計算ツール
経理在庫

棚卸資産・売上原価 計算ツール|在庫回転率・在庫月数も同時表示

期首在庫・仕入・期末在庫から売上原価・粗利率を計算。在庫回転率・在庫月数・適正在庫も同時算出。

棚卸資産 計算機

計算式

売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫

売上総利益 = 売上高 − 売上原価

在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫(期首と期末の平均)

在庫月数 = 12 ÷ 在庫回転率

業界別 在庫回転率の目安

商品の性質から導いたおおまかな水準です。自社の業種の実数と比べたいときは、中小企業庁「中小企業実態基本調査」など業種別の財務データを参照してください。

業界回転率在庫月数
スーパー(食品)30〜50回0.3ヶ月
コンビニ40〜60回0.2ヶ月
アパレル3〜6回2〜4ヶ月
家具・家電4〜8回1.5〜3ヶ月
自動車ディーラー6〜10回1.2〜2ヶ月
製造業(一般)4〜8回1.5〜3ヶ月
書店3〜5回2.4〜4ヶ月

棚卸方法

  • 先入先出法(FIFO):古い在庫から払い出す。インフレ時は利益高め
  • 移動平均法:仕入の都度、平均単価更新。実務で多用
  • 総平均法:期末に一括平均。簡便
  • 最終仕入原価法:個人事業主の標準。期末直近の仕入価格

早見表

入力の組み合わせ別の結果(本ツールの出力・単位は万円)

期首在庫当期仕入期末在庫売上高売上原価粗利率平均在庫在庫回転率在庫月数回転日数
5003,0006005,0002,900.042.0%550.05.27回2.28ヶ月69日
5003,0005005,0003,000.040.0%500.06.00回2.00ヶ月61日
5003,0001,0005,0002,500.050.0%750.03.33回3.60ヶ月110日
5003,0003005,0003,200.036.0%400.08.00回1.50ヶ月46日
8004,0008007,0004,000.042.9%800.05.00回2.40ヶ月73日
1,0006,0001,00010,0006,000.040.0%1,000.06.00回2.00ヶ月61日
1002,4001003,0002,400.020.0%100.024.00回0.50ヶ月15日

2行目と3行目を見比べると、仕入と売上高が同じでも期末在庫を500万円から1,000万円に増やすだけで売上原価は3,000万円から2,500万円に減り、粗利率は40.0%から50.0%へ上がります。実地棚卸の数え違いがそのまま利益に乗るということです。

評価方法と届出の決まり

項目法人個人事業主
選べる評価方法原価法6種(個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法)と低価法同じ6種と低価法。ただし低価法を含む選択は青色申告の承認を受けている場合に限られる
届出をしなかった場合最終仕入原価法による原価法(法人税法施行令第31条)最終仕入原価法による原価法(所得税法施行令第102条)
届出の期限設立などの日が属する事業年度の確定申告書の提出期限まで事業を開始した日が属する年分の確定申告期限まで
変更するとき新しい方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに承認申請採用しようとする年の3月15日までに承認申請
取得価額に含めるもの購入代価に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などを加算し、消費または販売の用に供するために直接要した費用も含める

詳しい解説

売上原価は「期首在庫+当期仕入−期末在庫」で求めます。式の形を見れば分かるとおり、期末在庫は引き算の位置にあります。つまり期末在庫が大きいほど当期の費用は小さくなり、利益は大きく出ます。既定値の期末在庫600万円を1,000万円に変えると、売上原価は2,900万円から2,500万円へ下がり、粗利率は42.0%から50.0%へ上がります。仕入も売上も一切変えていないのに、です。棚卸を1日で終わらせるために目分量で数えたり、返品予定の商品を数え漏らしたりすると、その金額がまるごと利益の誤差になります。法人税法第29条と所得税法第47条が棚卸資産の売上原価の計算と評価の方法をわざわざ定めているのは、ここが所得の額に直結するからです。

実務で判断が要るのは、在庫をいくらと評価するかという点です。法人税法施行令第28条は、個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法という6つの原価法と、これらと期末時価の低いほうを採る低価法を挙げています。どれを使うかは所轄税務署長への届出で決まり、届け出なかった場合は法人税法施行令第31条(個人は所得税法施行令第102条)により最終仕入原価法による原価法になります。最終仕入原価法は期末の直前に仕入れた単価を全在庫に当てはめる方法なので、期末近くにたまたま高い単価で仕入れると在庫評価が膨らみ、利益が大きく出ます。個人事業主の場合、所得税法施行令第99条第1項は、青色申告の承認を受けていないときは原価法しか選べないと定めています。低価法で評価損を取りたいなら、まず青色申告の承認が前提になるということです。

見落とされやすいのは取得価額の中身です。法人税法施行令第32条と所得税法施行令第103条は、購入した棚卸資産の取得価額を、購入の代価に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などを加えた金額と、消費または販売の用に供するために直接要した費用の合計と定めています。仕入諸掛をすべて当期の費用として処理していると期末在庫が過小になり、その分だけ利益が小さく計上されます。指標の側にも読み違いのもとがあります。本ツールの在庫回転率は売上原価を平均在庫で割った値で、平均在庫は期首と期末の単純平均です。季節性の強い商売では、期末が閑散期に当たるか繁忙期に当たるかで平均在庫が大きく振れます。月次の在庫残高を12か月平均した値を使えば、より実態に近い回転率になります。在庫月数は12か月を回転率で割った値、回転日数は365日を回転率で割った値なので、回転日数を約30.4で割ればおおむね在庫月数と一致します。

業種によって適正な水準はまるで違います。日持ちしない商品を扱う小売では回転率が年間数十回になる一方、受注生産の機械や貴金属を扱う業態では数回で普通です。回転率を上げること自体が目的化すると、欠品による販売機会の損失や、小口発注による単価の悪化、配送回数の増加という別のコストに跳ね返ります。逆に売れ残った在庫を抱え続ける場合も、税務上は「売れないから」というだけで評価損を認めてもらえるわけではなく、災害による損傷や著しい陳腐化といった要件が問われます。決算前に在庫の評価や処分を検討するときは、根拠となる資料を残したうえで、顧問税理士に相談してから判断してください。

よくある間違い・注意点

  • 期末在庫を多めに計上して利益を作る。売上原価が減って利益が増えるため税負担も増えます。実地棚卸の結果と帳簿が合わない状態は、後の税務調査で説明が必要になります。
  • 評価方法を届け出ないまま移動平均法などで計算する。届出がなければ法定評価方法である最終仕入原価法によることになります。会計ソフトの設定と届出の内容が一致しているか確認してください。
  • 仕入の運賃や関税を全額その期の費用にする。引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税は取得価額に含めます。費用にしてしまうと期末在庫が過小になります。
  • 在庫回転率を売上高÷平均在庫で計算する。本ツールは売上原価÷平均在庫です。分子を売上高にすると粗利の分だけ数字が大きく出るので、他社の公表値と比べるときは分子の定義をそろえてください。
  • 平均在庫を期首と期末の2点だけで見る。季節性のある商売では実態から外れます。月次の残高を平均した値のほうが判断材料になります。

参考資料

よくある質問(FAQ)

売上原価はどう計算しますか?

期首在庫+当期仕入−期末在庫です。既定値の期首500万円・仕入3,000万円・期末600万円なら売上原価は2,900万円、売上高5,000万円に対する粗利は2,100万円、粗利率は42.0%と表示されます。

期末在庫が増えると利益はどうなりますか?

増えます。売上原価の式で期末在庫は引き算の位置にあるためです。同じ入力で期末在庫だけを600万円から1,000万円にすると、売上原価は2,500万円に減り、粗利率は50.0%に上がります。

評価方法を届け出ないとどうなりますか?

法人は法人税法施行令第31条、個人は所得税法施行令第102条により、最終仕入原価法による原価法で評価することになります。期末直前の仕入単価が全在庫に当てはまるため、そのときの相場に評価額が左右されます。

個人事業主でも低価法を選べますか?

所得税法施行令第99条第1項は、その年分の所得税について青色申告書を提出することにつき承認を受けていない場合は原価法によると定めています。低価法を含めて選ぶには青色申告の承認が前提です。

評価方法を変更したいときの手続は?

所轄税務署長の承認が必要です。法人は新しい方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、個人は採用しようとする年の3月15日までに申請書を提出します。採用してから相当期間が経っていない場合は却下されることがあります。

仕入にかかった運賃や関税は在庫の原価に入れますか?

入れます。購入代価に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などを加算し、消費または販売の用に供するために直接要した費用も取得価額に含めると定められています。

在庫回転率は売上高と売上原価のどちらで割りますか?

本ツールは売上原価÷平均在庫で計算しています。売上高を分子にすると粗利の分だけ数値が大きく出るため、他社の公表値と比べるときは分子の定義をそろえてください。

在庫月数と在庫回転日数はどう違いますか?

在庫月数は12ヶ月÷回転率、在庫回転日数は365日÷回転率です。既定値では回転率5.27回に対し在庫月数2.28ヶ月、回転日数69日となり、69日を約30.4で割るとおおむね2.28ヶ月に一致します。

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