レジン注型の材料量計算
原型の寸法・型枠のクリアランス・複製する個数から、シリコンと樹脂の必要量、材料費を算出します。
レジン注型の材料量計算ツール
型枠の内寸は原型の三辺にクリアランス10mmを両側で加えて80×60×50mm、体積は240立方cmです。原型は外形72立方cmの充填率45%で32.4立方cm。差し引き207.6立方cmにロス15%を見て238.7立方cm、比重1.1で262.6gのシリコンが要ります。樹脂は1個32.4×比重1.15=37.3gで、10個分にロスを加えて428.5g。シリコン4円/g、樹脂3円/gとして材料費は2,336円になります。
材料の比重と単価の目安
| 材料 | 比重 | 単価の目安 |
|---|---|---|
| 付加型シリコン | 1.1 | 4円/g |
| ウレタン樹脂 | 1.05〜1.15 | 3円/g |
| エポキシ樹脂 | 1.15〜1.20 | 5円/g |
| 石膏 | 1.1 | 0.6円/g |
原型の体積と型の耐用回数の目安
| 原型の体積 | 耐用回数の目安 | 傾向 |
|---|---|---|
| 10立方cm未満 | 80回前後 | 小物は型が傷みにくい |
| 10〜30立方cm | 30〜80回 | 一般的な部品 |
| 30〜100立方cm | 10〜30回 | 発熱で型が劣化する |
| 100立方cm以上 | 8〜10回 | 分割や中空化を検討 |
※参考計算です。製品の仕様・材料の比重・気象条件によって実際の値は変わるため、使用する材料の表示と現場での実測で確認してください。
レジン注型の材料量計算の詳しい解説
シリコンの必要量が読みにくいのは、型枠の体積から原型の体積を引いた残りが答えになるためです。原型が複雑な形をしていると、外形の寸法から体積を推定するしかありません。充填率という考え方を入れているのはこのためで、細い脚や薄い板が多い形状では三割前後、詰まった塊に近い形状では七割以上を見込みます。この見積もりを外すと、シリコンが途中で足りなくなります。
判断が分かれるのは、クリアランスをどれだけ取るかです。狭いと型の側壁が薄くなり、注型のたびに変形して寸法が狂います。広いとシリコンの消費が体積で効いてくるため、原型が小さいうちは影響が小さくても、大きな原型では材料費が跳ね上がります。実務では側壁と底に10mmから15mmを確保し、複製数が多い型ほど厚めに取るのが一般的です。
見落とされやすいのが、材料の目減りです。混ぜるときに容器の内側へ残る分、脱泡で溢れる分、注ぐときに垂れる分を合わせると一割から二割が失われます。ロス率を計算に入れておかないと、最後の一個分が足りずに硬化の途中で継ぎ足すことになり、境目に段差が残ります。二液を混ぜる材料では、比率を守るために少し多めに作るほうが確実です。
型の耐用回数は原型の大きさに強く影響されます。ウレタン樹脂は硬化のときに熱を出し、その熱がシリコンを少しずつ劣化させるためです。体積が大きいほど発熱も大きく、数回で表面が荒れ始めることもあります。複製の数が多いなら、最初から複数の型を作るか、原型を分割して一つあたりの体積を減らすほうが結果として安くつきます。
作業の環境も仕上がりを左右します。気温が低いと硬化が遅れ、可使時間が延びる一方で完全な硬化に時間がかかります。逆に高温では数分で流動性を失い、細部まで回りきる前に固まります。湿度の高い日はウレタン樹脂が水分と反応して発泡し、表面に細かい穴が残ります。使用する材料の説明書には適した温度と湿度の範囲が示されているため、作業日の条件を確認してから量を仕込んでください。原型と型枠の離型剤も忘れやすく、塗り忘れると型から外すときに原型を壊すことになります。
業界・現場での使い方
少量複製の材料手配
複製数から必要なシリコンと樹脂の量をまとめて算出します。
自主制作物の原価計算
1個あたりの材料費を出し、頒布価格の根拠にします。
試作部品の複製
型の耐用回数から必要な型の数を割り出し、工程を組みます。
教室やワークショップの準備
受講者数と作品の大きさから材料の総量を用意します。
よくある間違い・注意点
- 外形の寸法から原型の体積を計算する — 複雑な形状では実体積が外形の3割程度のこともあり、シリコンが余ります。
- ロス率を計算に入れない — 容器への残りと垂れで1割から2割が失われ、最後の1個で不足します。
- クリアランスを狭く取りすぎる — 側壁が薄いと注型のたびに変形し、複製の寸法が安定しません。
- 1つの型で全数を複製する前提を置く — 樹脂の発熱で型が劣化するため、体積の大きい原型では10回程度で表面が荒れます。
- 作業日の温度と湿度を確認しない — 硬化の速さが変わり、高湿度ではウレタン樹脂が発泡して表面に穴が残ります。
関連する規格・公的資料
- 経済産業省 — 産業・製品
- 厚生労働省 — 労働安全衛生・有機溶剤
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 製品評価技術基盤機構 (NITE) — 製品安全
- 日本塗料工業会 — 塗料
- 日本塗装工業会 — 塗装施工
- 日本玩具協会 — 玩具・模型
- 中央労働災害防止協会 — 作業環境・保護具
- 総務省消防庁 — 危険物の貯蔵
- 日本規格協会 — 規格の頒布
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
60×40×30mmの原型を10個複製する材料は?
シリコン262.6g、樹脂428.5gです。材料費はおよそ2,336円になります。
充填率はどう見積もりますか?
細い脚や薄い板が多い形状で30%前後、詰まった塊に近い形状で70%以上が目安です。水に沈めて体積を測る方法もあります。
クリアランスはどのくらい取りますか?
側壁と底に10〜15mmが一般的です。複製の数が多いほど厚めに取ると型の変形が抑えられます。
ロス率はどのくらい見ますか?
10〜20%が目安です。少量ずつ何度も混ぜる場合は容器に残る割合が増えるため、多めに見てください。
型の耐用回数を延ばすには?
樹脂の発熱を抑えることが有効です。一度に複数を注がず、間隔を空けて型を冷ましてから使ってください。
樹脂の比重はどこで確認しますか?
製品の技術資料に記載があります。ウレタンで1.05〜1.15、エポキシで1.15〜1.20が一般的な範囲です。
気泡を減らす方法はありますか?
脱泡の装置を使うのが確実ですが、少量なら細く高い位置から注いで泡を切る方法でも改善します。
複製物の権利関係で注意することは?
他者の意匠や著作物を原型とする複製は権利の侵害になり得ます。頒布を伴う場合は権利者の許諾を確認してください。