計算ツール
クラウドCDNインフラコスト管理

CDN月額 計算ツール|料金体系タイプ別のGB単価と実運用コスト

月間トラフィック(GB)からCDN月額を、料金体系の4タイプ(定額無制限型・クラウド統合型・高機能エッジ型・エンタープライズ型)で比較試算する無料電卓。GBあたり単価、月額基本料、配信先地域による単価差、WAF・画像最適化・ログ配信の追加費、無料枠の卒業タイミング、リクエスト課金の落とし穴まで実運用視点で解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

CDN月額 計算機

計算式と料金体系

CDN月額 = 基本料 + 転送量(GB) × GB単価 + リクエスト課金 + 付加機能料

CDN料金は「基本料金+従量課金」のハイブリッド構造が主流です。従量課金の中心はアウトバウンド転送量(Egress)で、GBあたり単価が課されます。加えてHTTP/HTTPSリクエスト数課金WAF(Web Application Firewall)画像最適化・動画配信・ログ転送のオプションで追加費用が発生します。料金体系は大きく4タイプに分かれます。定額無制限型は月額固定で転送量を課金せず、機能差でプランを分ける方式。クラウド統合型は基本料なしのリージョン別GB課金+リクエスト課金。高機能エッジ型は月$50前後の最低料金+GB単価。エンタープライズ型は大口契約前提の見積制です。

配信先地域によるGB単価差

従量課金型のCDNでは、配信先の地域でGB単価が変わります。目安は米国・欧州がもっとも安く$0.085前後、日本・韓国・オーストラリアが$0.114前後、南米・インドがその中間の$0.109〜0.11という並びで、最安地域と日本の差は1.3倍前後です(主要事業者の公開料金、2026-07時点の水準)。全世界の配信比率が読めない段階では、日本比率を高めに見積もった安全側の試算が推奨されます。

料金体系タイプ別の比較表(月間1TB配信を想定)

料金体系のタイプ 基本料金 GB単価 1TB月額目安 特徴
定額無制限型・無料プラン $0 $0(転送量課金なし) $0 個人・小規模向け。WAF/画像最適化は制限あり
定額無制限型・標準プラン $25/月 $0(転送量課金なし) $25 WAF・画像最適化・分析が標準で付く
定額無制限型・上位プラン $200/月 $0(転送量課金なし) $200 カスタム証明書・24時間サポート
クラウド統合型(従量課金) $0 $0.085-0.114 $87-117 同じクラウド上のストレージ・ロードバランサーと統合しやすい。リージョン別課金
高機能エッジ型 $50/月 $0.12 $170 低レイテンシ、独自の設定記述言語でエッジ挙動を細かく制御
エンタープライズ型(見積制) 要見積 $0.15-0.30 $500-1000 大企業向け、SLAが厳格
低価格特化型(多機能) $0 $0.01-0.06 $10-60 低価格、機能はシンプル、東京PoPあり
低価格特化型(従量のみ) $0 $0.04 $40 基本料なしの従量課金のみ、開発者向け

単純なGB単価比較では定額無制限型が圧倒的に安価ですが、大口契約時のSLA・グローバルPoPの品質・エッジコンピューティング機能で差が出ます。中小規模のWebサイトなら無料枠か月$25前後の標準プランで十分、月間10TB以上・厳密なSLAが必要ならクラウド統合型または商用契約が現実解です。

近年は低価格特化型のCDNも普及し、大手クラウドよりGB単価が1/2〜1/5という水準で提供されています。個人開発者・スタートアップに支持されており、日本PoPも整備されています。ただし、大企業向けの高度なDDoS対策・WAF機能では上位タイプに劣る点は留意が必要です。

見えにくい追加費用

リクエスト課金

従量課金型では HTTP $0.0075/10,000リクエスト、HTTPS $0.0100/10,000リクエストというのが一般的な水準です。画像や小さなJSONを大量に配信するAPIサーバー用途では、GB課金よりリクエスト課金が主コストになるケースがあります。

WAF・DDoS対策

クラウド事業者のWAFは $5/ルールセット/月+$1/ルール+$0.60/100万リクエストという課金が目安。定額無制限型は標準プラン以上で標準装備。高機能エッジ型の次世代WAFは別料金で月$200〜と高額です。

画像最適化・変換

画像変換の付加サービスは月10万枚まで$5、以降$1/10万枚といった従量制。エッジ実行環境で自前変換する場合は実行時間課金。運用開始後に想定外の額に膨らむ代表例です。

ログ配信・分析

リアルタイムログはストリーミング基盤を経由するため別料金になることがあります。ログ配信自体が無料でも、保存先のオブジェクトストレージ側で課金が発生します。

証明書・専用IP

SNI SSLは無料ですが、専用IPを使うSSLは月$600規模になる場合があります。SNI非対応の旧ブラウザ要件がなければSNIで十分です。

オリジンシールド

オリジンへのアクセスを一段集約するオリジンシールドはリクエスト数課金。オリジン負荷は減りますが、シールド層でのキャッシュミス時は追加費用になります。

用途別の最適解

個人ブログ・小規模サイト(〜1TB/月)

定額無制限型の無料プランで十分。DNS・SSL・基本的なDDoS対策込みで$0。CMSや静的サイトジェネレーターのフロント配信に最適で、静的ホスティングサービスとの組み合わせも普及しています。

中規模メディア・EC(1〜10TB/月)

定額無制限型の標準プラン($25前後)で画像最適化・WAF・分析までカバー。急な流量スパイクにも耐えます。ECプラットフォームを利用している場合はCDNが内包されていることも多く、二重契約に注意します。

大手クラウド利用中の企業(〜100TB/月)

クラウド統合型が仮想ネットワーク・オブジェクトストレージ・ロードバランサーと統合しやすく、月額100〜10,000ドル規模。年間コミット割引で最大30%程度下がります。上位サポート契約時は専任担当の支援が付くこともあります。

動画・大規模配信(100TB+/月)

高機能エッジ型または複数CDNのマルチ運用。GB単価の商用交渉($0.02〜0.04/GB)が可能になる規模です。ライブ配信は配信専用のマネージドサービスを組み合わせる構成が主流です。

ゲーム・グローバルサービス(100TB+/月)

エンタープライズ型と定額無制限型の上位契約を併用するのが定番。世界200都市以上のPoP品質と、24/7サポートSLAが必須になります。ゲームパッチ配信は数千TB/月規模も一般的です。

APIサーバー・WebSocket(トラフィック小・リクエスト大)

エッジ実行環境でのエッジコンピューティングが選択肢。リクエスト課金主体の設計で、GB単価より秒間処理数が主コストになります。

導入・移行の手順とタイムライン

定額無制限型(DNS委任方式)の導入手順

  1. アカウント作成 ― メール登録のみ、無料。
  2. ドメイン追加 ― CDN側のネームサーバーをドメインレジストラでNS設定。反映24〜48時間。
  3. DNSレコード確認 ― 既存A/AAAA/CNAMEレコードを自動インポート。プロキシを有効にするとCDN経由になります。
  4. SSL/TLS設定 ― オリジンまで暗号化し証明書検証まで行うモードを推奨。オリジン側にも証明書が必要です。
  5. キャッシュ設定 ― パス単位のルールでキャッシュ挙動を細かく制御。

クラウド統合型(ディストリビューション方式)の導入手順

  1. ディストリビューション作成 ― オリジン(オブジェクトストレージ・ロードバランサー・仮想サーバー等)を指定。
  2. キャッシュポリシー設定 ― 「キャッシュ最適化」「キャッシュ無効」などのマネージドポリシーを選択。
  3. 証明書発行 ― CDNが要求する特定リージョンで発行する必要がある点に注意。
  4. 独自ドメイン(CNAME)割り当て ― 代替ドメイン名として登録。
  5. DNS切替 ― CDNが払い出すドメインをエイリアス/CNAMEで指定。

よくある間違い・注意点

  • 「定額無制限=何を流してもよい」と鵜呑みにする — 転送量無制限をうたうプランでも、利用規約で「動画・大容量ファイルの非HTML配信は有料プランへ」と定めているのが通例です。動画配信サイトが無料枠で運用中に警告やブロックを受ける事例が多発しています。
  • 配信先地域による単価差の見落とし — 従量課金型は配信先で$0.085〜0.114/GBと1.3倍の差。日本ユーザー中心なら日本単価で試算しないと請求額が想定を超えます。
  • リクエスト課金の軽視 — 1KB画像を月10億リクエスト配信すると、GB課金($1未満)よりリクエスト課金($100〜)が主コスト。API用途では特に注意。
  • WAF・画像最適化の後付け — 運用開始後にセキュリティ強化で追加すると、月額が2〜3倍に跳ね上がることも。事前に見積に含めましょう。
  • キャッシュヒット率の低さで実質単価が悪化 — オリジンへのフォールバックが多いと、CDN月額に加えてオリジン側の転送量・処理コストが二重で発生。ヒット率90%以上を維持する設計が必須。
  • Cache-Controlヘッダー未設定 — オリジンがCache-Controlを返さないと、CDNのデフォルトTTL(数分〜数時間)でキャッシュが早期失効。max-age=86400(1日)以上を明示的に設定。
  • SSL/TLS設定ミス — オリジンとの間をHTTPのまま許可するモードは中間者攻撃のリスク。オリジンまで暗号化し証明書検証まで行う構成にします。
  • ログ保存期間の設定漏れ — アクセスログをオブジェクトストレージに永続保存するとGB単価$0.023×蓄積量で月額増。ライフサイクル設定で30〜90日で削除・アーカイブ階層へ移行が定石。

料金を確認するときの一次情報

  • 事業者の公開料金ページ ― プラン別の基本料と、転送量課金の有無を確認します。定額無制限型は機能差でプランが分かれるため、GB単価より機能表のほうが判断材料になります。
  • リージョン別料金表 ― 従量課金型は配信先地域ごとにGB単価とリクエスト単価が別表になっています。日本向け単価を必ず個別に確認します。
  • 公式の料金計算機(Pricing Calculator) ― 転送量・リクエスト数・オプションを入力して月額を出せる公式ツールが用意されていることが多く、実請求に最も近い数字が出ます。
  • 利用規約とフェアユース条項 ― 「無制限」表記の実際の適用範囲、動画・大容量ファイル配信の扱いはここに書かれています。無料枠運用の可否はこの条項で決まります。
  • SLA文書 ― 稼働率保証の数値と、未達時の返金割合。エンタープライズ型を検討する場合の比較軸になります。
  • PoP一覧(エッジロケーション一覧) ― 日本国内の拠点数と都市。同じ「日本対応」でも拠点数と帯域で実効速度が変わります。
  • 管理画面の分析ダッシュボード ― キャッシュヒット率・リクエスト内訳の実測値。試算の前提を実データで補正するために不可欠です。
※本ページの試算値は主要事業者の公開料金(2026-07時点)に基づく概算です。実際の請求額はキャッシュヒット率・リクエスト内訳・オプション有無・為替レートで大きく変わります。本番導入前に必ず事業者公式の料金計算機またはセールス見積で確認してください。

よくある質問(FAQ)

定額無制限型の無料プランは本当に無制限?

HTML・CSS・JS・画像の一般Web配信は無制限ですが、動画配信や巨大ファイルの主配信は利用規約で有料プランが推奨されています。違反時はサービス制限や有料プラン移行を求められます。

4タイプの中で最安は?

単純GB単価では定額無制限型(無料〜月$25固定)が圧倒的。クラウド統合型は中規模〜大規模で選ばれ、高機能エッジ型はエッジ制御の柔軟性、エンタープライズ型は大企業向けSLAが選定理由になります。

日本のPoPはどのタイプにもある?

主要な事業者は東京・大阪にPoPを持ち、いずれのタイプでも日本配信に対応しています。PoP数・帯域・実効レイテンシは事業者差が大きいため、テスト配信で計測することを推奨します。

リクエスト課金はいくらから発生?

従量課金型は1リクエスト目から課金されるのが原則(HTTP $0.0075/10,000が目安)。ただし年間1TB程度の無料枠が付くことがあり、その分を超えた時点から実質的な課金が始まります。

WAFは別料金?

定額無制限型は標準プラン以上でWAF標準装備。クラウド統合型のWAFはCDNとは別課金で$5/ルールセット+リクエスト課金。高機能エッジ型の次世代WAFも別料金で$200〜が目安です。

キャッシュヒット率が下がるとどうなる?

オリジンへのリクエストが増え、オリジン側の転送量・演算コストが跳ね上がる。CDNだけでなくオリジンの請求書も見て総額判断を。ヒット率90%が目安。

マルチCDN構成のメリットは?

単一CDN障害時のフェイルオーバー、地域別最適化、価格交渉力の向上が主なメリット。DNSステアリング製品で自動切替が可能です。ただし運用コスト・複雑度は増します。

CDNとロードバランサーの違いは?

CDNはエッジキャッシュ+グローバル配信、ロードバランサーはオリジン側の負荷分散。両者は補完関係で、CDN→ロードバランサー→オリジンサーバー群の構成が定番。

エッジコンピューティングは何ができる?

各タイプが提供するエッジ実行環境で、CDNのエッジ上でJavaScript/WebAssemblyを実行できます。A/Bテスト、認証、画像リサイズ、地域別リダイレクトなどをオリジン負担なしで実現できます。