 約7mg | 主食を変えるだけで差がつく |
マグネシウム必要量の詳しい解説
推奨量が年齢で上下するのは、マグネシウムの必要量が体格とほぼ比例するからです。出納試験から求めた成人の必要量はおおむね体重1kgあたり4.5mg程度で、これに個人差を見込んだ係数を掛けて推奨量が決まります。だから体が大きくなる15〜17歳で男性が360mgと高く、その後いったん340mgに落ちて30〜64歳で370mgに戻り、高齢になると体組成の変化に合わせて下がります。10〜11歳だけ女性が男性を上回るのも、この年代の発育の早さを反映したものです。
不足が起きやすいのは、食事の形が変わったときです。マグネシウムは穀物の胚芽と外皮、大豆、海藻、種実類に多く含まれるため、精白した穀物と加工食品が中心の食事では自然に減ります。主食を玄米や雑穀に替えるだけで1日あたり数十mg動くのは、この差が大きいためです。逆に、日本の食事が伝統的にこの栄養素で困りにくかったのは、豆腐・納豆・味噌・海藻が日常的に食卓に乗っていたからだと説明されます。
判断が分かれるのはサプリメントの扱いです。通常の食品からの摂取について耐容上限量は設定されていませんが、通常の食品以外からの摂取には上限があり、成人で1日350mg、小児では体重1kgあたり5mgが目安とされています。これはマグネシウムを多く含む製剤で下痢が起こりやすいためで、便通の改善を目的に酸化マグネシウムを使う場面があるのと表裏の関係です。推奨量に届いていないからといって不足分をそのままサプリメントで埋める発想は、この上限とぶつかります。
見落とされやすいのは、摂取量ではなく失われる量のほうです。下痢が続くとき、アルコールの摂取量が多いとき、利尿薬や胃酸を抑える薬を長く使っているときは、腸からの吸収が落ちたり尿への排泄が増えたりします。糖尿病で尿量が多い状態も同じ方向に働きます。汗にも含まれるので、高温下での作業や長時間の運動が続く時期は普段より多く失われます。数字上の推奨量を満たしていても、これらの条件が重なれば体内の量は減ります。
注意が必要な条件もあります。腎機能が低下している方はマグネシウムを尿に捨てにくく、市販の便秘薬や制酸剤に含まれる酸化マグネシウムで血中濃度が上がりすぎることがあります。吐き気、脱力、血圧の低下、意識がもうろうとするといった症状は高マグネシウム血症の可能性があるため、服薬中の方は自己判断で量を増やさないでください。本ツールの数値は健康な方を対象にした食事の目安であり、検査値や治療の判断に用いるものではありません。持病や服薬がある場合は、医師・薬剤師・管理栄養士にご相談ください。
よくある間違い・注意点
- 推奨量に足りない分をすべてサプリメントで埋める — 通常の食品以外からの摂取は成人で1日350mgが目安の上限です。まず主食や大豆製品で底上げするほうが安全です。
- 乾物の数値をそのまま食べる量として数える — 素干しの海藻は100gあたりの含有量が非常に高く見えますが、実際に食べるのは数gです。1食分の重量に換算してください。
- 子どもに大人の目安を当てはめる — 年齢区分ごとに値が大きく違います。1〜2歳は70mg、6〜7歳は130mgで、成人の半分以下です。
- こむら返り=マグネシウム不足と決めつける — 足のつりには脱水、電解質全体のバランス、血流や神経の問題など複数の原因があります。繰り返す場合は受診してください。
- 腎機能が落ちているのに市販薬で補う — 酸化マグネシウムを含む便秘薬や制酸剤で血中濃度が上がりすぎることがあります。服薬中の方は医師・薬剤師に相談してください。
参考資料
- 厚生労働省 — 日本人の食事摂取基準
- 厚生労働省 e-ヘルスネット — ミネラルと生活習慣病の解説
- 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 — 国民健康・栄養調査と成分情報
- 文部科学省 日本食品標準成分表 — 食品中のミネラル含有量
- 農林水産省 — 食事バランスガイド
- 消費者庁 — 保健機能食品と表示の制度
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 — 医薬品の添付文書と副作用情報
- 公益社団法人日本栄養士会 — 栄養指導の情報
- 一般社団法人日本腎臓学会 — 腎機能とミネラルの管理
- 公益社団法人日本薬剤師会 — 市販薬の適正使用
※本ツールは健康な方を対象にした食事の目安です。治療中の方や持病のある方の摂取量については、医師・薬剤師・管理栄養士の指示に従ってください。
よくある質問(FAQ)
マグネシウムが不足するとどうなりますか?
不足が長く続くと、筋肉のけいれん、食欲の低下、倦怠感、不整脈などが現れることがあります。ただし症状だけで不足と断定はできず、血液検査でも体内の総量は反映されにくいとされています。
どの食品から取るのが効率的ですか?
大豆製品、海藻、種実類、玄米や雑穀などの精製度の低い穀物です。主食を精白米から玄米に替えると、同じ量でも数倍の差が出ます。
サプリメントは1日どのくらいまでですか?
通常の食品以外からの摂取について、成人では1日350mgが耐容上限量の目安とされています。小児では体重1kgあたり5mgです。この量を超えると下痢が起こりやすくなります。
妊娠中や授乳中は量を増やしますか?
妊婦は付加量として1日40mgを加えます。授乳婦に付加量は設定されていません。実際の摂取は主治医や管理栄養士の指導に従ってください。
硬水を飲めば補えますか?
硬度の高い水にはマグネシウムが含まれますが、含有量は製品によって幅があり、1日の推奨量を水だけで満たすのは現実的ではありません。食事の補助として考えてください。
カルシウムとの比率は気にしたほうがよいですか?
摂取比率については見解が分かれており、食事摂取基準では比率としての目標値は定められていません。どちらか一方に偏らせないという程度の意識で十分です。
薬を飲んでいる場合に注意することはありますか?
利尿薬や胃酸を抑える薬を長く使っていると体内の量が減ることがあります。逆に腎機能が低下している方は排泄されにくく、酸化マグネシウムを含む市販薬で高マグネシウム血症になる例があります。自己判断で増減させず、医師・薬剤師に相談してください。